メルマガ 2017.6.5

まるがめ子どもにんごひろば
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者  
の学習支援、外国人住民とのつながりに向けて~ 
通算第46号(2017年6月 5日発行)
毎月1回月末及び随時発行 
URL:http://marugame-kodomo-nihongo.net/
で閲覧可 本文中引用文は太字記載
【1】今号のトピック
◆「ふれあいまつり城乾」のひろばテント出店 実施報告
4日、ふれあいまつり城乾に、香川まるがめ子どもにほんごひろばが初めてテント出店した。①日本語ビンゴゲームでは、延べ60人以上の子どもたちがボード上の品目名をビンゴシートにひらがな、カタカナで書き入れ、箱から品目名のカードを引き当て、当たるたびにリーチ、ビンゴと歓声が上がっていた。②JICA国際協力出前講座では、開発途上国への理解を深めるため、世界10か国の旅すごろくゲームで盛り上がった。アフリカのブルンジの経済研修生とアルゼンチンの日本語研修生、JICA四国の推進員の3人は、各組4人(延べ40人)の子どもたちがサイコロをふり当たれば10か国のクイズや日本語のオノマトペや民話、地図記号、漢字あてなどのクイズを出し、共に学ぶ。日本に帰国するまでサポ―ト姿がとても印象的でした。③おしゃべり、相談コーナーでは、外国人住民5人が話す生活上の問題に、サポートセンターの行政書士らが寄り添い、助言を行いました。近い将来、外国人住民との懇談会を企画したいものです。
【2】論文・新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆今、外国人住民の置かれている問題(多文化共生編)続報
2.11中日新聞、東京新聞掲載「平等に貧しくなろう」社会学者 上野千鶴子氏発言の波紋
メルマガ44号で一部紹介したが、ネット上で、その他の社会学者やフェミニスト、移住研究者などが参戦し、これまで12の意見、反論が掲載された。(詳しくは、URL:http://marugame-kodomo-nihongo.netの「多文化共生」に時系列で12論文掲載)
上野氏本人からの2つの反論以外はほとんどが上野発言に対する批判であったものの、これほどまで、「多文化共生」がネット上で議論されたことはなかったので、筆者には新鮮であった。以下、私見を交え、議論の行方を追ってみたい。
※上野氏は記事の中で「日本はこの先どうするのか。移民を入れて活力ある社会をつくる一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にするのか、難民を含めて外国人に門戸を閉ざし、このままゆっくり衰退していくのか。日本は「ニッポン・オンリー」の国。単一民族神話が信じられてきた。日本人は多文化共生に耐えられないでしょう。だとしたら、日本は人口減少と衰退を引き受けるべきです。平和に衰退していく社会のモデルになればいい。日本の場合、みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい。国民負担率を増やし、再分配機能を強化する。つまり社会民主主義的な方向です。」と述べている。上野氏の発言は、「移民を大量に受け入れると、移民と日本人の間に賃金、権利保障、教育などに不公正が起き、このため、移民による犯罪、日本人による犯罪の両方の抑圧が生じる。日本人の特性からして、これらに上手く対応することは不可能であり、多文化共生は無理。だとしたら、移民と日本人お互いの人権を守るため、移民を拒否し、清貧に生き、緩やかに衰退しましょう。」と要約できる。この意見に対し、①トランプばりの排外主義である②移民は単に政府の政策決定で解決できるものではなく、経済的幸福を求めて移動するという人権の発露である移民は、侵すことができない個人の選択の結果である③移民そのものと治安悪化とはなんら関係はない④平和に衰退するとは、脱成長左派の純粋型だ⑤成長を目指さない社会民主主義思想はこれまでなく、いつから清貧の思想になったのか⑥日本の現状を改善せずして、日本人は多文化共生には耐えられないというような不変の国民性に帰するのは、現状放置にほかならない⑦ジェンダーやセクシュアリティは選択できないが、移民は政治的に選択可能だという主張には、移民という選択の結果生まれた状況に不満があるなら、その選択をしなければよかったのではとする自己責任論に帰着する⑧日本社会が多文化社会に対応できていないなら、それは移民の増加に原因があるのではなく、このような日本社会を改善すべきは日本人側に問題がある、などの反論、批判があげられる。
※上野発言は、著名な社会学者からの意見だけに、その影響力も大きい。その上野氏から「移民を入れると社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ」との排外主義的な言説が飛び出し、さらには「ニッポン・オンリー」の国とか単一民族神話といった日本人特性論が持ち出され、それに移民先進国で起きている移民排斥の動きへの本人の危機感が加わったことで、これまで多文化社会に向け何の改善策も講じてこなかった日本人には、多文化共生は耐えられないという結論が導き出された。多文化共生は決して単に仲の良い関係を築くことではなく、異なる文化、民族、習慣などに潜む対立と緊張関係を互いに意識しながら、お互いの存在を問う作業を行う革命的なことだと思うのだが、上野にはそんな動的側面はみえていないのか。私には、日本にとって、大きな課題である移民問題が国民的な議論にならないことに業を煮やした上野氏が、あえて排外主義を打ち出し多文化共生を否定することで、国民的議論を誘導しようとしたのではないかとさえ思えてくる。
①排外主義であるとの批判
犯罪や社会的な混乱が起きるから、移民排斥は正しいとの論法は、(移民が増えると犯罪が増加するという統計はないのだが)移民を受け入れなけられば、社会的な混乱は生じないという発想と同じで、社会的混乱を生み出す人間の意識や社会の在り様などを議論しない暴論であろう。きちんとした法制度やシステムをつくることなく、移民を「安価で雇用調整しやすい」労働力として受け入れた場合に生じる混乱は、国内のみならず国際的な経済格差を生み出すととらえる視点が必要だ。さらに、日本人の特性として、間違った単一民族信仰、一枚岩的日本人意識を持ち出し、多文化共生できない文化だと断じるのは説得力に欠ける。現に住んでいる外国人住民の権利を尊重することも日本人にはできないとでも言うのだろうか。
◆RINK主催 通訳者・相談員スキルアップ講座(6/24 7/1,8,15の4回講座 全13:00~17:00)
6月24日(土):在留資格や在留外国人の現状 7月1日(土):医療(医療相談、医療制度)・教育(学校現場、教育制度) 7月8日(土):家族(結婚・離婚・出生・認知)・入国管理
7月15日(土:労働(技能実習生など)・社会保障(生活保護、保険、年金)
(会場)エル・おおさか 5階501号(大阪市中央区北浜東3-14 TEL.06-6942-0001)
(参加費)4日間参加:3,500円 1日のみ参加:1,000円
(申し込み締め切り)6月21日(水)17:00まで
(問い合わせ)TEL.06-6910-7103 E-mail rink@a.email.ne.jp
【3】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ふれあいまつり城乾のあった4日は、近くの丸亀カトリック教会の行事とあいにく重なり、ミサ参加の外国人住民とその家族の姿はなく、ほとんどが日本人の子どもたちとの交流になった。ただ、ひろばが城乾コミュニティセンターで開かれていることを知らなかったというまつり参加者が多く、広報の効果はあったのかなと思っています。あとは、子どもたちのひろば参加を待ちたいと思います。
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