メルマガ第62号(H30.8.1)

通算第62号(2018年8月1日発行)毎月随時発行予定(記事、論文引用:太文字)  バックナンバーは、URL:http://marugame-kodomo-nihongo.net/merumaga.htmlで閲覧できます。  
【1】 今号のトピック
◆外国人住民との懇談会開催
と き:8月19日(日)15時〜 ところ:丸亀市城乾コミュニティセンター1階小会議室
◯昨年6月24日、7月22日に続き、今年も開催します。どなたでも参加できます。
 今年は、どんなメンバーが参加し、どのような意見がでるのか。じっくりお聞きしたい。
(参考までに昨年の内容を書きます。昨年のメルマガと重複しますがお許しください。)
※懇談会はペルー人、フィリピン人の10名と行政相談委員6名ら計20名余りが参加した。1回目は外国人住民から意見が出され、これら意見を受け、後日関係機関への調査がなされ、2回目にその報告があった。出された意見は、外国で取得した運転免許の切り替え手続きの適正化や、スペイン語での運転免許試験の実施、日本語が不十分な外国人に対する税金の使途の説明、多様な外国語に対応する相談窓口の整備、雇用保険料の天引きの説明、一時帰国時の国民年金の保険料徴収の説明、日本語が不十分な外国人の権利についての積極的な周知など、日本人には気づきにくい外国人住民にとっては切実な問題ばかりであった。
【2】論文・新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆教育現場に 外国人児童増加に対応 佐野で研修会/栃木 毎日新聞 2018年7月27日
日本語がよく理解できない外国人の子ども支援に役立てようと、多言語翻訳アプリの使い方を学ぶ教員向けの研修会が26日、佐野市で行われた。教育現場では日本語指導を必要とする外国人の児童や生徒数が増加し、学校生活や授業に支障が出ている場合も多く、その解決につながるか注目される。研修で使用されたアプリは、独立行政法人「情報通信研究機構」(NICT、東京)が開発した「VoiceTra」(ボイストラ)。スマートフォンなどにインストールして使用し、英語や中国語などに加え、ポルトガル語やスペイン語、フィリピン語など31言語に対応している。同アプリは個人旅行客の使用を想定して開発されたが、外国人の子どもの教育支援に長く取り組み、教育向け多言語翻訳システムの開発研究を進める宇都宮大国際学部の若林秀樹・客員准教授が、学校で使われる用語や文書をNICTに提供。同アプリの翻訳システムが更新され、教科書に出てくる単語などが訳されるようになったという。若林さんによると、近年、学校では多言語化が進み、子どもの母国語が10以上の学校もある。また、日本語が理解できない子どもが少数で支援が行き届かない場合も多く、子どもの孤立化を防ぐためにも有効なツールだという。この日の研修会には小中学校の教員や指導員など約20人が参加し、講師を務めた若林さんの説明を聞きながら、スマートフォンを操作して多言語翻訳を体験した。若林さんは「多言語翻訳は身近な存在、少しのコツを覚えれば子どもや保護者に母語で伝えられることも多い。言語の壁があって自分には無理と思い込んでいる教員に、ぜひ試してほしい」と話している。
※問い合わせ先 宇都宮大国際学部 若林秀樹 studioazul@hkg.odn.ne.jp
◆外国人受け入れ拡大 「共生」への道 NHK 時論公論 7.30 (筆者要約)
政府は、来年4月から、新たな在留資格の創設を目指す。これまで国は、医師、弁護士、大学教授など専門的、技術的な人材に就労目的の在留を認めており、単純労働での在留は、留学生、技能実習生、日系人などに限定してきた。今回の外国人の受け入れ拡大は、就労目的の在留資格の表玄関の拡大を目指すもの。介護、農業、工場など人手不足の業種に限定して、高度な専門性がなくても、日本語能力や技能の試験に合格した者、技能実習を終えた実習生が対象で、最長5年の在留を認める。家族の帯同は認めず、単身のみ。在留期間中に国家資格などを取得すれば、その後の更新が認められ、家族を連れて来ることも可能となる。問題は、最長5年の実習生が新たな在留資格を認められた場合、最大10年の単身生活を余儀なくされること。帰国後に技能を役立てるという制度の趣旨に反することになる。この機会に、制度設計を根本から見直すべき。さらに、地域で暮らす外国人の生活支援の充実が必要だ。法務省が総合調整する権限をもつ予定。外国人に施策が届くように、法律で国と地方の責任を明記し、地域格差が出ないように財源を確保すべき。人口減少時代にあって、社会を支える外国人との共生の道を目指すためには、言葉や文化の壁を抱える外国人への手厚い支援と地域住民の理解と協力が欠かせない。社会全体でこの問題に向き合い、議論を重ねることが必要だ。
◆ハーバード大学マイケル・サンデル教授の白熱教室「移民を拒む権利はあるのか。」NHK7/23
以下は、世界中から参加した若者の間で交わされた意見(筆者要約)
○移民と難民の違いは何か。難民は、戦争や迫害、飢餓などから逃れるために国境を超える人々であり、豊かな国は受け入れる道義的責任があるが、単に経済的に豊かになりたいという理由で国境を超える移民とは区別して考えるべきだ。
○豊かな国が経済的理由でやってくる移民を拒む権利があるかどうかは、社会や地域の経済の面と文化の面の両方を考える必要がある。経済の面では、社会保障などの公的サービス、雇用の問題などから人数は制限すべきとの意見がある。また、文化の面では、その社会、地域の同一性、アイデンティティを破壊するのではないかとの意見がある。
○富には限りがあるから、その社会、地域に暮らす人々には、自らの富を守る既得権があるのではないか。移民も制限すべきではないか。それは、例えば、子どもは親の遺産を相続する権利があるかどうかを考えよう。祖先、親は努力して富を獲得してきたのだから、息子にはそれを受け継ぐ正当性があるという考え。これを国に置き換えれば、西欧諸国は、植民地から収奪することで富を築いてきたが、西欧人はこの富を受け継ぐ正当な権利があると言えるのか。
○移民は、これまでその社会、地域の経済に貢献してきていることが知られている。それなら、その社会や地域から恩恵を受けるべき権利はあるのではないか。
○どの国に生まれるかは、その人の運、偶然である。そんな運や偶然で豊かな国で生まれた人は
そうでない人、移民が入ることを拒むことは本当に許されるのか。
○あるパーティをするとして、その参加者について考えよう。その場所に、自分たちと考え方や価値観が違う人を呼ぶだろうか。コミュニティも同じで、文化や習慣の同じ人と生活したいと考えるのが自然である。しかし、それが排除する理由になるのか。
○どんなメンバーで社会を構成するかは、その社会、地域で暮らす人々で決めるべき。どんな移民を受け入れるかも、その国の人々が決めるべき。長期的な視野に立ち、経済的なメリットと人々の豊かさにつながる文化が混じることの恩恵を考えるべきではないか。
○国を家に例えれば、廊下で区分された部屋でそれぞれ住んでいるのと同じ、共存できるはず。
○グローバルな社会では、国家、社会の帰属意識を強めるのではなく、世界国家、コスモポリタン的なアイデンティティを養うべきではないか。
○人として大切なのは、人と人とが共感して暮らしいくことだ。想像力を豊かにし、新しい文化を共に創造していけるように考えるべきではないか。
編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
熱中症も怖いが、冷たい物をとりすぎた夏バテも心配である。被災者の懸命な復旧作業は今なお先が見えない。国の手厚い施策を早急に実施してほしい。NHKの時論公論、サンデル教授の白熱教室ともに興味深い。文化の混じ合うことで人生が豊かになることを日本人はもっと考えるべきか。島国日本の将来を見据えた国民的議論を誘導する政治力も求められる。
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