(2018年9月4日発行)毎月随時発行予定(記事、論文の引用は太文字で掲載しています。)
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【1】 今号のトピック
◆丸亀市及びその周辺地域で定住する外国人住民との懇談会報告
○とき 8月19日(日)15:20~17:00
ところ 丸亀市城乾コミュニティセンター1階小会議室
参加者 ペルー人5名、フィリピン人5名、通訳2名、行政書士2名、行政相談委員2名、四国行政評価支局2名、日本人関係者4名 計22名
出された主な意見●とその回答の概要
●労働基準監督署、職業安定所に次のことについて、会社を指導してもらいたい
①超過勤務時間をカットされて、実際に超過勤務した労働時間分の残業手当が支給されない。
②給与は時間給で支払われているが、会社から最初に示された時給単価よりすくない。
③賃金や休暇等の勤務条件について書面で交付してほしい。
□会社名を教えてもらえれば、匿名でも関係機関に申し出て、調査依頼することができる。
●友人を日本に呼びたいが、どのような手続きが要るのか、教えてほしい。
□地位による在留資格か、身分による在留資格かによって手続きは異なる。そのあと、日本の在留資格についての説明があった。
●シングルマザーでない女性が児童扶養手当などの母子家庭の手当てをもらっている。私たちの税金が使われていることに我慢できない。調査できていないのではないのか。
□本人からの申請に基づき、調査していると考える。明らかな証拠があるのなら市に伝えるが。
●フルタイムの会社に転職したいが出産を控えており、有給休暇、産前産後休暇はすぐもらえるのか。
□有給休暇は雇われてから6か月継続勤務しないと権利が発生しないが、産前産後休暇は産前6週間前から産後8週間までもらう権利がある。また、出産手当や育児手当、出産一時金について、その後説明あった。
●健康保険料や年金掛け金のことがよくわからない。どういう職場であれば引かれるのか。
□参加者の多くが、社会保険関係のことが理解できていないので、後日、このことについて懇談会を開催するので参加してほしい。日時は追ってお知らせする。11月上旬までには開催したい。
【2】論文・新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆日立も技能実習不正か 目的外の職場に配置の疑い 8/23(木) 朝日新聞
日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)で、一部のフィリピン人技能実習生が、目的の技能が学べない職場で働かされている疑いがあることが分かった。技能実習制度を所管する法務省は7月、技能実習適正化法に違反している可能性があるとみて、国認可の監督機関「外国人技能実習機構」と合同で笠戸事業所を検査した。法務省は日立と実習生を紹介した団体に対して、同法に基づき改善を求める処分や指導を検討している模様だ。
(実習目的とは違う職場で技能実習生が働かされている問題の構図)
複数の実習生が朝日新聞に実習状況を証言した。笠戸事業所は鉄道車両の製造拠点で、新幹線や官民一体で受注した英国高速鉄道の車両製造などを手がけてきた。実習生によると、フィリピン人実習生が数百人働いているという。実習生の証言によると、配電盤や制御盤を作る「電気機器組み立て」の習得のために昨春から日立で働いている複数の実習生が、英国向けの高速鉄道や日本の新幹線の車両に、窓や排水パイプ、カーペットやトイレを取り付ける作業しかしていないという。複数の実習生は法務省と実習機構による聴取にも同じ内容を訴えたという。
国の基準は、電気機器組み立ての技能習得に配電盤や制御盤の加工などを「必須業務」と定めており、窓などの取り付けは該当しない。法務省は、1年目に必須業務を一切させない場合は不正行為にあたるとみている。
技能実習を巡っては、三菱自動車と日産自動車で実習生に実習計画外の作業をさせていたことが発覚している。日立の実習生は、三菱自や日産と同じ「協同組合フレンドニッポン」(本部・広島市、FN)が紹介していた。FNは国の許可を得て実習状況を監査する「監理団体」で、法務省と外国人技能実習機構は、FNが適正に監査をしていたかどうかも調べている。
■実習生の権利保障、議論を(視点)
外国人技能実習生を実習計画と違う仕事につかせている疑いはこれまでも指摘されてきた。日本を代表する大手製造業で相次いで発覚したことで、制度の「建前」と「本音」が大きくかけ離れているとされる矛盾が改めて浮かび上がった。(中略)
実習生は、職場を自由に変えることも家族を呼び寄せることもできない。一定期間を過ぎれば確実に帰国する。都合のいい労働力として活用され、対象職種が広がって人数も増えている。建前と本音のずれが抱える矛盾のしわ寄せを受けているのは、実習生だ。
政府は「移民政策とは異なる」としつつも、来年度にも新たな在留資格を設ける方針。最長5年間の実習を終えた実習生がさらに5年間滞在できるようにもする。労働者としての権利や人権を保障し、待遇を改善する視点で議論する時期に来ている。
※昨年2017年11月に技能実習適正化法が施行され、新たな技能実習制度がスタートしたばかりなのに、三菱自動車と日産自動車に続き、日立製作所という大手企業の不正が明らかになった。これまで多くの問題を抱えながら実施されてきた技能実習制度であるが、実習機関の監視を強化するため、いい加減な管理監督しかできなかった国際研修協力機構(JITCOジツコ)に代わり、新たに「外国人技能実習機構」(高松事務所は高松高裁近くのビル内)が創設された矢先の事案である。厚生労働省「平成29年の監督指導・送検の概要
」では、監督指導を実施した実習実施者のうち70.8%に労働基準関係法令違反が認められた。主な違反事項は、労働時間(26.2%)、使用する機械に対して講ずべき措置などの
安全基準(19.7%)、割増賃金の支払(15.8%)の順に多かった。今回の不正は、実習目的とは違う仕事をさせていたもの。フィリピンの理科系大学を卒業し、日本の電気機器組み立ての仕事をするはずが鉄道車両の窓を手作業で取り付ける作業ばかりをしていたと言う。実習の監査をすべき監理団体が売り込んだ企業と結託した不正行為だ。監理団体は全国に2千2百余あり、全国26万人余の実習生と契約しており、1団体当たり約100名だ。その多くが50名未満の会社で実習しており、人数枠が5名として、1団体当たり約20社の実習生を受け入れている勘定だ。実習生4,331人の香川県内でも約40~50の監理団体があると聞く。「外国人技能実習機構」では実習生からの来所相談、フリーダイヤルでの母語相談、メール、手紙での相談が実施される。機構には従来にない権限や機能が与えられおり、注視したい。
編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
9月1日(土)のひろばは子どもたちにとっては夏休み最後の土曜日。さぞや宿題が気になって普段より多くの子がやってくるものと期待していたが、あてはずれ。ペルー3名、中国2名 計5名の参加であった。この子たちも宿題が目当てではなく、主に自主勉強であった。
昨年7月ぶりの外国人住民との懇談会。スペイン語と英語の通訳を介したこともあり、意見を参加者が共有するのに時間を要した。職場関係の質問が多く、子育て、教育や暮らし向きの意見はなかった。マンツーマンで聞き取りすればまた違ったのかとも感じた。次回の開催に期待を
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