メルマガ第65号(H30.9.17)

(2018年9月17日発行)毎月随時発行予定(記事、論文の引用は太文字で掲載しています。)  
バックナンバーは、URL:http://marugame-kodomo-nihongo.net/merumaga.htmlで閲覧できます。  
【1】 今号のトピック
◆ ひろば活動 10月下旬に保護者会開催予定
最近の特徴としては、中国から来た子ども2名が継続して参加していること。送り迎えする親の意識が高いと思われる。ペルー、フィリピンの子どもは安定した参加が少ないのが気になる。10月下旬に、できれば保護者会を開催する予定だ。その場で、子どもの教育のことを中心に話し合いができればいいと考えている。保護者会の内容等について、ご意見をお寄せください。
◆ 外国人住民との2回目の懇談会予定
8月19日(日)に実施した懇談会では、社会保険や雇用など労働関係の質問が多く出されたことから、労働関係の専門家を呼び、再度開催することになった。現時点では、11月4日(日)か18日(日)を予定している。次回のメルマガで詳細をお伝えしたい。
【2】論文・新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆大坂なおみ選手の快挙を機に二重国籍制度改正の議論を 国際テニス連盟サイトより (以下概略) http://agora-web.jp/archives/2034644.html
 日本選手として男女初の全米オープンテニスのシングルスに優勝した大坂なおみ選手は日本とアメリカの二重国籍を持つことでも知られている。(母親が日本人であり、父親がハイチ生まれで米国籍をもつ。日本では、父母のどちらかが自国民であれば子も自国民となる「父母両系血統主義」を採っており、また、米国では、国籍を持ち5年以上在住していれば、生まれた子どもも国籍を採れるので、彼女の場合二つの国籍をもつ背景があった。)また、彼女は、昭和60年1月1日以後に20歳に達する以前に重国籍となっており、この場合22歳に達するまでに国籍の選択をしなければならない。(国籍法第14条第1項)彼女は、1997年10月生まれなので、22歳になる来年の誕生日まで日本国籍にするか、米国籍にするか選択することになる。この期限までに国籍の選択をしなかったときには法務大臣から国籍選択の催告を受け,場合によっては日本の国籍を失うことがある。(2020年の東京五輪に日本国籍で出場するためには、来年の10月が期限となる。)日本国籍の選択宣言をすることにより,国籍選択義務は履行したことになるが,この選択宣言により外国の国籍を当然に喪失するかについては,当該外国の制度により異なる。この選択宣言で国籍を喪失する法制ではない外国の国籍を有する人については,この選択宣言後,当該外国国籍の離脱に努めなければならない。(国籍法16条第1項)(つまり、大坂選手の場合、日本国籍を選択しても、米国籍はそのまま持つことができることになる。)(ウイキペディア:出生した子の国籍取得の形式には、血統主義と出生地主義がある。血統主義とは、親が自国民であれば子も自国民であるとする方式で、父親が自国民であることを要件とする場合は父系優先血統主義と、父母どちらかが自国民であれば子も自国民となる場合は父母両系血統主義という。日本、中華人民共和国、大韓民国、イタリア、ノルウェー、フィンランドなどの国々で採用されている。原則として血統主義であるが出生地主義を認める例外規定を設けている国にはイギリス、オーストラリア、オランダ、ドイツ、フランス、ロシアなどがある。出生地主義とは、自国の領域内で出生した子は、両親の国籍にかかわらず自国民であるとする方式である。かつてヨーロッパ諸国も血統主義が一般的であったが、アメリカ独立、フランス革命を経て出生地主義が一部の国で採用されるようになった。出生地主義の国には、アルゼンチン、カナダ、アメリカ合衆国、ブラジルなどがある。多重国籍を認めている国:北米、中南米(一部の国除く)、ロシア、多重国籍を認めていない国:アジア諸国、フィリピン除く、欧州、アフリカはさまざま)世界各国がテロ対策を進めていく中で、多重国籍については厳しく問われる潮流になっている。そこまで重大な事由でなくても、多重国籍の人は、納税や兵役といった、それぞれの国での義務に関してリスクを背負う一面もある。実際、今年4月にはトランプ政権が、アメリカとの二重国籍で外国で暮らす人たちの所得課税強化を打ち出し、フランスでは混乱がおきたそうだ。その反面、日本国籍を選択したくても他国籍の離脱にハードルがある場合がある。ブラジルは国籍離脱を認めていない。アメリカは国籍離脱を認めているものの、パスポート返却の際に2,350ドル(約26万円)もかかる。経済的余裕のない22歳以上の日米の二重国籍者には、単一国籍を課する日本の国籍制度は辛いものもある。タブー視せず、国籍制度の社会的議論を。だから多重国籍をめぐるリスクやデメリット、国籍を選ぶ場合の支障などを総合的に勘案して、これからの国籍制度がどうあるべきか、社会的に議論するべきだろう。ところが日本社会では、国籍は在日コリアンの歴史的経緯があるからかタブー視されている部分があり、政治家も票にならないから積極的には取り上げない。マスコミも朝日新聞などの左派メディアが、蓮舫氏の問題の時のように、ありがちな差別論に終わってしまい、建設的な議論が期待できなかった。来年4月から外国人就労者が拡大することを考えても、この問題を放置したままでいいようには思えない。大坂選手の国籍選択がクローズアップされる今後、社会的議論が少しでも前に進むように望みたい。
◆ 日系人四世の受け入れが今年7月から始まっている。しかし、定住者資格ではない。
現在、在留資格「定住者」である日系人3世までの方は就労制限がなく、配偶者や子どもとともに長期間日本で生活することが可能。このたび入管法の改正により、日系人四世の入国が認められた。しかし、いろいろ制限がある。○在留資格:特定活動 最長5年滞在可能○年齢:18歳以上30歳以下○家族を帯同しないこと○帰国旅費が確保されていること○入国時に日本語能力試験N4程度、在留更新時に日本語能力試験N3程度が必要○生活支援を行う受入サポーターが申請前に確保されていること(就労、日本での生活に関する状況確認を月に一度行い、在留資格の更新時に入管に対して、状況報告をする必要がある。) など非常に制限がある。
※政府の外国人労働者の新たな受け入れの一環であるが、受入サポーターの役割には疑問を感じる。また、技能実習生よりは1企業の受け入れ人員も多く、今後の行方に注視すべきだ。
編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 喫茶店にあった週刊誌の「コンビニで働く留学生」記事に目がとまった。「コンビニは現在5万8千店舗を数え、10兆円規模を誇る巨大マーケット。だが、従業員の数は07年からの7年間で8万3千人も減った。そこへ助っ人として現れたのが留学生。今や4万人超のコンビニ外国人につながった。留学生のほとんどは日本語学や校専門学校へ通っており、原則週28時間(長期休暇中は1日8時間以内)のアルバイトのもと働く。留学生の数は約31万人。日本語学校は全国に680校、この5年で200校増えた。留学生は学びながら働ける世界でも珍しい国にやってくる。ローソンでは奨学金制度を導入している。」
 日本のコンビニでの留学生への依存はかなりだ。中には、留学生は名ばかりで、働くことが目的で来日する外国人もいる。日本語学校が留学生のアルバイトを斡旋し、週28時間を超えて働かせ、逮捕者もでた。学校はその後閉鎖になったと聞く。
 在留外国人は約256万人、外国人労働者は約128万人。NHK「外国人“依存”ニッポン」によると、産業別の割合を担い手不足が深刻な20~30代に絞ると、農業は14人に1人、漁業は16人に1人、製造業は21人に1人」
 問題なのは、職場での労働災害、いわゆる労災申請でここ数年外国人労働者が増加しているという。技能実習生の労災死は、日本全体の労災死の割合の2倍というデータもある。今、政府は2020東京五輪に向け、新たな在留資格の拡大を目指しているが、危うさばかりが気にかかる。
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