メルマガ第63号(H30.8.16)

通算第63号(2018年8月16日発行)毎月随時発行予定(記事、論文引用:太文字)
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【1】 今号のトピック
◆最近のひろば活動
○夏休みのひろばへの児童生徒の参加状況とペルーの青年の高校受験
 夏休みの宿題もあり、子どもたちの参加意欲は高いのではと思っていたが、ここ3回の子どもたちのひろばへの参加数は、7/21が4名、7/28が2名、8/4が3名と低調であった。例年、夏休み前には、丸亀市内の小学校にひろばのチラシを配布してきたが、今年はできなかったのが低調となった一つの原因かもしれない。ひろばの存在を子ども、親たちに意識してもらうためにも、時機を得た広報はこれからも必要だろう。
 最近、ペルーから再来日した若者と知り合った。丸亀市内の小学校を卒業、中学校の中途まで丸亀市内で暮らし、親の都合で一旦ペルーに帰国後、ペルーの中学校を卒業し、再度入国した17歳の青年だ。18歳になれば、父親が勤める溶接関係の会社に就職するそうだ。本人には高校への進学意欲があり、できれば働きながら定時制の高校に行きたいという。県高校教育課に問い合わせたところ、ペルーで卒業した中学校の詳細がわかれば、日本の高校受験の資格があるかどうか判断できるという。仮に、外国において日本の中学までの課程を修了した者と同等の学力があると判断できなければ、10月、日本で文部科学省が実施する「中学卒業程度認定試験」を受験し、これに合格すれば、高校に受験できる。ネットでこの認定試験の過去問を見たが、高校受験の問題よりはかなりレベルは低いと感じた。まずは、ペルーに住む祖母に連絡し、卒業した中学校から必要な書類を取り寄せることが先決だ。中学卒業程度認定試験を受けるにせよ、定時制高校の入試試験を受けるにせよ、これまで日本で学んだことをもう一度復習するしかない。ひろばとしても、彼の高校への進学の気持ちを受け止め、何らかの支援ができればいいのだが。
【2】論文・新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆「弱者は弱者らしく」という本音 ジャーナリスト安田浩一さん 朝日 8/2
○LGBTのカップルを生産性がないなどとした自民党議員の主張を生む社会的背景について
「背景にある「本音」は弱者は弱者らしく、少数者は少数者らしくしておけ」ということではないでしょうか。例えば、外国人労働者が人手不足の職場を補い、低賃金に耐え黙っているかぎりは、守られるべき存在として扱う。(中略)でも、彼ら、彼女たちが自分の権利を主張し、差別を告発した途端、手のひらを返したように「生意気だ!」と激しく攻撃し、治安の問題などにすり替えて攻撃対象にしていく。具体的には、今世紀に入ってから在日外国人へのヘイトスピーチが広がっています。「日本から何かを奪い取っているのがけしからん!」と、むき出しの憎悪をぶつける。多数派の権利、利益を守るためです。」
※この記事を読んで、メルマガ第62号でのサンデル教授の白熱教室での若者たちの意見を思い出した。豊かな国の人々が移民を拒む理由の一つに、自分の社会、地域で自らが享受している既得権益を守りたい、それがたまたま豊かな国に生まれたという運、偶然の出来事だとしても、祖先が獲得した富を受け継ぐ権利を主張するのは当然と考えるからであろう。今の日本では、まだまだ、外国人住民が国や自治体などに向かって、公然と自分の権利を主張し、差別を告発する状況にはない。しかし、将来、移住2世の若者が、日本での自分たちの置かれている現状に異議申し立てをする時代が来るだろう。日本社会は、彼ら、彼女らにどう向き合っていくのか、幅広い議論をする時期はとっくに来ていると思うのだが。
◆NHK Eテレ「外国人とニッポン」~EPA10年 外国人介護士はいま~
インドネシアとの経済連携協定(EPA)締結平成21年から10年が経過した。放送のテーマは介護施設で働くインドネシア介護福祉士の現状と課題を浮き彫りにすること。ある施設関係者は「10年前は、介護士不足から組織の活性化を図るため外国人介護福祉士候補者を受け入れたが、今では、組織の一員として欠かせない存在になっている」と話す。国家資格を取得した後も働き続ける介護福祉士にも課題がある。平成21年に来日した1期生のインドネシア青年は今、30歳後半、人生の分岐点にかかり、今後は帰国して事業を起こしたいという。施設としてはずっと働いてほしいが、彼の人生を考えると仕方がない。今後、定住したいというインドネシア男性は、妻子を呼び寄せたが、日本語が話せない妻が孤立しないかが不安。地域でも日本語支援や交流活動を通じて、日本での定着を模索している。
※外国人看護師候補者は在留期間3年の間、毎年、国家試験を受験できるが、外国人介護福祉士候補者の場合、在留期間4年で国家試験の受験資格を取得した後、これまで1回だけしか受験できず、不合格者は帰国しなければなかったのを合格点の5割以上を得点できた不合格者は在留期間を1年延長し再受験が可能となった。
◆外国人看護師・介護福祉士候補者の受け入れについて(厚生労働省HPより)
日・インドネシア経済連携協定(平成20年7月1日発効)に基づき平成20年度から、日・フィリピン経済連携協定(平成20年12月11日発効)に基づき平成21年度から、日・ベトナム経済連携協定に基づく交換公文(平成24年6月17日発効)に基づき平成26年度から、年度ごとに、外国人看護師・介護福祉士候補者(以下「外国人候補者」という。)の受入れを実施してきており、累計受入れ人数は3国併せて4,700人を超えました。(平成29年9月1日時点)
これら3国からの受入れは、看護・介護分野の労働力不足への対応として行うものではなく、相手国からの強い要望に基づき交渉した結果経済活動の連携の強化の観点から実施するものです。
(受け入れ状況)H30.1.1現在
インドネシアは平成20年度、フィリピンは平成 21 年度、ベトナムは平成 26 年度からの受入れ
○外国人看護師候補者受け入れ数 3カ国の総計 1,203人・インドネシアH20~H29 622人 フィリピンH21~H29 506人 ベトナムH26~H29 75人   
H28国家試験合格率(合格者数/受験者数)14.5%(日本人含めた率:88.5%)
○外国人介護福祉士候補者受け入れ数 3カ国の総計 3,529人・インドネシア H20~H29 1,494人 フィリピンH21~H29 1,437人 ベトナム  H26~H29 598人   
H28国家試験合格率(合格者数/受験者数)49.8%(日本人含めた率:72.1%)
○香川県・外国人介護福祉士候補者受け入れ数 3カ国の総計 159人 ・インドネシア H22~H29 80人  フィリピン H26~H29  66人 ベトナムH26~H28  13人
○香川県分の外国人看護師候補者受け入れ数はデータ不明   
編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
いよいよ、19日(日)15時から、丸亀市城乾コミュニティセンターで「外国人住民との懇談会」が開かれる。この企画は、昨年7月以来だが、これからも長く日本で暮らすことになる外国人住民とこのような会を持ち続けることは、同じ空の下で暮らす日本人にとっても大切だろう。前回のメルマガで、NHKが放送したハーバード大学マイケル・サンデル教授の白熱教室「移民を拒む権利はあるのか。」の中で、ある青年が「人として大切なのは、人と人とが共感して暮らしいくことだ。想像力を豊かにし、新しい文化を共に創造していけるように考えるべきではないか。」と言ったことが思い出される。
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