◆◆「まるがめにほんごひろば」メールマガジン◆◆
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~
第4号(2014年7月31日発行)毎月1回月末及び随時発行予定
◆目次◆
【1】今号のトピック
◆まるがめ夏休みにほんごひろば開催(速報)
【2】外国人住民等に関する統計
◆住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成26年1月1日現在)
【3】研修会・講演会情報
◆兵庫県国際交流協会(8/11締切)「『多文化共生』を考える研修会2014」を開催します!!
【4】書籍・論文の紹介
◆「なぜ母語教育は必要か」
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆国交省/外国人就労者受け入れ事業で告示案/優良監理団体の要件明示
◆子どもの貧困率16.3%(四国新聞 H26.7.16)
◆寄り添いホットラインをご存知ですか。
【6】自由書き込み欄
【7】編集後記
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【1】今号のトピック
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◆まるがめ夏休みにほんごひろば開催(速報)
今年度で「まるがめにほんごひろば」も3年目になる。
夏休みのひろばは、7月23日、26日、30日、8月1日(予定)の4回、いつもの丸亀市城乾コミュニティセンターで10:00~12:00開催した。
参加状況は、児童数が23日が11名、26日(アイパル高校生カレッジとコレボ)が14名、30日が10名。
サポーター数は、23日が12名(うち、大学生ボランティア3名、中国・ブラジルのアイパル研修生2名)、
26日が10名(うち、大学生ボランティア2名、アルゼンチンのアイパル研修生1名)、
30日が14名(うち、大学生ボランティア2名、高校生ボランティア1名、アルゼンチンのアイパル研修生1名)。26日は苦しかったが、あとはなんとか、児童1名にサポーター1名対応が確保できた。
今回、初めての参加者が2名あったこと、会場の雰囲気も落ち着いており、児童の学習意欲の高さが見えたことはうれしい出来事であった。(次回、詳報)
【2】外国人住民等に関する統計
◆住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成26年1月1日現在)
総務省から報道資料の提供があった。2012年(平成24年)7月9日から「住民基本台帳法の一部を改正する法律」が施行になり、外国人住民も住民基本台帳制度の適用になった。改正後最初の統計データとしては、平成25年3月31日現在があるが、今回は、平成26年1月1日現在のものである。総務省の発表資料のうち、外国人住民世帯の年齢人口別データを元に、小学校、中学校の学齢人口を推計する。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei02_02000062.html(平成26年1月1日現在)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei02_02000055.html(平成25年3月31日現在)
メルマガ第2号で「在日外国人の子どもたち 1万人以上は完全な不就学」の記事の中で、
「学校基本調査(2013.5.1)全国小中学校在籍外国人児童生徒数63,497人(A)
法務省在留外国人統計(2013.6末)6~14歳 101,485人(B)
(B)-(A) 37,988人(37.4%)(C)
外国人学校での外国人在籍者数(文部科学省「外国人学校の現状について 2009.5」
外国人学校117校での外国人在籍者数(高校を含む)18,652人(3/4の比率と仮定すると、13,989人
不就学児童生徒数:約24,000人」とあり、不就学率は、23.6%となっていた。
学校基本調査での外国人児童生徒数のデータは平成24年5月1日現在のものなので、住民基本台帳データとしては平成25年3月31日現在のものを使用する。
香川県の外国人住民世帯(日本人との混合世帯は除く。)5~9歳 195名 10~14歳 159名 15~19歳
314名であるので、学齢となる7~15歳人口を5歳区分人口から単純推計すると、338.8名となる。外国人児童生徒数が201名なので、就学率は59.3%、未就学者は138名 未就学率は40.7%となり、メルマガ第2号で報告した全国平均23.6%の実に1.72倍にもなる。因みに、平成26年1月1日現在の学齢人口は359名と20名増加している。
【3】研修会・講演会情報
◆兵庫県国際交流協会
(8/11締切)「『多文化共生』を考える研修会2014」を開催します!!
1.開催日時 ①8月18日(月)②8月20日(水)③8月22日(金)④8月25日(月)
各日13:30~16:45
2.会場 ①②④は、国際健康開発センター3階会議室1(神戸市中央区脇浜海岸通1-5-1)
③は、海外移住と文化の交流センター5階ホール(神戸市中央区や山本通3-19-8)
内容については、下記URLをご覧ください。
特に③8月22日(金)は、外国人の子どもの教育がテーマです。
http://www.hyogo-ip.or.jp/support/modtreepage01_6121/support06/
【4】書籍・論文の紹介
◆「なぜ母語教育は必要か」【野津隆志】兵庫県立大学経済学部教授
我が国において、外国にルーツをもつ子どもたちの母語教育についての議論が十分なされていない現状がある中、要約的に整理した論文を紹介する。6つの論拠を示しており、詳細は下記URLでご確認ください。
(1)教科学習と日本語能力の形成のための母語
(2)アイデンティティ形成のための母語
(3)家族コミュニケーションのための母語
(4)母語権利論からの必要性
(5)母語資源論からの必要性
(6)帰国・往来のための母語教育
http://education-motherlanguage.weebly.com/27597354862594532946123983074031350123922120521521.html
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆国交省/外国人就労者受け入れ事業で告示案/優良監理団体の要件明示
国土交通省は、日本で3年間の技能実習を終了した外国人を建設業の就労者として受け入れる事業の告示案をまとめた。2020年東京五輪に向けて建設需要の増大が見込まれる間の時限的措置として、受け入れ事業を適正・円滑に実施できるようにするのが目的。告示案では、「特定監理団体」として受け入れ企業を指導・監査する優良な監理団体の要件を明示したほか、団体と企業が共同で策定する適正監理計画に記載する事項を提示した。告示案に対する意見を7月25日まで募集した上で、8月上旬に公布。15年4月に受け入れ事業を開始する。
外国人建設就労者受け入れ事業は、3年間にわたる建設分野の技能実習を終えた外国人を対象に、出入国管理法に基づく「特定活動」として2~3年の在留資格を付与。人材不足が懸念される日本の建設現場で即戦力として活躍してもらう。
同事業が行えるのは、建設関係技能実習の対象となる21職種31作業に加え、実習実施機関が建設業者である場合に限定した「鉄工」「塗装」「溶接」の3職種5作業。告示案では、在留資格を付与する外国人材の要件に加え、優良な特定監理団体の要件を明示。団体と企業が作り、国交省が認定する適正監理計画については、受け入れ人数をその企業の常勤職員の総数を超えないようにすることや、同等の技能を有する日本人と同等額の報酬を確保することなどを定めた。
そのほか、関係者でつくる協議会の設置、元請企業による受け入れ企業に対する指導、建設業法に基づく立ち入り検査など、現行の技能実習制度の仕組みを上回る国と業界が一体となった実効性ある監理体制を構築するとしている。
◆子どもの貧困率16.3%(四国新聞 H26.7.16)
平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子どもの割合を示す「子どもの貧困率」が2012年時点で16.3%と過去最悪を更新したことが15日、厚生労働省の国民生活基礎調査で分かった。大人も含めて生活が苦しい人の割合を示す「相対的貧困率」は16.1%で、調査開始以降で初めて子どもの貧困率が上回った。ひとり親など、大人1人で子どもを育てている世帯の人の貧困率は54.6%に跳ね上がる。
※日本の子ども6人に約1人が貧困状態にあるという衝撃的なニュースだ。この数値、私たちの生活実感からは違和感を覚える方も多いと思う。これは「相対的貧困率」と言うもので、具体的には、社会の標準的な所得の、その半分50%の所得以下の世帯の数値である。平成24年の国民生活基礎調査によると、貧困線と呼ばれる「等価可処分所得の中央値の半分」は122万円である。月10万円の手取りとなり、子育て家族にとって、極めて厳しい生活実態がそこにあることがわかる。国際連合ユニセフ研究所の報告では、日本の子どもの相対的貧困率は、OECD35か国中9番目に高く、一人当たりGDPが高い先進国20か国中アメリカ、スペイン、イタリアに次ぎ4番目に高い。すべての先進国の貧困の子どもたちの総数が3,400万人、そのうち日本の子どもは305万人。10人に1人が日本の子どもである。さらに、問題は、外国にルーツをもつ子どもたちがいる世帯である。国民生活基礎調査は、国籍別の区分がないので、外国人の貧困率は計算できないが、
外国人労働者の多くが低賃金の派遣労働者、非正規労働者であることを考えると、外国人の子どもたちの貧困率は目を覆いたくなる数値になることは間違いないだろう。
◆寄り添いホットラインをご存知ですか。
東北被災3県のどんな人からのどんな悩みにも寄り添って、一緒に解決する方法を探すことで始まった24時間無料の電話相談が21012年3月11日から31日まで、国の補助事業として全国スタートして以来、現在も継続実施している。実施主体は一般社団法人社会的包摂サポートセンターで、全国のNGOなどの団体が協力している。
外国語による相談もできます。(英語、中国語、韓国・朝鮮語、タイ語、スペイン語、ポルトガル語、タガルグ語、ベトナム語の8カ国語)
全国ダイヤル 0120-279-338
音声ガイダンスが流れたら、2を押してください。毎日10時から22時まで、全国どこからでも電話で相談できる。携帯電話、公衆電話からもつながる。秘密は守られる。通話料は無料。ビザのこと、家族のこと、仕事のこと、暴力を受けているなどなど。
お知り合いの外国人住民の方にも教えてあげてください。
ただし、外国語専用ラインは、日時ごとに対応言語が決まっているので、下記のURLで確認してください。
8月は、以下の言語での対応を予定している。
・8/ 7(木) 10:00~16:00 スペイン語・タイ語
・8/14(木) 10:00~16:00 ベトナム語・タガログ語・タイ語・英語
・8/21(木) 10:00~16:00 タイ語・中国語
・8/28(木) 10:00~16:00 ベトナム語・タガログ語・タイ語・英語
https://www.facebook.com/yorisoi2foreigners
http://279338.jp/yorisoi/foreign/index.html
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【6】自由書き込み欄(このメールマガジンへの注文、ご意見をお寄せください。いただいたご意見などを踏まえ、皆んなで意見を交換し、いいメールマガジンにしていきましょう。)
【7】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
先週までの酷暑といわれる日差しは、今週あたりはやや緩んだ感じがするが、夏本番はこれからだと思うと
高齢者の仲間入りした身には堪えます。メルマガも通算7回目になりますが、読者の反応があまりないのが少しさびしいと思っていた矢先、前号の丸亀の小学校の記事では、伝聞記事の掲載については慎重を要するとのご意見をいただき、自分への反省やら、今後のメルマガの方針やらを感じさせられました。次回5号からは、新たな方向性のもとメルマガを配信したいと思っていますので、引き続きのご受信をお願いします。
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▼「まるがめにほんごひろば」の学習サポーター及びメールマガジンの配信を希望される方は、随時申込を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください!
■編集・発行 まるがめにほんごひろば事務局 文責:安藤
〒760-0017
高松市番町1-11-63 アイパル香川
TEL:087-837-5908 FAX:087-837-5903
E-mail: ando@i-pal.or.jp
配信希望・停止のお申し出は、安藤までお願いします。
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「まるがめにほんごひろば」メールマガジン
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~
第5号(2014年8月31日発行)毎月1回月末及び随時発行予定
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◆目次◆
【1】今号のトピック
◆平成26年度まるがめ夏休みにほんごひろばが無事終了しました。
【2】外国人住民等に関する統計
◆国籍別在留外国人数トップ市区町村
【3】研修会・講演会情報
◆平成26年度 文化庁における日本語教育関連事業 年間予定
【4】書籍・論文の紹介
◆異文化体験の影響に対する心理力動的接近の可能性
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆「人手があれば増産可」,国交省が造船技能者確保へ(SANPO WEB)
◆外国人技能実習生の実習実施機関に対する平成25年の監督指導,送検の状況(厚生労働省)
◆ハーグ条約を日本人に初適用、英国裁判所が子の返還を命令
◆企業と多文化共生
【6】自由書き込み欄
【7】編集後記
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【1】今号のトピック
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◆平成26年度まるがめ夏休みにほんごひろばが無事終了しました。
以下、その報告をします。
開催日 平成26年7月23日、26日・30日・8月1日 4日間 10:00~12:00
場所 丸亀市城乾コミュニティセンター 2階小会議室・和室、大会議室
※7月26日は、アイパル高校生カレッジ参加の高校生との交流をプログラムの中に組み入れたので、2階大会議室を使用した。
参加児童 小学1年生~6年生
児童数 第1回 11名・第2回 14名・第3回 10名・第4回 13名
児童実人数21名(男8名・女13名)外国との繫がり(ペルー14名、フィリピン6名、中国1名)
サポーター数 第1回13名・第2回11名・第3回16名・第4回13名
実人数 22名(学習サポーター12名、四国学院大学生4名、高校生1名、海外技術研修生3名、アイパルスタッフ2名)
(実施内容)
○夏休みの宿題支援(計算ドリル・漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字・語句の書きとり、日記など)
○自分のしたい学習の支援(昆虫図鑑、宇宙図鑑、絵カードなど)
○集団活動(最終日後半時間のみ)
・折り紙づくり(簡単な折り紙数点(飛行機、かえる、ハートマーク、兜)の折り図を示したものを手渡し、好きなものを選んで作成した。)
・みんなに、自分のつくった折り紙をみせてあった。
○アイパル高校生カレッジ参加の高校生13名との交流(7月26日後半の時間)
①バースデーチェーン(誕生日順に子どもたちと高校生が輪になってチェーンをつくるワークショップ)
②指定した人数のグループをつくり、グループ内で自己紹介するワークショップ
3回実施(5人、3人、4人グループ)
③子どもたちのことばを勉強するワークショップ
グループごとにシートを利用して5つのことばを子どもたちから教えてもらう。
・こんにちは ・ありがとう ・暑いです・お腹が空きました ・(自由)
高校生が覚えたことばを言えたら、得点。子どもたちがチェックする。
④グループで交流~学習支援~
個別に、高校生が子どもたちの夏休みの宿題などの学習を支援した。
(感想)
○これまでのひろばでは、回を重ねるごとに子どもたちの参加は減少する傾向にあったが、今回のひろばの開催が夏休み開始の直後であったこと、小学校で朝から夏休みの補習授業が行われており、その帰りに引き続き参加できたことで、毎回10名を超える子どもたちが参加してくれたことはよかった。
○今回のひろばには5名の子どもが初めて参加した。子どもたちの順応性も高く、ひろばの雰囲気にも早く
なれ、楽しく学習できたことはよかった
○ペルーの子どもたち以外に、フィリッピン、中国の子どもたちも参加するようになり、子ども同士の交流に幅ができたように感じた。
○子どもたちは、自分のしたい学習に積極的に向かう姿勢が見られた。
○学習サポーターには、ひろば開始前のミーティングで、宿題支援について
一方的にただ教えるという姿勢ではなく、わからない問題などを支援する場合には、子どもたちはどこにつまずいていて、何がわからないのか、学校でどのように教えてもらっているのか、教科書のどこで勉強した問題なのか、などを子どもたちに尋ね、教科書を開き一緒に探す中で、答えはできるだけ子どもたちが気
づき、見つけられるような支援をしていくことが大切なことを話し合った。
○高校生との交流では、始めはやや緊張ぎみの子どもたちも、高校生の誘導もあり、すぐ打ち解けることができ、終始笑い声が聞こえた。ワークショップでは、日本語が十分ではない子どもも、高校生の声かけによく反応し、みんなと一緒に楽しめたようだった。
○高校生のアンケートでは、
・子どもたちは、素直でとてもかわいかった。宿題をみていたが、すごくスピードが速いし、すぐに分かっ
てくれるから驚いた。
・文章はすらすら読めても、実際は意味のわかっていないこともあることを聞けて納得した。
【2】外国人住民等に関する統計
◆国籍別在留外国人数トップ市区町村(2013.12末)在留外国人統計から抽出
(中国) 横浜市 31,617人(韓国・朝鮮) 大阪市 76,169人
(フィリピン) 名古屋市 7,283人(ブラジル) 豊田市 5,720人(ベトナム) 姫路市 1,822人
大都市部に集中しているのがわかる。市区町村上位100を見ても、その傾向は顕著で、地方都市では、
因みに、在留外国人比率15.3%で全国1位の群馬県大泉町の状況は、
総人口40,759人在留外国人数6,253人(ブラジル4,198人、ペルー923人)
※さらに因みに、丸亀市は、総人口人110,446人在留外国人数1,360人 比率1.2%(中国524人、ペルー281人、フィリピン242人)全国の在留ペルー人は、48,580人。群馬県伊勢崎市が2,504人でトップ。大阪府以西では、大阪市479人に次いで丸亀市281人の順になる。驚き!ブラジル人にくらべ、ペルー人は居住分布が小規模で分散していることがわかる。
【3】研修会・講演会情報
◆平成26年度 文化庁における日本語教育関連事業 年間予定
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kyouiku/kyouiku_yotei.html
【4】書籍・論文の紹介
◆異文化体験の影響に対する心理力動的接近の可能性
子どもの異文化体験に関する研究は、成人に比べ少ない。異国で生活する意味空間の理解が十分できない子どもは、異文化への適応能力が成人より高いと一般的にはされているが、親がストレスにどの程度対処でき、子どもの保護的役割をどの程度担えるかという要因に大きく左右されるという研究もあり、また、発達段階のどの時期に異文化接触するかによっても大きく影響され、長期的な観点からの研究が必要であるとの意見もある。
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/metadb/up/niikiyo/KJ00004253994.pdf
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆「人手があれば増産可」,国交省が造船技能者確保へ(SANPO WEB)
http://www.sanpo-pub.co.jp/topnews/2014/0811016613.html
造船業で外国人技能実習生を受け入れている職種は溶接と塗装が大勢を占める。13年度(年度ベース)、造船業の技能実習申請者数は合計1,533人。フィリピンの515人を筆頭に、中国476人、ベトナム476人、インドネシア91人、タイ25人、ブラジル11人、ペルー1人と続く。
外国人技能実習生の実習実施機関に対する平成25年の監督指導,送検の状況(厚生労働省)
〔平成25年の監督指導等の概要〕
○何らかの労働基準関係法令違反が認められた実習実施機関は、監督指導を実施した2,318事業場(実習実施機関)のうち1,844事業場(79.6%)であった。
○主な違反内容は、(1)安全衛生関係(49.3%)(2)労働時間(29.9%)(3)割増賃金不払(20.0%)の順に多い。
○重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは12件であった。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000053771.html
◆ハーグ条約を日本人に初適用、英国裁判所が子の返還を命令
ハーグ条約:正式名は「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」
国際結婚の破綻などが原因で、片方の親が国境を越えて子どもを連れ去るケースが増えたため、国際ルールを定めた。対象は16歳未満の子どもで、残された側の親が連れ去られた先の国の裁判所に子どもの返還を申し立てれば、裁判所あ子どもを元の国に戻すかどうかを判断する。日本は今年4月1日に加盟した。今回の事案は、国際結婚の破綻だけでなく、日本人夫婦の場合でも適用される。今後は日本の家庭裁判所で監護者を決める審判が進められることになる。父親のイギリス人弁護士によると、仮に子どもが「母親と住みたい」と話したとしても、帰国を拒む理由にはならない」「子どもは『その“親”は嫌だ』ではなく、『その“国”は嫌だ』という形で帰国に反対しなければなりません。『ママ、あるいはパパと住みたくはないので帰国したくない』というのでは、国際法上は理由になりません」とハーグ条約の趣旨を説明する。
http://matome.naver.jp/odai/2140668715029836801
◆企業と多文化共生
企業や経済団体が多文化共生に初めて言及したのは、経団連が2004年に策定した「外国人受け入れ問題に関する提言」でした。「多様性のダイナミズムを活かし、国民一人ひとりの“付加価値創造力”を高めていく、そのプロセスに外国人がもつ力を活かすための総合的な受け入れ施策」を提案し、多文化共生の社会の形成を唱えました。
http://www.jiam.jp/melmaga/kyosei/newcontents89.html
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【6】自由書き込み欄(このメールマガジンへの注文、ご意見をお寄せください。いただいたご意見などを踏まえ、皆んなで意見を交換し、いいメールマガジンにしていきましょう。)
【7】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
広島の土砂災害は災害列島に住む日本人皆が考えさせられた大きな出来事でした。9月に入れば、再度の熱波がくるとの予測もあります。体調管理に気をつけたいものです。今回から、発信アドレスが変わりました。
引き続きご愛読くださいますようお願いいたします。
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■編集・発行 まるがめにほんごひろば事務局 文責:安藤
〒761-2408
丸亀市綾歌町富熊5034-14
携帯:080-3921-9414 FAX:0877-86-6328
E-mail: qzp10324@kir.biglobe.ne.jp
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◆目次◆
【1】今号のトピック
◆外国人労働者、家事にも受け入れ 今秋に関西の特区で
【2】外国人につながる子どもたち、外国人住民等に関する統計・資料
◆外国につながる子どもたちのための教材
【3】書籍・論文の紹介
◆日本におけるマイノリティの学業不振をめぐる議論
【4】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆ベトナム日本語指導ボランティア体験記
◆NHK朝ドラ「マッサン」初めての外国人ヒロイン
【5】自由書き込み欄
【6】編集後記
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【1】今号のトピック
◆外国人労働者、家事にも受け入れ 今秋に関西の特区で
政府は、地域をしぼって規制を緩める「国家戦略特区」で、外国人労働者を家事サービスの分野で受け入れる方針を固めた。「18歳以上、単身での入国」などの条件で、関西圏(大阪、京都、兵庫の3府県)の特区で今秋にも受け入れを始める。掃除や洗濯など家事の負担を減らして女性の就労を促すため、これまで慎重だった家事分野での受け入れに踏み出す。新しい成長戦略に女性の就労支援策の目玉として盛り込む。特区で試験的に日本の家庭への受け入れを始め、需要があるかどうかを見極めたうえで、ほかの地域への拡大も検討する。受け入れ国は限定しないが、フィリピンやインドネシアなど東南アジアが中心になる見通し。
いまの出入国管理法は、家事労働を目的とした外国人の入国を、外交官の家庭などで働く場合を除いて認めていない。そのため今秋をめどに法務省が告示を改正し、家事代行業者が雇う外国人に新たな在留資格を与える。松井一郎・大阪府知事、橋下徹・大阪市長は今年5月、積極的に外国人労働者を受け入れると連名で表明している。
http://www.asahi.com/articles/ASG6G5CHXG6GULFA003.html
この表明を受け、8月、RINK(すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク)が松井府知事あてに質問書を提出した。その内容は、要約すると、この受け入れは、①府の男女共同参画推進条例に沿った方針なのか②ニーズはどの程度あるのか、家事支援の中に介護や子育ても想定しているのか③受け入れ家族などとのトラブルは、どの機関が対応するのか受け入れコストはだれが負担するのか④労働基準法は家事使用人を適用除外としているが、今回の家事支援人は労働関係法の適用労働者となるのか⑤人権侵害などの事態が生じないよう、雇用者を監視するシステムは?などです。
※受け入れは、外国人労働者を支援するNGOなどの団体と予想される社会的な影響や課題、受け入れる際に必要な支援などをもっと協議すべきだと思う。
【2】外国人につながる子どもたち、外国人住民等に関する統計・資料
◆外国につながる子どもたちのための教材
東京外国語大学多言語・多文化教育研究センターでは外国につながる子どもたちのための教材を開発し、ウェブサイトで無料提供しています。ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、ベトナム語、タイ語の算数、漢字の教材が「児童用」「指導者用」に分かれて提供されています。ご活用ください。
http://www.tufs.ac.jp/blog/ts/g/cemmer/social_02.html
【3】書籍・論文の紹介
◆日本におけるマイノリティの学業不振をめぐる議論 金井香里
以下は抜粋
金井氏は、これまで3つの観点から議論されてきたという。
(1)子どもの言語(日本語・母語)操作能力 (2)子どもの置かれた地域的文脈 特に家族
(3)日本の学校文化・教師
(1)子どもの言語(日本語・母語)操作能力
太田晴雄氏は、日本語至上主義の根強い日本の学校のモノリンガルな言語環境において子どもは、抽象的な思考をすることができないセミリンガルになる危険性があると指摘し、また現行の日本語教育を「補償的日本語教育」として批判している。子どもの母語操作能力を基礎とした日本語教育ではなく、子どもの母語を除去し、母語を日本語に置き換えるという発想に基づいた言語教育だという。
(2)子どもの置かれた地域的文脈 特に家族
宮島喬氏は、子どもたちの学業不振の背景として、3点を挙げている。
① 親から子への文化資本を継承するのが困難な状況
親がかりに高学歴であっても、親子間における文化変容(とりわけ日本語操作能力の獲得)のずれによって、親の修学経験を子どもに対し伝達するのが困難になっている。
②子ども本人が学業・就学に対する動機を見出すことが困難な状況
親次第でどこに生きるかわからないという不安定な状況のもとで、子どもが学習から、そして学校から離れる可能性が大きい。
③進路を選択したり、将来の職業を決定するにあたってモデルとなる人物の欠如
社会関係資本に乏しく、モデルとなる人物は親戚、身近な友人等に限定される。マイノルティがとる適応の戦略は、能力、コスト、周囲による差別的な対応等さまざまな制約によって、一時しのぎ的に「切り抜ける」戦略に向かいがちである。
(3)日本の学校文化・教師
太田氏、宮島氏は、日本の学校・教室において、子どもの文化の異質性は見えにくくなっていると指摘する。志水宏吉氏、清水睦美氏は、ニューカマーの子どもが「日本人化」し、あるいは「日常化」することで実態として見えにくくなるのに加え、教師自身が子どもの異質性を子ども固有の文化的背景に関連づけて「見ようとしない」ことを指摘する。教師は子どもが抱える低学力、学校不適応の問題を、子どもが社会におかれたマイノリティとしての文脈に即して考慮するのではなく、個々の家庭の事情、個人の性格等に由来するものとして「個人化」して対処しているという。
http://www.p.u-tokyo.ac.jp/coe/workingpaper/Vol.10.pdf
【4】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆ベトナム日本語指導ボランティア体験記
ベトナムのフエ高等師範大学(日本の短期大学にあたる。)の日本語学科3年生20人に対し、日本語指導ボランティアに行ってきました。昨年の8月にも、同じ大学にボランティアしてきましたが、今年は、丸亀にほんご日曜教室のYさんと一緒です。9月25日(木)午前8時15分から、Yさんは「敬語(尊敬語・謙譲語)」を、私は「助詞全般」のそれぞれ授業を任されました。この授業体験は、ピース・インツアーという旅行会社が企画するツアーの一環として行われるもので、私たち日本語指導ボランティアにとって、海外で外国の学生に授業を行える体験ができるという魅力あるプログラムでもあります。私の場合、50分という1コマの授業時間はあっという間に過ぎてしまい、事前の準備はしてきたつもりではあったが、思い描いた計画どおりには進まず、Yさんのように事前の教案づくりをしてくるべきだったと後悔しました。
「助詞」は、丸亀にほんご日曜教室でも受講者から、よくわかないとよく聞かれたこともあり、私としては、通信講座で学んだことを復習をし臨んだのだったが、私の説明は、日本語理解が十分ではない外国の若者にどうだったのか反省点は多かった。
ベトナム人の日本語学習者へのアンケート結果では、
① 4技能の中では聴解を最も苦手としている。②一方、発音はあまり難しくないと感じている。③文法
英語より難しく、漢字も難しく感じている。また、母語の干渉が強い母語話者の日本語の技能習得の傾向を日本語教師は知識としてもっておく必要があると言う。などなど。
http://gensha.hit-u.ac.jp/research/theses/89a.pdf
50分授業のあと、Yさんと一緒に日本語ワークショップを行いました。Yさんの提案で、疑音語、擬態語
の文章を使い、疑音語、擬態語を空白にした文章のカードとそれに対応する疑音語、擬態語のカードを20枚10人に2つのグループに分けてそれぞれ渡し、自分のカードに対応するカードも持つ相手を探すというワークショップです。これが意外にうけたみたいで、教室内は賑やかで、楽しい場となりました。
◆NHK朝ドラ「マッサン」初めての外国人ヒロイン
9月28日(月)から、NHK朝ドラ「マッサン」の放送が始まった。話題は、なんといっても朝ドラでは初めての外国人のヒロインの登場。昭和36年に始まった朝ドラも今回が91作目。実に54年目にして初の外国人主人公となった。半世紀が経ってのキャスティングは、この国際化、多文化社会にあって遅きに失した感は否めないが、保守的なNHKの英断に拍手したい。マッサンの妻役エリーことシャーロット・ケイト・フォックスは、演劇専攻の修士を経ての演劇、映画で活躍の女優。今回の来日が初めてで、日本語も話せないというから驚きである。日本で活躍をしているハーフ芸能人が選ばれるとの当初の予想を覆し、日本では無名の女優の起用は、彼女の生来の明るさと努力家を見こんでのことのようだ。日本語が話せない彼女が、今後、並み並みならぬ努力によって日本語のセリフを自分のものにし、朝ドラマの回数を重ねるごとに、エリーの日本語力が向上する姿を我々ボランティアは見たいし、大いに期待もしたい。
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【6】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ようやく秋めいてきました。秋から小中学校に入学することになる外国にルーツをもつ子どもたちもいることでしょう。これら子どもたちへの初期の日本語指導が行える体制が香川でも整備されることが望まれます。
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