まるがめ子どもにほんごひろば メルマガ 第68号(創刊2014.1)
(2018年11月1日発行)毎月随時発行予定(記事、論文の引用は太文字で掲載しています。)
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◆ひろば参加の子どもたちの親と話しあう会
10月21日(日)15:00~16:30 丸亀市城乾コミュニティセンター小会議室で開かれた。参加したのは、ペルーの母親1名と中国の母親とその娘2名、丸亀市内の小学校の教員1名、丸亀市議会議員1名、びろばボランティア8名の計13名であった。事前のひろばボランティア間の打ち合わせでは、議題として、学校と家庭の連携や子どもとの学校生活や将来の進路についての話し合いの必要性などを想定していたが、参加した親からは自由に意見が出された。以下要約
(日本の小学校の進級について) ペルーと中国の小学校では、学力の問題で学年の学習についていけない場合は留年となるが、日本では教科の理解に関係なく、原則進級するシステムになっている。子どもは日本語が十分わからず、このまま学年が上がり、中学に入学してもついていけるかどうか心配である。
(子どもの学校での勉学状況について) ・担当の先生にうちの子はどうですか、友達とうまくいっていますかなど聞いている。宿題をやりたがらないので、先生にはよろしくお願いしますと頼んでいる。家族の状況も話している。
・なんらかの不正受給をしている家では、親も子どもに強く言えない。13歳でお酒を飲んでいても誰も注意しない。日本人も外国人だからか、なにも言わない。児童手当をもらうために、行きたくないけど、週に一度通う子もいる。(生活保護、児童扶養手当受給などの問題)
・授業についていけないことなどが原因で、学校に行かなくなる子どもが多いと聞いている。
(いじめについて) 外国人であり、日本語がよくわかっていない、授業が理解できないなどで、子どもがいじめられたり、嫌なことをされたりする。先生といじめなどについて先生の意見を聞いたこともあるが、先生はあまり児童の間に入ろうとしてくれない。もっと取り持ってほしい。
(部活について) ペルーでは学校が終わると、子どもは自由に過ごすが、日本は、中学校では部活があり、帰宅するとまた塾に行く子もいる。もっとゆっくりある生活ができないのか。部活は義務なのか。・中国では子どもに高い教育を受けさせるため、親も進学熱が高い。その点、日本はいいと思って日本に来て、子どもを入学させたのだが。日本も同じか。
(高校進学について) 10%くらいではないかと思う。
(日本人参加者からの意見)・テレビ放映での学習やパソコンなどでSNSを活用する方法もある。・母親の言うことは聞かないが、年長の兄や姉の言うことは従う場合が多いので、家族間で協
力することもできる。・学校での嫌なことを子どもはほとんど親に話さないことが多い。親が子どもの様子を気遣い、聴く姿勢があれば、少しは親に話す。正しい方向を親が示すことが必要である・進級するたびに子どもは成長しており、先生からどう変わってきているかを聞き取ることが大切である。・丸亀市役所には、多言語での相談窓口があるので活用してほしい。・親が母国に帰る意識が高いと、子どもは敏感に察して、どうせ母国に帰るのだから、今、日本語の勉強を頑張っても仕方ないと思う・また、授業についていけず、おもしろくないから、中学校をやめたい。それを日本に連れてきた親のせいにする子どももいる。
◆「ベトナム人、相次ぐ死 実習生ら 仕事・生活追い詰められ」朝日新聞
東京都港区にある寺院「日新窟」。棚の上に、ベトナム語で書かれた真新しい位牌がぎっしりと並ぶ。2012年から今年7月末分までのもので81柱。この寺の尼僧ティック・タム・チーさん(40)によると、その多くが、20、30代の技能実習生や留学生のものだ。今年7月には4人の若者が死亡。3人が実習生、1人は留学生で、突然死や自殺などだった。家族に遺書を残していた。塗装関係の仕事をしていたが、「暴力やいじめがあってつらい」とつづられていた。「寂しい。1人でビールを飲んでいる」と弟に電話があった翌日、川辺で首をつっているのが見つかった。6月に亡くなった31歳の男性の死亡診断書には、死因は「急性心機能不全症」と書かれていた。別の20代の技能実習生の男性は朝、仲間が部屋に起こしに行ったら、死んでいた。タム・チーさんは00年に来日以来、こうした実習生らの様々相談に応じてきた。妊娠して途方に暮れる女性のために出産できる場所を探したり、本国で生まれた赤ん坊を預かってくれる人を探したり。今月も北海道の海岸で留学生の遺体が見つかり、葬式をあげてきた。「実習生や留学生は言葉の壁もありストレスが大きい。節約してカップラーメンを食べて栄養不足になっている。一生懸命働いて、無理をして、体も精神も不安定になるケースが多い」と話す。節約は多くの場合、来日のために背負った借金の返済や、家族への仕送りなどのためだ。
実情に詳しい山村淳平医師(63)は、「元々健康だった20、30代の人か突然に亡くなるのは異常なこと」と話す。「十分な睡眠もとらず、過剰な労働によるストレスやプレッシャーが体をむしばんでいく」山村さんはベトナムを訪問し、昨年末に宮城県で亡くなった20代の男性の父親に会った。男性は現地のブローカーを通じ、約120万円を払って来日。結婚資金などを稼ぐためだった。送り出し団体から「心臓の病気で亡くなった」と連絡があり、遺骨が届けられたという。
「ものの言いにくい制度 問題」 技能実習生の問題に詳しい指駅宿昭一弁護士の話
待遇や体調が悪くても、ものの言いにくい技能実習制度の構造的な問題があるのではないか。来日前保証金などで借金を背負わされたうえ、送り出し機関から労働基準監督署や弁護士への相談を禁じられるケースもある。留学生も同様に借金を抱え、法定の週28時間を超えて働かざるを得ない状況に置かれる場合が多い。送り出し機関との悪質な取り決めを改めてさせるとともに日本には労災制度や各種相談窓口があることを本人や母国の家族に周知することも必要だ。
◆「実習生の人権侵害ないか」ワコール、委託先に異例調査 朝日新聞
女性下着大手のワコールホールディングス(HD、本社・京都市)が、自社製品の製造工程にかかわるサプライチェーン(製品供給網)に、外国人技能実習生の人権を侵害している会社がないかどうかの調査を始めた。賃金不払いなどの不正行為があれば改善を求める。応じない場合は取引そのものを見直す。人権軽視は経営リスク…実習生制度に批判、企業も危機感
◆広報丸亀10月号P12 ホとコラム「外国人の人権を考える」
(前文略)丸亀市には、平成30年4月現在1,911人が暮らしており、主な国籍別の状況は 中国(838人)、フィリピン(327人)、ペルー(282人)の順で多く、次いでベトナム(146人)、インドネシア(55人)、ブラジル
(53人)となっています。(中略)丸亀市にも多くの外国人が生活していますが、更に、観光で訪れる外国人も多くなっています。今や、外国人という視点ではなく、お隣に住む住民、市民という感覚が求められています。しかし、外国人が日本で生活する上で、大きな障壁が幾つかあります。言語、教育、住まい、就労の問題などです。中でも、言語の違いによるコミュニケーションの問題に端を発て、文化の違いを共有することの難しさが言われています。外国人の多くは、様々な機会に「無理解」や「差別」と向き合わなければなりません。(中略)「外国人」という垣根を越えて、市民、住民の一員として、共生する地域・
社会をつくり上げていく貴重な人材であるという 考え方に立ちたいものです。隣に住んでいる人と顔を合わせせ、挨拶を交わし 、「 一緒に楽しい町をつくる」社会を目指していきませんか。
※こんな素敵な記事が掲載されていました。
◆ 編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
新しい在留資格制度が来年4月から始められようとしている。政府は移民制度の導入を否定するのに躍起だ。この機会(もうすでに遅いとは思うが)に時間をとって、じっくりと国民的議論をすべきだと思う。経済界に押された労働力不足対策ということではなく、諸外国の失敗例、成功例なども踏まえながら、日本の移民政策を決めていくべきだ。問題だらけの技能実習制度を残したままの、拙速で、糊塗的な施策だけは絶対にやめるべきだ。次回以降この問題を記載する。
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