メルマガ アーカイブ(日本語指導研修)2014.2

◆地域日本語教室支援事業を実施しました。(香川にほんごネット共催)とき 平成26年2月11日(火・祝)ところ アイパル香川3階第5・6会議室対象 県内各地域の日本語教室日本語指導ボランティア、一般県民講師:RINK(すべての外国人労働者とその家族の人権をまもる関西ネットワーク)草加道常氏内容要旨 「外国籍住民の現状と生活相談について~日本語支援に関わる諸問題~」(1)新来外国人の変化と外国籍住民の現状外国籍住民の3つの壁(ことばの壁・制度の壁・こころの壁)←外国人への無関心①来日外国人の変化・1970s ニューカマーの外国人が増加し始める。 ・1970s後半 ベトナム難民の来日と東南アジアの女性労働者の増加・1980s 南アジア・西アジアの男性労働者の増加・1990s以降 南米日系人を中心に増加・1994以降 中国残留日本人急増・1993 外国人研修・技能実習生制度の導入・2008年のリーマンショク 大量の外国人が帰国※リーマンショクで派遣会社が倒産したことで、これまで通訳が生活面の大部分の面倒をみていたのができなくなり、外国人個々人が日本の実生活に放り出されたことで、「顔の見える定住化」に変化していった。②来日経緯と在留資格・在日コリアン、在日中国人(特別永住者)・中国残留日本人、日系南米・フィリピン人(日本人の配偶者等、定住者)・日本人との国際結婚(日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)・難民(定住者、特定活動)・就労(人文知識・国際結婚、技術、技能、企業内転勤、教育、興行)・留学生(留学)・技能実習生(技能実習1号・2号のイ、ロ)※1号:入国1年目 2号:入国2.3年目 イ:企業単独型 ロ:団体管理型 ③外国人相談の特徴と内容・2012年度NGO内容別相談比率では、在留資格が26%、家族関係(結婚、離婚、出生、認知など)が24%で全体の半数を占める。・外国人への社会保障制度の適用1986年の国民健康保険法を最後にすべて国籍条項廃止したが、これがすべて適用になるのは、永住者、永住者の配偶者等、日本人の配偶者等、定住者に限られる。特に、非正規滞在者は、国民健康保険、健康保険、生活保護、児童手当などは適用されない。

◆おおさかこども多文化センター主催「外国にルーツをもつ子どもの学習上のつまずきと支援のあり方」学習会(2月23日(日)13:30~16:00 大阪市総合生涯学習センター6階 研修室)講師:近田由紀子氏(こんだゆきこ)大阪大学大学院連合小児発達学研究科)浜松市で長年、小学校教員として外国人児童教育に携わり、現在は大学院で外国人の子どもの発達について研究されている。内容:学習活動に困難さを抱えているJSL児童の要因は、「ことば」なのか、「文化」なのか、「発達」の問題なのか、その見立ては難しい。多様な要因が複雑に影響しており、支援の手がかりをつかむには、多角的な、長期的な視点が必要である。事例を挙げながら、子ども自身の多様性、受入れ側の多様性とその対応を学んだ。何ができて何ができないのか、具体的な場面、事柄を探し、できることを伸ばしつつ、苦手なことを引き上げていく。関係者が子どもの情報を共有し、それぞれのかかわり方、場の環境、指導内容によって、子どもの表れは変わる。グループワークでは、3つの子どものタイプから選択又はグループ独自のタイプを決め、子どもの困り感はどこにあるのか、支援できる人材と場をどう確保するのか、支援の具体策はどのようなものかなどを話し合った。(感想)講師の話の中で、「この子だったら何から始めたらいいのか、できていないところを伸ばすより、できるところを伸ばす方がスムーズにでき、子どももより達成感を感じる。同時にできるところの周辺部分も高まると言う。脳の血流が上がり、シナプスが活性化し、その周辺部も活性化する。」との話はとても印象的であった。※研修会の資料がご希望の方は、メールしてください。お送りします。

◆「移動する子どもたちと日本語教育」早稲田大学大学院日本語教育科教授 川上郁雄※上記書籍に、平成25年1月20日(日)東広島市市民文化センターでの年少者日本語教育指導者のための出前講演会での川上先生の講演要旨を加筆しました。1.「移動する時代」と子どもたち国際移民の時代:大量の大人たちが自分の意思で移動するのに対し、大量の子どもたちは、大人たちによって「移動させられる」時代・ドイツ ドレスデン市のインターナショナル校の事例教室の壁に、子どもたちがこの学校に編入するまでの数カ国の移動の軌跡を表で貼付子どもたち同士がそれぞれの背景を知ることで、自分の移動の生活を特別視しない。子どもが抱えさせられる課題・複数言語環境で成長する子どもことばの教育がなぜ必要なのか。→複数言語で他者とつながっている複数言語で向き合う自己の確立2.指導の前提(1)子どものことばの生活を想像する。→言語生活を子どもの目線で考える。(2)子どもの成長と発達を考える。→子どもはさまざまなストレスや思いを抱えている。(3)子どもの心を支える→ 教育はそんな子どもの心を支えるもの 3.ことばの力はどのように見えるかその背景に何があると思いますか。「黙っている子」→日本語が話せない。サイレントチルドレン(沈黙期間 他の子を観察、わかるまで黙っている。)自信がない「人のまねをする子」→自分の意見に自信がない。わからないまままねをする。「自分でことばを作る子 例~じゃない」→じゃない は否定形 NOの意味「1語文の子」→日本語学習初期の段階 「はい」というがいろいろな意味のはいがある。「もともと学力が低いように見える子」→個の力、その子の問題とみなしがち「ほとんどの話は理解できるが、日本の文化に関する知識が不足している子」→日本の何年のいながら、日本の昔話での文化的な事柄がわからない子どもたちのことばの力の実状は極めて多様である。子どもは、人とのやりとりの中で(相互作用的)、その子の背景や発達段階などに応じ変化(動態的)する。これらは、JSLバンドスケールのどれかのレベルと合うかを検討できる。「※ことばの力:他者とやりとりする力、学び考える力、思考を深める力を得ることことばの力を育成するために重要なことは?①子どもたちに日本語を教える方法②目の前の課題をやりとげるための支援③子どもたちの成長・発達の過程に継続的に、かつ長期的に寄り添って日本語を教える。④教授法、教材開発それだけでは十分ではない。1.子どもたちがいかに自律的に、かつ主体的にことばを学ぶ力を獲得していけるか。生きていく主体である子ども自身が自らの学びのスタイルを見つけ、自律的に、かつ主体的に学んでいくように、支援者がいかに支援するか。一人ひとりの子どもに寄り添って共に考えていくにはどのようにしたらいいのか。」4.「日本語指導が必要な児童生徒」とは誰か・誰が何をもって判断するのか。教委に報告する日本語指導が必要な児童生徒の判断は、学校が決める。予算の関係で、制約されることもある。・文科省の新たな定義(H18.11.6)①日本語で日常生活が十分できない者(JSLバンドスケール レベル1~2に相当)②日常会話ができても、学年相当の学習言語が不足し学習活動への参加に支障が生じる者で、日本語指導が必要な者(JSLバンドスケール レベル3~4に相当)しかし、JSLバンドスケール レベル5~6でも支援が必要である。                   ・2言語相互依存の仮設(J.カミング)            2重の氷山 2言語が上のしきいを越えれば「加算的バイリンガル」(母語に加えて社会的に有用な言語が加わる)になる。第一言語による認知的、社会文化的背景が日本語の力に影響を与える。JSLバンドスケールは、レベルを決定することに意味はない。複数の支援者の見立てが大事「※JSLバンドスケールに見る「ことばの力の捉え方」子どもの日本語の力の実態を発達段階的に把握するものさし(scales)の束(band)年齢集団を「小学校低学年」「小学校中高年」「中学・高校」の3つに分け、それぞれの集団の4技能(聞く、話す、読む、書く)ごとに、初歩レベルの1から日本語を高度に使用できるレベルの7あるいは8の段階に設定している。日本語を学ぶ子どもの学習の様子や先生とのやりとり、クラス活動や遊びの様子を観察し、そこで見られる言語使用の特徴がどのレベルの特徴と合うのかを検討する。取り出し指導の子ども:レベル1からレベル6まである。ひとりの子どもでも4技能が同じレベルにはなく、アンバランスな状態にある。子ども一人ひとりによって、来日年齢、滞在期間、出身国での教育、家庭内の言語生活などさまざまな異なる事情がある。バンドスケールは、子どもたちのことばの力を把握しつつ、そのことばの力を伸長するために、どのような日本語教育を行うかを検討することが目的なのである。」・日常会話能力(生活場面)1~2年で獲得文脈が見える。話題がわかる。相手が聞いてくれる。知っている語彙が少ない。・学習言語能力(学習場面)5~7年で獲得文脈が見えない。馴染みのない話題。抽象度が高くなる。知らない語彙が多い。5.「日本語指導」から「ことばに留意した教育」の創造へ・三重県鈴鹿市の試み人口20万人 小中学校 40校 外国にルーツをもつ児童生徒 700名(全体の1割)5年間JSLバンドスケールを使って、実践研修会(教師間での学習)・共有(教師間で個々の児童生徒の状況共有)・連携(国際学級と在籍クラス)6.言語活動に必要な観点は何か・個別化:子どもを主人公にする。個人差(言語能力、学習スタイル、学習ストラテジー、興味など)に配慮した指導一人ひとりの発達段階に配慮した指導・文脈化:ことばは文脈の中で意味が生まれ、談話の中でメッセージを伝える。学習者は場面や状況に応じてことばを理解し、流動する文脈の中で使用してはじめてことばを習得する。決して文型練習で得られるものではなく、意味のある文脈をいかに作れるかがポイント・統合化:子どもの言語発達では、子どもにとって「意味するもの」と「意味されるもの」を結びつける象徴機能の形成が言語発達の中核学習者の言いたいことや内容をことばにする(統合化する)とき、言語習得が進む。※子どもがペットの写真を持ってきて、「これ 私のペット」と言った場合、正に個別化文脈化統合化支援者のスキャフォールディング(足場かけ)が重要・漢字にルビ打ち ・やさしい表現 ・音読 ・板書 ・視覚的活動教材の提供 ・友達同士一緒に考える ・わかりやすいプリントを用意する など7.日本語指導に必要な観点1)こころを支える指導2)声が届く体験→自分のことばを聞いてくれる人がいる必要な視点①成長・発達の視点②ことばの力をみる視点③どのような「ことばの力」を育成するのかという視点第二言語としての日本語の特徴・動態性:常に日本語の力は変化している。・非均質性:場面や状況に応じて生起する日本語の力は同じではない。・相互作用性:日本語が使用される目的や相手との関係性によって日本語の力は異なっていく。JSLカリキュラムと教科指導JSLカリキュラムは、考え方を示したもの日本語の習得を通して学校での学習活動に参加するための力を育成するもの知的で楽しい活動これはなんだろう、これとこれはどう違うのか、なぜこうなるのか、考えてみよう 調べてみよう8.「移動する子ども」とは①空間的に移動する子ども②言語間を移動する子ども③言語教育カテゴリー(第二言語教育、外国語教育、継承語教育、母語教育など)の間を移動する子ども

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