「まるがめ子どもにほんごひろば」
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者
の学習支援、外国人住民とのつながりに向けて~
通算第51号(2017年11月 2日発行)
毎月1回月末及び随時発行
URL:http://marugame-kodomo-nihongo.net/閲覧可
【1】今号のトピック
◆日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成28年度)」の結果について(文部科学省)平成29年6月13日発表
公立学校に在籍している外国人児童生徒数(平成28.5.1 文部科学省 学校基本調査) 80,119人 H26より6,830人増(H26対H24
1,744人増加)※2年前の前回調査に比べ、3.9倍増加。日本語指導が必要な外国人児童生徒数 34,335人 H26より5,137人増(H26対H24
2,185人増) ※2年前の前回調査に比べ、2.4倍増加。「特別の教育課程」により日本語指導を受けている外国人児童生徒数は、11,251人(H26:5,788人
)42.6%(H26:23.9%)日本語指導が必要な日本籍児童生徒数 9,612人(7,897人)(H26より1,715人 H24より1,726人増加)うち、「特別の教育課程」により日本語指導を受けている日本人児童生徒数は、2,767人(1,238人)
38.8%(20.0%)
(香川県の状況) ○日本語指導が必要な外国人児童生徒 小学校 97人(64人) 中学校 21人(25人) 高等学校3人( 4人)特別支援 0人(5人)
計 121人(H26:98人) (H24:66人)
母語内訳 スペイン語 38人(30人)フィリピノ語 35人(30人)中国語 31人(23人)ポルトガル語 2人(5人) 英語 3人(3人)その他12人(
7人 )
○日本語指導が必要な日本籍児童生徒
小学校20人( 31人)中学校 5人(0人) 高等学校1人( 0人)特別支援 2人(2人)
計28人(H26:33人) (H24:26人)○母語内訳 スペイン語 3人(0人) フィリピノ語 11人(11人)中国語0人(1人) ポルトガル語
0人(1人)その他 3人(2人)
○学校基本調査
香川県内の外国人児童生徒数(毎年5月1日現在):小学校 H21年度 118人,H28年度 178人と7年間で51%増、中学校H21年度 54人が28年度
86人と59%増となっている。高校はH21年度 35人が28年度 26人と25%減となっている。28年度総数では281人である。(H21:207人)
◆中国帰国者支援交流センターからの高校入試特別措置情報の協力依頼
先月、上記センターの安場さんから、外国人生徒・中国帰国生徒等の高校入試を応援する有志の会が行っている県立高校の外国人生徒入試特別枠/措置の調査に関わっていただけないかとのメールがあった。このセンターが公開している高校入試に関する全国調査(全国都道府県、政令指定都市)は香川県の実情を知る情報として貴重であり、個人的には以前から評価していたところでした。団体としてもしっかりしており、先日ひろばのメンバーにも諮り、窓口になることの了承を得ました。
※中国帰国者支援交流センター:日本に永住帰国した中国・樺太(サハリン)残留邦人とその家族(帰国者)を支援する機関として平成13年、国からの事業委託を受けて開設し、現在全国の主要都市7箇所に支部センターがある。帰国者に対する日本語学習・交流支援事業や生活相談・就職援助事業などを行っており、その中に帰国者の進学・進路情報の提供事業があり、このたびの高校入試特別措置情報もその一つである。
○2017年入試の調査結果の概要
外国人生徒、中国帰国生徒、海外帰国生徒への高校入試の特別措置には、特別入試枠と入試特別措置がある。特別入試枠とは、特定の高校に外国籍生徒や中国等帰国生徒を対象とした入学枠があり、特別な試験を受けられる場合の枠をさす。入試特別措置とは、一般入試を一般の生徒とともに受験する際に、何らかの措置(時間延長、漢字にルビ、問題用紙の拡大コピー、別室受験、注意事項の母語表記、教科減、辞書の持ち込み可など)を受けられる場合の措置をさす。
調査対象:都道府県・政令指定都市60地域のうち、全日制高校では特別入試枠措置18地域(中四国なし)、入試特別措置30地域(中四国では鳥取県、徳島県実施)。その他として、特別の措置はないが、何らかの優遇措置を行っている地域(中四国では、島根県が個々の状況に応じて、時間延長、科目減等、愛媛県が海外帰国生徒について、一定の要件を満たせば募集定員を超えて入学を許可、香川県は以下のとおり)がある。
香川県の場合:特別入試枠 なし・入試特別措置 なし ただし、「帰国生徒等(外国人生徒を含む。)の選抜にあたっては、海外経験を十分考慮するとともに、その事情により一定の配慮をすることができるものとする。」日本語能力に配慮して面接を行っているが、学力検査での時間延長や課科目減などは行っていない。http://www.kikokusha-center.or.jp
※先日、県高校教育課を訪問した。外国籍中学生徒の高校進学率を聞いたところ、データを知らなかった。また、外国籍中学生徒に対する高校入試への対応は、ここ15年間全く改正されていない。
現在の日本語指導を必要とする児童生徒数の増加や中学校での授業についていけない生徒の増加を踏まえ、せめて何らかの措置(時間延長、漢字にルビ、問題用紙の拡大コピー、別室受験、注意事項の母語表記、教科減、辞書の持ち込み可など)を検討してほしい旨要望した。
【2】書籍・論文紹介・新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆外国人実習生、介護職追加 11月施行 ~事業所、開設3年が要件~(四国新聞 10.12)
外国人の技能実習制度に介護職種を追加する法改正が11月に施行されるのを前に、厚生労働省は11日までに、受け入れ先の事業所や実習生に求める要件を公表した。開設3年以上の事業所を対象とし、実習生は入国段階で基本的な日本語を理解できる能力が必要とした。受け入れ人数の上限を常勤介護職員の総数までとすることも定めた。介護現場の人手不足が続く中、ベトナムなどアジア諸国からの来日が想定されており、年明けに第1陣が入国するとみられる。ただ、受け入れ事業所数や人数については厚労省は把握していない。
(介護の外国人技能実習生に関する主な要件)
○受け入れ事業所(・訪問サービスは対象外・開設後3年以上・実習生5人につき1人以上の指導員・規模に応じて実習生の人数に上限設定。最大でも常勤介護職員と同数まで。)
○実習生(入国時に「基本的な日本語を理解できる」日本語能力試験N4程度・入国時。原則240時間の日本語学習と42時間の介護講習・2年目は日常的な日本語をある程度理解できる N3程度)
※四国新聞10.29
在留期間は最長5年。11月1日施行の技能実習適正化法では、実習生の出身国側と日本国内の受け入れ先事業所をつなぐ監理団体を許可制とし、事業所に実習生ごとの実習計画を作成させる。
制度の適正な運用のため、今年1月に法務、厚労両省が設立した「外国人技能実習機構」が実習生計画を審査、認定し、実習生の相談を受ける。実習の強制、パスポートの保管の禁止には罰則。
【3】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今回の介護職の追加は、2025年には介護職が38万人不足する推計に対応するもの。学費や渡航費など受け入れ側が負担する初期費用は1当たり約75万円かかるそうだが、それでも日本人を採用するより投資効果は高いという。技能実習生の奪い合いも始まっており、新設された「外国人技能実習機構」がどこまで人権侵害をチェックできるか疑問だと専門家は指摘する。
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