メルマガ 2017.4.30

「まるがめ子どもにんごひろば」             
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者  
の学習支援、外国人住民とのつながりに向けて~ 
通算第44号(2017年4月 30日発行)
毎月1回月末及び随時発行 
URL:http://marugame-kodomo-nihongo.net/
閲覧可 本文中引用文は太字記載

【1】今号のトピック
◆丸亀市立城乾小学校を訪問
 24日に、ひろば有志2名で城乾小学校を訪問した。こくさい教室担当の2名の先生とは初対面であり、ご挨拶するとともに、ひろばの子どもたちの参加が4月に入ってから極端に少なくなっていることを話した。原因として考えられるのは、ひろば参加の6年生が多く中学に入ったこと、まだ宿題があまり出してないので、子どもの参加意欲が低いのかなど話し合った。また、先生からは、送られたひろば開講ポスターを使って、再度、毎週土曜日のひろばに参加するよう、子どもたちに話してもらうことになった。5月から子どもたちが多く参加してくれることを期待したい。
◆丸亀お城村へのひろばテント出店(続報)
○いよいよ3日、4日に丸亀お城村でひろばがテント出店する。ひろばとしては初めての飲食テント出店。出す料理は、ペルー料理のアンティクーチョ(牛の心臓串し)とフィリピン料理のビコ(ココナッツミルク入りもち菓子)。1パックにアンティクーチョ3個とビコ2個を盛り付けて200円。400パックを2日間で完売する計画。これで収支とんとんといったところ。多くの子どもたちに食べてもらおうと低額に抑えた。収益がでれば、調理を作る外国人住民の方に謝礼を出すことも可能なのだが。メルマガ読者の中で、この連休中、丸亀お城まつりに出かけるご計画のある方はぜひ、ペルーとフィリピンのコラボ料理をご賞味くださり、外国人住民との交流を深めてもらいたいと願っています。
【2】論文・新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆今、外国人住民の置かれている問題(多文化共生編)
2月11日中日新聞・東京新聞で「平等に貧しくなろう 社会学者・東京大名誉教授 上野千鶴子さん」が掲載されるや、各方面から移民の受け入れに関する意見が出され、ネット上でもいわゆる炎上ということになったので、ここに紹介する。
以下が上野氏の主な意見
「人口を維持するには社会増しかない、つまり移民の受け入れです。日本はこの先どうするのか。移民を入れて活力ある社会をつくる一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にするのか、難民を含めて外国人に門戸を閉ざし、このままゆっくり衰退していくのか。どちらかを選ぶ分岐点に立たされています。移民政策について言うと、私は客観的に無理、主観的にはやめた方がいいと思っています。主観的な観測としては、移民は日本にとってツケが大き過ぎる。日本は「ニッポン・オンリー」の国。単一民族神話が信じられてきた。日本人は多文化共生に耐えられないでしょう。だとしたら、日本は人口減少と衰退を引き受けるべきです。平和に衰退していく社会のモデルになればいい。日本の場合、みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい。国民負担率を増やし、再分配機能を強化する。つまり社会民主主義的な方向です。」
この意見に対し、移住連(移住者と連帯する全国ネットワーク)からも公開質問状が出された。
1.「移民受け入れ」に対する無知と偏見について
・移民受け入れにより「社会的不公正と抑圧」が増大するのではありません。・治安悪化は、日本において特に頻繁に語られる移民への謬見です。実際には、日本で移民人口が増えたことによる治安悪化はまったく起こっていません。
2.「日本は『ニッポン・オンリー』の国。単一民族神話が信じられてきた。日本人は多文化共生に耐えられないでしょう」という発言について
・2008年に国会の衆議院及び参議院において「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が全会一致で採択され、日本が「単一民族」であることは公式に否定されましたが、「単一民族神話が信じられてきた」というのはどのような根拠にもとづいているのでしょうか。またこの発言こそが、「単一民族神話」を再生産していますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
・現在日本には230万人を超える外国人移住者が暮らし、先住民や外国にルーツをもつ日本国籍者を含めると、民族的マイノリティはそれ以上になります。「日本は『ニッポン・オンリー』の国」というのは、どのような根拠にもとづいた発言でしょうか。
・このような、外国人移住者の増加や民族的マイノリティの存在の認知を背景に、各地で多文化共生の取り組みがすすめられてきました。2006年には総務省も「地域における多文化共生推進プラン」を策定しています。こうした取り組みには、民族的マイノリティ当事者のみならず「日本人」も多く関わっています。「日本人は多文化共生に耐えられないでしょう」というのは、いかなる根拠にもとづいてなされた発言でしょうか。この発言が、いかにマイノリティの存在を否定したものであるか。
次に以下が上野氏の主な反論です。
「日本の人口推計によれば2060年の人口推計は8674万人、人口規模1億人を維持しようと思えば1.3千万人の社会増(移民の導入)が必要となります。およそ半世紀後に人口の1-3割が外国人という社会を構想するかどうかが問われています。移民先進国で現在同時多発的に起きている「移民排斥」の動きにわたしは危機感を持っておりますし、日本も例外とは思えません。これから先、仮に「大量移民時代」を迎えるとしたら、移民が社会移動から切り離されてサバルタン化することや、それを通じて暴動やテロが発生すること、ネオナチのような排外主義や暴力的な攻撃が増大すること、排外主義的な政治的リーダーが影響力を持つようになること、また移民家事労働者の差別や虐待が起きることなどが、日本で起きないとは思えません。それどころか移民先進国であるこれらの諸外国が直面している問題を、日本がそれ以上にうまくハンドリングできるとはとうてい思えません。それはすでに移民先進国の経験が教え、日本のこれまでの外国人への取り扱いの過去が教える悲観的な予測からです。反対にわたしの方からも、みなさま方に「移民一千万人時代」の推進に賛成されるかどうかお聞きしたいものです。わたしたちが外国の人たちにどうぞ日本に安心して移住してください、あなた方の人権はお守りしますから、と言えるかどうかも。みなさま方の理想主義は貴重なものですが、理想と現実を取り違えることはできません。どの社会も移民の導入について一定の条件を課しています。まったく国境を開放した国民国家はいまのところ、ありません。それは再分配の範囲をどう定義するかという福祉国家の分配政治に関わるからです。そして福祉国家にはつねに潜在的に境界の管理が伴います。人口減少社会で「平等に貧しく」というシナリオは、再分配の強化を示したもので、国内の階層格差の拡大はその条件を掘り崩します。再分配路線に舵を切る、今が最後のチャンスかもしれません。」次号に続く。
【3】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 上野発言の中身は、日本のこれからの社会のかたちを議論する絶好のテーマ。日本の多文化社会は現実であり、それによりリアリティを持たせるための国民的議論が必要だと思う。多文化共生とは仲よくすることの上に、文化だけでない、認め難い互いの違いをどう考えるのか、対立関係、緊張関係は避けがたく、でも強制ではなく共生する必要の意味をお互い問いつつける難しさ。
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