外国人住民を取り巻く環境を知ろう!

◆統計から見た丸亀市在住の外国人住民の姿(1)丸亀市在住の外国人数は、在留統計の外国人数で1,810人(H28.6.30)、住民基本台帳人口統計で1,652人(H28.1.1)。両方は調査時点の違いや転出入の報告義務の履行の有無などから、H29.1.1の人口は正確には把握できない。国籍別では、市町村別人数は在留統計のみ公表で、しかも全国上位8カ国(中国、韓国、フィリピン、ブラジル、ベトナム、ネパール、米国、台湾)のみ公表しており、丸亀市は1,810人のうち、中国761人、フィリピン335人、韓国72人、ベトナム68人、ブラジル55人、米国16人、台湾15人、ネパール3人である。ご存じのように、県内のペルー人の約7割が丸亀市に在住しているが、その数は不明である。(H27.12.31の在留統計では、ペルーは当時全国上位8カ国に入っており、303人(県411人)であった。)(2)在留資格別人口は、市町村別では公表されておらず、県全体の比率から市を推計と、技能実習生710人、永住者422人、特別永住者123人、定住者108人、留学生98人、日本人の配偶者97人、特定活動70人などとなるが、特別永住者の韓国籍の人は全数で72人しか住んでおらず、留学生も大学、日本語学校がないため、これより少なく、看護師候補者や介護福祉士候補者などの特定活動もこれよりかなり少ないだろうし、逆に、ペルーの方は技能実習生はほとんどおらず、多くは永住者、定住者、日本人の配偶者等なので、これらの数はより多いのではないかと推察する。(2)外国人労働者数は、全県の数字しか公表されていない。県内労働者人口は5,172人。国籍別で見ると、中国、ベトナム、フィリピン、ネパール、ペルー2.7%、ブラジルの順に多い。県全労働者の在留人口比53.5%から推計すると、丸亀市在住労働者数は968人で、さらに丸亀市の国別比率で推計すると、中国407人、フィリピン179人、ペルー162人、ベトナム36人、ブラジル29人となる。ペルーの方の総労働者が139人なので、その70%として約100人となる。ぺルーの方は労働者比率が35.8%と他国より低く、303人にこの数値をはめると108人となる。(3)外国人児童生徒数は、学校基本調査(H27.5.1)では、小学生154人、中学生86人、高校生26人である。ただし、この中には、外国につながる日本国籍の児童生徒は含まれていない。市町別の児童生徒数は公表されていないので、住民基本台帳の5歳区分人口から推計すると、丸亀市の7歳~15歳人口からみるとは、小学生約75人、中学生約35人、高校生約35人の計約145人となる。ただし、調査時点から1年が経過しており、その間県外、国外への転出や未就学の子どももいるので、おおよそ130人前後ではなかろうか。(4)まとめ 丸亀市の統計上の外国人住民の姿を示したが、統計資料が乏しく、その外観とは到底いえない。居住地の情報もない。日本語の理解が十分でない外国人は、災害基本法上、災害時要配慮者であり、丸亀市地域防災計画上も同様である。同じ地域住民として、個人情報には当然配慮しつつ、もっときめ細かな情報を公開すべきである。そのことが、外国人住民と市民とのつながりを深めることになるものと考える。

◆労働関係

1)社会保険、年金事業所が外国人労働者の社会保険加入を怠っている事例が多いという。日本人と同様、法人事業者であれば、業種、人数に関係なく加入させなければなりません。個人事業者の場合は、常時5人以上の従業員を使用する事業所は製造業、土木建築業、運送業、清掃業、物品販売業など16業種は必ず加入させなければならず、16業種以外でも、また16業種でも常時5人未満の従業員では、使用者と従業員が希望し、管轄の社会保険事務所で承認されなければ加入させなければなりません。ただし、パートタイマーなどで働く労働者の場合で、正社員の1日または1週間の労働時間の3/4以下であり、かつ正社員の1か月の労働時間の3/4以下であれば加入させなくてもいいことになっている。事業者の中には、事業主負担をしたくなかったり、社会保険料が多額になるため加入を渋る外国人労働者がいることを理由に、加入させていない者もあると聞く。また、年金は、掛け捨てになるとの理由で、保険、年金ともに加入しない者もいる。年金脱退一時金の制度があり、年金の加入期間が6か月以上あれば、申請でき、出国後でも2年以内であれば請求できる。2)労働保険(労災保険、雇用保険)労災隠しのため、労災認定させない事業者もいるという。従業員1人でも雇用(請負、委託、委任を除くため、契約時に注意が必要です。)していれば労働保険が適用になる。労災認定を嫌がる使用者がおり、いわゆる労災隠しが問題化している。ただ、雇用保険の場合、31日以上の雇用の見込み、1週間20時間以上の勤務が要件となり、この要件に該当しないと、失業給付をうけられなくなる。3)解雇不当解雇の事例がある。雇い主は、従業員が業務上で怪我をしたり、病気になったりして、その治療を行うため勤務を休む間、さらには治療後30日間は、その従業員をやめさせることはできない。また、短期の契約をした従業員でも、この契約が何回も更新され、従業員も今後も更新されると期待するような場合は、契約の満了日をもって解職することも解雇に当たる。日給月給払いの外国人労働者が仕事で負傷したことで、仕事ができないことを理由に解職するケース。日本の労働基準法の解雇規定を知らないことをいいことに、不当な解雇の例が多いと聞く。4)技能実習生と労働技能実習生制度については、安価な労働力調達の隠れ蓑、強制労働などの批判が長くなされ、2009年に研修生・技能実習生の保護の強化を目的に入管法が改定されたものの、その後も不正行為は頻発し、残業代の未払い、劣悪な労働・生活環境、在留カードやパスポートの取り上げ、強制帰国などの問題が多数報告されている。労働基準局の報告でも、監督指導を実施した実習実施機関の76%で労働基準法令違反が認定されている。(2014年)(移住連情報誌「Migrants Netwaork」2016.8から抜粋)5)非正規滞在者問題不法入国者、不法滞在者、オーバーステイなどを含むが、不法入国は別として、正規に入国したものの、何らかの事情(中には子どもの養育、劣悪な労働環境からの逃亡など、やむを得ない理由により在留資格の更新ができなかった者もいる。)で在留期間を過ぎてもなお滞在していることから非正規滞在者と呼びたい。法務省では、平成28年7月1日現在の不法残留者数は63,492人と公表している。労働そのものが許されないのだから、上記1)2)は加入できない。公務員には通報義務があるが、通報することに比べ、出産や子どもの教育などの公益が優先されると判断した場合には通報しなくても罰せられない。通報すれば民間人には最高5万円の報奨金が出ることになっており、このことが、外国人住民同士を分断する結果にもなっている。救済の道として、在留特別許可が認められているが、法務省は、許可の判断は、個々の事案ごとに、在留を希望する理由、家族状況、素行、内外の諸情勢、人道的な配慮の必要性、さらには我が国における不法滞在者に与える影響等、諸般の事情を総合的に勘案して行うこととしている。(法務省入国管理局のガイドラインより抜粋)法務省は、先例で許可のあった事由があれば必ず認められるというのではなく、あくまでこの許可は法務大臣の裁量に任されているという。