2015.1第10号~2015.3第12号

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「まるがめにほんごひろば」メールマガジン             
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~ 
第10号(2015年1月31 日発行)毎月1回 月末及び随時発行予定    
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◆目次◆
【1】今号のトピック
◆2015年度の「まるがめにほんごひろば」の活動打ち合わせ会報告~
◆外国人児童生徒の居場所づくり取り組み事例の紹介
【2】外国人住民等に関する統計
◆学校基本調査における県内外国人児童生徒数の推移
【3】研修会・講演会情報
◆セミナー「外国につながる子どもたちの『居場所』づくり」(大阪市北区2月8日(日)15:00~17:00)
◆外国にルーツを持つ小学校入学前の子どものためのプレスクール(神戸市1月17日~3月28日各土曜)
◆地域に根ざした日本語支援を考える研修会(神戸市2月28日(土)13:00~16:00)
【4】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆第6次出入国管理政策懇談会報告書「今後の出入国管理行政の在り方」等について(法務省)2014.12
◆1%の富裕層が富の半分以上握る可能性(NHKニュース-NHKオンライン)
【5】自由書き込み欄
【6】編集後記
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【1】今号のトピック
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◆2015年度の「まるがめにほんごひろば」の活動打ち合わせ会報告~
と き 平成27年1月27日(火)14:00~16:00
ところ 丸亀市城乾コミュニティセンター1階小会議室
〇参加者 サポーター 6名、アイパル(安藤)
〇経緯 まるがめにほんごひろば(以下「ひろば」)のアイパルからの事業委託を含め来年度以降の取り組み
について、これまで2回(①11月13日②12月27日)、学習サポーター数名と協議を行ってきており、今回
の打ち合わせで、概ねグループが事業を受託し、企画、運営、実施することの合意をみた。
〇来年度の取り組みについて
1.子どもたちへの支援の内容
①現時点で、子どもたちやその親たち、また学校などから必要とされている、期待されている支援は何かを話し合った。
・これまでひろばに参加した子どもたちの多くは、生活言語としての日本語はできるが、学習言語としての日本語が不十分なため、学校での教科学習についていくことが困難な現状がある。
・学校からは、ひろばの存在を評価してくれてはいるが、ただ、宿題など教科学習に関わる分野については、学校での学習指導方法などもあり、慎重な対応を期待している。
・他県のグループの活動内容をみても、日本語指導のみに限定した支援グループは少なく、多くのグループ
が日本語支援に加え、教科学習支援を行っており、教科学習支援するには、その内容や方法を考える必要が
ある。
・子どもたちは、各教科の教科書、副読本などの日本語の読み取りに苦労している。この読み取りが少しで
もできるように、問題文や国語の長文、その他の専門的な語彙などを読解できる力を育てることをサポート
すべきである。
(まとめ)各教科の問題文や国語の長文、その他の教科特有の語彙などを、やさしい日本語で解説したり、日本語の説明方法をいろいろ工夫するなど、子どもたちが学校での教科学習内容を少しでも理解しやすくすることを通して、子どもたちの読解力を育て、子どもたちの教科を学ぶ力が養われる手助けとなることを目的に、日本語の学習支援を行う。
2.開講日・期間  
①これまでどおり夏・冬・春やすみの期間中の2日~4日間の開講とするのか
②毎月1~2回の開講(ただし、7月、12月、3月はこれまでのひろば開講)とするのか
〇子どもたちが教科学習についていけない現状からすると、①は不十分であるため、②としたい。
〇最終、毎月1回とするか2回にするかは、春休みのひろばでの聞き取りやサポーターの意向を聴取して決
定するが、当面は4月から2回の開講を目途に準備を進める。
3.対象学習者  
丸亀市在住の子どもたち(未就学児を含む。)が中心となるが、近隣市町も受け入れる。
呼び掛け先は、丸亀市内の小学校、丸亀市、丸亀市国際交流協会など
4.開講場所と時間
丸亀市城乾コミュニティセンター2階小会議室+いこいの間(和室)
10:00~12:00(30分×3時限のあと、反省会、片づけ)夏・冬・春やすみの期間中は、日本語
を使った活動(絵本を一緒に読んだり、日本語を使った学習カードあそびなど)を取り入れる。
6.ボランティア体制
〇何人の子どもが参加してくれるか確定できない中、来年度開講当初は、毎回5~7名の参加を予定し、極力マンツーマン対応を維持するため、最低でも5名以上のボランティアを確保する。ボランティアには、翌月の予定表を提出してもらい、人数確保のスケジュール調整をする。
〇そのほか、四国学院大学の協力を得て、日本語教員養成課程や教員免許資格取得コースの大学生らのボランティアの参加を要請する。
7.その他
〇グループの設立については、今後打ち合わせする。(名称、規約、役員、会計など)
〇アイパルからの委託料により運営していくが、将来的には、会費の徴収も検討する。
〇また、今後、ひろばでの季節に応じたアクティビティなどの実施や会員の研修費助成も検討していく。
◆外国人児童生徒の居場所づくり取り組み事例の紹介
全国には、外国にルーツをもつ子どもたちの居場所づくりに取り組んでいるグループが数多く存在する。兵庫県国際交流協会では、外国人児童生徒の居場所づくりの助成事業を行っており、当協会のホームページに事業の取り組み事例の紹介記事が掲載されていた。また、平成23年度に実施した「外国にルーツをもつ子どもたちの学習サポーター養成講座」の講師をお願いした坪内好子先生の「サタデイクラス」(大阪市)、鵜飼聖子先生の「こどもひろば」(大阪市)、さらには、Minamiこども教室(大阪市)、NPOトルシーダ(豊田市)、滋賀県内のグループ、信愛塾(横浜市)など合わせて41の団体をネットで調べた。
各団体の活動内容をみると、このうち30団体が日本語の支援をしており、併せて25団体が宿題などを通じて教科学習支援を行っている。日本語支援が中心だが、児童生徒のニーズも考慮した対応がなされているのが現状である。そのほか、母語支援が10団体、日本文化、料理、ゲームなどを取り入れているところも15団体、進学や学校生活上の支援を8団体が行っている。
開講日は、団体によってまちまちであるが、中でも土曜日での開催が16団体と約40%占めていたのは特徴的であった。子どもたちのニーズもあろうが、ボランティアが参加しやすいこともその理由となったのではないか。
http://www.hyogo-ip.or.jp/ibashokids_blog/
【2】外国人住民等に関する統計
◆学校基本調査における県内外国人児童生徒数の推移
学校基本調査は、文部科学省が学校教育行政に必要な学校に関する基本的事項を明らかにすることを目的に毎年、5月1日現在での調査を実施しており、その確定値は、12月に公表される。
県内の平成25年度までの確定値は、下記の香川県統計情報データベースから
http://www.pref.kagawa.jp/toukei/reference.html#06 → 教育をクリック
平成26年度の確定値は、下記URLから
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011528(ただし、高校の外国人生徒数は全国数値のみ。県内数は、県で後日公表される。)
香川県内の外国人児童生徒数(毎年5月1日現在):小学校H21年度 118人がH26年度 163人と5年間で38%増、中学校H21年度 54人が67人と24%増となっている。高校はH26年度の県内確定数がわからないが、ここ数年間35人~40人で推移しており、総数では240人程度である。外国籍の子どもの高校進学率は、公表していないのでわからないが、学校基本調査で前年度の中学校在籍者がすべて翌年度高校に在籍すると仮定すると、H25年度で76.6%と都市部並みの高率となる。(年度途中の中学入学、退学者などがカウントされておらず、また、学年間の差異が考慮されていないので、仮定値とはいえ、概数とはいえない。)
【3】研修会・講演会情報
◆セミナー「外国につながる子どもたちの『居場所』づくり」(2月8日(日)15:00~17:00)
ヒューライツ大阪(一般社団法人アジア・太平洋人権情報センター)が関西国際交流団体協議会、おおさかこども多文化センターと協力し、ワン・ワールド・フェスティバルのプログラムとして開催する。場所:関テレ扇町スクエア 3階 メビック扇町ロビースペース 講師:伊東浄江(特定非営利活動法人トルシーダ代表)安野勝美(中学校教員)松本彩(特定非営利活動法人関西国際
交流団体協議会)http://www.hurights.or.jp/japan/new-project/2014/12/-1528.html
◆外国にルーツを持つ小学校入学前の子どものためのプレスクール(神戸市1月17日~3月28日各土曜)
外国にルーツをもつ就学前の子どもの学習支援教室を開催する。教室は新長田教室と、神戸東の「はいず教室」の2カ所があり、それぞれ開催時間は異なる。対象は、外国にルーツをもつ4歳以上(年長・年中)の子ども
【期間】 2015年1月17日(土)から3月28日(土)の土曜日※3月7日(土)を除く
新長田教室:10:30-12:00 はいず教室:14:00-15:30【参加費】2500円(全10回)
【学習内容】ひらがなの書き取り、発音、小学校で使う単語の習得、数字、数詞の学習、など。
一斉授業と個別指導を組み合わせて、ひとりひとりの学習カリキュラムを作成する。
http://www.social-b.net/kfc/whatsnew/whatsnew.html#20150117
◆地域に根ざした日本語支援を考える研修会(神戸市2月28日(土)13:00~16:00)
場所 国際健康開発センター3階 会議室1
内容 演題:「社会参加につながる日本語支援~共に暮らす地域住民として~」講師:中河和子 トヤマ・ヤポニカ 代表理事         
対象 成人外国人に対する日本語指導・支援(生活支援も含む)を行っていたり、関心のある日本語学習支援ボランティア
定員 65名(定員になり次第締め切り)
参加費  無料
申込み:事前に郵送、FAX、Eメール、HPからお申込みください。
http://www.hyogo-ip.or.jp/support/support08/modtreepage01_7207/
【4】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆第6次出入国管理政策懇談会報告書「今後の出入国管理行政の在り方」等について(法務省)2014.12
現在、法務省では、今年3月に第5次出入国管理基本計画を策定することとしており、この報告書が計画に反映されることが期待される。
http://www.moj.go.jp/content/001130126.pdf
◆1%の富裕層が富の半分以上握る可能性(NHKニュース-NHKオンライン)
国際NGO・オックスファムは、スイスの金融機関の集めたデータなどを分析し、世界の人口を、富裕層、比較的豊かな層、その他の層の3つに分け、人口の1%に当たる富裕層の平均資産は1人当たり270万ドル(日本円でおよそ3億1600万円)で、人口の80%に当たるその他の層の平均資産は1人当たり3851ドル余り(45万円ほど)になり、富裕層が持つ資産の割合は、2009年は44%だったが、去年は48%まで増え、富裕層がより多くの富を握る傾向が強まっている。さらに、貧富の格差が一層拡大し、このままのペースが続けば、来年までに世界の人口の1%に当たる富裕層が世界にある資産の50%以上を手にすることになると指摘している。数字をさらに掘り下げてみると、世界で最も裕福な80人の資産額は、合わせて1兆9000億ドルになる。これは、下位半数にあたる35億人の資産総額とほぼ同じだ(ちなみに中国の2012年度歳入額は1兆8,300億ドル)。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150120/k10014808981000.html
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【6】自由書き込み欄(このメールマガジンへのご注文、ご意見をお寄せください。記入後、このまま返信ください。いただいたご意見などを踏まえ、皆で意見を交換し合い、いいメールマガジンにしたいと思っています。)
                                              
【7】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「まるがめにほんごひろば」を今後どのような会として運営していくべきか。27日の打ち合わせ会ではそこに議論が集中した。サポーターもいろいろな事情を抱えているが、ひろばを充実したいという思いは共通である。これまでの春・夏・冬休みの期間中での開講だけでなく、子どもたちのニーズをしっかり拾い上げるひろばにするため、毎月2回の開講に概ね好意的な意見が出された。今後、これまで参加した学習サポーターには、近く、毎月開講の場合に際しての参加の可能性についてアンケートをお願いするので、必ず回答をお願いします。
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▼「まるがめにほんごひろば」の学習サポーターを希望される方及びメールマガジンの配信を希望される方は、随時申込を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください!
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■編集・発行 まるがめにほんごひろば事務局 文責:安藤 
〒761-2408 
高松市丸亀市綾歌町富熊5034-14
TEL:080-3921-9414 FAX:0877-86-6328
E-mail: qzp10324@kir.biglobe.ne.jp
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「まるがめにほんごひろば」メールマガジン             
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~ 
第11号(2015年 2月28日発行)毎月1回月末及び随時発行予定    
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◆目次◆
【1】今号のトピック
◆まるがめ春休みにほんごひろばは3月25日・26日・27日の3日間開催
◆来年度のまるがめにほんごひろばのサポーター参加状況について
【2】研修会・講演会情報
◆外国につながりのある子どもたちの「居場所」づくりフォーラム(2月8日 大阪市北区扇町)
【3】書籍・論文の紹介
◆小学校での教科学習のための日本語指導のあり方(東京外国語大学 横田淳子)
◆入門期外国人児童を対象とした文型指導の意義と可能性(広島大学 妹尾 知昭)
【4】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆難民偽装問 悪用防ぐ制度見直しが必要だ(YOMIURI ONLINE 2月22日社説 要約)
【5】自由書き込み欄
【6】編集後記
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【1】今号のトピック
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◆まるがめ春休みにほんごひろばは3月25日・26日・27日の3日間開催
今年度の「まるがめひほんごひろば」の締めくくりとして、春休みひろばを次のとおり開催します。学習サポーターの皆さんの積極的な参加をよろしくお願いいたします。
〇と き3月25日(水)・26日(木)・27日(金)の3日間 いずれも10:00~12:00
〇ところ 丸亀市城乾コミュニティセンター2階小会議室・いこいの間
〇集合時間 25日は9時15分 26日・27日は9時30分
●現時点のサポーター参加状況 8名(3月25日:7名・26日:8名・27日:7名)
 学生ボランティア参加状況
◆来年度のまるがめにほんごひろばのサポーター参加状況について
まるがめにほんごひろばでは、これまでの夏・冬・春休み期間中での開催に加え、27年度から(開始時期は未定)、毎月2回土曜日の10:00~12:00に、丸亀市城乾コミュニティセンターで子どもたちの学習支援を行うことを計画しています。現時点での参加状況をお知らせします。
①毎月第1・第3土曜日又は毎月第2・第4土曜日:4名②毎月土曜日1回のみ:2名③ 2ケ月単位で土曜日のみ1回:1名④今まで通り、夏・冬・春休み期間のみ:5名⑦今のところ予定があり参加できない:1名
【2】研修会・講演会情報
◆外国につながりのある子どもたちの「居場所」づくりフォーラム(2月8日 大阪市北区扇町)
(特活)トルシーダ代表 伊東浄江(豊田市)、中学校教員 安野勝美(東大阪市)、
(特活)関西国際交流団体協議会 松本彩 の3名から報告があった。
(1)「不就学の子どもの日本語教室、出口としての就労支援」(特活)トルシーダ代表 伊東浄江(豊田市)
〇トルシーダでは、豊田市保見団体を主な活動場所としており、団地内3,600人のうち、約40%は自動車整備、タイル工場、機械製作会社などに勤めるブラジル人家族である。
〇日本語教室CSNの在籍の子どもたちは、122名、不就学、不登校、ブラジル人学校在籍、プレスクール、学齢超過など、多様な背景をもっている。
〇子どもたちの居場所づくりを通した日本語教室の活動を行っており、日本語支援、進路支援以外にも、就労支援の取り組みも行っている。
〇階層意識の高い国の子どもたちは、親の影響もあってか、職業に対するイメージがもてない場合が多い。進路について考えることが難しい。(フィリピンの子:銀行に努めたいが、だめなら、シクロ(自転車タクシー)の運転手になる。)
〇このため、夢育プロジェクト事業を立ち上げ、外国の若者を対象に就労活動の支援事業を行っている。(工場見学、就業規則を学ぶ研修会、企業へのボランティア受け入れ依頼など)
(2)NPO・地域の連携による放課後学習支援教室「Minamiこども教室」
〇大阪市中央区に在住する外国にルーツを持つ子どもの学習支援と居場所づくりを目的に外国人支援NPOなどで実行委員会(地元の南小学校も加わる。)を結成した。
〇2012年4月に中央区でフィリピン女性による実子刺殺自殺未遂事件が発生した。 シングルマザーで子育ての悩みを抱えていた。子どもは、学力が低く、夜間子どもが1人いることが多い。
〇教室の子ども登録数:27人(フィリピン国籍多い。)ボランティア登録数:44人(別に、教室終了時刻20:00後、家まで一緒に送るボランティアもいる。)
〇地元の南小学校の協力:子どもへの参加呼びかけ、保護者への説明、保護者との面談協力、職員との意見交換など
〇大学との連携:近畿大学のゼミで活動紹介し、その後学生ボランティアが参加
(質疑応答)
・トルシーダへの助成先は?国際移住機関の定住外国人の子どもの就学支援事業
・教委、学校の協力をとりつけるには?:人権教育に熱心な教員の力を得て、教委に働きかえる方法もある。
・南小学校の校長先生からの発言:Minamiこども教室に通うようになって、子どもが変わってきたことを職員が実感するようになり、連携が深まった。
・居場所づくりの姿勢:子どもが継続して来てくれるための取り組みが必要。子どもがそこに価値をみいだすことが大事。自分にも何らかの役割があることを自覚し、次の一歩を踏み出せるよう支援する。安心して何でも相談できる場所となることを目指している。・就労支援プログラム:引きこもっていた子どもが外にでるきっかけになった。
【3】書籍・論文の紹介
◆小学校での教科学習のための日本語指導のあり方(東京外国語大学 横田淳子)抜粋
生活日本語と学習日本語
一般に生活日本語は、日常生活で使われる言葉、それも主にインフォーマルな環境で話される言葉を指しているようだ。それに対して学習日本語は教科者、宿題、テストなどで書かれている言葉を中心にして、さらに教師が授業で使うフォーマルな言葉も含めて指している。各教科に特有な専門用語が学習日本語として特に取り上げられることも多いが、専門用語は教科学習の中で概念と共に学ぶもの・・生活日本語は音声言語が中心で、基本的に文字を介さないのに対し、学習日本語は書かれた言葉が中心で、その習得にはひらがな、カタカナ、漢字という文字の学習が欠かせない・(中略)・生活日本語はコミュニケーションの内容が生活に関する情報であり、場面からの助けが期待できるが、学習日本語は場面や文脈から補助を求めにくく、言語そのものから意味を把握しなければならない・・言語を理解し、組み立てる文法力が必要になってくる。・・教科学習につながる日本語指導の方法として、教科学習を視野に入れ、初期の段階から文字を教え、体系的に文型を指導し、文字を通して文を確認すること・・文型を指導するといっても、それは文法を明示的に説明して教えることではない。指導する側が指導項目としての文型をしっかり把握し、その文型が使われる状況を作り、文例をたくさん示すことによって、学習者が自己の中に文法を内在化させるのを助ける。・・初期
の日本語指導の次の段階として・・一つの支援の方法は、・・理解しやすい日本語に置き換えて、教科の内容を理解させ、・・日本語を・・習得させるやり方である。・・教科書の複文をわかりやすい単純な文に置き換える・・もう一つの支援の方法は、教科学習で各教科共通に出てくる文型を指導し、外国人児童が理解できる日本語を少しでも増やそうというものである。・・子供のための日本語教育では日本語力を養成するためだけに長い時間をつかうことはできない。・・初期の生活日本語の段階が終わったところで、中級・上級という段階を踏まえず、一気に教科学習で必要な日本語を選択的に指導する必要がある。・・・・・・・・・・・
http://repository.tufs.ac.jp/bitstream/10108/20971/1/jlc030005.pdf#search=’%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%81%A7%E3%81%AE%E6%95%99%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%BF%92%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E6%8C%87%E5%B0%8E%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8A%E6%96%B9′
◆入門期外国人児童を対象とした文型指導の意義と可能性(広島大学 妹尾 知昭)
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/35895/20141016210646893124/JEEC_1_93.pdf
【4】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆難民偽装問 悪用防ぐ制度見直しが必要だ(YOMIURI ONLINE 2月22日社説 要約)
深刻な迫害から逃れてきた難民を救済するための制度が、就労目的の外国人に悪用されている。悪用が横行している実態は、昨年11月、ネパール人のブローカーの男が入管難民法違反(不法就労助長)容疑で入管当局に摘発されたのを機に表面化した。男は、短期ビザなどで来日した多数のネパール人に虚偽の難民申請をさせて、仕事をあっせんしていた。2010年3月の制度改正で、正規在留者は申請から6か月を超えれば、一律に就労できるようになった。不認定とされても、異議申し立てや再申請を繰り返せば、合法的に働き続けられる。この改正以降、同様の就労目的の虚偽申請が相次ぎ、難民申請の総数が急増している。14年中の申請者は、10年の4倍超の約5000人に達し、異議申し立ても増え続けている。入管当局の認定審査も追いつかない。結果が出るまでの期間は、11年度の平均5・25か月から、14年は6・3か月に延びた。異議申し立ての審査には、さらに平均約2年5か月を要している。審査の長期化は、救済されるべき難民の保護の遅れにつながる。看過できない状況だ。難民調査官などを増員する一方、申請理由が明らかに難民に該当しないケースは、早い段階で審査対象から外すなど、認定審査の効率化を図る必要がある。
欧州連合(EU)は、最初の申請と同じ理由での再申請を却下する「一事不再理」の導入を加盟国に促している。参考にしたい。一連の偽装申請には、実習先から逃亡した外国人技能実習生も多数、関わっている。
技能実習制度は、途上国の人に日本の技術を伝えるのが狙いだ。就労目的の偽装申請をするために、実習制度を「隠れみの」に来日したとすれば問題である。
※母国の許可を得て来日する技能実習生が難民に該当するとは到底考えられないが、日本では人道上の観点から、実習生でも申請を受け付けているという。実習生は最低賃金ぎりぎりで、手取りは月に10万円前後だが、実習先から逃亡した実習生は偽装難民申請で月15万円前後はもらえるという。人手不足に悩む企業主、高収入を得たい実習生、難民申請制度の改正を逆手にとって利益を得るブローカー、この3者の共通の利害が一致した中での今回の摘発。2020年の東京五輪に向けた改革にも影響を与えそうだ。
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【5】自由書き込み欄(このメールマガジンへの注文、ご意見をお寄せください。いただいたご意見などを踏まえ、皆んなで意見を交換し、いいメールマガジンにしていきましょう。)
                                              
 
【6】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
外国につながりのある子どもたちの「居場所」づくりフォーラムに参加した。発表者のうち、豊田市のトルシーダ伊東代表の「子どもが次の一歩を踏み出せるよう支援する。安心して何でも相談できる場所となることを目指している。」の言葉が印象的だった。まるがめにほんごひろばも、継続性のあるグループとして成長するためにも、どんな目標を持って活動していくのか、参加者とともに話し合うことが大切だ。
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▼「まるがめにほんごひろば」の学習サポーター及びメールマガジンの配信を希望される方は、随時申込を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください!
■編集・発行 まるがめにほんごひろば事務局 文責:安藤 
〒760-0017 
高松市番町1-11-63 アイパル香川
TEL:087-837-5908 FAX:087-837-5903
E-mail: qzp10324@kir.biglobe.ne.jp
配信希望・停止のお申し出は、安藤までお願いします。
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「まるがめにほんごひろば」メールマガジン             
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~ 
第12号(2015年4月2日発行)毎月1回     
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◆目次◆
【1】今号のトピック
◆まるがめ春休みにほんごひろばが開講
【2】外国人住民等に関する統計
◆外国人介護福祉士候補者 都道府県別受入れ人数(平成27年1月1日 厚生労働省資料)
【3】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆入管法改正案:「介護」在留資格に  専門職扱い 閣議決定(毎日新聞 3月14日)
◆国籍法の国籍喪失規定「合理的で合憲」 最高裁が初判断
【4】自由書き込み欄
【5】編集後記
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【1】今号のトピック
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◆まるがめ春休みにほんごひろばが開講
平成27年3月25日・26日・27日の3日間、10:00~12:00 丸亀市城乾コミュニティセンター2階小会議室・いこいの間(和室)で開講した。
3月25日(水)参加児童数8名(男2名 女6名)(ペルー8名)
学習サポーター8名と南米のブラジル、アルゼンティン、ペルーから県国際課が招致した日本語研修生3名の計11名が参加
3月26日(木)参加児童生徒数8名(男3名 女5名)(ペルー7名、中国1名)
学習サポーター8名と南米の研修生3名の計11名参加
3月27日(金)参加児童数10名(男3名 女7名)(ペルー 名)
学習サポーター8名が参加
実児童生徒数14名(男4名・女10名)ペルー13名・中国1名
(学習内容)春休みの宿題(算数計算問題、地理、社会問題、漢字練習など)、
集団活動「輪になって座り、くるくる変わる自分の番号と相手の番号を交互に言いあうゲーム」
「なんでもバスケット」いすを一重円に並べて座る。最初の鬼はリーダーがなる。リーダーの示す条件に当てはまる人は,移動して座る。座れなかった人が,次の鬼になって繰り返す。
       「進級した学年でやってみたいこと」を発表した。
(感想)
・今回は、3回の開催となったが、毎回8名以上の参加で、まずまずであった。
・城乾小学校のペルーにルーツをもつ子どもがほとんどであった。他の国籍の子どもたちの参加がなかったことは残念であった。
・子どもたちは、算数の計算問題、漢字の書き取り問題、社会科の穴あき問題などに、騒ぐこともなく、黙々と宿題に取り組んでいた。
・今回は、初めて参加する子どもが2名あった。そのうち、一人は、今年4月に城乾小学校に入学する女子で、もう一人は、今年4月に東中学校に入学する女子で、どちらも、日本語の初期指導をしっかりやる必要がある。
・6月20日(土)から、毎月2回(第1・第3土曜日)のひろばを開始する。今回参加した子どもたちは、ほぼ全員が夏・春・冬休み期間以外のひろばに参加してくれると言ってもらえたので、安心した。新しくひろばに参加した子どもなど、日本語の初期指導の必要な子どもも多い。私たちのサポートを待ってくれていると信じて、これからも頑張ってやりたいと思った。
【2】外国人住民等に関する統計
◆外国人介護福祉士候補者 都道府県別受入れ人数(平成27年1月1日 厚生労働省資料より)
日・インドネシア経済連携協定(平成20年7月1日発効)に基づき平成20年度から、日・フィリピン経済連携協定(平成20年12月11日発効)に基づき平成21年度から、日・ベトナム経済連携協定に基づく交換公文(平成24年6月17日発効)に基づき平成26年度から、年度ごとに、外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れを実施してきており、これまでに3国併せて累計2,377人が入国してきた。(平成26年度の入国完了(平成26年6月16日)時点)平成26年度に来日した外国人介護福祉士候補者は、全国で405人(インドネシア145人、フィリピン143人、ベトナム117人)、香川県内では、30人(インドネシア9人、フィリピン12人、ベトナム9人)。
全国33の都道府県で受入れがあり、香川県は全国平均の2.5倍にもまり、4番目に多い県となっている。(岡山県、神奈川県、千葉県に次ぐ)25年度が10人、24年度が11人、23年度が4人だったことからみると、26年度が突出していることがわかる。香川県では、介護福祉士の確保が厳しいのか?ちなみに、25年度までに、274人が介護福祉士試験に合格している。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000076652.html
【3】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆入管法改正案:「介護」在留資格に  専門職扱い 閣議決定(毎日新聞 3月14日)
政府は6日、日本で介護福祉士の国家資格を取得した外国人が継続的に働けるよう、在留資格に「介護」を設けることなどを柱とした入管法改正案を閣議決定した。
現在は専門的な技術を持つ「投資・経営」「医療」など16職種に限って就労可能な在留資格が与えられるが、入管法改正で新たに「介護」を加える。留学生の資格で入国した後、国が指定する介護福祉士養成機関(昨年4月現在、378校)で学んで資格を取った外国人が対象となる。養成機関では毎年900人程度の受け入れが可能といい、資格取得後は違法行為などがなければ在留期間(5年以内)を更新して継続的に働ける。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/politics/article/152425
◆国籍法の国籍喪失規定「合理的で合憲」 最高裁が初判断(朝日新聞デジタル 3月10日)
両親のいずれかが日本人である場合、子は外国で生まれても日本国籍を得るが、3カ月以内に日本の役所に届けを出さなければ日本国籍を失う――。そう定めた国籍法12条の規定が憲法に違反するかが争われた訴訟の上告審判決が10日、最高裁第三小法廷であった。大谷剛彦裁判長は「二重国籍を避けるとする立法目的は、合理的で合憲だ」との初判断を示した。
http://www.asahi.com/articles/ASH3B52FTH3BUTIL02J.html
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【4】自由書き込み欄(このメールマガジンへのご注文、ご意見をお寄せください。記入後、このまま返信ください。いただいたご意見などを踏まえ、皆で意見を交換し合い、いいメールマガジンにしたいと思っています。)                                           
【7】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
桜の季節になりました。今週土日は天候があまりよくないようなので、今のうちに今年の桜を目に焼き付けておきたいものです。毎月2回実施のこどもひろばもいよいよ6月からスタートです。これから、準備のための打ちあわせを何度か行いますので、参加よろしくお願いします。
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2014.10第7号~2014.12第9号

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「まるがめにほんごひろば」メールマガジン             
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~ 
第7号(2014年10月31日発行)毎月1回月末及び随時発行予定    
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◆目次◆
【1】今号のトピック
◆災害時における多言語情報伝達訓練in丸亀が10月19日に開催された。
◆移住労働者と連帯する全国ネットワーク・情報誌「Migrants Network」10月号からの抜粋
【2】研修会・講演会情報
◆異文化間教育学会第35回大会報告(NO.2)
外国人散在地域における「特別の教育課程」の編成・実施にむけて(発表者:山形・福島・岩手大学関係者)
【3】書籍・論文の紹介
◆外国にルーツを持つ子どもの実態調査(新宿区)
【4】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆外国人技能実習、新組織が立ち入り調査へ
◆日本語パートナーズ第1期派遣
◆ポルトガルのリスボンの歌で世界文化遺産になった「ファド」のライブが丸亀市で11月2日開催
【5】自由書き込み欄
【6】編集後記
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【1】今号のトピック
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◆災害時における多言語情報伝達訓練in丸亀が10月19日に開催された。
昨年12月と今年1月にアイパル香川で開催した外国人住民と通訳ボランティアを対象とした避難所訓練、多言語支援センター開設訓練に続いて、10月19日丸亀市生涯学習センターを会場に、外国人住民のための防災訓練と丸亀市、善通寺市、三豊市などの行政・団体職員、近隣の通訳、日本語指導ボランティアを対象に、多言語情報伝達訓練が開催された。昨年が県内全域の外国人住民や県民の関係者を対象としたものであったが、同様の訓練は地域で開催されることがより重要であるとの考えから、丸亀市の全面的な協力のもと、近隣行政機関の参加も得て実施された。参加者は、丸亀市国際交流協会の水曜教室や日曜日にほんご教室の外国人受講者や丸亀市内企業の技能実習生、市内在住の外国人住民ら6か国の28名と行政職員、団体職員、ボランティア、川西地区自主防災会会員ら37名。前半は、4階では外国人住民のための防災訓練(日本語講座を含む。)と5階では行政・団体職員、ボランティア向けの多言語情報伝達訓練がそれぞれの教室を使って行われ、後半からは、5階の伝達情報班・総務班3チームが4階の被災者と想定した外国人住民3グループを巡回訪問し、災害情報を伝えるとともに、避難所生活で困ったこと、要望したいことなどを聞き取る訓練を行った。
※振り返りの時間では、外国人住民からは、訓練実施についての感謝の発言があったほか、日ごろから災害に備えた行動をとる必要性があることの感想があった。県人参加者からは、外国人住民の存在を改めて意識化することの重要性や顔の見える関係づくりをどのように作っていくかの課題も挙げられた。多文化共生マネージャー全国協議会の時講師から、外国人住民の皆さんに、避難所が設置されたらそこに行くかどうかを尋ねられ、ほぼ全員が参加したいと答えるなど、このような訓練の継続した実施を通じ、顔の見える関係づくりの糸口があるように感じた。
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/locality/photo.aspx?id=20141022000138&no=1
◆移住労働者と連帯する全国ネットワーク・情報誌「Migrants Network」10月号からの抜粋
〇外国人人材受け入れに活用する国家戦略特区とはなにか 移住連運営委員 中島由美子
従来の「特区」(2003年小泉政権時の「構造改革特区」、2011年菅政権時の「総合特区」)が地方自治体などが規制緩和を国に申請するボトムアップだったのに対し、国家戦略特区は、国からのトップダウンで規制改革を進める仕組みになっている。(中略)国家戦略特区は、内閣総理大臣の決定権が大きく、選挙で選ばれたのではない、有識者と言われる民間議員に規制緩和の意思決定県を与えている。(中略)国家戦略特区には、民主主義や憲法に触れる問題がある。(中略)国家戦略特区に指定された6つの地域では、・・・外国人材の受け入れを見ると、福岡市(グローバル創業・雇用創出特区)に、外国人医師・外国人看護師の業務解禁、外国人の在留資格の見直しなど、沖縄県(観光特区)には、外国人観光客の入国の容易化。入管手続の迅速化、外国人潜水士・海外からの高度人材の受け入れが、関西圏(広域特区)には、外国人家事支援人材の受け入れが国から示された。(中略)ともかく、仕組みに問題の多い国家戦略特区の活用は、外国人労働者の無権利状態での受け入れ拡大につながる気がしてならない。※そのほか、東京圏(広域特区)、新潟市・兵庫県養父市(農業特区)がある。(下線部は、安藤加筆)
【2】研修会・講演会情報
◆異文化間教育学会第35回大会報告(NO.2)
外国人散在地域における「特別の教育課程」の編成・実施にむけて(発表者:山形・福島・岩手大学関係者)
学校教育法施行規則が改正され、今年4月から義務教育諸学校において日本語指導の「特別の教育課程」の編成・実施が認められ、学校における日本語指導が教育課程に正式に位置づけられた。
この「特別の教育課程」の編成・実施が、外国人散在地域で実質的に意味あるものとして機能させていくにはどうしたらいいのかについて発表があった。
〇情報周知:各地域で情報を周知する場がつくられること。
〇研修:県教委の支所である教育事務所や県の教育センターを活用する。
〇教材:中学生用の日本語教材が不足している。カリキュラム事例、年齢や発達に即した初期指導教材、教科学習用教材の教材開発が急がれる。
〇人材:外国につながる子どもの指導経験、知識のある教員を学校に配置し、必要な研修に参加させる。
管理職、学級担任、養護、特別支援コディネータなど学校内教職員の連携。長年、子どもの教育支援を支えてきた外部支援者を保護者、補助指導者などの仲介役として活用する。
〇統括する組織:教育支援に関わる団体、組織が一堂に会し、議論および実働していく場としての「協議会」の設置の必要性。
※「特別の教育課程」の編成・実施については、本メルマガ1月31日発行号を参照してください。
【3】書籍・論文の紹介
◆外国にルーツを持つ子どもの実態調査(新宿区)
・新宿区内在住の外国人登録世帯のうち、6~15 歳の子どもがいる家庭(1,155 世帯)、および国民健康保険に加入している混合世帯のうち、日本国籍の子どもを養育している世帯(322世帯)、計1,477 世帯への全数調査。・有効回収率(回収数/有効送付数):保護者票29.0%、子ども票29.1%
(1) 日本語の使用状況やそれに伴う教育上の課題
■多くの家庭での使用言語は母国語  
・子どもと話す時の言語と子どもの国籍を比較すると、回答割合は概ね一致することから、家庭内での使用言語は主に母国語となっている。
・特に、保護者が日本語を十分に習得できていない家庭では、使用言語は母国語が用いられる傾向にある。一方で、インタビュー調査では、家庭での使用言語が日本語、または母国語と日本語の両方を用いている家庭では、児童・生徒が母国語を十分習得できていない傾向がみられた。中国、韓国の国籍をもつ子どもの8割、フィリピン国籍の子どもは5割が家庭では母国語で話す。
■大半の保護者が日本語で子どもの勉強をみることができない
保護者の全体でみても、児童・生徒の家庭の約半数以上が日本語で教科を教えることができていない。
(2) 子どもの教育に関する悩みや相談相手について
■滞在年数とともに、保護者の悩みは日本語の習得から進学・就職へと変化
来日から3年未満では概ね日本語の習得が主な悩みになっているが、5年以上になると進学・就職などの
悩みが増える傾向にある。
■子どもの教育に関する相談相手は、家族、同じ国籍のコミュニティや学校の先生
(3) 不就学児童の現状とその理由について
■「過去に在学していたが、現在は在学していない」「在学したことは無い」で2.3%を占める。
・在学していない理由をみると、「日本語がわからないから」、「授業について行けないから」および「友達ができないから」となっている。
【4】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆外国人技能実習、新組織が立ち入り調査へ
政府は、外国人技能実習生を受け入れている企業や団体に対する監督・指導を強化するため、立ち入り調査権限を持つ新組織を創設する方針を固めた。
賃金不払いなど法令違反が絶えないためで、2015年の通常国会に新法案を提出し、15年度中の実現を目指す。
外国人技能実習は、途上国への技術移転を目的に、外国人に最長3年間の滞在を認め、農林水産業などの技術を習得してもらう制度だ。13年末現在で約15万5000人の実習生がいる。
ただ、一部で、人手不足を補う安価な労働力として使われている実態がある。賃金不払いやパスポートの取り上げ、必要な講習を行わないなど、雇用主側による不正行為の件数は13年、前年比5割増の366件に上った。こうした中、実習生を保護する態勢を拡充する必要があると判断した。
◆日本語パートナーズ第1期派遣
9月12日(金)、“日本語パートナーズ”としては初めての出発となる、タイ1期29名が日本を出発!
日本語パートナーズ”の活動が、いよいよ始まろうとしています。2014年9月12日(金)、約1ヶ月間の研修を修了し、タイ1期の総勢29名が日本を出発しました。“日本語パートナーズ”は、ASEAN諸国の主として中等教育機関で現地の日本語教師と学習者をサポートしながら、教室内外で言語や文化の交流を深め、将来的にASEAN諸国と日本の友好関係につなげることを目標としています。 出発に先立ち、インドネシア、タイおよびフィリピンに派遣される“日本語パートナーズ”第1期メンバーのうち36名が、安倍総理を表敬訪問しました。“日本語パートナーズ”派遣事業は、2013年12月の「日・ASEAN特別首脳会議」において安倍総理が発表した「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト~知り合うアジア」の大きな柱となるものです。今後も段階的に派遣国と人数を増やし、2020年までに3,000人以上を派遣する予定です。
http://jfac.jp/partner/start_09_12/
◆ポルトガルのリスボンの歌で世界文化遺産になった「ファド」のライブが丸亀市で11月2日開催
14時から、丸亀市津森町の「ポルトガル料理MU」で、関西を中心に活躍するファディスタ津森久美子さんのライブが開かれます。ブラジルの方や日本語ボランティアの方を誘ってご参加ください。料金は1,000円
http://facebook.com/events/276520012543876/?source=1
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【5】自由書き込み欄(このメールマガジンへの注文、ご意見をお寄せください。いただいたご意見などを踏まえ、皆んなで意見を交換し、いいメールマガジンにしていきましょう。)
                                              
【6】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メルマガ試行第3号で紹介した「日本語パートナーズ派遣事業」がタイ1期29名でスタートした。顔ぶれをウエブみると、そのうち5名は中高年齢者であり、その熱意のほどが伝わってくる。国際交流基金のホームページで、派遣事業の説明会のお知らせ記事が掲載されるので、興味ある方はぜひご覧ください。2014年は、3月、5月、10月に東京、大阪、京都、名古屋、福岡会場で開催された。
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■編集・発行 まるがめにほんごひろば事務局 文責:安藤 
〒760-0017 
高松市番町1-11-63 アイパル香川
TEL:087-837-5908 FAX:087-837-5903
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配信希望・停止のお申し出は、安藤までお願いします。
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「まるがめにほんごひろば」メールマガジン             
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~ 
第8号(2014年11月30日発行)毎月1回月末及び随時発行予定    
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◆目次◆
【1】今号のトピック
◆米移民制度改革、オバマ大統領が権限行使表明 共和党は反発(ワシントン 20日 ロイター)
【2】外国人住民等に関する統計
◆平成26年6月末現在における在留外国人数について(確定値) (法務省)
【3】研修会・講演会情報
◆四国MO第一回勉強会「丸亀解体新書」~想いを若手(わかって)~11月8日 13:00~16:00
【4】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆外国人技能実習の対象に介護分野を検討(NHK)
◆災害時の外国人向けアプリを開発(NHK)
◆シリーズ日本で暮す外国人(NHK Eテレ ハートネット)11月4日、5日、6日すべて20:00~20:30
【5】自由書き込み欄
【6】編集後記
_________________
【1】今号のトピック
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◆米移民制度改革、オバマ大統領が権限行使表明 共和党は反発(ワシントン 20日 ロイター)
オバマ米大統領は20日夜、国民向けに演説し、議会の承認を必要としない大統領権限を行使して移民制度改革を断行する考えを示した。約470万人の不法移民の救済につながるが、共和党は強く反発している。米国には現在、1100万人の不法移民が存在するとされる。改革では、子供が米国の市民権や永住資格を持つなど一定の条件を満たす不法移民に一時的な滞在を認める。対象者は440万人程度と見られる。また、親と一緒に米国に不法入国した子供について、大統領は2012年に国外退去を免除する措置をとっているが、今回の制度改革ではこの救済措置も拡充される。これには27万人が対象となる見通しだ。http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKCN0J501E20141121
大統領令の対象は、米国に5年以上在住し、米国籍や永住権を持つ子どもの両親。3年間の期限付きで不法滞在者の強制送還を免除し労働許可を与えるという内容。審査に合格した移民が税金を払うことを条件に3年間の滞在を認めるもの。ただし、市民権は獲得できず、政府の福利厚生や医療保険の対象にはならないという。※将来、日本の不正規滞在者について、条件付きで滞在を認める一つの案として注目していいのではないか。
【2】外国人住民等に関する統計
◆平成26年6月末現在における在留外国人数について(確定値) (法務省)
 在留外国人数(中長期在留者数及び特別永住者数を合わせた数)の統計は,平成25年から年末現在及び6月末現在の年2回公表しています。
昨年6月末より全国総数で37,480人の増加で、2,086,603人となり、香川県では333人の増加で8,689人。
国籍別では、全国では、ベトナムが38.1%増、ネパールが30.9%増、台湾が25.4%増であり、香川県では
ベトナムが76.5%増、ブラジルが23.9%増、台湾が19.4%増となっている。
※丸亀市では、42人の増加で、ベトナム国籍の20.0%増が突出している。市町では、高松市のブラジル国籍が86人増の138人で2.6倍になっている。
在留資格別では、全国で技能実習のうち団体管理の1年目が13.8%増、特定活動が13.1%増、興行が12.4%増、留学が10.3%増であり、香川県では企業内転勤が3.8倍増、技術が2.1倍増、特定活動が24.1%増、技能実習のうち企業単独の2年目が19.7%増、永住者の配偶者等が18.2%増、興行が14.3%増、技能実習のうち団体管理の1年目が11.1%増となっている。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00043.html
【3】研修会・講演会情報
◆四国MO第一回勉強会「丸亀解体新書」~想いを若手(わかって)~ 11月8日 13:00~16:00
後半のワークショップから参加しました。参加者は30名ほど。5つのグループに分かれ、丸亀市を題材として、丸亀市の活性化について話し合いました。私のグループには、丸亀市在住のスペイン人が参加していて、ペルー人の生活上の問題について発言がありました。①奈良県在住のペルー人は、香川県の造船関係の景気がいいとの友人の話を聞き、丸亀市に移住したいと来県したが、手持ち金がなく困っている。どこか公的機関でお金を貸してくれるか、援助してくれることはできないか。②外国人住民は、アパートを借りる場合、日本人の保証人を要求されるが、そんな知り合いはいない。③運転免許をとりたいが、スペイン語の翻訳はない など。こんな声を行政に伝えたり、要望することが外国人住民には
難しい現実がある。
 終了後は、丸亀通町商店街の商店主が通路に畳と炬燵を4~5台据えて通行人も巻き込んで鍋を囲んで懇親会、「ただ今 おきゃく」の実験イベントに勉強会のメンバーが参加。梶市長も参加、主催の商店主の一人が私の中学時代の同級生の旦那であることが偶然わかり、一層盛りがった会となった。
【4】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆外国人技能実習の対象に介護分野を検討(NHK)
外国人に国内の農業や製造業などの現場で働きながら技術を身に着けてもらう「外国人技能実習制度」について政府はことし6月の閣議決定で、「介護」などの分野を新たに対象に加えるかどうか検討することを決めています。
これを受けて厚生労働省は介護事業者の代表や学識経験者などで作る会議を設けて検討を始めました。
外国人技能実習制度への介護分野の追加を巡っては、実習生の日本語の能力が十分でなければサービスの質が低下するとか、業界全体の賃金を引き下げることにつながるなどとして慎重な対応を求める意見もあり、会議では実習生に求められる日本語の能力や、実習生の賃金水準をどのようにして担保するのかなどについて検討していくことにしています。厚生労働省は年内に意見を取りまとめたうえで入国管理を所管する法務省と協議することにしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141103/k10015896961000.html
◆災害時の外国人向けアプリを開発(NHK)
日本を訪れる外国人旅行者に、地震や津波など災害が起きた際の安全を確保してもらおうと、観光庁は、英語などで避難を促すスマートフォン向けのアプリやガイドラインを作成しました。3年前の東日本大震災では、外国人旅行者が地震に驚いてパニックになったり、ことばが分からなかったりして、避難の誘導ができない事態が発生しました。これを教訓に観光庁が作成したスマートフォン向けのアプリは、緊急地震速報や津波警報が出た場合、避難を促す外国語のメッセージが直ちに届くもので、外国人旅行者に空港などでダウンロードしてもらうことにしています。また宿泊施設向けのガイドラインでは、地震や津波が少ない国からの旅行者を考慮し、地震が起きても慌てて外に飛び出さないことや、津波のおそれがある場合、高台に逃げることなどを、英語や韓国語など4種類の言語で呼びかけています。
ガイドラインの中では、宿泊施設に外国語で避難を呼びかけるカードを作って、避難訓練を行うことや、防災グッズとして聖書やコーランを用意しておくことなども求めています。観光庁は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに、外国人旅行者を2000万人に増やす目標を掲げていて、安心して旅行できる環境を整えたいとしています。
外国人旅行者への情報伝達を充実
日本を訪れる外国人旅行者の数は、円安傾向や航空路線の拡充などを背景に、ここ最近、大きく伸びています。ことし9月までに日本を訪れた外国人旅行者は973万人余り。初めて年間1000万人を超えた去年の同じ時期を26%上回っていて、政府は、ことしは年間1200万人に達すると見込んでいます。ただ外国人旅行者からは、日本は地震が多いうえ、東日本大震災のような大きな津波の被害もあったことから、いざというときの対応に不安を感じるといった声も聞かれます。東京を訪れているブラジル人男性は、「ブラジルは自然災害が少ない国なので、いざ発生するとどうしていいか分からない」と話していました。またニュージーランドから来た男性は、「津波が心配だ。日本は人も多く、人混みに巻き込まれたら怖い」などと話していました。災害がおきた際、外国人旅行者にどのようにして詳しい状況や避難に関する情報をいち早く伝えるかが課題となるなか、観光庁が新たに作成したのがスマートフォンやダブレット端末向けのアプリです。
このアプリは、無料でダウンロードができ、緊急地震速報や津波警報が出た場合、その内容や避難を促すメッセージを英語で通知します。また、「沿岸部にいますか」とか「近くで火事が起きていますか」といった質問に答えていけば、どのように行動すればよいかを英語でアドバイスするページを用意しているほか、知りたい情報を日本人に尋ねる場合の日本語訳や読み方なども紹介しています。
政府は、観光地のPRだけでなく、こうした災害時のサポート態勢も充実させることで、さらなる外国人旅行者の誘致につなげたい考えです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141102/k10015892741000.html
◆シリーズ日本で暮す外国人(NHK Eテレ ハートネット)11月4日、5日、6日すべて20:00~20:30
第1回ともに働く介護現場のいま(抜粋)
福祉や介護の現場で働く外国人の数は、この5年間で倍増している。日本人と外国人がともに働くために、何が求められているのか。福祉や介護の現場で働く外国人の数は、この5年間で倍増しています。施設現場からは、命を預かる現場で、十分に日本語ができない外国人スタッフに仕事を任せられるのかといった意見もある。ある施設では、介護する外国人がお年寄りたちに日本語を教えてもらっている。こうした時間が、今ではお年寄りたちにとっても、大きな楽しみになっているという。外国人にとって日本語大きな壁だが、ドイツでは、600時間以上ドイツ語を学ぶということが義務づけられている。彼らの持ってる人と接する能力、明るさ、それから接触することをあんまりいとわないことが、日本人以上に人気のある。
第2回外国人高齢者の現場から(抜粋)
日本にいる外国人のうち、65歳以上の高齢者は現在およそ14万5,000人。最も多いのは戦前戦中来日した韓国、朝鮮人。更に日系ブラジル人、ペルー人や、中国にルーツを持つ人たちなどで、年々増加している。
高齢化の問題は日本人だけの問題ではない。外国人の人たちの問題だから外国人のコミュニティが面倒見ればいいんだという事ではなくて、日本人の市民の人たちもその問題に関わって交流をしていくというような事も日本ではできればいい。
第3回ともに生きるヒントを探る
外国にルーツを持つ人たちとともに暮らすために何が必要なのか、全国の先進地の取り組みなどから、多様な文化・背景を持つ人たちがともに生きるための知恵出すことが必要である。番組では、可児市のNPOと群馬大学・群馬県の取り組みを紹介している。
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【5】自由書き込み欄(このメールマガジンへの注文、ご意見をお寄せください。いただいたご意見などを踏まえ、皆んなで意見を交換し、いいメールマガジンにしていきましょう。)
                                              
【6】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
シリーズ日本で暮す外国人(NHK Eテレ ハートネット)では、日本に住む外国人住民の高齢化がテーマ。日本語もわからず、日本人とのコミュニケーションも閉ざされ、失意のままこの世を去ろうとする外国人住民の存在が浮き彫りになった。子どもたちの将来も課題だが、高齢者のケアもまた問題である。
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「まるがめにほんごひろば」メールマガジン             
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~ 
第9号(2014年12月31日発行)毎月1回月末及び随時発行予定    
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◆目次◆
【1】今号のトピック
◆平成26年度まるがめ冬休みにほんごひろばを開講しました。
◆文化庁「生活者としての外国人」の地域日本語教育実践プログラム平成25年度事業実施内容報告
◆中央教育審議会答申「子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について」
【2】研修会・講演会情報
◆RINK(すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク)記念講演
「労働者を労働者として 今すすむ『外国人受入れ論議』とは」講師:鳥井一平(移住労働者と連帯する全国ネットワーク事務局長)
【3】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆明石市が外国人投票権認める住民投票条例の成立“断念”
◆(フランス)外国人の滞在許可に関する法案を閣議決定
―滞在許可手続き簡素化、高度人材外国人の優遇と不法入国者対策を強化
◆ヘイトスピーチ、許さない(法務省 ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動)
【4】自由書き込み欄
【5】編集後記
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【1】今号のトピック
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◆平成26年度まるがめ夏休みにほんごひろばを開講しました。以下、その報告をします。
開催日 平成26年12月26日、27日 2日間 10:00~12:00
場所 丸亀市城乾コミュニティセンター 2階小会議室・和室
参加児童 小学4年生~6年生
児童数  第1回 1名・第2回 3名
児童実人数3名(女3名)外国との繫がり(ペルー2名、中国1名)
サポーター数 第1回12名・第2回13名
実人数 14名(学習サポーター11名、四国学院大学生2名、高校生1名)
(実施内容)
○冬休みの宿題支援(漢字ドリル・算数、社会宿題帳など)
○自分のしたい学習の支援(絵カード、折り紙、日本地図パズルなど)
(感想)
〇予想に反し、参加児童はこれまでで一番少なかった。一時帰国やクリスマス明けでかつ寒い朝での参加意欲の低下などが考えられる。
〇来年には中学生になる児童もおり、3年間ひろばを通じて、彼女の成長のあとが窺えて嬉しかった。
〇4年生の児童も、ずいぶん成長し、ボランティアとのコミュニケーションも豊かなになっている。取り出し授業が多いと思われるが、在籍学級の友人との交流につながっていければいいと思う。
◆文化庁「生活者としての外国人」の地域日本語教育実践プログラム平成25年度事業実施内容報告
20都府県で多様な取り組みが実施されている。以下 数例を示す。
(宮城県)
外国人住民が被災地の住民の一人として、震災復興支援事業(ボランティア活動等)に参加し、日本語教室で習得した日本語を使って、地域住民と実践的なふれあいを通じてコミュニケーションの向上をめざす。
(神奈川県)
行政・学校と連携した外国籍保護者向けの日本語学習機会の創出および地域交流
(京都府)
生活者としての外国人が、情報収集能力をつけ、制度等の理解を深め、自立と社会参画を促進し多文化共生のまちづくりに資することを目的に、生活に関する身近な制度についての知識や地域の慣習等についての理解を深めるために実施した。
(大阪府)
外国人の若者の生活力・表現力アップ日本語事業~ユース・多文化エンパワメントプロジェクト~
詳しくは下記アドレスにてご参照ください。
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kyouiku/seikatsusya/h25/nihongo_program_b.html
◆中央教育審議会答申「子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について」
少子高齢化やグローバル化の進展に伴う国際競争の激化や人、物、情報の国境を越えた流通が進んでいる厳しい時代を生きる子供たちは、自らの手で自らの人生を切り拓ひらくとともに、多様な価値観を受容し、共生していくことが求められる。このため、子供たちが十分な知識や技能を身に付け、十分な思考力や判断力、表現力を磨き、主体性をもって多様な人々と協働することができるよう、子供の能力や可能性を引き出すとともに自信を育む教育の実現が急務となっているとして、答申では、そうした教育の実現に資するよう、学校制度を子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的なものとすることで、制度的な選択肢を広げることを提言している。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/__icsFiles/

afieldfile/2014/12/22/1354193_1_1_1.pdf
※外国にルーツを持つ子どもたちにとっても、個人の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的
な制度が求められるが、その言及はない。答申の中では、特に地域コミュニティの核としての学校における
社会性育成機能の強化の必要性が述べられており、多様な教師が児童生徒に関わるなど地域の教育力を積極的に学校に取り入れることへのニーズが高まっていると指摘している点は注目される。
【2】研修会・講演会情報
◆RINK(すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク)記念講演
「労働者を労働者として 今すすむ『外国人受入れ論議』とは」講師:鳥井一平(移住労働者と連帯する全国ネットワーク事務局長)
12月13日(土)、RINKの総会と記念講演に出席。以下記念講演の要旨を記載する。講師の鳥井一平さんは移住連ネットの事務局長・全統一労働組合副委員長で、今年6月、米国務省「現代の奴隷制度を根絶するために闘うヒーロー賞」を受賞した。アメリカで日本の技能実習制度が人身売買と認められ、技能実習生の救援と当制度の見直しさらには廃止の活動が評価された。以下 講演要旨
〇2020年東京オリンピック関連の建設需要に対応するための「建設分野における外国人人材活用に係る緊急措置」の問題点
(1)建設産業の担い手不足への対応となっているが、技能労働者の離職・高齢化・処遇改善が進んでいない
中、中長期的には人材不足が明らかであったはずで、技能実習生制度を活用するのではなく、国内で確保すべきである。建設業の就業者数はピーク時の約27%減少、しかも30歳未満は約11%と他産業に比べ高齢化が進行。24歳以下の入職者数は20年前の25万人から約5万人までに減少。高卒3年後の離職率も約50%と高い。建設分野への公共投資はピーク時の約50%減少する中、賃金水準は年収約390万円と全産業より約30%低い。他方、労働時間は長く(約171時間)、社会保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の加入率も低い。このように、人手不足の背景には、労働条件の悪さがあり、それを技能実習生に押し付けるべきではない。(実習生ネット通信より抜粋)
(2)緊急措置
①建設分野の技能実習生修了者は、特定活動の在留資格で引き続き1年ごとに更新で最大2年以内在留認める。②帰国後1年未満の者は最大2年以内、1年以上の者は最大3年以内在留を認める。③就労可能分野は東京オリンピック関連に限定せず、建設業全体での人手不足に対応する。④終了職種だけでなく関連建設職種も認め、鉄工、塗装、溶接は建設分野の職種でないが認める。
〇緊急措置では、即戦力となる外国人人材とあるが、建設関係で長らく働いていない元技能実習生はとても即戦力とは言えず、ともに働く日本人労働者にとても極めて危険性の高いものとなる。国土交通省は、おそらくオリンピック需要での地方での人手不足の穴を技能実習生で補充する考えではないか。しかも、技能実習生(2号)の予定賃金額は月額129,494円(2012年度)と最低賃金レベルであり、日本人建設労働者との差は2倍を超えている。
(3)移住連の考え
①奴隷労働と言える技能実習制度は廃止すべきである。
・辞める自由がない。構造的に労使対等原則が担保されない。使用者は労働者を選べるが、労働者は使用者を選べない制度である。
②新たな労働者受け入れ制度の設計、そして移民政策が必要である。
・定住を妨げない。移動の自由、企業選択の権利(辞める自由)
③ ①②のためには、多民族多文化共生社会への社会意識の醸成が不可欠である。
・日本人、外国人の二分化区別の誤り、高度労働と単純労働の二分化の誤り
〇最後に、技能実習制度は、人を奴隷労働者に変えてしまう恐ろしい制度である。外国人人材、外国人就労者、外国人技能実習生と言い、労働者を呼ばない日本政府の考えではなく、労働者を労働者として、労使対等原則(お互いに人格には不干渉である。)が担保された多民族多文化共生社会に進むべきである。
【3】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆明石市が外国人投票権認める住民投票条例の成立“断念”
外国人にも投票権を認める住民投票条例の制定を目指している明石市が、市長の任期中の条例成立を断念した。市は年内に予定していたパブリックコメントなどを中止し、3月議会に予定していた条例案提出も来年度に延期する方針。10月にまとまった答申では、市内に3カ月以上居住する特別永住者と、3年以上国内に居住している外国人に投票資格を与えるなどとしたが、市幹部によると、一部の市議や市民から性急さの指摘や疑問の声が上がったという。住民投票の資格を外国籍の住民に与える自治体(ネット資料によれば15市町 当時の香川県三野町は条例成立したが、三豊市に合併後は廃止)が出ている中、自民党は6月、外国人参政権の代替として利用される懸念が強いとして、地方組織に注意を促す通達を出した。
http://www.sankei.com/region/news/141111/rgn1411110067-n1.html
◆(フランス)外国人の滞在許可に関する法案を閣議決定
―滞在許可手続き簡素化、高度人材外国人の優遇と不法入国者対策を強化
今回の外国人の滞在許可に関する規定を改正する法案の発表に関するプレス資料によると、フランスは、毎年、20万人の外国人(合法正規滞在者)をEU圏外から新たに受け入れているが、それは、フランスの総人口の0.3%に過ぎない。この比率は、イギリスの半分、スウェーデンの6分の1で、他のヨーロッパ諸国と比べて低い水準にある。EU圏外からの移民者の数は、2003年以降、同水準で推移しており、2013年は、若干増加し20.3万人であった。ただ、20万人が定住するわけではない。というのは、6.5万人は学生で、その大部分が5年以内に、出国するためであるとしている。 このような状況の下、政府が外国人の滞在許可手続きを簡素化することによって、高度な才能を持つ外国人を積極的に受け入れ、国際競争力の向上をはかりたいという政策意図が、この法案から読み取れる。それと同時に、不法移民の対策も盛り込むことで治安悪化懸念を払拭しようとしている。政府は「移民や外国人の入国及び滞在を管理し、才能を持った者の受け入れを促進し、フランス社会への定着を促進させれば、フランスにとって好機となる」(首相府)としている。国民的な議論を巻き起こす内容も含んでいる法案のため、政府は、まず国民からの意見を受けつけ、2015年に入ってから国会での審議が行われる予定である。
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2014_11/france_01.htm
◆ヘイトスピーチ、許さない(法務省 ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動)
近年,一部の国や民族あるいは特定の国籍の外国人を排斥するような言動がいわゆるヘイトスピーチであるとして社会的関心を集めている。こうした人々に不安感や嫌悪感を与える差別的言動は,人としての尊厳を傷つけるだけでなく,差別意識を生じさせることにつながりかねないものである。法務省の人権擁護機関では,近時,このヘイトスピーチが,マスメディアやインターネット等で大きく報道されるなど,更に社会的な関心が高まっていることから、これまでの「外国人の人権」をテーマにした啓発に加え,より効果的な各種啓発・広報活動等に積極的に取り組んでいくとしている。
http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00108.html
※(ヘイトスピーチ(憎悪表現)についての読売新聞社説より)2013年に京都地裁が民族差別をあおる侮蔑的な街頭宣伝は不法行為にあたるとして、京都市の朝鮮学校周辺で街宣活動を繰り返した団体と会員らに対し、京都地裁が計約1200万円の損害賠償などを命じている。判決によると、団体の街宣では「ゴキブリ」「朝鮮人を日本からたたき出せ」などと叫んだ発言を地裁は意見表明とは見なさず、「差別的発言」と判断した。当該団体は、東京や大阪で、在日韓国・朝鮮人の排除を訴えるデモの中心となっており、ヘイトスピーチ(憎悪表現)と呼ばれる。こうした感情のぶつけ合いからは、憎しみしか生まれまい。偏狭なナショナリズムに陥らず、冷静な対応が求められる。一方で、ヘイトスピーチの規制には、慎重な配慮が必要だ。朝鮮学校を運営する特定の学校法人の請求を認めた今回の判決についても、不特定多数に向けた言動の規制に結びつけてはならない。人種差別撤廃条約は、差別の扇動などを法律で規制するよう締約国に求めている。欧州などでは処罰法を制定している国もある。だが、ナチスによるユダヤ人虐殺の記憶が色濃い欧州と日本では、歴史的背景が大きく異なる点に留意せねばならない。日本政府は憲法が保障する「表現の自由」に抵触しかねないとして、法規制を留保している。法で規制した場合、合法と違法の線引きは難しく、公権力による恣意的な運用を招く恐れがある。正当な言論活動を萎縮させる可能性も否めない。法規制に慎重な政府の立場は堅持すべきだ。刑法の名誉毀損罪など、現行法令を適用し、行き過ぎた行為を抑えるのが現実的な対応だろう。今月22日、高松市の講演会でも、ヘイトスピーチから見える社会」と題しての講演会があった。
【4】自由書き込み欄(このメールマガジンへの注文、ご意見をお寄せください。いただいたご意見などを踏まえ、皆んなで意見を交換し、いいメールマガジンにしていきましょう。)
                                              
【5】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2014年もいよいよ押し迫ってきました。今年は、皆さんにとってどんな1年だったでしょうか。まるがめにほんごひろばも3年目の冬を迎え、来年の取り組みを模索しています。これまでの夏・冬・秋の休暇期間中での開催以外の日にもひろばを開催できないか、どんなひろばにしたいのか、丸亀ならはでのひろばは?など27日の冬休みひろばの閉講後、サポーターの皆さんからいろいろなご意見を伺いました。ひろばにとっても来年は大切な1年になると思います。引き続き皆さんのご支援よろしくお願いいたします。また、来年が皆さんにとって、よい年でありますよう、お祈りいたします。
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2014.7 第4号~2014.9 第6号

◆◆「まるがめにほんごひろば」メールマガジン◆◆
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~
第4号(2014年7月31日発行)毎月1回月末及び随時発行予定
◆目次◆
【1】今号のトピック
◆まるがめ夏休みにほんごひろば開催(速報)
【2】外国人住民等に関する統計
◆住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成26年1月1日現在)
【3】研修会・講演会情報
◆兵庫県国際交流協会(8/11締切)「『多文化共生』を考える研修会2014」を開催します!!
【4】書籍・論文の紹介
◆「なぜ母語教育は必要か」
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆国交省/外国人就労者受け入れ事業で告示案/優良監理団体の要件明示
◆子どもの貧困率16.3%(四国新聞 H26.7.16)
◆寄り添いホットラインをご存知ですか。
【6】自由書き込み欄
【7】編集後記
_________________
【1】今号のトピック
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◆まるがめ夏休みにほんごひろば開催(速報)
今年度で「まるがめにほんごひろば」も3年目になる。
夏休みのひろばは、7月23日、26日、30日、8月1日(予定)の4回、いつもの丸亀市城乾コミュニティセンターで10:00~12:00開催した。
参加状況は、児童数が23日が11名、26日(アイパル高校生カレッジとコレボ)が14名、30日が10名。
サポーター数は、23日が12名(うち、大学生ボランティア3名、中国・ブラジルのアイパル研修生2名)、
26日が10名(うち、大学生ボランティア2名、アルゼンチンのアイパル研修生1名)、
30日が14名(うち、大学生ボランティア2名、高校生ボランティア1名、アルゼンチンのアイパル研修生1名)。26日は苦しかったが、あとはなんとか、児童1名にサポーター1名対応が確保できた。
今回、初めての参加者が2名あったこと、会場の雰囲気も落ち着いており、児童の学習意欲の高さが見えたことはうれしい出来事であった。(次回、詳報)
【2】外国人住民等に関する統計
◆住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成26年1月1日現在)
総務省から報道資料の提供があった。2012年(平成24年)7月9日から「住民基本台帳法の一部を改正する法律」が施行になり、外国人住民も住民基本台帳制度の適用になった。改正後最初の統計データとしては、平成25年3月31日現在があるが、今回は、平成26年1月1日現在のものである。総務省の発表資料のうち、外国人住民世帯の年齢人口別データを元に、小学校、中学校の学齢人口を推計する。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei02_02000062.html(平成26年1月1日現在)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei02_02000055.html(平成25年3月31日現在)
メルマガ第2号で「在日外国人の子どもたち 1万人以上は完全な不就学」の記事の中で、
「学校基本調査(2013.5.1)全国小中学校在籍外国人児童生徒数63,497人(A)
法務省在留外国人統計(2013.6末)6~14歳 101,485人(B)
(B)-(A) 37,988人(37.4%)(C)
外国人学校での外国人在籍者数(文部科学省「外国人学校の現状について 2009.5」
外国人学校117校での外国人在籍者数(高校を含む)18,652人(3/4の比率と仮定すると、13,989人
不就学児童生徒数:約24,000人」とあり、不就学率は、23.6%となっていた。
学校基本調査での外国人児童生徒数のデータは平成24年5月1日現在のものなので、住民基本台帳データとしては平成25年3月31日現在のものを使用する。
香川県の外国人住民世帯(日本人との混合世帯は除く。)5~9歳 195名 10~14歳 159名 15~19歳 
314名であるので、学齢となる7~15歳人口を5歳区分人口から単純推計すると、338.8名となる。外国人児童生徒数が201名なので、就学率は59.3%、未就学者は138名 未就学率は40.7%となり、メルマガ第2号で報告した全国平均23.6%の実に1.72倍にもなる。因みに、平成26年1月1日現在の学齢人口は359名と20名増加している。
【3】研修会・講演会情報
◆兵庫県国際交流協会
(8/11締切)「『多文化共生』を考える研修会2014」を開催します!!
1.開催日時 ①8月18日(月)②8月20日(水)③8月22日(金)④8月25日(月)
各日13:30~16:45
2.会場 ①②④は、国際健康開発センター3階会議室1(神戸市中央区脇浜海岸通1-5-1)
③は、海外移住と文化の交流センター5階ホール(神戸市中央区や山本通3-19-8)
内容については、下記URLをご覧ください。
特に③8月22日(金)は、外国人の子どもの教育がテーマです。
http://www.hyogo-ip.or.jp/support/modtreepage01_6121/support06/
【4】書籍・論文の紹介
◆「なぜ母語教育は必要か」【野津隆志】兵庫県立大学経済学部教授
我が国において、外国にルーツをもつ子どもたちの母語教育についての議論が十分なされていない現状がある中、要約的に整理した論文を紹介する。6つの論拠を示しており、詳細は下記URLでご確認ください。
(1)教科学習と日本語能力の形成のための母語
(2)アイデンティティ形成のための母語
(3)家族コミュニケーションのための母語
(4)母語権利論からの必要性
(5)母語資源論からの必要性
(6)帰国・往来のための母語教育
http://education-motherlanguage.weebly.com/27597354862594532946123983074031350123922120521521.html
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆国交省/外国人就労者受け入れ事業で告示案/優良監理団体の要件明示
国土交通省は、日本で3年間の技能実習を終了した外国人を建設業の就労者として受け入れる事業の告示案をまとめた。2020年東京五輪に向けて建設需要の増大が見込まれる間の時限的措置として、受け入れ事業を適正・円滑に実施できるようにするのが目的。告示案では、「特定監理団体」として受け入れ企業を指導・監査する優良な監理団体の要件を明示したほか、団体と企業が共同で策定する適正監理計画に記載する事項を提示した。告示案に対する意見を7月25日まで募集した上で、8月上旬に公布。15年4月に受け入れ事業を開始する。
 外国人建設就労者受け入れ事業は、3年間にわたる建設分野の技能実習を終えた外国人を対象に、出入国管理法に基づく「特定活動」として2~3年の在留資格を付与。人材不足が懸念される日本の建設現場で即戦力として活躍してもらう。
同事業が行えるのは、建設関係技能実習の対象となる21職種31作業に加え、実習実施機関が建設業者である場合に限定した「鉄工」「塗装」「溶接」の3職種5作業。告示案では、在留資格を付与する外国人材の要件に加え、優良な特定監理団体の要件を明示。団体と企業が作り、国交省が認定する適正監理計画については、受け入れ人数をその企業の常勤職員の総数を超えないようにすることや、同等の技能を有する日本人と同等額の報酬を確保することなどを定めた。
そのほか、関係者でつくる協議会の設置、元請企業による受け入れ企業に対する指導、建設業法に基づく立ち入り検査など、現行の技能実習制度の仕組みを上回る国と業界が一体となった実効性ある監理体制を構築するとしている。
◆子どもの貧困率16.3%(四国新聞 H26.7.16)
平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子どもの割合を示す「子どもの貧困率」が2012年時点で16.3%と過去最悪を更新したことが15日、厚生労働省の国民生活基礎調査で分かった。大人も含めて生活が苦しい人の割合を示す「相対的貧困率」は16.1%で、調査開始以降で初めて子どもの貧困率が上回った。ひとり親など、大人1人で子どもを育てている世帯の人の貧困率は54.6%に跳ね上がる。
※日本の子ども6人に約1人が貧困状態にあるという衝撃的なニュースだ。この数値、私たちの生活実感からは違和感を覚える方も多いと思う。これは「相対的貧困率」と言うもので、具体的には、社会の標準的な所得の、その半分50%の所得以下の世帯の数値である。平成24年の国民生活基礎調査によると、貧困線と呼ばれる「等価可処分所得の中央値の半分」は122万円である。月10万円の手取りとなり、子育て家族にとって、極めて厳しい生活実態がそこにあることがわかる。国際連合ユニセフ研究所の報告では、日本の子どもの相対的貧困率は、OECD35か国中9番目に高く、一人当たりGDPが高い先進国20か国中アメリカ、スペイン、イタリアに次ぎ4番目に高い。すべての先進国の貧困の子どもたちの総数が3,400万人、そのうち日本の子どもは305万人。10人に1人が日本の子どもである。さらに、問題は、外国にルーツをもつ子どもたちがいる世帯である。国民生活基礎調査は、国籍別の区分がないので、外国人の貧困率は計算できないが、
外国人労働者の多くが低賃金の派遣労働者、非正規労働者であることを考えると、外国人の子どもたちの貧困率は目を覆いたくなる数値になることは間違いないだろう。
◆寄り添いホットラインをご存知ですか。
東北被災3県のどんな人からのどんな悩みにも寄り添って、一緒に解決する方法を探すことで始まった24時間無料の電話相談が21012年3月11日から31日まで、国の補助事業として全国スタートして以来、現在も継続実施している。実施主体は一般社団法人社会的包摂サポートセンターで、全国のNGOなどの団体が協力している。
外国語による相談もできます。(英語、中国語、韓国・朝鮮語、タイ語、スペイン語、ポルトガル語、タガルグ語、ベトナム語の8カ国語)
全国ダイヤル 0120-279-338
音声ガイダンスが流れたら、2を押してください。毎日10時から22時まで、全国どこからでも電話で相談できる。携帯電話、公衆電話からもつながる。秘密は守られる。通話料は無料。ビザのこと、家族のこと、仕事のこと、暴力を受けているなどなど。
お知り合いの外国人住民の方にも教えてあげてください。
ただし、外国語専用ラインは、日時ごとに対応言語が決まっているので、下記のURLで確認してください。
8月は、以下の言語での対応を予定している。
・8/ 7(木) 10:00~16:00 スペイン語・タイ語
・8/14(木) 10:00~16:00 ベトナム語・タガログ語・タイ語・英語
・8/21(木) 10:00~16:00 タイ語・中国語
・8/28(木) 10:00~16:00 ベトナム語・タガログ語・タイ語・英語
https://www.facebook.com/yorisoi2foreigners
http://279338.jp/yorisoi/foreign/index.html
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【7】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
先週までの酷暑といわれる日差しは、今週あたりはやや緩んだ感じがするが、夏本番はこれからだと思うと
高齢者の仲間入りした身には堪えます。メルマガも通算7回目になりますが、読者の反応があまりないのが少しさびしいと思っていた矢先、前号の丸亀の小学校の記事では、伝聞記事の掲載については慎重を要するとのご意見をいただき、自分への反省やら、今後のメルマガの方針やらを感じさせられました。次回5号からは、新たな方向性のもとメルマガを配信したいと思っていますので、引き続きのご受信をお願いします。
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「まるがめにほんごひろば」メールマガジン             
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~ 
第5号(2014年8月31日発行)毎月1回月末及び随時発行予定    
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◆目次◆
【1】今号のトピック
◆平成26年度まるがめ夏休みにほんごひろばが無事終了しました。
【2】外国人住民等に関する統計
◆国籍別在留外国人数トップ市区町村
【3】研修会・講演会情報
◆平成26年度 文化庁における日本語教育関連事業 年間予定
【4】書籍・論文の紹介
◆異文化体験の影響に対する心理力動的接近の可能性
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆「人手があれば増産可」,国交省が造船技能者確保へ(SANPO WEB)
◆外国人技能実習生の実習実施機関に対する平成25年の監督指導,送検の状況(厚生労働省)
◆ハーグ条約を日本人に初適用、英国裁判所が子の返還を命令
◆企業と多文化共生
【6】自由書き込み欄
【7】編集後記
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【1】今号のトピック
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◆平成26年度まるがめ夏休みにほんごひろばが無事終了しました。
以下、その報告をします。
開催日 平成26年7月23日、26日・30日・8月1日 4日間 10:00~12:00
場所 丸亀市城乾コミュニティセンター 2階小会議室・和室、大会議室
※7月26日は、アイパル高校生カレッジ参加の高校生との交流をプログラムの中に組み入れたので、2階大会議室を使用した。
参加児童 小学1年生~6年生
児童数  第1回 11名・第2回 14名・第3回 10名・第4回 13名
児童実人数21名(男8名・女13名)外国との繫がり(ペルー14名、フィリピン6名、中国1名)
サポーター数 第1回13名・第2回11名・第3回16名・第4回13名
実人数 22名(学習サポーター12名、四国学院大学生4名、高校生1名、海外技術研修生3名、アイパルスタッフ2名)
(実施内容)
○夏休みの宿題支援(計算ドリル・漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字・語句の書きとり、日記など)
○自分のしたい学習の支援(昆虫図鑑、宇宙図鑑、絵カードなど)
○集団活動(最終日後半時間のみ)
・折り紙づくり(簡単な折り紙数点(飛行機、かえる、ハートマーク、兜)の折り図を示したものを手渡し、好きなものを選んで作成した。)
・みんなに、自分のつくった折り紙をみせてあった。
○アイパル高校生カレッジ参加の高校生13名との交流(7月26日後半の時間)
①バースデーチェーン(誕生日順に子どもたちと高校生が輪になってチェーンをつくるワークショップ)
②指定した人数のグループをつくり、グループ内で自己紹介するワークショップ
3回実施(5人、3人、4人グループ)
③子どもたちのことばを勉強するワークショップ
グループごとにシートを利用して5つのことばを子どもたちから教えてもらう。
・こんにちは ・ありがとう ・暑いです・お腹が空きました ・(自由)
高校生が覚えたことばを言えたら、得点。子どもたちがチェックする。
④グループで交流~学習支援~
個別に、高校生が子どもたちの夏休みの宿題などの学習を支援した。
(感想)
○これまでのひろばでは、回を重ねるごとに子どもたちの参加は減少する傾向にあったが、今回のひろばの開催が夏休み開始の直後であったこと、小学校で朝から夏休みの補習授業が行われており、その帰りに引き続き参加できたことで、毎回10名を超える子どもたちが参加してくれたことはよかった。
○今回のひろばには5名の子どもが初めて参加した。子どもたちの順応性も高く、ひろばの雰囲気にも早く
なれ、楽しく学習できたことはよかった
○ペルーの子どもたち以外に、フィリッピン、中国の子どもたちも参加するようになり、子ども同士の交流に幅ができたように感じた。
○子どもたちは、自分のしたい学習に積極的に向かう姿勢が見られた。
○学習サポーターには、ひろば開始前のミーティングで、宿題支援について
一方的にただ教えるという姿勢ではなく、わからない問題などを支援する場合には、子どもたちはどこにつまずいていて、何がわからないのか、学校でどのように教えてもらっているのか、教科書のどこで勉強した問題なのか、などを子どもたちに尋ね、教科書を開き一緒に探す中で、答えはできるだけ子どもたちが気
づき、見つけられるような支援をしていくことが大切なことを話し合った。
○高校生との交流では、始めはやや緊張ぎみの子どもたちも、高校生の誘導もあり、すぐ打ち解けることができ、終始笑い声が聞こえた。ワークショップでは、日本語が十分ではない子どもも、高校生の声かけによく反応し、みんなと一緒に楽しめたようだった。
○高校生のアンケートでは、
・子どもたちは、素直でとてもかわいかった。宿題をみていたが、すごくスピードが速いし、すぐに分かっ
てくれるから驚いた。
・文章はすらすら読めても、実際は意味のわかっていないこともあることを聞けて納得した。
【2】外国人住民等に関する統計
◆国籍別在留外国人数トップ市区町村(2013.12末)在留外国人統計から抽出
(中国) 横浜市 31,617人(韓国・朝鮮) 大阪市 76,169人
(フィリピン) 名古屋市  7,283人(ブラジル) 豊田市  5,720人(ベトナム) 姫路市  1,822人
大都市部に集中しているのがわかる。市区町村上位100を見ても、その傾向は顕著で、地方都市では、
因みに、在留外国人比率15.3%で全国1位の群馬県大泉町の状況は、
総人口40,759人在留外国人数6,253人(ブラジル4,198人、ペルー923人)
※さらに因みに、丸亀市は、総人口人110,446人在留外国人数1,360人 比率1.2%(中国524人、ペルー281人、フィリピン242人)全国の在留ペルー人は、48,580人。群馬県伊勢崎市が2,504人でトップ。大阪府以西では、大阪市479人に次いで丸亀市281人の順になる。驚き!ブラジル人にくらべ、ペルー人は居住分布が小規模で分散していることがわかる。
【3】研修会・講演会情報
◆平成26年度 文化庁における日本語教育関連事業 年間予定
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kyouiku/kyouiku_yotei.html
【4】書籍・論文の紹介
◆異文化体験の影響に対する心理力動的接近の可能性
子どもの異文化体験に関する研究は、成人に比べ少ない。異国で生活する意味空間の理解が十分できない子どもは、異文化への適応能力が成人より高いと一般的にはされているが、親がストレスにどの程度対処でき、子どもの保護的役割をどの程度担えるかという要因に大きく左右されるという研究もあり、また、発達段階のどの時期に異文化接触するかによっても大きく影響され、長期的な観点からの研究が必要であるとの意見もある。
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/metadb/up/niikiyo/KJ00004253994.pdf
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆「人手があれば増産可」,国交省が造船技能者確保へ(SANPO WEB)
http://www.sanpo-pub.co.jp/topnews/2014/0811016613.html
造船業で外国人技能実習生を受け入れている職種は溶接と塗装が大勢を占める。13年度(年度ベース)、造船業の技能実習申請者数は合計1,533人。フィリピンの515人を筆頭に、中国476人、ベトナム476人、インドネシア91人、タイ25人、ブラジル11人、ペルー1人と続く。
外国人技能実習生の実習実施機関に対する平成25年の監督指導,送検の状況(厚生労働省)
〔平成25年の監督指導等の概要〕
○何らかの労働基準関係法令違反が認められた実習実施機関は、監督指導を実施した2,318事業場(実習実施機関)のうち1,844事業場(79.6%)であった。
○主な違反内容は、(1)安全衛生関係(49.3%)(2)労働時間(29.9%)(3)割増賃金不払(20.0%)の順に多い。
○重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは12件であった。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000053771.html
◆ハーグ条約を日本人に初適用、英国裁判所が子の返還を命令
ハーグ条約:正式名は「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」
国際結婚の破綻などが原因で、片方の親が国境を越えて子どもを連れ去るケースが増えたため、国際ルールを定めた。対象は16歳未満の子どもで、残された側の親が連れ去られた先の国の裁判所に子どもの返還を申し立てれば、裁判所あ子どもを元の国に戻すかどうかを判断する。日本は今年4月1日に加盟した。今回の事案は、国際結婚の破綻だけでなく、日本人夫婦の場合でも適用される。今後は日本の家庭裁判所で監護者を決める審判が進められることになる。父親のイギリス人弁護士によると、仮に子どもが「母親と住みたい」と話したとしても、帰国を拒む理由にはならない」「子どもは『その“親”は嫌だ』ではなく、『その“国”は嫌だ』という形で帰国に反対しなければなりません。『ママ、あるいはパパと住みたくはないので帰国したくない』というのでは、国際法上は理由になりません」とハーグ条約の趣旨を説明する。
http://matome.naver.jp/odai/2140668715029836801
◆企業と多文化共生
企業や経済団体が多文化共生に初めて言及したのは、経団連が2004年に策定した「外国人受け入れ問題に関する提言」でした。「多様性のダイナミズムを活かし、国民一人ひとりの“付加価値創造力”を高めていく、そのプロセスに外国人がもつ力を活かすための総合的な受け入れ施策」を提案し、多文化共生の社会の形成を唱えました。
http://www.jiam.jp/melmaga/kyosei/newcontents89.html
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【6】自由書き込み欄(このメールマガジンへの注文、ご意見をお寄せください。いただいたご意見などを踏まえ、皆んなで意見を交換し、いいメールマガジンにしていきましょう。)
                                              
【7】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
広島の土砂災害は災害列島に住む日本人皆が考えさせられた大きな出来事でした。9月に入れば、再度の熱波がくるとの予測もあります。体調管理に気をつけたいものです。今回から、発信アドレスが変わりました。
引き続きご愛読くださいますようお願いいたします。
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「まるがめにほんごひろば」メールマガジン             
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~ 
第6号(2014年9月30日発行)毎月1回月末及び随時発行予定    
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◆目次◆
【1】今号のトピック
◆外国人労働者、家事にも受け入れ 今秋に関西の特区で
【2】外国人につながる子どもたち、外国人住民等に関する統計・資料
◆外国につながる子どもたちのための教材
【3】書籍・論文の紹介
◆日本におけるマイノリティの学業不振をめぐる議論
【4】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆ベトナム日本語指導ボランティア体験記
◆NHK朝ドラ「マッサン」初めての外国人ヒロイン
【5】自由書き込み欄
【6】編集後記
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【1】今号のトピック
◆外国人労働者、家事にも受け入れ 今秋に関西の特区で
政府は、地域をしぼって規制を緩める「国家戦略特区」で、外国人労働者を家事サービスの分野で受け入れる方針を固めた。「18歳以上、単身での入国」などの条件で、関西圏(大阪、京都、兵庫の3府県)の特区で今秋にも受け入れを始める。掃除や洗濯など家事の負担を減らして女性の就労を促すため、これまで慎重だった家事分野での受け入れに踏み出す。新しい成長戦略に女性の就労支援策の目玉として盛り込む。特区で試験的に日本の家庭への受け入れを始め、需要があるかどうかを見極めたうえで、ほかの地域への拡大も検討する。受け入れ国は限定しないが、フィリピンやインドネシアなど東南アジアが中心になる見通し。
いまの出入国管理法は、家事労働を目的とした外国人の入国を、外交官の家庭などで働く場合を除いて認めていない。そのため今秋をめどに法務省が告示を改正し、家事代行業者が雇う外国人に新たな在留資格を与える。松井一郎・大阪府知事、橋下徹・大阪市長は今年5月、積極的に外国人労働者を受け入れると連名で表明している。
http://www.asahi.com/articles/ASG6G5CHXG6GULFA003.html
この表明を受け、8月、RINK(すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク)が松井府知事あてに質問書を提出した。その内容は、要約すると、この受け入れは、①府の男女共同参画推進条例に沿った方針なのか②ニーズはどの程度あるのか、家事支援の中に介護や子育ても想定しているのか③受け入れ家族などとのトラブルは、どの機関が対応するのか受け入れコストはだれが負担するのか④労働基準法は家事使用人を適用除外としているが、今回の家事支援人は労働関係法の適用労働者となるのか⑤人権侵害などの事態が生じないよう、雇用者を監視するシステムは?などです。
※受け入れは、外国人労働者を支援するNGOなどの団体と予想される社会的な影響や課題、受け入れる際に必要な支援などをもっと協議すべきだと思う。    
【2】外国人につながる子どもたち、外国人住民等に関する統計・資料
◆外国につながる子どもたちのための教材
東京外国語大学多言語・多文化教育研究センターでは外国につながる子どもたちのための教材を開発し、ウェブサイトで無料提供しています。ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、ベトナム語、タイ語の算数、漢字の教材が「児童用」「指導者用」に分かれて提供されています。ご活用ください。
http://www.tufs.ac.jp/blog/ts/g/cemmer/social_02.html
【3】書籍・論文の紹介
◆日本におけるマイノリティの学業不振をめぐる議論 金井香里
以下は抜粋
金井氏は、これまで3つの観点から議論されてきたという。
(1)子どもの言語(日本語・母語)操作能力 (2)子どもの置かれた地域的文脈 特に家族
(3)日本の学校文化・教師
(1)子どもの言語(日本語・母語)操作能力
太田晴雄氏は、日本語至上主義の根強い日本の学校のモノリンガルな言語環境において子どもは、抽象的な思考をすることができないセミリンガルになる危険性があると指摘し、また現行の日本語教育を「補償的日本語教育」として批判している。子どもの母語操作能力を基礎とした日本語教育ではなく、子どもの母語を除去し、母語を日本語に置き換えるという発想に基づいた言語教育だという。
(2)子どもの置かれた地域的文脈 特に家族
宮島喬氏は、子どもたちの学業不振の背景として、3点を挙げている。
① 親から子への文化資本を継承するのが困難な状況
親がかりに高学歴であっても、親子間における文化変容(とりわけ日本語操作能力の獲得)のずれによって、親の修学経験を子どもに対し伝達するのが困難になっている。
②子ども本人が学業・就学に対する動機を見出すことが困難な状況
親次第でどこに生きるかわからないという不安定な状況のもとで、子どもが学習から、そして学校から離れる可能性が大きい。
③進路を選択したり、将来の職業を決定するにあたってモデルとなる人物の欠如
社会関係資本に乏しく、モデルとなる人物は親戚、身近な友人等に限定される。マイノルティがとる適応の戦略は、能力、コスト、周囲による差別的な対応等さまざまな制約によって、一時しのぎ的に「切り抜ける」戦略に向かいがちである。
(3)日本の学校文化・教師
太田氏、宮島氏は、日本の学校・教室において、子どもの文化の異質性は見えにくくなっていると指摘する。志水宏吉氏、清水睦美氏は、ニューカマーの子どもが「日本人化」し、あるいは「日常化」することで実態として見えにくくなるのに加え、教師自身が子どもの異質性を子ども固有の文化的背景に関連づけて「見ようとしない」ことを指摘する。教師は子どもが抱える低学力、学校不適応の問題を、子どもが社会におかれたマイノリティとしての文脈に即して考慮するのではなく、個々の家庭の事情、個人の性格等に由来するものとして「個人化」して対処しているという。
http://www.p.u-tokyo.ac.jp/coe/workingpaper/Vol.10.pdf
【4】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆ベトナム日本語指導ボランティア体験記
ベトナムのフエ高等師範大学(日本の短期大学にあたる。)の日本語学科3年生20人に対し、日本語指導ボランティアに行ってきました。昨年の8月にも、同じ大学にボランティアしてきましたが、今年は、丸亀にほんご日曜教室のYさんと一緒です。9月25日(木)午前8時15分から、Yさんは「敬語(尊敬語・謙譲語)」を、私は「助詞全般」のそれぞれ授業を任されました。この授業体験は、ピース・インツアーという旅行会社が企画するツアーの一環として行われるもので、私たち日本語指導ボランティアにとって、海外で外国の学生に授業を行える体験ができるという魅力あるプログラムでもあります。私の場合、50分という1コマの授業時間はあっという間に過ぎてしまい、事前の準備はしてきたつもりではあったが、思い描いた計画どおりには進まず、Yさんのように事前の教案づくりをしてくるべきだったと後悔しました。
「助詞」は、丸亀にほんご日曜教室でも受講者から、よくわかないとよく聞かれたこともあり、私としては、通信講座で学んだことを復習をし臨んだのだったが、私の説明は、日本語理解が十分ではない外国の若者にどうだったのか反省点は多かった。
ベトナム人の日本語学習者へのアンケート結果では、
① 4技能の中では聴解を最も苦手としている。②一方、発音はあまり難しくないと感じている。③文法
英語より難しく、漢字も難しく感じている。また、母語の干渉が強い母語話者の日本語の技能習得の傾向を日本語教師は知識としてもっておく必要があると言う。などなど。
http://gensha.hit-u.ac.jp/research/theses/89a.pdf
50分授業のあと、Yさんと一緒に日本語ワークショップを行いました。Yさんの提案で、疑音語、擬態語
の文章を使い、疑音語、擬態語を空白にした文章のカードとそれに対応する疑音語、擬態語のカードを20枚10人に2つのグループに分けてそれぞれ渡し、自分のカードに対応するカードも持つ相手を探すというワークショップです。これが意外にうけたみたいで、教室内は賑やかで、楽しい場となりました。
◆NHK朝ドラ「マッサン」初めての外国人ヒロイン
9月28日(月)から、NHK朝ドラ「マッサン」の放送が始まった。話題は、なんといっても朝ドラでは初めての外国人のヒロインの登場。昭和36年に始まった朝ドラも今回が91作目。実に54年目にして初の外国人主人公となった。半世紀が経ってのキャスティングは、この国際化、多文化社会にあって遅きに失した感は否めないが、保守的なNHKの英断に拍手したい。マッサンの妻役エリーことシャーロット・ケイト・フォックスは、演劇専攻の修士を経ての演劇、映画で活躍の女優。今回の来日が初めてで、日本語も話せないというから驚きである。日本で活躍をしているハーフ芸能人が選ばれるとの当初の予想を覆し、日本では無名の女優の起用は、彼女の生来の明るさと努力家を見こんでのことのようだ。日本語が話せない彼女が、今後、並み並みならぬ努力によって日本語のセリフを自分のものにし、朝ドラマの回数を重ねるごとに、エリーの日本語力が向上する姿を我々ボランティアは見たいし、大いに期待もしたい。 
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【6】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ようやく秋めいてきました。秋から小中学校に入学することになる外国にルーツをもつ子どもたちもいることでしょう。これら子どもたちへの初期の日本語指導が行える体制が香川でも整備されることが望まれます。
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2014.4創刊第1号~2014.6創刊第3号

創刊第1号
◆◆「まるがめにほんごひろば」メールマガジン◆◆
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~
第1号(2014年4月30日発行)毎月1回月末及び随時発行予定
◆目次◆
【1】今号のトピック
◆まるがめ春休みにほんごひろばが開かれました。
【2】外国人住民等に関する統計
◆日本における不法残留者数
【3】研修会・講演会情報
◆通訳者・相談員スキルアップ講座のご案内(すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク)
【4】書籍・論文の紹介
外国につながる子どもの学力保障 佐藤郡衛(東京外大特任研究員・東京学芸大学国際教育センター教授)
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆遍路休憩所に外国人排除の紙(平成26年4月11日四国新聞)
◆建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置について (建設分野の技能実習生通算8年まで在留延長可能)
◆EPA(経済連携協定)の看護師候補者29人、介護福祉士候補者78人が国家試験合格(2014年3月)
◆その他情報提供
【6】自由書き込み欄
【7】編集後記
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【1】今号のトピック
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◆まるがめ春休みにほんごひろばが開かれました。
3月27日(木)から4月4日(金)までの各週木曜日・金曜日の4日間、丸亀市城乾コミュニティセンター2階小会議室・和室、大会議室で開催しました。
3月27日(木)参加児童生徒数11名(男5名 女6名)(ペルー8名、フィリピン2名、中国1名)
学習サポーター10名が参加
3月28日(金)参加児童生徒数7名(男3名 女4名)(ペルー4名、フィリピン2名、中国1名)
学習サポーター9名参加
4月3日(木)参加児童数6名(男1名 女5名)(ペルー 6名)
学習サポーター8名が参加
4月4日(金)参加児童生徒数4名(男2名 女2名)(ペルー3名、中国1名)
学習サポーター9名参加
実児童生徒数13名(男6名・女7名)ペルー10名・フィリピン2名・中国1名
(学習内容)春休みの宿題(算数計算問題、社会、漢字練習など)、
集団活動「漢字で遊ぼう!」児童が漢字カードの中から好きな漢字を選び、身振り、手振りで他の児童に漢字を当ててもらう。正解した児童は、その漢字を使って短文を作ってもらう。
「日本地図を知ろう!」都道府県名の記載は無いが境界が入った日本地図をホワイトボードに貼り、名称を言い当ててもらう。その都道府県の地理や産物などを説明する。
(感想)
・初回は11名と参加者数が多かったが、回を重ねるごとに少なくなったのは残念であった。
・宿題を早く終えたいために参加する子どももおり、春休みの終盤では宿題を終えた子どもが参加しなくなったことも影響しているものと思われる。
・前回の冬休みのひろばでは、集中力のなかった児童も今回は宿題に熱心に取り組んでいた。
・教科の宿題では、児童はすぐに答えを教えてもらいたがる傾向があるが、答えを出すことがサポーターの役割ではなく、答えを導くためには、どのように考えていけばいいのかとか、学校ではどのように学んだのかとか、教科書ではどこにどう書いているのかなどを児童と一緒に取り組むことが大切であると感じた。また、そのような活動を進めるようサポーターで話し合った。
・漢字で遊ぼうの集団活動では、小学低学年で学ぶ漢字を使ったため、児童 もわかりやすく、積極的に参加していた。また、短文づくりも工夫して言えるよう促した。
・日本地図を知ろうの集団活動は、日本での生活の長短や学齢に幅があり、全員の理解は得られなかったが、地図を見ることに慣れることが少しはできたかと思った。
・平成25年度を振り返り、昨年度に比べ、子どもたちも落ち着きがあり、集中力も増したようで、成長ぶりが伺えた。全般的に、教科には苦労している様子が見え、日本語支援をするサポーターにとって、どのように学習を進めるかなど、研さんしていくことが重要だと感じた。
※次回は、夏休みです。予定では、7月24日(木)、26日(土)、31日(木)、8月1日(金)の4回。第2回目の26日(土)は、アイパル香川の「高校生カレッジ」とのコラボを計画。子どもたちと高校生との交流を計画しています。サポーターの皆さん、夏の予定に入れてくださいね。お願いします。
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【2】外国人住民等に関する統計
◆日本における不法残留者数
平成26年1月1日現在の不法残留者数 59,061人(ピーク時の5分1)うち、短期滞在除くと17,658人
※これまでの推移:平成5年  298,646人(過去20年間のピーク)
平成18年 193,745人(20万人を切る。)
平成22年  91,778人(10万人を切る。)
59,061人国籍別内訳:韓国14,233人(24.1%)中国8,257人(14.0%)フィリピン5,117人(8.7%)
    在留資格別内訳:短期滞在41,403人(70.1%)日本人の配偶者等3,719人(6.3%)留学、興行の順
    退去強制令書の発付、出国命令書の交付:3,306人(5.6%)フィリピン、中国、韓国の順
平成25年中に出入国管理及び難民認定法違反により退去強制手続を執った外国人は、11,428人(前年比
3,750人減)
※短期滞在除く不法残留者数でみると、全在留外国人数の0.86%と少ないことがわかる。在留資格でみると日本人の配偶者等21.1%、留学15.7%、興行12.6%、定住者11.1%となる。
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00041.html
【3】研修会・講演会情報
◆通訳者・相談員スキルアップ講座のご案内(すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク)会場:エル・おおさか(大阪府大阪市中央区北浜東3-14)
http://www.ne.jp/asahi/rink/rink/index.html
【4】書籍・論文の紹介
◆外国につながる子どもの学力保障 佐藤郡衛(東京外大特任研究員・東京学芸大学国際教育センター教授)
外国につながる子どもには、学力を「学校の知識習得度」という狭義に捉えるのではなく、地域やボランティアが行っている学習支援の意味を捉え直す必要がある。
○地域における多様な回路による学習支援
①興味関心を引き出し、学習意欲を喚起させるような支援
②学習能力をつけるための支援
③言語能力の育成を目指した支援
④他者との関わりを通して学習を展開し、「学力」の向上につなげていくような支援
⑤現在の自分を再構成できるようにすることで「学力」の向上につなげていくような支援
○多様な回路による学習支援は、学校だけでなく、地域の多様な支援によって成立→協働
・関係機関・組織が固有の役割を担うことで、生徒の総体としての「学力」を向上
○行政、学校、NPOの実質的な連携 
「公的コミュニケーションの場の設定」と「対等な規範形成」の必要性
・子どもの情報の共有化(子どもの個別ファイルづくり)
○こうした試みは、「教育コミュニティ」と呼んでいる。
学校と地域が協働して子どもの発達や教育を考え、具体的な活動を展開していく仕組みや運動である。
※子どもたちは、進路の選択肢が狭く、将来の方向性を見出せないことが多い。子どもたちにとって、学力とは、社会関係を豊かにし、自分の居場所を見いだし、さらに自分を表現できる方法や場を見いだすこと、
それが自律的な力につながる。この自律的な力こそが、「学力」にほかならないと佐藤郡衛教授は言う。
http://www.tufs.ac.jp/blog/ts/g/cemmer/No09%2042-52.pdf
◆技能実習生や働く外国人に対する日本語指導を考える(あたらしいじっせんにほんご)
公益社団法人国際日本語普及協会 関口明子担当理事
http://www.jcsec.or.jp/files/nihongo/nihongo04.html
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆遍路休憩所に外国人排除の紙(平成26年4月11日四国新聞 徳島新聞)
四国遍路の休憩所に「大切な遍路道を朝鮮人の手から守りましょう。」と印字した紙が相次いで貼られていた。
これまでに確認された休憩所は、香川、徳島、愛媛3県で計12カ所。観音寺市内の休憩所では、縦13cm、横18cmの紙が小屋の中心の柱にのりづけされていた。「日本の遍路道を守ろう会」の名で「最近、礼儀しらずな朝鮮人達が気持ち悪いシールを四国中に貼り回っています。日本の遍路道を守る為、見つけ次第、はがしましょう。」と印字されていた。外国人が道に迷わないようステッカーを貼っているソウル市の活動家を中傷しているとみられる。香川、徳島の県警は人権侵害の恐れがあるとして、軽犯罪法容疑で捜査を始めた。
http://www.topics.or.jp/editorial/news_13971794615295.html
◆建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置について (建設分野の技能実習生通算8年まで在留延長可能)
http://www.cas.go.jp/jp/houdou/140404kensetsu.html
政府の閣僚会議において、2015年度から外国人技能実習制度を拡大させる方針をとりまとめた。
○建設分野の技能実習修了者について、現行の3年間の実習期間に加え、「特定活動」の在留資格で最長2年
の在留延長を、さらにいったん帰国した後も再来日した場合は最高3年在留を認め、通算8年まで延ばせる仕組みをつくる。
◆EPA(経済連携協定)の看護師候補者29人、介護福祉士候補者78人が国家試験合格(2014年3月)
○看護師候補者(2008年度から受入)国家試験(1年間就労研修後受験可)今回で6度目累計合格者125人
合格率:全体 89.8% インドネシア人 9.6% フィリピン人 11.0%
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000041664.html
※日本人に比べ、かなりハードルが高い。
○介護福祉士候補者の国家試験(3年間就労研修後受験可) 
2009年度・2010年度入国合格率:全体 65% インドネシア人43.0% フィリピン人 29.6%
※2009年度入国の初受験者:インドネシア人57.1% フィリピン人 50.0%
2010年度入国の初受験者:インドネシア人45.8% フィリピン人 30.4%
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000041984.html
※看護師に比べ、健闘していることがわかる。
◆その他情報提供
○「多言語生活情報」スマートフォンアプリを無料提供しています
クレアでは、外国人住民が日本で生活するために必要な情報を13言語で
掲載したiOS/Androidアプリ「多言語生活情報 Japan Life Guide」を無料で
提供しています。
スマートフォンやタブレットから下記アドレスにアクセスしていただくと
アプリを無料ダウンロードできますので、ぜひご利用ください。
http://www.clair.or.jp/tagengo/index.html
言語:日本語(ふりがな付き)、英語、中国語、韓国・朝鮮語、
スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、インドネシア語、
タガログ語、タイ語、フランス語、ドイツ語、ロシア語
○『地域日本語ボランティア講座 開催のためのガイドブック』が作成されました。
(公社)日本語教育学会のテーマ別研究会
「多文化共生社会における日本語教育研究会」が、自治体、国際交流協会、NPO団体等の職員向けに、
日本語ボランティア養成講座を企画・実施する際のガイドブックを作成しました。
このガイドブックは、主に地域の日本語教育においてコーディネーターの役割を担っている方が、講座の開催を企画する際の手順とポイントについて触れられています。
今後、講座を考えられている方や既に開催されている講座を評価したい方、ぜひ活用されてみてはいかがでしょうか?
ガイドブックは下記よりご覧いただけます。
http://www.nkg.or.jp/themekenkyu/tabunka/tabunka_guide4MB.pdf
◆「やさしい日本語」の手引きができました。(しまね国際センター)
http://www.sic-info.org/support/prepare-disaster/easy_japanese/
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【6】自由書き込み欄(このメールマガジンへの注文、ご意見をお寄せください。いただいたご意見などを踏まえ、皆んなで意見を交換し、いいメールマガジンにしていきましょう。)
(                                               )
【7】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
創刊号を配信します。今後ともご愛読くださいますようお願いしたします。長文のメルマガですので、保存し、時間のある時にお読みいただければ嬉しいです。
明日から風薫る5月に入ります。中央公園のツツジの花もその数が多くなりました。
今月号の内容のうち、遍路休憩所に外国人排除の紙の新聞記事は、私たちに多文化共生を考える機会を提供してくれたように思います。事の真相は、地元の人々と韓国人双方の意見を聞かないと判断できないように思う。当の韓国人女性は四国88か所すべてを4度巡礼し、外国人初の「公認先達」に認定されている人だそうです。そういう人だからこそ、霊場を訪れる韓国人のためにした行為でしょうが、無許可で電柱にステカーを何千枚も貼る行為も問題です。それに対し、遍路道を守るという名目で、朝鮮人という蔑称を使い、外国人を排除するかのような貼り紙を張る行為も恥ずかしい行為です。双方が互いに意見交換することなく、一方的な行為を行っていては、問題をより難しくしているといしか思えません。法律違反で処罰するだけの問題ではなく、多文化共生という土俵で相互の話し合いを期待したいですね。
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創刊第2号
◆◆「まるがめにほんごひろば」メールマガジン◆◆
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~
第2号(2014年5月30日発行)毎月1回月末及び随時発行予定
◆目次◆
【1】今号のトピック
◆在留外国人と生活保護
【2】外国人住民等に関する統計
◆在日外国人の子どもたち 1万人以上は完全な不就学
◆外国人の高校入学者選抜をめぐる自治体間比較
【3】研修会・講演会情報
◆異文化間教育学会第35回大会のお知らせ
【4】書籍・論文の紹介
◆二つの言語と文化の中で育つ子ども達への支援
◆「多文化共生社会に向けて」外国人労働者か移民か
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆路上で留学生に生卵投げつける…3少年を逮捕
◆外務省 キッズ外務省ホームページ「世界の学校を見てみよう」
【6】自由書き込み欄
【7】編集後記
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【1】今号のトピック
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◆在留外国人と生活保護
「永住外国人の生活保護見直しも 最高裁が上告弁論を決定」 こんな見出しが4月25日の新聞にあがりました。
http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20140426-OYS1T50000.html
そもそも、1946年(昭和21年)の旧生活保護法においては全ての在住者を対象としたが、1950年(昭和25年)の改訂で国籍条項が加わった。しかし、1954年(昭和29年)当時の厚生省が「人道的見地」から、生活に困窮者する永住外国人や日本人配偶者などの外国人においても、生活保護法を準用すると通知して以降、慣例的に日本国民と同じ条件で給付している。また、1990年(平成2年)10月25日に厚生省社会局保護課企画法令係長による口頭指示という形で対象となる外国人を永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者、認定難民に限定するようになった。
今回の最高裁の決定は、永住資格をもつ中国人女性が生活保護申請を却下した大分市の処分の取り消しを求めた訴訟でのものであり、永住外国人は日本人と同様、生活保護の対象になると認めた二審福岡高裁判決が見直される可能性が高まったという。
※在留外国人に生活保護制度の適用を認めるかどうかは、議論も多い。生活に困窮するための援助は母国がするのが筋であるとか、限られた国の財源の下で、自国民を在留外国人より優先的に扱うのは当然であるとか、年金に加入していない高齢の外国人や失業中の外国人が生活保護を受給すると、当初の来日の目的は見失われ、日本の生活保護制度から抜け出せなくなるなど。この機会に、じっくりこの問題について考えたい。以下は、関連論文です。ご一読ください。http://www2.rikkyo.ac.jp/web/taki/contents/2013/20130513.pdf
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【2】外国人住民等に関する統計
◆在日外国人の子どもたち 1万人以上は完全な不就学
弁護士や研究者らでつくる国際人権法政策研究所は、「日本に住む小中学学齢期の外国人約101,500人の4割弱、約38,000人が日本の小中学校に通っていない。多くは文科省が正規の小中学校と認めない外国人学校に在籍するが、1万人以上は完全な不就学とみられる。」とし、事態調査や対策を文科省に求めた。(毎日新聞2014/03/01)
※学校基本調査(2013.5.1)全国小中学校在籍外国人児童生徒数63,497人(A)
法務省在留外国人統計(2013.6末)6~14歳 101,485人(B)
(B)-(A) 37,988人(37.4%)(C)
外国人学校での外国人在籍者数(文部科学省「外国人学校の現状について 2009.5」
外国人学校117校での外国人在籍者数(高校を含む)18,652人(3/4の比率と仮定すると、13,989人
不就学児童生徒数:約24,000人
※文部科学省は、平成18年度に1県11市(飯田市、四日市市は17年度)における外国人登録者のうち義務教育の就学年齢にある者の調査をしており、その結果では、不就学者は全体の1.1%と信じられないものであった。その後は、調査はしていない。国際人権法政策研究所では、1万人以上としているが、古い調査での推計ではあるが、2万人以上となる。一方、香川県での不就学児童生徒数は不明である。大胆な推計をすると、香川県内に在籍する外国人児童生徒数は241名(学校基本調査2012.5)のうち、上記C/A(59.8%)を掛けると144人にもなる。この数字は統計上の仮定での最大数としてでも、かなりの子どもが不就学であることは想像できる。
http://sp.mainichi.jp/m/news.html?cid=20140301k0000e040264000c&inb=mo
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/06070415/005.htm
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/001/012.htm
◆外国人の高校入学者選抜をめぐる自治体間比較(愛知淑徳大学 小島祥美)
2012年度外国人生徒対象の高校入学者選抜の状況(全国47都道府県13政令都市の教育委員会のうち50団体回答)
○選抜制度が有る教育委員会 15(香川県なし)
全日課程15 定時制課程9 通信課程2(秋田県・鹿児島県)
日本での生活年数の制限 3年以内11 6年以内3 制限なし1(浜松市)
学力検査:国・数・英 7教委 基礎学力検査 3教委 個別判断1(秋田県)
作文の併用:9教委(うち日本語以外可 4教委)
○入試特別措置が有る教育委員会 31(香川県 日本での中学校生活が3年未満の生徒 個別に判断する。)
※香川県でも高校入学に関し特別枠を設けるなどの選抜制度を採用すべきである。
【3】研修会・講演会情報
◆異文化間教育学会第35回大会のお知らせ
異文化間教育学会は、1981年1月に設立された学会で、海外・帰国子女教育、外国語教育、外国人への日本語教育、在日外国人子弟教育、教育・研究の国際交流(教師、学者、学生の派遺や留学)、海外移住者の教育、国際理解教育、異文化間教育担当者の教育訓練の制度・方法、諸外国における多文化・多言語教育、異文化適応、異文化間教授=学習過程、二言語教育(バイリンガル教育)、アイデンティティ、異文化間コミュニケーション等、諸問題に関する論理的・実践的な研究が進められています。学会員でなくても参加できます。
大会日程 6月7日(土)・8日(日) 
会場 同志社大学 今出川キャンパス 純正館 9:00~16:30
〒602-0893 京都市上京区今出川通寺町西入
大会参加費:非会員(一般)当日料金 7,000円
※プログラムの一部紹介:7日個人発表「外国につながる子どもたちのハイブリッドな自己形成 -言語習得と自己形成の関係性に着目して - 「外国人児童の学習及び行動の評価と認知力との関連」「k県におけるペルー人児童生徒と保護者の教育に関する一考察」「ニューカマーの子どもとたちの進路選択と将来の展望-ブラジル・ペルーにルーツを持つ子どもたちの事例調査から-」など
http://www.intercultural.jp/iesj2014/doc/program.pdf
【4】書籍・論文の紹介
◆二つの言語と文化の中で育つ子ども達への支援 富山国際大学教授 福島美枝子(2014.3)
福島教授は、2014年4月から外国籍児童生徒などに対し「特別な教育課程」が提供される状況下において、受け入れる日本人側が二つの言語と文化の中で育つ子ども達の言語発達をより良く理解し、日本語教育や
教科教育を超えて日本人社会全体が少数言語の人々への関心や生産的な考え方を発展させていく必要があるという。
※論文中の個人的メモ
カミンズ博士の「発達上の二言語相互依存の仮設」でいうビックス(生活言語)とカルプ(学習言語)のうち、カルプは場面支援度と認知力必要度を軸にして、言語活動を4つの領域に分けて考えられている。領域Aは買い物をする場面での言語活動など、場面の助けがあり高度の認知度を必要としない活動、領域Bは理科の実験とか視覚教材活用の教科授業など、場面の助けはあるが認知力の必要度が高い活動、領域Cは教師の板書を写すとか買い物リストを作るなど、場面の助けがないが認知力の必要度が低い活動、領域Dは教科学習の多くがこの領域に入り(本を読む、レポートを書く、口頭発表をするなど)、場面の助けがなく認知力の必要度が高い活動である。
○「発達上の二言語相互依存の仮設」(母語の発達は第二言語の発達を、第二言語の発達は母語の発達を促すという相互作用が認められる。):入国する前に母語でのカルプをより身につけている(3~4年生ぐらい)方が、第二言語のカルプの伸びも良い。
○「日本語が身についていない子ども」としてでなく、子どもがすでに持っている知識や能力を知る必要がある。・・・・教育実践面で子どもたちのために必要なのは、ひとりひとりの背景を知り、定期的に言語面と教科学習面での伸びを見ながら今後の目標を考案すること。・・・子どもたちへの支援は、言語発達や教科学習面だけでなく、もっと情意的な面での成長や人々と関わって生きていく面にも注目しなければならない。
http://www.tuins.ac.jp/library/pdf/2014kodomo-PDF/2014-13fukushima.pdf
◆「多文化共生社会に向けて」明治大学国際日本学部教授 山脇 啓造 氏「外国人労働者か移民か」
「2014年4月4日に、建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置を検討する閣僚会議(第2回)が開かれ、「当面の一時的な建設需要の増大への緊急かつ時限的措置」(2015~2020年)として、「即戦力となり得る外国人材の活用促進」を図ることを決定しました。(中略)安倍首相は外国人材を積極的に活用するが移民政策はとらないことを強調しました。外国人労働者は受け入れるが、移民政策はとらないとは、外国人労働者を期限付きで受け入れるが、一定期間が過ぎたら必ず帰国させることを指しているようです。労働力はほしいが、受入れにともなう社会的コストはできるだけ避けたいということでしょうか。移民政策とは、外国人の出入国および在留全般に関する政策を指す場合と外国人を定住者(移民)として受け入れる政策を指す場合があります。政府が使っているのは後者のようですが、その定義に従っても、実は、政府はすでに移民政策をとっています。中国帰国者やインドシナ難民、日系人といった人たちは定住を前提に受け入れてきましたし、最近では、高度人材や留学生も同様です。特に、高度人材については、ポイント制度を採用して、永住資格の取得を優遇するなど、積極的にこうした外国人の定住促進策をとっています。従って、安倍首相を始めとして、政府関係者が一様に移民政策をとらないことを強調するのは不思議なことと言えます。 また、本来、中長期的な観点に立った外国人受入れのビジョンに基づき、外国人労働者の活用を検討すべきなのに、オリンピックの建設ニーズに応える形で、いわば緊急対策として、ビジョンなきままに外国人労働者の受入れに踏み出すことは、望ましくありません。欧米諸国では、期限を区切って受け入れたはずの外国人労働者の定住化が進んでいった例が少なくありませんが、日本はそうならないでしょうか。 」(山脇)
   http://www.jiam.jp/melmaga/kyosei/newcontents86.html
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆外務省 キッズ外務省ホームページ「世界の学校を見てみよう」
あの国の学校ではどんな生徒がどんな学校生活を送っているのでしょう。ちょっとのぞいてみませんか?
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/kuni/
【アジア編】馴染みの深い国の小・中・高校教育制度の紹介
・インドネシア  6-3-3制 義務教育小・中9年間 卒業時に統一国家試験 2学期制 7月、1月
・タイ      6-3-3制 義務教育小・中9年間  6年制の中高一貫校が多い。
・韓国      6-3-3制 義務教育小・中9年間 学期3月~翌年2月
・中国      6-3-3制 義務教育小・初級中額9年間 日本の高校は、高級中学にあたる。
・ネパール    5-3-2制 義務教育なし
・フィリピン   6-4-2制 義務教育小・中・高12年間 2学期制 6月、11月
・ベトナム    5-4-3制 義務教育小・中9年間
・マレーシア   6-3-2 義務教育小6年間 高校まで無償
・ラオス     5-3-4制 義務教育小5年間 中・高で全国単位の卒業認定試験
(出所:World Bank (2000) World Development Indicators)
ASEAN各国の教育段階別就学率
初等教育への就学率 100%国:フィリピン・ベトナム・ブルネイ・インドネシア・ミャンマー
・カンボジア・ラオス(10カ国中8カ国)
中等教育への就学率 70%以上国:シンガポール・フィリピン・タイ・マレーシア・ブルネ
高等教育への就学率 30%以上国:シンガポール・フィリピン・タイ
(UNESCO Institute for Statistic”Global Education Digest 2003)
◆路上で留学生に生卵投げつける…3少年を逮捕
佐賀県警は26日、同県鳥栖市の路上でネパール人留学生の男性(20歳代)に生卵を投げつけたとして、同市の18歳の少年2人と福岡県久留米市の19歳の少年1人を暴行容疑で逮捕した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140528-OYT1T50017.html?from=ytop_main5
※留学生に対する刑法犯罪が起きた。容疑者は18歳、19歳の未成年だという。犯罪の背景が不明であり即断は禁物であるが、マイノリティなど社会的弱者への無差別な暴力は許せない。また、准看護師の遺体発見で日系ブラジル人の女性が中国・上海で身柄を拘束された事件は新聞紙上を賑わせている。日本で在留する外国人に何が起こったのか、犯罪は決して許すことはできないが、彼ら彼女らの心の闇にも関心をもつ必要があるだろう。
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【6】自由書き込み欄(このメールマガジンへの注文、ご意見をお寄せください。いただいたご意見などを踏まえ、皆んなで意見を交換し、いいメールマガジンにしていきましょう。)
                                              

 
【7】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ゴールデンウィークも終わった10日に、四国山脈西赤石山に登山し、アケボノツツジを見てきました。通常のツツジと違い、葉をつける前に淡いピンク色のサクラよりひとまわり大きな丸い愛らしい花を咲かせます。真っ青な空にピンクの花びらが舞っているようで、絶景です。見ごろは毎年連休明け 一度ご鑑賞ください。
さて、6月11日ごろに、夏休みにほんごひろばの打ち合わせを計画していますので、ご参加よろしくお願いします。参加の連絡は、安藤まで。
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創刊第3号
◆◆「まるがめにほんごひろば」メールマガジン◆◆
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~
第3号(2014年6月28日発行)毎月1回月末及び随時発行予定
◆目次◆
【1】今号のトピック
◆丸亀市城乾小学校に今年度から日本語教室が開設された。
【2】外国人住民等に関する統計
◆「外国にルーツを持つ子どもたち」-その人口規模と家庭環境―
【3】研修会・講演会情報
◆異文化間教育学会第35回大会報告(NO.1)
多文化・多言語環境の子どもの発達と学習支援
【4】書籍・論文の紹介
◆在留外国人の宗教事情に関する資料集(文化庁)(ペルー編)
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報提供
◆高技能外国人 3年で永住権(改正入管法成立)
◆外国人労働者、家事にも受け入れ 今秋に関西の特区で
◆プレスクール実施マニュアル(愛知県)
【6】自由書き込み欄
【7】編集後記

_________________
【1】今号のトピック
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◆丸亀市内の小学校に今年度から日本語教室が開設された。
・今年のまるがめ春休みにほんごひろばに3名の訪問者があった。その一人にお話しを伺うと、今年4月から市内の小学校に日本語教室が開設され、そこで外国にルーツをもつ子どもたちの日本語指導をするとのことだった。3名のうち、2名は元小学校の教頭経験者、1名は教員経験者だった。後日、関係者にお聞きすると、「市の予算で、現在9名の教員OBが嘱託採用された。市内の小学校(中学校でも可能)から、教科指導のうえで特に日本語の指導が必要と思われる子どもたちに、この小学校に通学してもらい、毎日午前中のみ、別教室で日本語指導を行い、午後は在籍校に戻るとのこと。現在、10名前後の子どもたちが通学しているという。教員OBの確保が難しかったそうで、午前中のみで、ローテーションを組んで指導している。」とのことだった。
※この小学校をいわゆる拠点校として位置付けたものではないが、丸亀市内で推定でも40名以上いると思われる日本語指導を必要とする児童生徒への支援を市教育員会としても重要な問題として受け止め、それに対応する施策として打ち出されており、大いに評価するとともに、今後の充実に期待したい。
【2】外国人住民等に関する統計
◆「外国にルーツを持つ子どもたち」-その人口規模と家庭環境― 大阪成蹊大学 鍛冶 致
2005年国勢調査を用いて、その人口規模と家庭環境を明らかにしようとするもの。55歳未満であって、夫婦家庭、母子家庭で同居している子どもたち(多くは未成年)を取り出し、集計した。鍛冶によれば、フィリピンにルーツを持つ子の9.3%、韓国・朝鮮にルーツを持つ子の7.3%が母子家庭で生活しているという。
(※2010年国勢調査:全国の一人親世帯の割合は、1.63%であるので、上記数字は非常に高い。)
また、母55歳未満の子どもの持ち家居住率は、韓国・朝鮮を除き、その他の国にルーツをもつ子どもたちは、20%以下である。そして、経済的な豊かさや人間関係的な豊かさの指標である持ち家居住率が高い集団ほど子どもたちの通学率は高いことがわかった。ブラジルの母子家庭の持ち家居住率は4.3%で、通学率は30%を下回っている。(移住労働者と連帯する全国ネットワーク情報誌Migrants Network 2012.12)
【3】研修会・講演会情報
◆異文化間教育学会第35回大会報告(NO.1)
6月7日~8日に京都市(会場:同志社女子大学)で開催した大会における研究発表の中から、外国にルーツをもつ子どもたちの教育や学習支援に関するものを数回にわたって抄録の要約を中心に掲載します。
(N0.1)多文化・多言語環境の子どもの発達と学習支援(要約)
・日本語指導が必要な外国人児童生徒は、その社会的背景に違いはあるが、複数の文化・言語の間で行き来する環境で成長し、その発達や学習の過程における特徴や課題を持っている。
・多文化・多言語環境にいながら発達障害のある子どもについての国立特別支援教育総合研究所の報告では、
海外の日本人学校において、障害と判断はされていないがその指導に特別な配慮が必要な子どもの中には、ADHD的傾向に次いで「日本語未習得」の子どもが多い。「日本語未習得」ゆえに学習の遅れが見られるのか、発達障害ゆえに学習の遅れが見られるのかが判別困難となっている。
・一方、特別支援学校に在籍する日本語指導が必要な外国人児童生徒は年々増加傾向にあり、2012年度には140人となっている。特別支援学校以外に在籍する、発達障害の診断は受けていないが、行動などに類似する特徴が認められるグレーゾーンの子どもは、それ以上の人数にのぼると予想されるが、母語による発達査定ができる専門家が少なかったり、子どもの母語そのものが喪失されており、正確な査定ができないことなどがある。この見極めがつかないまま、子どもの発達に添った支援がなされなければ、子どもの認知発達にも影響を与えるだろう。
(報告)「言語間移動時期によるコミュニケーションや学習の困難さの違い」同志社女子大学 塘利枝子
・関西A地域に在住する24人の小・中・高校生への面接調査から、日本語の躓きと対人関係、教科学習の自己効力感、自己アイデンティティとの関係を分析した結果を報告する。
・言語間移動をした年齢によって日本語の躓きの内容は異なる。就学前の移動では日本語の語彙の少なさが問題、小学校低学年での移動では日本語文法の躓きが問題であった。小学校中学校以上での移動では教科学習に大幅な遅れが見られても、母語を基盤とした学習方略を活用することが可能であり、母語の喪失も少なかった。さらにコミュニケーションの違和感は特に自閉症スペクトラムの子どもに対して対人関係能力感を低下させたり、自己アイデンティティにも影響を与えていた。
「小学校現場における教育環境改善と個々の子どものニーズに適した指導」大阪大学大学院 近田由紀子
・指導者が、子どもの適応状況や学力について、多言語・多文化環境による要因を踏まえたうえで把握し、教育環境と指導の改善に努力することが優先される。
・A市立M小学校では、教育環境と指導方法の改善により、難しさを抱えていた子どもが成長し、教職員・保護者の意識が変化した。支援体制の基盤となる校内支援員会の設置、多様な支援人材の導入とコーディネート、在籍学級の学習参加を促す指導を行った。これら一連の改善策が相乗効果を成すことで困難が著しかった子どもが、達成感をもてる学びを積み重ねることができるようになり、生徒指導上の問題行動も激減した。
【4】書籍・論文の紹介
◆平成25年度 在留外国人の宗教事情に関する資料集(文化庁)(ペルー編)
※丸亀市に在留するペルー国籍の人は、281人で県内ペルー人373人の75%を占める。(在留外国人統計 法務省H25.12末)
ペルー国民の宗教は、81.3%がカトリック、12.5%がプロテスタント。ペルーには、国の守護聖人のサンタ・ロサ・デ・リマ(リマの聖ローサ)やペルーからの移住者の守護聖人のセニョール・デ・ロス・ミラグロス(奇跡の主)がいる。守護聖人の祝日には、盛大な祭りが行われ、人々が聖人像を担いで練り歩く。在日ペルー人は、在日ブラジル人と比較しても、コミュニティはそれほどできていない状況である。これは来日したペルー人の社会的背景が多様であることも関係している。また、同じキリスト教であっても、ペルー人にとってカトリックとプロテスタントは明確に区分されており、これらの宗教間のつながりは生まれにくい。
同じ教会に通い、宗教行事をともに行うことによってペルー人同士の互助関係に発展することもあるが、そうしたつながりを持っているのは在日ペルー人全体から見ればごく一部である。
http://www.bunka.go.jp/shukyouhoujin/zairyugaikokujin/index.html
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆高技能外国人 3年で永住権(改正入管法成立)
改正出入国管理・難民認定法が11日成立した。技術研究などに携わる高度な技能を持つ外国人は、在留3年で無期限の在留資格を取得することができるようになる。
外国人が永住許可を得るのに必要な在留期間について、現行制度は原則10年と定めているが、技術研究や製品開発、企業経営に優れた「高度人材」と認定されれば、おおむね5年に短縮されている。この期間をさらに2年縮める。 
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014061100058
◆外国人労働者、家事にも受け入れ 今秋に関西の特区で
・ 政府は、地域をしぼって規制を緩める「国家戦略特区」で、外国人労働者を家事サービスの分野で受け入れる方針を固めた。「18歳以上、単身での入国」などの条件で、関西圏(大阪、京都、兵庫の3府県)の特区で今秋にも受け入れを始める。掃除や洗濯など家事の負担を減らして女性の就労を促すため、これまで慎重だった家事分野での受け入れに踏み出す。
 新しい成長戦略に女性の就労支援策の目玉として盛り込む。特区で試験的に日本の家庭への受け入れを始め、需要があるかどうかを見極めたうえで、ほかの地域への拡大も検討する。受け入れ国は限定しないが、フィリピンやインドネシアなど東南アジアが中心になる見通し。
 いまの出入国管理法は、家事労働を目的とした外国人の入国を、外交官の家庭などで働く場合を除いて認めていない。そのため今秋をめどに法務省が告示を改正し、家事代行業者が雇う外国人に新たな在留資格を与える。松井一郎・大阪府知事、橋下徹・大阪市長は今年5月、積極的に外国人労働者を受け入れると連名で表明しており、まず関西圏の特区を対象とする。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140615-00000012-asahi-pol
◆プレスクール実施マニュアル(愛知県)
・愛知県では、外国人の子どもが入学した小学校で戸惑うことなく、早期に学校生活に適応できるようになることを目指し、平成18年度からプレスクール(就学前の外国人の子どもへの初期の日本語指導・学校生活指導)のモデル事業を実施してきた。21年度には、これまでのモデル事業の成果を活かし、プレスクールの普及を図るため、県・モデル事業実施市町村・モデル事業での講師経験者等に加え、外国人の子どもの教育環境、子どもの言語の発達、多文化共生教育などの関係分野の専門家の協力もいただきながら、全国で初めてとなる、プレスクールの実施のためのマニュアル(「プレスクール実施マニュアル」)を取りまとめた。
http://www.pref.aichi.jp/0000028953.html
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【6】自由書き込み欄(このメールマガジンへの注文、ご意見をお寄せください。いただいたご意見などを踏まえ、皆んなで意見を交換し、いいメールマガジンにしていきましょう。)
                                              
 
【7】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
7月23日(水)から始まる「まるがめ夏休みにほんごひろば」のサポーターの参加が予想以上に少ない状況です。4回とも10名に達していませんので、お知り合いの方の協力をいただくなど、よろしくご支援ください。3回目は、アイパル高校生カレッジとの交流があります。若い高校生と子どもたちとの楽しい交流がどのようになるのか今から楽しみです。
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2014.1試行第1号~第3号

試行第1号
◆◆「まるがめにほんごひろば」メールマガジン◆◆
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~
試行号(2014年1月31日発行)今後毎月1回月末及び随時発行予定

◆目次◆
【1】今号のトピック
◆まるがめ冬休みにほんごひろばを開催しました。
◆日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」の編成・実施について
【2】外国にルーツをもつ子どもたちを取り巻く現状と課題
【3】外国人住民等に関する統計
【4】研修会・講演会
◆外国人集住都市会議ながはま2013
◆地域における日本語教育協議会(中国・四国・九州・沖縄ブロック)
【5】書籍・論文の紹介
【6】自由書き込み欄
【7】編集後記
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【1】今号のトピック
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◆まるがめ冬休みにほんごひろばを開催しました。
外国にルーツをもつ多くの子どもたちが県内の小・中学校で学んでおり、学校には県・市町教育委員会から特別非
常勤講師が派遣されるなど子どもたちの教育支援が行われている。
冬休みなどの休暇中においても、子どもたちに日本語の学びや仲間づくりの場を提供することが必要であるため、公益財団法人香川県国際交流協会において、丸亀市内のコミュニティセンターを会場に、当協会主催で市内で実施した学習サポーター養成講座の修了者が中心になって学習支援を行う「冬休みにほんごひろば」を開催した。
主催  公益財団法人香川県国際交流協会
後援  丸亀市、丸亀市教育委員会、丸亀市国際交流協会
対象  日本語を母語としない7歳(小学1年生)から12歳(小学6年生)までの子ども
期間  平成25年12月26日(木)、27日(金)
回数・時間   全2回(1回 10:00~12:00 の 2時間)
場所  丸亀市城乾コミュニティセンター 丸亀市南条町34 TEL.0877-21-0012
参加児童  12月26日(木) 6名 12月27日(金) 4名
参加費  無料
学習支援内容  冬休みの宿題のサポート、今年を振り返り、来年を考え、発表する活動
参加サポーター 12月26日(木) 12名 12月27日(金) 13名
サポーターの意見
・児童数は少なかったが、参加した子どもはとても集中力があり、冬休みの宿題をするという意識を強く持ってひろばに参加していた。
・最後の発表活動では、今年を振り返り、来年に期待することをしっかり発表できていた。
・昨年は、お正月の遊びやゲームなどのアクティビティが中心であったが、今回は、宿題を中心に置いたが
子どもたちの反応は良かった。
・昨年、今年と参加してくれた子どもの状況を少しでもつかみ、次回の春休みの学習支援につなげたい。

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◆日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」の編成・実施について 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
平成26年4月1日施行 学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(通知)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/1341903.htm
「特別の教育課程」による日本語指導
(1)指導の内容:外国人児童生徒が学校教育において各教科その他の教育活動に、日本語で参加できることを目的とする指導(学校生活を送るために必要な日本語指導も含む。)
在籍学級の教育課程の一部の時間に替えて、在籍学級以外の教室等で行う教育の形態
(2)対象とする児童生徒:小学校、中学校、中等教育学校の前期課程、特別支援学校の小学部及び中学
部に在籍する日本語指導が必要な児童生徒
指導の要否は校長の責任の下で行うが、判断には、日本語指導担当教員をはじめ担任や各教科を担当する教員、日本語指導補助者など複数人により、児童生徒の実態を日本語能力、学校生活への適応状況も含めた生活・学習の状況、学習への姿勢・態度等の多面的な観点から把握・測定した結果を参考とする。(文部科学省では、日本語能力測定方法「DLA~外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント」を開発した。これまで各地域で工夫されてきた方法とあわせて、本アセスメントを活用してほしい。)
(3)指導者 日本語指導担当教員:教員免許を有する教員(常勤・非常勤講師含む。)
日本語指導補助者(必置ではない。):日本語指導担当教員が行う日本語指導や教科指導等の補助を行う支援者、児童生徒の母語による支援者
(4)授業時数:年間10単位時間から280単位時間までを標準とする。
・1単位時間:45分又は50分 
(5)指導の形態及び場所:在籍学校における「取り出し指導」を原則とする。ただし、指導者の確保が
困難な場合には、他校における指導も認める。やむを得ない事情がある場合には、一定の要件の下、例外的に学校外施設における指導も認める。
(6)指導計画の作成及び学習評価の実施
①指導計画の作成
・学校から教育員会への指導計画(特別の教育課程の編成・実施計画)の届け出
・学校内で作成する個別の指導計画の作成
②学習評価の実施
○期待される効果:・児童生徒一人一人の実態に応じたきめ細かな指導の実現
・指導を受けた児童生徒が各教科その他の教育活動に日本語で参加できるようになること。
・地域や学校において日本語指導に携わる関係者の意識の啓発及び指導力の向上
※今年の春から実施するとの情報であるが、学校現場での現実感は乏しいようだ。香川県のような1校当たりの対象児童生徒が少ない地域では、1人の指導者が複数校を巡回して指導を行うことや、児童生徒にとって通いやすい学校等に指導する教室を置くことも考えるようだ。

【2】外国にルーツをもつ子どもたちを取り巻く現状と課題
1.公立小・中・高等学校等に在籍する外国人児童生徒数:71,545人
  同上  日本語指導が必要な外国人児童生徒数:27,013人   
  同上  日本籍児童生徒数: 6,171人
             (平成24年5月1日)
県内の状況
  
外国人児童生徒数(人)     A 日本語指導が必要な外国人児童生徒数  
(人)B※ 同左 日本籍児童生徒数  比率
(%)B/A  全国比率(%)
241
(小154中47高40) 66
(小50中15特1)   26
27.4 37.8
※ 22年度 83人(小50中15特1) 20年度 56人(小50中15特1)19年度 63人(小50中15特1)人 文部科学省 学校基本調査・日本語指導が必要な児童生徒の受入れ状況等に関する調査
※香川県での日本語指導が必要な外国人児童生徒数の比率が全国より10ポイントも下回っている。全国的な判定基準づくりが求められる。

【3】外国人住民等に関する統計
1.香川県内の外国人児童生徒数
学校基本調査
http://www.pref.kagawa.jp/toukei/zuiji/school/h24/h24kakuhou.pdf
2.香川県内の日本語指導が必要な児童生徒数
日本語指導が必要な児童生徒の受入れ状況等に関する調査(平成24年度)の結果
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/04/__icsFiles/afieldfile/2013/04/03/1332660_1.pdf
3.在留外国人統計(2013年6月末)2013年12月26日公表
全国 在留外国人数:2,049,123人(2012.12月末 2,033,656人)
香川県  8,356人(2012.12月末  8,277人)
http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_touroku.html

【4】研修会・講演会
◆外国人集住都市会議ながはま2013 資料から
○帰国支援を受けた日系人への対応について
国が平成21年度に実施した日系人離職者に対する帰国支援事業により帰国支援金の支給(本人1人当たり30万円、扶養家族1人当たり20万円)を受け帰国された方については、原則3年間、同様の在留資格による再入国を認めないことにしていたが、本年10月15日から、1年以上の雇用期間のある雇用契約書の写しの提出を条件に、再入国を認めることになった。
○浜松市の外国人の不就学児がゼロになったと発表
 外国人の子どもの不就学をなくそうと「不就学ゼロ作戦」に取り組む浜松市は、6~15歳の外国籍の子どもの就学状況を実態調査(5月17日から4カ月の調査期間)したところ、日本の公私立小中学校や外国人学校に通っていない不就学児は96人だったが、市が面談などの支援を行った結果、ゼロを達成したと発表した。
※素晴らしい成果であると思う。これも、住民基本台帳ネットワークの活用の成果であり、他の自治体の同様な取り組みが望まれる。

◆地域における日本語教育協議会(中国・四国・九州・沖縄ブロック)資料から
○国内外の日本教育について
(文化庁「国内の日本語教育の概要」、(独)国際交流基金「海外日本語教育機関調査」より抜粋)
海外の日本語学習者数  平成24年 3,984,538人(10年間で1.7倍)
1位 中国 2位 インドネシア 3位 韓国
海外の日本語教師数  平成24年  63,771人
海外の日本語教育実施機関数 平成24年  16,045機関
国内の日本語学習者数  平成24年  139,612人(10年前とほぼ同数)
国内の日本語教師数  平成24年  34,392人(うち、ボランティア 20,786人 60.4%)
国内の日本語教育実施機関数 平成24年  1,995機関
香川県内の日本語学習者数  平成24年  511人
香川県内の日本語教師数  平成24年 189人(うち、ボランティア 132人 69.8%)
香川県内の日本語教育実施機関数 平成24年  18機関
※ボランティアの比率が年々高まっている。全国平均より、香川県が9.4%上回っており、関心が高いと一応言えるのだが、子どもたちへのボランティア数はと言うと全国の統計がないので、判断できない。
在留外国人数に占める学習者比率 全国:6.87% 香川県:6.17%

【5】書籍・論文の紹介
外国人児童生徒の教育をめぐる政策論の動向と展開 斉藤泰雄(国立教育政策研究所国際研究・協力部総括研究官)平成24年3月
○約2年前の論文ではあるが、外国人児童生徒の教育をめぐる諸情勢、国・自治体の政策の動きが簡潔にまとめられている。中でも、外国人住民の日本での滞在の長期化、定住化傾向が強まっており、子どもの就学機会を確保するため、公立学校の受入れ体制を整備するとともに、いわゆる外国人学校、とりわけブラジル人学校の運営支援等を行うことで、日系人子弟へのもう一つの選択肢となっていること、さらにリーマン・ショックによる景気後退が子どもたちへの教育に及ぼす影響などがわかりやすく記述されている。
http://www.nier.go.jp/kankou_kiyou/kiyou141-018.pdf
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【7】編集後記
早いもので、年末のまるがめ春休みにほんごひろばの開催から1カ月が過ぎました。皆さん、お元気でしょうか。今年も、外国にルーツをもつ子どもたちの学習支援などへのご協力をよろしくお願いします。外国にルーツをもつ子どもたちの学習サポーター養成講座の開催から2年が経ち、県内の外国人児童生徒数も200名を超える状況にあり、子どもたちへの学習支援がますます必要になっています。頑張りましょう。!!
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■編集・発行 まるがめにほんごひろば事務局 文責:安藤 
〒760-0017 
高松市番町1-11-63 アイパル香川
TEL:087-837-5908 FAX:087-837-5903
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試行第2号
◆◆「まるがめにほんごひろば」メールマガジン◆◆
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~
試行第2号(2014年2月28日発行)毎月1回月末及び随時発行予定
◆目次◆
【1】今号のトピック
◆まるがめ春休みにほんごひろばを開催します。
◆外国人住民と通訳ボランティア対象 防災のための日本語講座を実施しました。
◆地域日本語教室支援事業を実施しました。(香川にほんごネット共催)
講師:RINK(すべての外国人労働者とその家族の人権をまもる関西ネットワーク)草加道常氏
【2】外国人住民等に関する統計「香川県の外国人雇用状況について」
【3】研修会・講演会情報
◆おおさかこども多文化センター主催「外国にルーツをもつ子どもの学習上のつまずきと支援のあり方」学習会 講師:近田由紀子氏
【4】書籍・論文の紹介「移動する子どもたちと日本語教育」早稲田大学大学院 川上郁雄
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事◆「特定活動」制度で「外国人」受け入れ 建設人材不足解消へ
【6】自由書き込み欄
【7】編集後記
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【1】今号のトピック
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◆まるがめ春休みにほんごひろばを開催します。
昨年に続き、今年も春休みの4日間実施します。
主催  公益財団法人香川県国際交流協会
後援予定  丸亀市、丸亀市教育委員会、丸亀市国際交流協会
対象  日本語を母語としない7歳(小学1年生)から12歳(小学6年生)までの子ども
期間予定  平成26年3月27日(木)、28日(金)、4月3日(木)、4日(金)
回数・時間   全4回(各回とも 10:00~12:00 の 2時間)
場所  丸亀市城乾コミュニティセンター 丸亀市南条町34 TEL.0877-21-0012
参加費  無料
学習支援内容  春休みの宿題のサポート、その他日本語学習活動
まるがめ春休みにほんごひろばについて、皆さんからの意見をお待ちしています。
◆外国人住民と通訳ボランティア対象 防災のための日本語講座を実施しました。
場所:アイパル香川中2階交流フロア・3階大会議
と  き  平成26年1月19日(日) 11:00~12:00
参加者  11カ国 74名
内 容 ・災害情報にふれてみよう!
講師:(公財)香川県国際交流協会 日本語講師
(1) 災害時のニュースがわかる!? まる覚え防災の日本語
外国人住民が災害時のニュース速報から重要な情報を読み取り、避難などの正しい行動につなげられるよう、必要な語彙や漢字を学んだ。
(2) 災害情報がわかる!? 見て聞いて安心の災害情報
災害対策本部から発信される情報をわかりやすい文例に置き換える練習をした。
◆地域日本語教室支援事業を実施しました。(香川にほんごネット共催)
とき 平成26年2月11日(火・祝)ところ アイパル香川3階第5・6会議室
対象 県内各地域の日本語教室日本語指導ボランティア、一般県民
講師:RINK(すべての外国人労働者とその家族の人権をまもる関西ネットワーク)草加道常氏
内容要旨 「外国籍住民の現状と生活相談について~日本語支援に関わる諸問題~」
(1)新来外国人の変化と外国籍住民の現状
外国籍住民の3つの壁(ことばの壁・制度の壁・こころの壁)←外国人への無関心
①来日外国人の変化
・1970s ニューカマーの外国人が増加し始める。 
・1970s後半 ベトナム難民の来日と東南アジアの女性労働者の増加
・1980s 南アジア・西アジアの男性労働者の増加
・1990s以降 南米日系人を中心に増加
・1994以降 中国残留日本人急増
・1993 外国人研修・技能実習生制度の導入
・2008年のリーマンショク 大量の外国人が帰国
※リーマンショクで派遣会社が倒産したことで、これまで通訳が生活面の大部分の面倒をみていたのができなくなり、外国人個々人が日本の実生活に放り出されたことで、「顔の見える定住化」に変化していった。
②来日経緯と在留資格
・在日コリアン、在日中国人(特別永住者)
・中国残留日本人、日系南米・フィリピン人(日本人の配偶者等、定住者)
・日本人との国際結婚(日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)
・難民(定住者、特定活動)
・就労(人文知識・国際結婚、技術、技能、企業内転勤、教育、興行)
・留学生(留学)
・技能実習生(技能実習1号・2号のイ、ロ)
※1号:入国1年目 2号:入国2.3年目 イ:企業単独型 ロ:団体管理型 
③外国人相談の特徴と内容
・2012年度NGO内容別相談比率では、在留資格が26%、家族関係(結婚、離婚、出生、認知など)が24%で全体の半数を占める。
・外国人への社会保障制度の適用
1986年の国民健康保険法を最後にすべて国籍条項廃止したが、これがすべて適用になるのは、永住者、永住者の配偶者等、日本人の配偶者等、定住者に限られる。特に、非正規滞在者は、国民健康保険、健康保険、生活保護、児童手当などは適用されない。
※研修会の資料がご希望の方は、メールしてください。お送りします。
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【2】外国人住民等に関する統計
◆香川県の外国人雇用状況について
http://kagawa-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/news_topics/topics/_113970/_119275.html
※香川県の外国人労働者数は、平成25年10月現在 4,262人(在留外国人総数の約51% 全国 約35%
技能実習生の県内比率が約36%(全国約8%)と高いためで、労働者数比率では約70%を占める。その他の在留資格別では、専門的・技術的分野以外はほぼ全国平均)
【3】研修会・講演会情報
◆おおさかこども多文化センター主催「外国にルーツをもつ子どもの学習上のつまずきと支援のあり方」学習会(2月23日(日)13:30~16:00 大阪市総合生涯学習センター6階 研修室)
講師:近田由紀子氏(こんだゆきこ)大阪大学大学院連合小児発達学研究科)浜松市で長年、小学校教員として外国人児童教育に携わり、現在は大学院で外国人の子どもの発達について研究されている。
内容:学習活動に困難さを抱えているJSL児童の要因は、「ことば」なのか、「文化」なのか、「発達」の問題なのか、その見立ては難しい。多様な要因が複雑に影響しており、支援の手がかりをつかむには、多角的な、長期的な視点が必要である。事例を挙げながら、子ども自身の多様性、受入れ側の多様性とその対応を学んだ。何ができて何ができないのか、具体的な場面、事柄を探し、できることを伸ばしつつ、苦手なことを引き上げていく。関係者が子どもの情報を共有し、それぞれのかかわり方、場の環境、指導内容によって、子どもの表れは変わる。グループワークでは、3つの子どものタイプから選択又はグループ独自のタイプを決め、子どもの困り感はどこにあるのか、支援できる人材と場をどう確保するのか、支援の具体策はどのようなものかなどを話し合った。
(感想)講師の話の中で、「この子だったら何から始めたらいいのか、できていないところを伸ばすより、できるところを伸ばす方がスムーズにでき、子どももより達成感を感じる。同時にできるところの周辺部分も高まると言う。脳の血流が上がり、シナプスが活性化し、その周辺部も活性化する。」との話はとても印象的であった。
※研修会の資料がご希望の方は、メールしてください。お送りします。
【4】書籍・論文の紹介
◆「移動する子どもたちと日本語教育」早稲田大学大学院日本語教育科教授 川上郁雄
※上記書籍に、平成25年1月20日(日)東広島市市民文化センターでの年少者日本語教育指導者のための出前講演会での川上先生の講演要旨を加筆しました。
1.「移動する時代」と子どもたち
国際移民の時代:大量の大人たちが自分の意思で移動するのに対し、大量の子どもたちは、
大人たちによって「移動させられる」時代
・ドイツ ドレスデン市のインターナショナル校の事例
教室の壁に、子どもたちがこの学校に編入するまでの数カ国の移動の軌跡を表で貼付
子どもたち同士がそれぞれの背景を知ることで、自分の移動の生活を特別視しない。
子どもが抱えさせられる課題
・複数言語環境で成長する子ども
ことばの教育がなぜ必要なのか。→複数言語で他者とつながっている
複数言語で向き合う自己の確立
2.指導の前提
(1)子どものことばの生活を想像する。→言語生活を子どもの目線で考える。
(2)子どもの成長と発達を考える。→子どもはさまざまなストレスや思いを抱えている。
(3)子どもの心を支える→ 教育はそんな子どもの心を支えるもの 
3.ことばの力はどのように見えるか
その背景に何があると思いますか。
「黙っている子」→日本語が話せない。
サイレントチルドレン(沈黙期間 他の子を観察、わかるまで黙っている。)
自信がない
「人のまねをする子」→自分の意見に自信がない。わからないまままねをする。
「自分でことばを作る子 例~じゃない」→じゃない は否定形 NOの意味
「1語文の子」→日本語学習初期の段階 「はい」というがいろいろな意味のはいがある。
「もともと学力が低いように見える子」→個の力、その子の問題とみなしがち
「ほとんどの話は理解できるが、日本の文化に関する知識が不足している子」
→日本の何年のいながら、日本の昔話での文化的な事柄がわからない
子どもたちのことばの力の実状は極めて多様である。子どもは、人とのやりとりの中で(相互作用的)、その子の背景や発達段階などに応じ変化(動態的)する。
これらは、JSLバンドスケールのどれかのレベルと合うかを検討できる。
「※ことばの力:他者とやりとりする力、学び考える力、思考を深める力を得ること
ことばの力を育成するために重要なことは?
①子どもたちに日本語を教える方法
②目の前の課題をやりとげるための支援
③子どもたちの成長・発達の過程に継続的に、かつ長期的に寄り添って日本語を教える。
④教授法、教材開発
それだけでは十分ではない。
1.子どもたちがいかに自律的に、かつ主体的にことばを学ぶ力を獲得していけるか。
生きていく主体である子ども自身が自らの学びのスタイルを見つけ、自律的に、かつ主体的に学んでいくよ
うに、支援者がいかに支援するか。
一人ひとりの子どもに寄り添って共に考えていくにはどのようにしたらいいのか。」
4.「日本語指導が必要な児童生徒」とは誰か
・誰が何をもって判断するのか。
教委に報告する日本語指導が必要な児童生徒の判断は、学校が決める。
予算の関係で、制約されることもある。
・文科省の新たな定義(H18.11.6)
①日本語で日常生活が十分できない者(JSLバンドスケール レベル1~2に相当)
②日常会話ができても、学年相当の学習言語が不足し学習活動への参加に支障が生じる者で、日本語指導が必要な者(JSLバンドスケール レベル3~4に相当)
しかし、JSLバンドスケール レベル5~6でも支援が必要である。                            
・2言語相互依存の仮設(J.カミング)            
2重の氷山 
2言語が上のしきいを越えれば「加算的バイリンガル」(母語に加えて社会的に有用な言語が加わる)になる。
第一言語による認知的、社会文化的背景が日本語の力に影響を与える。
JSLバンドスケールは、レベルを決定することに意味はない。複数の支援者の見立てが大事
「※JSLバンドスケールに見る「ことばの力の捉え方」
子どもの日本語の力の実態を発達段階的に把握するものさし(scales)の束(band)
年齢集団を「小学校低学年」「小学校中高年」「中学・高校」の3つに分け、それぞれの集団の4技能(聞く、話す、読む、書く)ごとに、初歩レベルの1から日本語を高度に使用できるレベルの7あるいは8の段階に設定している。
日本語を学ぶ子どもの学習の様子や先生とのやりとり、クラス活動や遊びの様子を観察し、そこで見られる言語使用の特徴がどのレベルの特徴と合うのかを検討する。
取り出し指導の子ども:レベル1からレベル6まである。ひとりの子どもでも4技能が同じレベルにはなく、ア
ンバランスな状態にある。子ども一人ひとりによって、来日年齢、滞在期間、出身国での教育、家庭内の言語生
活などさまざまな異なる事情がある。
バンドスケールは、子どもたちのことばの力を把握しつつ、そのことばの力を伸長するために、どのような日本語教育を行うかを検討することが目的なのである。」
・日常会話能力(生活場面)1~2年で獲得
文脈が見える。話題がわかる。相手が聞いてくれる。知っている語彙が少ない。
・学習言語能力(学習場面)5~7年で獲得
文脈が見えない。馴染みのない話題。抽象度が高くなる。知らない語彙が多い。
5.「日本語指導」から「ことばに留意した教育」の創造へ
・三重県鈴鹿市の試み
人口20万人 小中学校 40校 外国にルーツをもつ児童生徒 700名(全体の1割)
5年間JSLバンドスケールを使って、実践研修会(教師間での学習)・共有(教師間で個々の児童生徒の状況共有)・連携(国際学級と在籍クラス)
6.言語活動に必要な観点は何か
・個別化:子どもを主人公にする。
個人差(言語能力、学習スタイル、学習ストラテジー、興味など)に配慮した指導
一人ひとりの発達段階に配慮した指導
・文脈化:ことばは文脈の中で意味が生まれ、談話の中でメッセージを伝える。
学習者は場面や状況に応じてことばを理解し、流動する文脈の中で使用してはじめてことばを習得する。決して文型練習で得られるものではなく、意味のある文脈をいかに作れるかがポイント
・統合化:子どもの言語発達では、子どもにとって「意味するもの」と「意味されるもの」を結びつける象徴機能の形成が言語発達の中核
学習者の言いたいことや内容をことばにする(統合化する)とき、言語習得が進む。
※子どもがペットの写真を持ってきて、「これ 私のペット」と言った場合、正に個別化文脈化統合化
支援者のスキャフォールディング(足場かけ)が重要
・漢字にルビ打ち ・やさしい表現 ・音読 ・板書 ・視覚的活動教材の提供 ・友達同士一緒に考える ・わかりやすいプリントを用意する など
7.日本語指導に必要な観点
1)こころを支える指導
2)声が届く体験→自分のことばを聞いてくれる人がいる
必要な視点
①成長・発達の視点
②ことばの力をみる視点
③どのような「ことばの力」を育成するのかという視点
第二言語としての日本語の特徴
・動態性:常に日本語の力は変化している。
・非均質性:場面や状況に応じて生起する日本語の力は同じではない。
・相互作用性:日本語が使用される目的や相手との関係性によって日本語の力は異なっていく。
JSLカリキュラムと教科指導
JSLカリキュラムは、考え方を示したもの
日本語の習得を通して学校での学習活動に参加するための力を育成するもの
知的で楽しい活動
これはなんだろう、これとこれはどう違うのか、なぜこうなるのか、考えてみよう 調べてみよう
8.「移動する子ども」とは
①空間的に移動する子ども
②言語間を移動する子ども
③言語教育カテゴリー(第二言語教育、外国語教育、継承語教育、母語教育など)の間を移動する子ども
※JSLバンドスケールを希望する方は、連絡ください。コピーを差し上げます。
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事
◆「特定活動」制度で「外国人」受け入れ 建設人材不足解消へ
 27年度開始目指す
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140130/biz14013007460006-n1.htm
※またもや、政府の都合で外国人がかき集められるようです。将来に向け、しっかりとした外国人受入れの方針の策定が望まれます。
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【6】自由書き込み欄(このメールマガジンへの注文、意見をお寄せください。いただいたご意見などを踏まえ、皆んなで検討し、いいメールマガジンにしましょう。)
(                                               )
【7】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
試行第2号を配信します。長文になり、携帯電話で受信される方は、読破するのにひと苦労ですよね。ご容赦ください。3月は春休みにほんごひろばがあります。冬休みでは、参加児童が去年より少なかったけれど、今年は大勢きてくれるか心配です。近田先生のお話にもありますように、子どものできるところをしっかり伸ばすことができればと思っています。皆さんの積極的なご支援をお願いします。
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▼「まるがめにほんごひろば」の学習サポーターを希望される方は、随時申込を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください!

■編集・発行 まるがめにほんごひろば事務局 文責:安藤 
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TEL:087-837-5908 FAX:087-837-5903
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配信希望・停止の申し出は、安藤までお願いします。
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試行第3号
◆◆「まるがめにほんごひろば」メールマガジン◆◆
~外国にルーツをもつ子どもたちとその保護者の学習支援等に向けて~
試行第3号(2014年3月29日発行)毎月1回月末及び随時発行予定
◆目次◆
【1】今号のトピック
◆まるがめ春休みにほんごひろば開催中
【2】外国人住民等に関する統計
◆在留外国人統計
【3】研修会・講演会情報
【4】書籍・論文の紹介
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事◆
◆日本語パートナーズ派遣事業
◆外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント(DLA)
【6】自由書き込み欄
【7】編集後記
_________________
【1】今号のトピック
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◆まるがめ春休みにほんごひろば開催中
現在、3月27日(木)から4月4日(金)までの各週木曜日・金曜日の4日間の予定で、丸亀市城乾コミュニティセンター2階小会議室・和室で開催中です。
1回目の3月27日(木)参加児童数11名(男5名 女6名)(ペルー8名、フィリピン2名、中国1名)
学習サポーター9名参加
2回目の3月28日(金)参加児童数7名(男3名 女4名)(ペルー4名、フィリピン2名、中国1名)
学習サポーター10名参加
(学習内容)春休みの宿題(算数計算問題、社会、漢字練習など)、カード遊び、日本地図パネルなど)
(サポーターの意見)冬休みのひろばでは、集中力のなかった児童も今回は宿題に熱心に取り組んでいた。
教科の宿題では、児童は、すぐに答えを教えてもらいたがるが、答えを出すことがサポーターの仕事ではなく、答えを導くためには、どのように考えていけばいいのかと、学校ではどのように学んだのかとか、教科書ではどこにどう書いているのかなどを児童と一緒に取り組むことが大切せつである。私たちは教師ではないので、学習指導要領に基づく教科指導はできないし、する必要もない。
※次回は、4月3日(木)、4日(金)です。多くの子どもたちが参加してくれることを期待しています。
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【2】外国人住民等に関する統計
◆在留外国人統計
平成25年末現在の在留外国人数 全国 2,066,445人(昨年末比 32,789人増) 香川県 8,510人
(昨年末比 233人増)
【4】書籍・論文の紹介
◆発達障害の理解と支援のあり方  東京学芸大学 教育実践研究センター 大伴 潔
第13回外国人児童生徒教育フォーラム(2012年)「JSL児童生徒の学習上のつまずきと支援」抜粋要約
・発達障害の定義:生まれつき脳の働きが定型発達児とは異なり、独特の行動特性を持っている状態
自閉症、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、アスペルガー症候群などで、しつけや環境が原因ではない。
行政上の発達障害と学術上の発達障害は一致しない。前者は、知的障害や脳性マヒは含まれない。
・自閉症:明確な定義はない。現在、合意形成されている3つの特徴
①対人関係における困難:相手の気持ちを察するといった共感的な関係の困難、視線を合わせることが難しいなど(視線をしっかり向けてくる子どももいるので、絶対的なものとして判断しないこと。)
②言葉の発達の遅れや独特の表現:質問の言葉をオーム返しする、パターン化された言葉で会話を始めるなど
③限定された興味や活動の範囲:同じ遊びや物(衣類等)、パターン的行動(活動の手順等)、特定の感覚刺激などへのこだわり、変化に対応しにくい。
・自閉症スペクトラム:知的障害を伴い話言葉のない自閉症~高機能自閉症(知的発達の遅れない)・アスペルガー症候群(知的発達の遅れない・言葉の発達の遅れない)までの連続体(境界がない)
・アスペルガー症候群の子どもの特徴
①人の気持ちや「場の雰囲気」「暗黙のルール」が読みとれない。②ことばを字義どおりに受け取ってしまう。③
妙に堅いことばを使ったり、一方的に話したりする。④こだわりが強かったり、感覚が過敏であったりする。⑤得意と不得意の差が大きい。
・注意欠陥・多動性障害(ADHD)
①年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力及び又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすもの。②7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。
・学習障害(LD)
①基本的には、知的発達に遅れはないものの、読む・書く・計算するなどの能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態を指す。②中枢神経系の何らかの機能障害が原因と推定されるが、視覚・聴覚障害などの器質的な障害や環境的要因が直接の原因となるものではない。
【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事
◆日本語パートナーズ派遣事業
http://www.jpf.go.jp/j/ac/index.html
国際交流基金アジアセンターが、ASEAN諸国の教育機関で日本語を教える教師やその生徒のパートナーとして一定期間、日本から派遣する事業。派遣先は主に中等教育機関、日本で言うと高校。授業のアシスタントをしたり、日本文化を紹介したり。また、授業以外でも多くの交流を行う。
(応募要件)
(1) 事業の趣旨を理解し、日本とASEAN諸国との架け橋となる志をもった方
(2) 満20歳から満69歳(2014年11月1日時点)で、日本国籍を有し、日本語母語話者である方
(3) 日常英会話ができる方
(4) 国際交流基金が別途指定する派遣前研修全日程に参加できる方
ア. 日程:8月3日(日曜日)~8月30日(土曜日)
イ. 場所:国際交流基金関西国際センター(大阪府泉南郡)
(5) SNS、ウェブサイト等を活用して本プログラムの広報や活動についての情報発信に協力できる方
(6) 心身ともに健康な方
(派遣先の内定等)
(1) 応募用紙に希望する派遣国を記入する。(フィリピンは派遣期間も記入)なお、派遣国内の都市、派遣機関については、選ぶことはできない。
(2) できるだけ希望を考慮して派遣するよう調整するが、希望通りとならない場合がある。
(3) 特に高度な日本語教育活動支援が期待される配置先の場合、以下の一定の能力・経験を有する方が優先して配置される場合がある。
• 日本語教育主専攻・副専攻中の学生
• 日本語教育主専攻・副専攻修了者
• 日本語教師養成講座在籍者および修了者
• 日本語教育能力検定試験合格者
(4) 派遣先の状況によっては、以下の能力・経験を有する方を優先して配置される場合がある。
• 現地語が出来る方
• 仕事による駐在経験、もしくは留学による滞在経験がある方
◆海外の優秀な人材確保へ入管法改正案
政府は、日本で3年間活動した外国人を対象に、日本での在留期間を無期限とする新たな在留資格を与えることを内容とする入管法改正案を決定した。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140311/k10015879241000.html
◆外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント(DLA)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/1345413.htm
文部科学省が、日本語能力測定方法「DLA~外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント」を開発したことは、1月のメルマガの「特別の教育課程」による日本語指導の中でご紹介しました。
このたび、その内容の詳細が公表されました。
○対話型アセスメント(DLA)のねらい
・日常会話はできるが、教科学習に困難を感じている児童生徒を対象
・子どもたちの言語能力を把握すると同時に、どのような支援が必要であるか、教科学習支援のあり方を検討するためのもの
○測定する言語能力について(会話の流暢度、弁別的言語能力、教科学習言語能力)
①会話の流暢度(CF:Conversational Fluency)
日常的な学校生活に必要な会話力 第二言語学習者は1~2年必要
②弁別的言語能力(DLS:Discrete Language Skills)
個々の技能(音韻意識、フォニックス、文字認識、単文形成力、語彙、文法構造)によって習得に必要な時間が異なる。音韻意識、フォニックス、文字認識、単文形成力は就学後2年ぐらいで獲得可能
・音韻意識:単語が弁別可能な音で成り立っているという認識
・フォニックス:音と文字との関係についての認識、文字を読み取る力
・文字認識
・単文形成力:大文字や句読点に関する規則、スペリング、文法)
③教科学習言語能力(ALP:Academic Language Proficiency)
学年相当レベルに達するのに5年以上必要
○DLAの特徴
・対話型を基本
・指導者と子どもたちが一対一で向き合うことで、日頃の学習成果を、そして今後の支援活動で必要となる学習内容や学習領域を絞り込んでいく上で必要な情報が得られること。
対話型のDLAは、年齢相応の言語能力を持たない子どもの教科学習言語能力評価法として妥当性がある。
○DLAによる言語能力の測定
「導入会話」、「語彙力チェック」、4つの言語技能(話す、読む、書く、聴く)から構成
その他詳細は、上記URLで。
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(                                               )
【7】編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
桜の開花宣言もあり、いよいよ春が近づいたというのが実感です。外国にルーツをもつ子どもたちも学校への入学や進級、卒業の季節です。子どもたちの未来が少しでも明るくなるよう、サポートできればいいですね。
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福祉について

日本の社会保障・社会福祉制度については、外国人住民の在留資格にかかわらず原則的に適用される。原則的と断るのは、ここで言う外国人住民には旅行者などの短期滞在者を含まず、オーバーステイなど非正規滞在者は含まないということ。ただし、これらの外国人でも適用される場合があり、また、中長期正規滞在者であっても、制度の壁があり、そのことが日本での生活に支障が生じていることも事実である。

1) 生活保護

生活保護法には、国籍条項があり、帰化した外国人はもちろん日本国民であれば請求できる。また、日本での活動に制限のない永住者、永住者の配偶者等、日本人の配偶者等、定住者の在留資格をもつ外国人(在留資格者以外では在日韓国人などの特別永住者、難民認定者を含む。)には請求権は認めないが、準用することになっている。(昭和29年厚生省通知、平成2年厚生省社会局保護課口頭指示)昭和26年の最高裁判決では、外国人は法に基づく保護対象ではなく、受給権を有しないとあるが、受給することが違憲とは言っていない。※外国人生活保護受給者は、受給後には永住資格は得られない。さらに、生活保護を止まなければ家族の呼び寄せもできない。(その家族も来日後に生活保護を受給するおそれがあるため。)外国人の生活保護受給は人道上の観点から準用するとあるが、永住者、定住者などに限定している。技術・人文知識・国際業務、技能など日本での活動に制限のある外国人の受給を全く認めないことは問題であろう。無制限に認めることには問題があると思うが、日本で適法に長期間、滞在し、就労し、税金も支払っているこれら外国人に対しては、もっときめ細やかな配慮があってもいいのではないかと考える。

2)国民健康保険

これまで、1年以上の在留期間があれば国保加入できたが、平成24年7月から、在留期間が3か月を超える外国人でも国保の加入対象になった。3か月以下でも興行、技能実習、家族滞在、特定活動の在留資格を有し、客観的な資料により3か月を超えて滞在することが認められる外国人は加入できる。ただし、医療滞在ビザと呼ばれる「特定活動での医療、保養などを受ける活動、その者の世話をする活動」については国保に加入できない。在留資格が短期滞在、外交、一部の特定活動、健康保険加入者、後期高齢者医療被保険者、生活保護受給者、欧米7か国の外国の社会保険加入者を除き、国保に加入できる。※在留期間3か月以下の外国人は、事業者などから3か月を超える滞在を認める資料を求めにくい事情のある方もあろう。また、在留資格が切れたが、急病になった後、在留特別許可が出て、療養する特別活動の在留資格を得た外国人の場合、国保加入が認められなかったケースもある。医療という生命に関わる保険へのアクセスは日本人ほど容易くない。

3)医療 「生活困窮者のための無料又は低額料金での診察事業」(社会福祉法)

広く生活困窮者一般を対象とするもので、在留資格の有無にかかわらない。ただ、県内でこの事業を行っている医療機関は、高松市民病院、高松平和病院、香川県済生会病院だけ。また、病院の診療科目もあり、すべての疾病に対応できるものでもない。生活困窮の証明も難しい場合もあろう。4)年金(RINK「すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク」ニュースレターNO.93 草加通常寄稿から抜粋)

在留カードについて

2012年から入管法の改正により、外国人登録証明書に代わり、中長期在留者に対し交付。カードには、氏名、生年月日、性別、国籍、地域、住居地、在留資格、在留期間、就労の可否などが記載。16歳以上は顔写真。16歳以上は常時携帯の義務がある。特別永住者は、在留カードに代わる特別永住者証明書の常時携帯義務はない。

以下は、入管局HPから転載

在留カードは,中長期在留者に対し,上陸許可や,在留資格の変更許可,在留期間の更新許可などの在留に係る許可に伴って交付されるものです。

※ 在留カードには偽変造防止のためのICチップが搭載されており,カード面に記載された事項の全部又は一部が記録されます。

在留カードの交付を伴う各種申請・届出には一定の規格の写真が必要となります。縦40ミルメートル、横30ミリメートル
申請人本人のみが撮影されたもの
無帽で正面を向いたもの
背景(影を含む。)がないもの
鮮明であるもの
提出の日前3か月以内に撮影されたもの

住居地を変更したときに,変更後の新しい住居地が記載される欄です。在留期間更新許可申請・在留資格変更許可申請をしたときに,これらの申請中であることが記載される欄です。※ 申請後,更新又は変更の許可がされたときは,新しい在留カードが交付されます。資格外活動許可を受けたときに,許可の内容が記載される欄です。

在留カードには「有効期間」があります。

在留カードの有効期間は,次のとおりです。

永住者
16歳以上の方 交付の日から7年間
16歳未満の方 16歳の誕生日まで

永住者以外
16歳以上の方 在留期間の満了日まで
16歳未満の方 在留期間の満了日又は 16歳の誕生日のいずれか早い日まで

在留資格とは?

(在留資格とは?ビザ(査証)との違い)
 ・外国人が日本に入国し活動するためには、出入国管理及び難民認定法等の規定に  より、在留資格が必要になる。在留資格には27の区分があり、それぞれに活動で  きる内容が定められている。
 ・身分や活動等に変更が生じた場合は、入国管理局において在留資格の変更が必要  になる。
 ・在留期間は資格ごとに定められており、この期間を超えて在留する場合は、更新  許可申請を行い、認可される必要がある。在留期間が終了したにもかかわらず、  更新しないと「オーバーステイ(超過滞在)」となる。※ビザは、日本への上陸  申請の要件となるもので、外国にある日本の大使館や領事館がパスポートに押印  やシール貼りして行う。在留資格は入国後の在留を許可するもので、ビザと異な  るが、しばしば同意語として使用される。

  在留資格には、出入国管理及び難民認定法(入管法)による26の区分と日本  国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特  例法(入管特例法)による特別永住者の計27の区分がある。

  在留資格一覧表    ※ 平成28年4月現在 (入国管理局WEBより転載)

(活動に基づく在留資格)21区分 左記筆者加筆
①在留資格名
②本邦において行うことができる活動
③該当例
④在留期間

①外交
②日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員,条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動 ③外国政府の大使,公使,総領事,代表団構成員等及びその家族 ④外交活動の期間

公用
②日本国政府の承認した外国政府若しくは国際機関の公務に従事する者又はその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動(この表の外交の項に掲げる活動を除く。) ③外国政府の大使館・領事館の職員,国際機関等から公の用務で派遣される者等及びその家族 ④5年,3年,1年,3月,30日又は15日

教授
②本邦の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究,研究の指導又は教育をする活動 ③大学教授等 ④5年,3年,1年又は3月

芸術
②収入を伴う音楽,美術,文学その他の芸術上の活動(この表の興行の項に掲げる活動を除く。) ③作曲家,画家,著述家等 ④5年,3年,1年又は3月

宗教
②外国の宗教団体により本邦に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動  ③外国の宗教団体から派遣される宣教師等 ④5年,3年,1年又は3月

報道
②外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動 ③外国の報道機関の記者,カメラマン ④5年,3年,1年又は3月

高度専門職1号
②高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次のイからハまでのいずれかに該当する活動であって,我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるもの
イ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて研究,研究の指導若しくは教育をする活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究,研究の指導若しくは教育をする活動
ロ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学若しくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動
ハ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動
 高度専門職2号
1号に掲げる活動を行った者であって,その在留が我が国の利益に資するものとして法務省令で定める基準に適合するものが行う次に掲げる活動
イ 本邦の公私の機関との契約に基づいて研究,研究の指導又は教育をする活動
ロ 本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動
ハ 本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
ニ 2号イからハまでのいずれかの活動と併せて行うこの表の教授,芸術,宗教,報道,法律・会計業務,医療,教育,技術・人文知識・国際業務,興行,技能の項に掲げる活動(2号のイからハまでのいずれかに該当する活動を除く。)
④ポイント制による高度人材 1号は5年,2号は無期限

経営・管理
②本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)③ 企業等の経営者・管理者 ④5年,3年,1年,4月又は3月

法律・会計業務
②外国法事務弁護士,外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動 ③弁護士,公認会計士等 ④5年,3年,1年又は3月

医療
②医師,歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動 ③医師,歯科医師,看護師 ④5年,3年,1年又は3月

研究
②本邦の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動(この表の教授の項に掲げる活動を除く。) ③政府関係機関や私企業等の研究者 ④5年,3年,1年又は3月

教育
②本邦の小学校,中学校,義務教育学校,高等学校,中等教育学校,特別支援学校,専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動③ 中学校・高等学校等の語学教師等 ④5年,3年,1年又は3月

技術・人文知識・国際業務
②本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学 その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(この表の 教授,芸術,報道,経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,企業内転勤,興行の項に掲げる活動を除く。)③ 機械工学等の技術者,通訳,デザイナー,私企業の語学教師,マーケティング業務従事者等 ④5年,3年,1年又は3月

企業内転勤
②本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動 ③外国の事業所からの転勤者 ④5年,3年,1年又は3月

興行
②演劇,演芸,演奏,スポ―ツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の経営・管理の項に掲げる活動を除く。)③ 俳優,歌手,ダンサー,プロスポーツ選手等 ④3年,1年,6月,3月又は15日

技能
②本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動 ③外国料理の調理師,スポーツ指導者,航空機の操縦者,貴金属等の加工職人等 ④5年,3年,1年又は3月

技能実習1号
②イ 本邦の公私の機関の外国にある事業所の職員又は本邦の公私の機関と法務省令で定める事業上の関係を有する外国の公私の機関の外国にある事業所の職員が これらの本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関の本邦にある事業所の業務に従事して行う技能等の修得をする活動(これらの職員がこれらの本邦の 公私の機関の本邦にある事業所に受け入れられて行う当該活動に必要な知識の修得をする活動を含む。)
ロ 法務省令で定める要件に適合する営利を目的としない団体により受け入れられて行う知識の修得及び当該団体の策定した計画に基づき,当該団体の責任及び監理の下に本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関の業務に従事して行う技能等の修得をする活動
 技能実習2号
イ 1号イに掲げる活動に従事して技能等を修得した者が,当該技能等に習熟するため,法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関において当該技能等を要する業務に従事する活動
ロ 1号ロに掲げる活動に従事して技能等を修得した者が,当該技能等に習熟するため,法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関 において当該技能等を要する業務に従事する活動(法務省令で定める要件に適合する営利を目的としない団体の責任及び監理の下に当該業務に従事するものに限る。)
③技能実習生 ④1年,6月又は法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲)
文化活動
②収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(この表の留学,研修の項に掲げる活動を除く。) ③日本文化の研究者等 ④3年,1年,6月又は3月

短期滞在
②本邦に短期間滞在して行う観光,保養,スポ―ツ,親族の訪問,見学,講習又は会合への参加,業務連絡その他これらに類似する活動 ③観光客,会議参加者等 ④90日若しくは30日又は15日以内の日を単位とする期間

留学
②本邦の大学,高等専門学校,高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部,中学校(義務教育学校の後期過程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部,小学校(義務教育学校の前期過程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部,専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制 に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動 ③大学,短期大学,高等専門学校,高等学校,中学校及び小学校等の学生・生徒④ 4年3月,4年,3年3月,3年,2年3月,2年,1年3月,1年,6月又は3月

研修
②本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(この表の技能実習1号,留学の項に掲げる活動を除く。)③ 研修生 ④1年,6月又は3月

家族滞在
②この表の教授から文化活動までの在留資格をもって在留する者(技能実習を除く。)又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動 ③在留外国人が扶養する配偶者・子 ④5年,4年3月,4年,3年3月,3年,2年3月,2年,1年3月,1年,6月又は3月

特定活動
②法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動 ③外交官等の家事使用人,ワーキング・ホリデー,経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等 ④5年,3年,1年,6月,3月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)
(身分・地位に基づく在留資格等)5区分 左記筆者加筆
①本邦において有する身分又は地位
②該当例
③在留期間

永住者
②法務大臣が永住を認める者 法務大臣から永住の許可を受けた者(入管特例法の「特別永住者」を除く。) ③無期限

日本人の配偶者等
②日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者 日本人の配偶者・子・特別養子 ③5年,3年,1年又は6月

永住者の配偶者等
②永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者 永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生し引き続き在留している子 ③5年,3年,1年又は6月

定住者
②法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者 第三国定住難民,日系3世,中国残留邦人等 ③5年,3年,1年,6月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)

※①特別永住者 ②平成3年(1991年)11月1日に施行された日本の法律「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」により定められた在留の資格のこと、または当該資格を有する者をいう。いわゆる在日朝鮮、韓国人③無期限

書籍・論文の紹介

◆「多文化共生」は可能か 教育における挑戦 馬淵仁(編著)勁草書房より ~第5章 共生社会形成をめざす日本語教育の課題(要約 抜粋)~○(地域日本語教育は)地域の隣人(外国人住民)のためにと始めた支援活動であるが、学校的な枠組みの日本語教育によって、同じ地域の住民である日本人と外国人が「教える-教えられる」「支援する-支援される」関係に固定される。外国人住民の問題を日本語能力不足の問題として捉え、地域住民の活動として学校型の日本語教育を行うことが、本当に外国人住民を彼ら本来の姿として尊重し、彼らが自分らしく生きていく支援となるだろうかという、地域における日本語教育の理念の問い直しである。(中略)日本語学習意欲の高い「良い学習者」を支援するための日本語教育ではなく、「生活者」として日本社会に暮らす全ての人々を社会の一員として受け入れ、彼らの社会参加を日本語の側から支えることが地域日本語教育に求められている。○十分な日本語能力を持たない外国人は社会生活のさまざまな面で制約を受け、本来守られるべき権利や平等に与えられるべき機会が確保されない状況にある。(中略)個人の努力では乗り越えがたい構造的な問題を放置したままでは、互いの文化を認め合い対等な関係を築こうとする姿勢を個人に求めても、真の対等な関係にはなり得ない。日本語習得の困難性を考えると、外国人住民の日本語能力の向上を図ることだけでは問題は解決しない。○共通言語としての日本語の役割を考える必要がある。(中略)多文化共生を目指した日本語教育は、地域住民の人間関係構築と地域の問題の共有および解決のための対話に不可欠な「多文化共生コミュニケーション能力」の育成を目的とする。○さまざまな立場の地域住民がお互いの問題を共有するためには、「当事者としての問題と向き合う経験」を通して、自分の意識の外にあった問題に気づき、何をするべきかを考える必要がある。住民活動としての地域日本語教育を日本人・外国人が当事者として向き合う対話の場として位置づけ、行政が社会システムを整備していくことが考えられるのではないか。○日本語の文法や語彙などの関する知識的学習活動からは、相互に対等な関係での対話は生まれにくい。地域日本語教育は、地域社会の構成員である人々の人生を視野に入れた、生涯学習支援システムとして考えなければならない。(次号に続く)◆外国人散在地域における 「特別の教育課程」による日本語指導(福島大学地域創造 第26巻 2015年2月)平成25年5月1日現在、「特別の教育課程」により日本語指導を受けている児童生徒は、全国で20%に満たない。香川県での導入もまだと聞く。同じ外国人散在地域である本県でも参考となると考え、以下紹介する。○2014年1月14 日付で学校教育法施行規則の一部を改正する省令を公布,4月1日より義務教育諸学校において日本語指導 の「特別の教育課程」の編成・実施が認められることとなった。これにより,学校における日本語指導が教 育課程に正式に位置づけられ,学校教育の一環として 行う日本語指導の全国的な質の担保にむけて第一歩を踏み出した。○今回省令の中で,日本語指導の対象となるものは,「日本語に通じない児童又は生徒のうち,当該児童又は生徒の日本語を理解し,使用する能力に応じた特別の指導を行う必要があるもの」としている。このことは,すなわち,児童生徒が外国人であろうが,日本人であろうが,その国籍は問うておらず,児童生徒が学校生活を送るとともに学習活動に取り組むために必要な日本語能力に着目していることを示している。○「特別の教育課程」による日本語指導が記されている条文は,学 校教育法施行規則第五十六条の二,三に記されているわけだが,その前の条文第五十六条には,いわゆる 不登校児童に対して,「その実態に配慮した特別の教育課程を編成して教育を実施」と記されている。第五十六条,第五十六条の二,三,これらに通底しているのは,子どもの実態に対する配慮であり,子どもの 実態に即した教育を行うために,既成のものではない「特別」の教育課程を編成するということである。○ここでいう外国人散在地域とは,いわゆるニ ューカマーと呼ばれる日系南米人が多数居住する外国人集住地域(都市)ではない地域をいう。人口比から みた場合には,人口に占める在留外国人の割合が1% 未満であることを一つの目安とする。2014年6月時点 で,日本には約209万人の在留外国人がおり,日本の 総人口に占める割合は約1.7%である。 また,人口密度の観点からみれば,広範なエリアにわ たって居住し,散在している点が特徴としてあげられる。その結果,外国人の問題は地域の中で顕在化され ず,目に見えない存在となりやすい。1.外国人散在地域における日本語指導の課題○今回「特別の教育課程」において,対象となっているのは,「取り出し指導」である。取り出し指導は、正規の授業ではないので,学習に対する公的な評価がない。もとより,指導の目標や内容,指導時間に関しての明確な基準もない。公的な指導記録も義務づけられていないので,当該児童生徒が進学したり,他校に転入したりしても,引継ぎがなされない。くわえて,外国人散在地域では,教育支援が必要な子どももそれを担う大人も数が少なく散在しており,孤立する傾向にある。対象となる子どもが継続的に在籍する学校は珍しく,日本語教室が常設されている学校も稀である。また,センター校といった中核となる 学校は設置されておらず,仮に設置されていたとしても,そこへの通学は交通の利便性の点などからも困 難である。当然,行政の施策が立てられにくく,教育のための予算措置の優先順位が低い,もしくは,予算 措置がなされないといった状況である。子どもはある日突然学校にやってくる。指導にあたる教員は,子どもの受け入れ経験がなく,その上,現行の教育職員免許法および教育職員免許法施行規則においては日本語指導に関する科目は必修化されておらず,したがって知識ももちあわせていないという場合がほとんどである。また,日本語指導担当という校務分掌は必置ではない。外国人散在地域では,管理職が 学校外から日本語指導ができる支援者を探し出し,応 援を求める場合が多くみられる。しかし,支援者は日本語指導の知識や経験がある,あるいは子どもの母語ができるという力があっても,あくまでも学校という組織の部外者である。このような条件下で,困難な状況にある子どもの存在に気づいた関係者が,子どものために,まったなし,猶予なしの状態で,それぞれに 指導を行い,時限つきの少額の予算の中でやりくりをしてきた。指導時間は子どもの学習状況によって決まるのではない。予算によって決まるのである。予算がなくなれば,日本語指導はそこで打ち切られる。それを回避するために,外部支援者が無償あるいは持ち出しで乗りきるということも,また外国人散在地域では よく見られることである。しかしながら,子どもがいなくなると教育支援の取り組みは終る。それに関する経験と知識は学校にも地域にも蓄積されず,期間をおいて,また新たに子どもがやってきたらゼロから取り組みが始まるということを繰り返してきた。優れた取り組みも共有されず,人知れず埋もれてしまい,教育環境はなかなか整備されずにきた。筆者らは,このような状態に終止符を打 たねばならないとの思いから,教育支援における「「ひと」と「ひと」のつながりを財産としていかしながら, 組織や機関をうごかしていく連携・協働のしくみの構 築が必須である」と考え,研究実践を重ねてきた。2.情 報 周 知学校現場では日本語指導が 必要な子どもという存在そのものを知らないことが多く,その指導体制の構築など望むべくもない。そのような学校現場に,ある日,突然日本語ができない子どもが編入学してくる。現場の混乱ぶりは想像に難くな い。日本語指導の知識も経験もなく,子どもの使う言語能力をもつ人材もいない学校では,手探り状態で指 導を行うしかない。これまで,日本語指導の課題は「外国人の問題」と して,学校で指導する範囲外のことと捉えられてきた。 日本語ができるようになってから学校に編入するよう保護者に伝えるケースも珍しくなかった。これは,学校としては当然の要求のように思えるであろう。日本の公立学校は,日本語を唯一の教育言語とし,それが使えないと,学校教育を受けることは不可能だと考えられてきた。日本人なら日本語ができて当然であり,帰国子女などごく一部の例外を除けば,適応指導としての日本語指導の必要性は想像の範疇を超える。しかし,最近の傾向として,日本国籍を持つ日本語指導が 必要な子どもたちの比率が高くなっている。岩手県でも前述の調査によると,日本語指導が必要な子どもの 53%は日本国籍である。このことは,日本語指導がもはや義務教育の対象範囲外に置かれる外国籍の子ども たちの問題にとどまらなくなったことを示している。しかしながら,学校現場は,英語教育など指導項目の 増加,子どもたち,そして保護者への対応の複雑化などにより,混乱を極めている。その上に,外国人散在 地域のごく少数の子どもたちのために日本語指導も充実させるというのは,かなり難しい。日本語指導の必 要性は,外国人散在地域でも近年認識が広がりつつあるが,その教材,指導法などについては情報が行き届 かないのが現状であり,担い手である教員に対する研修機会はごくわずかである。(次号に続く)http://ir.lib.fukushima-u.ac.jp/dspace/bitstream/10270/4205/1/18-230.pdf◆「多文化共生」は可能か 教育における挑戦 馬淵仁(編著)勁草書房より ~第5章 共生社会形成をめざす日本語教育の課題(要約 抜粋)~○(地域日本語教育は)地域の隣人(外国人住民)のためにと始めた支援活動であるが、学校的な枠組みの日本語教育によって、同じ地域の住民である日本人と外国人が「教える-教えられる」「支援する-支援される」関係に固定される。外国人住民の問題を日本語能力不足の問題として捉え、地域住民の活動として学校型の日本語教育を行うことが、本当に外国人住民を彼ら本来の姿として尊重し、彼らが自分らしく生きていく支援となるだろうかという、地域における日本語教育の理念の問い直しである。(中略)日本語学習意欲の高い「良い学習者」を支援するための日本語教育ではなく、「生活者」として日本社会に暮らす全ての人々を社会の一員として受け入れ、彼らの社会参加を日本語の側から支えることが地域日本語教育に求められている。○十分な日本語能力を持たない外国人は社会生活のさまざまな面で制約を受け、本来守られるべき権利や平等に与えられるべき機会が確保されない状況にある。(中略)個人の努力では乗り越えがたい構造的な問題を放置したままでは、互いの文化を認め合い対等な関係を築こうとする姿勢を個人に求めても、真の対等な関係にはなり得ない。日本語習得の困難性を考えると、外国人住民の日本語能力の向上を図ることだけでは問題は解決しない。○共通言語としての日本語の役割を考える必要がある。(中略)多文化共生を目指した日本語教育は、地域住民の人間関係構築と地域の問題の共有および解決のための対話に不可欠な「多文化共生コミュニケーション能力」の育成を目的とする。○さまざまな立場の地域住民がお互いの問題を共有するためには、「当事者としての問題と向き合う経験」を通して、自分の意識の外にあった問題に気づき、何をするべきかを考える必要がある。住民活動としての地域日本語教育を日本人・外国人が当事者として向き合う対話の場として位置づけ、行政が社会システムを整備していくことが考えられるのではないか。○日本語の文法や語彙などの関する知識的学習活動からは、相互に対等な関係での対話は生まれにくい。地域日本語教育は、地域社会の構成員である人々の人生を視野に入れた、生涯学習支援システムとして考えなければならない。(次号に続く)◆「多文化共生」は可能か?― 移民社会と異文化間教育 ― 馬渕 仁(大阪女学院大学)※ネットでの概説文をそのまま掲載します。長文で難解な箇所もありますが、お読みくださいね。 

「多文化共生」は、昨今、概念的にも実際の場でも、ある意味でインフレ現象を起こすほど社会に浸透しつつあるといえよう。しかし本当の意味で共生が実現しているかとなると、共生概念の曖昧さと相まって、社会構造的な状況はなかなか変わらないままに展開しているというのが実状であろう※。そうした問題意識の下、現代の喫緊の課題のひとつである「移民」※※に焦点を当てて、本年度の特定課題研究は、敢えて「多文化共生は可能か?」という問いをテーマにした。多様なディシプリンを包含する「異文化間教育学会」の研究領域を活かし、他では個々に論じられるような問題について、一定の課題意識をもった異なる分野の研究者によって、それぞれの分野からの分析を可能な限り批判的に行なうことを試みたのである。公開研究会を含み、準備の段階で検討を重ねた「課題」には次のようなものがあった。その第一は、前年の特定課題研究からの宿題でもある「制度化と標準化の相克」の問題である。昨年度の課題研究では、「従来の異文化間教育学会や関連する学会での取り組みに、一部の欧米諸国や韓国などと比べた場合、政策提言の視点が希薄である」こと、また、「多文化共生が喧伝される割には、その理念に基づく実際のカリキュラム開発がほとんどなされていない」という問題点が指摘された。いずれも、これまでの取り組みの課題を指摘したものであろう。しかし一方では、「そうした政策や統一性のあるカリキュラムが標準化という問題を引き起こしてしまい、マイノリティの個々のコンテキストにおける問題を押し隠してしまう」という課題も指摘されたのだった。それは、従来から議論のあった、トップダウンとボトムアップというアプローチ上の問題とも重なる課題である。今回の3名の発題者には、それぞれの分野から、この点への考察を深化させることが期待される。第二の課題は、いわゆるニューカマーとオールドカマーをめぐる異同の問題である。多文化共生が議論される際、1990年代以前から日本に住む、例えば在日コリアンと呼ばれる人々の存在が看過されている、或いは「共生」言説に安易に包摂されているのではないかとの指摘がある。一方、ニューカマーと従来からの在日コリアンとの課題の共通性や活動の連帯性を見出そうとする模索も試みられている。さらに、在日コリアンについて言えば、3世や4世と呼ばれる人たちが増え始め、同時にニューカマーとも呼び得るコリアンも出現しつつある。ニューカマーとオールドカマーの異同を認識するとともに、多様化する外国人居住者を横断する共通性、連続性を見出す可能性やその意義について、試論を提示できればと思う。第三の課題は、マジョリティとマイノリティにおける当事者性の共有についてである。痛みや怒りを経験しないマジョリティが、いわゆる当事者性に鋭敏になれるためにはどうすればよいのであろうか。よく説かれるのは、マイノリティに関わる問題はマイノリティのみの問題ではなく、マジョリティにとっても問題であるということへの覚醒を喚起することである。しかし、それをいわば「お説教」として示しても実効性は乏しい。では、どのようなストラテジーが考えられるのだろうか。例えば、地域社会における制度的なインフラの整備がなされないまま、教える立場と教えられる立場がはっきり分かれてきた日本語教育における試みを振り返ることは、考察への手がかりになり得るかもしれない。時には圧倒的多数者であり、力関係の差異が歴然としているマジョリティへの働きかけは困難な課題であるだけに、問題解決の糸口への模索は続けられなくてはならないと考える。第四は、こうした問題を国内の枠組のみで考えるのではなく、同様の課題にさまざまな試行錯誤を繰り返してきた、日本以外の国々から学ぶべき点はないかという点である。多文化共生の理念的枠組は、英語圏諸国で1970年代以降に議論されてきた多文化主義に拠るところが大きい。カナダ・オーストラリア・アメリカ合衆国などでは、既に、実に多様な取り組みや葛藤の経緯が蓄積されており、その知見なしに国内の事象が議論されるとすれば、それは非常に残念なことである。しかし同時に、それらの国々では、新自由主義的政策の下、例えば多文化教育への予算やスタッフの削減といった、多文化主義政策への逆風が吹いているのも事実である。言い換えると、これまでのどちらかというと差異を重要視するアプローチに代わって、統一性を重んじる政策への転換が進んでいるのである。近年取り上げられることの多くなったシティズンシップ教育は、まさにそうした流れのなかで捉えるべき、顕著な具体例かもしれない。そこでは、多様性をどうマネージメントするのかという視点が強く打ち出される。また、移民かそうでないかということより、経済力があるかないかが重要となり、「文化」の問題から、経済・政治的格差の問題への視点の転換をどう図り得るかが課題となる。確かに、「同じ法律に従って生きる存在として、どうしたらうまくやっていけるのか」が重要な課題であるとの認識は必要であろう。一方、シティズンシップ教育には、規範意識、社会的マナー、公共心などの高揚を指向する傾向が拭えない。社会における合意形成の過程へ、すべての人を充分に参加させることを狙ったシティズンシップ教育が、社会的規範を育てることに、より傾斜してしまう危険性については、どのように対応すべきなのであろうか。包括的アプローチのもと、「市民の育成」といいながら、国籍に市民が結び付けられてしまうと、結局は「国民の育成」と同義になるシティズンシップ教育の世界的な流布に対して、我々なりに応答する必要があろう。このように振り返ってみると、国内における多文化共生の捉え方には、いくつかの傾向があることも見えてくる。そのひとつは、格差や対立、そして葛藤という内実をはらんだ共生への議論が少ないことである。具体的には、外国人とは交流するが、在日コリアンとの交流には消極的であるといった態度などに、それはあらわれてくる。結局、共生とは「仲良くしましょう」の言い換えに止まってしまう現実である。一方、経済界や政策立案者の一部には、生産者としても消費者としても、社会に充分参加できないマイノリティの存在は国家や企業に益しない、という観点からの多文化共生論も盛んである。後者のアプローチに拠る場合は、そこで言われる「社会参加」とは何のための、だれのための社会参加なのかという点に充分に注意しなくてはならない。異文化間教育学会でも、「多文化共生」を論じるに際し、これらの点について掘り下げた議論を展開することは焦眉の課題であろう。 先述したように、一部の地域や関係する人たちの間を除き、圧倒的多数のマジョリティの間では、こうした議論すらほとんどなされていないのが実情であろう。そのような中で、研究者の個々の取り組みをどのようにつなげ、共有していけるのかは、これからの大きな課題だと思われる。自らの立ち位置をいかにして自省的に問い直せるか、それに教育がどのように関われるかという大きな課題に、具体性のある提言で応答していくことが求められる。今回の特定課題研究が、そうした試みへの一つの契機となることを願うものである。※ 「多文化共生をどう捉えるか」をまず定義してから、議論をすすめることが当然考えられるが、ここでは敢えてそうしたアプローチは採らない。その多義性を検討することが、本課題研究の目的の一つでもあり、また、そうした検討の結果が「多文化共生」の内実を明確化することにつながると考えるからである。※※ 経済的理由により永住する外国人移住者か或いはそうではない人々なのか、さらに、ニューカマーとオールドカマーの異同など、「移民」の捉え方に関してもさまざまな議論が考えられるが、本課題研究では「ある国から他の国へ移り住む者」の意味で暫定的に広く捉えていることを断っておきたい。

「多文化共生」を問い直す グローバル化時代の可能性と限界(日本経済評論社発行)編著 権五定・斉藤文彦
・「共生」の用語は、もともと生物学の用語 異なる生命の共存 symbiosis(シンビオシス)※イソギンチャクとクマノミ。グロバリゼーション ヒト、モノ、カネ、情報が国境を越えて移動する中、社会学に移入した。特にヒトの移動 移民問題 国民国家が揺さぶられる。
・一つの国家の中に、いろいろな民族が存在し、多文化化(multi-culturalism)。国家という境界に文化の境界があわなくなった。
・日本語の「共生」の訳語:symbiosis や co-existence 、conviviality、living together
・ 仏教用語の「共生」(ぐしょう)縁起:1つの命は他の多くの命に支えられている。浄土宗 「ともいき」
運動「共生極楽仏道:ともに極楽に生じ仏道を成さん」
・阪神淡路大震災:被災した8万人の外国人への支援の在り方が問われた。多文化共生センターの発足
・黒川紀章:対立関係を解決するためには、二項対立的な関係ではなく、対立を含んだまま共生する理論の必要性。
・将来の仏教が語るべき共生の思想の視座と方向性:「きょうせい」(symbiosis)という異なった集団と集団の間の共生の視点と、「ともいき」(conviviality)という個人と個人あるいは個人と集団の共生の視点の間に、避けがたく存在する対立、関係、緊張関係の視点を、一方で見失うことのない共生観」
・近代思想と共生の在り方 共生を国家関係ではなく、文化と文化の関係で理解
・「共生」概念の「生」の概念を取り上げ、権力構造のもと、意味ある「生」をもつためには主体性の確保が不可欠、主体性確保のための意識の在り方、意識的取り組みの必要性
・西ドイツ時代の対外文化政策の問題点:「いつかは帰国する外国人」
・韓国の多文化教育:韓国のアイデンティティ強化の発想
・アメリカの多文化教育:9.11以降の逆行 社会としての制度的な改革の実践の必要性
・色濃く横たわる先進国と途上国の格差問題 貧困と環境問題、先進は途上国を踏み台にして現在の豊かさを手に入れた。倫理的にも先進国の正義への要請
・長期的には、物質消費に依存しないライフスタイルとそのような生活に幸せを感じる新たな価値観の創造が欠かせない。
・なぜ、異なる文化や民族が互いに受け入れあるべきなのか。この問いは、平和概念と緊密に絡まっており、なぜ、共生しなければならないのかと同様に、なぜ、戦争や物理的な暴力はさけなければならないのかとの問いが存在する。いかなる悪が生み出されたとしても、それは必要悪であり、それ以上の善の創出がみこまれるのであれば、その悪、戦争もまた肯定されるという理屈で一蹴される。
・フランスの哲学者フーコー:近代の支配構造としての統治性の概念:人々は、国家の発展のために、生産性を高める道具と化し、支配される側がその支配の仕組みを受け入れる。人々は、画一化され、個々の特殊性が抽象的な普遍性へと移し替えられる。全体主義、ナチズム、ホロコーストは、生産性の向上の論理が、生産に役に立たない人々に対する抑圧をもたらす。支配される側がその支配の仕組みを受け入れれば、国家は安定するが、思いもよらない暴走の危険性をもつ。異なる価値観や生活習慣を背景とする多文化の存在それ自体が、画一化した社会による暴走を防ぐ可能性をもっている。多文化間の共生は、社会の暴走やホロコーストのような悪を抑圧するという意味で正義なのである。多文化共生は余裕のある人々による寛容さを基盤としたリベラルな言説などではなく、社会における公共性を担保するための厳格な政治的欲求であり、余裕の有無を問わない社会全体を貫徹すべき規範として位置づける必要がある。
・「多文化共生でいう「文化間の差異」について、マジョリティがすでにイメージを決めており、マジョリティによりイメージされた「異文化」を体現することをマイノリティが要求されている。」という。
・「共生」は、共に生きることを意味するが、問題はその「生」がどのような生の様式を意味しているかが問題である。市民としての「生」(マジョリティ側の生)が労働者としての「生」(マイノリティ側の生、文化の商品化を通した市場経済への参加という形のみでしか認められない生)を押し付けている。
・「共生」における「生」もまたすでに「善き生」(※マジョリティ側のいう「生」)として語り手によって一方的に語られ固定化されるものであるならば、それは「共生」でなく、「強制された生」である。本来の意味での「共生」は、一元化された「自己」と「他者」の解体という方法以外に達成することは不可能であろう。すなわち、恵まれた人々が市民としての生を享受し、他方で虐げられた人々が労働者としての生(文化の商品化を通した市場経済への参加という形のみでしか認められない生)しか生きることができない現状は倫理的にも望ましくない。それに代わってマジョリティ側の生とマイノリティ側の生との両方をすべての人々が体現するようにならない限り、「自己」は「他者」の「善き生」を定義し続けてしまうのである。そして、それは結局のところ「自己」による「他者」の支配を正当化することに他ならない。
・南米日系人:ガラスコップのシステム:経済危機以降の南米日系人の日本での生活や就労は、彼ら、彼女らを雇用する業務請負業者に依存した脆弱な生活をガラスコップに入れられた状態であると比喩に使われた。経済危機以降は、その影響を受け失業者や生活困窮者が増加する中で、脆くも成り立たなくなった。日本に残ることを選択した南米日系人が自分たちの環境を少しでも良くしようとする新たな動きが生まれたことは、今後の日本における「多文化共生」を考えるうえで、重要なターニングポイントになると注視している。
・マイノリティに対する政策だけでなく、当該社会のマジョリティからの支援や共感を得ることができる政策とそのための教育の重要性。その際、多様性の拡大(人種や民族だけでなく、ジェンダーや性的指向、宗教などさまざまな多様性を考慮に入れることで、多様性の意味が拡大する。そのことで、マイノリティからの異議申し立ての力を減じるという議論がある。)を危惧したり、選択的移民政策を全否定するような理想主義的な理念に偏るのではなく、マジョリティが抱く脅威感や負担への懸念を可能な限り取り除いた具体的政策の提示が求められる。
・実際に当該社会のマイノリティと個人的な関係を持つ機会を提供し、実際の個々人による交流の体験や当該社会でのマイノリティの歴史を重視した教育、平等と共に衡平を求める教育を提供する。
・共生をめぐる考察の1つとして、先進国と途上国の間に横たわる格差のうち、貧困と環境という2つの問題を取り上げる。先進国の発展は、途上国の資源を利用してきたことによってもたらされてきた。一方、途上国は、先進国が多大なエネルギーや物質を消費することによって生じた各種のしわ寄せを負わされている。
貧困にせよ、気候変動にせよ、途上国の自己責任を超えたところで問題は発生しているにもかかわらず、途上国の人々は負の帰結を負わされている。この非対称性は重要な倫理の問題を提起する。それゆえ、現状を是正し、より公平な姿に戻すという正義の要請がそこから生まれてくる。
・貧困にしても気候変動にしても、地球規模の問題を解決するためには、先進国の人々にかなりの負担が強いられ、今の快適な生活を手放すことが求められる。そのような犠牲の先に見える新しいライフスタイルが今より魅力的に見えなければ、今の今の生き方より望ましい生き方への転換は困難であろう。それは、地球規模の物質循環に見合った責任ある消費を体現するようなライフスタイルであろう。あり余るモノに囲まれるよりは、創造 性など人間本来の生き方を発揮するために本当に必要な財に囲まれた生活であろう。そこで望まれる社会は男女平等等を含む社会的公平が確保された社会である。人間の尊厳が守られ、災害などの非常時にも社会的弱者が泣き寝入りを強いられることがない、すべての生命に優しい社会であろう。そのような社会では、政治的に無力な者こそ強い保護が与えられるべきことを要請する人権理念が要請される。

外国人児童生徒の教育をめぐる政策論の動向と展開 斉藤泰雄(国立教育政策研究所国際研究・協力部総括研究官)平成24年3月○約2年前の論文ではあるが、外国人児童生徒の教育をめぐる諸情勢、国・自治体の政策の動きが簡潔にまとめられている。中でも、外国人住民の日本での滞在の長期化、定住化傾向が強まっており、子どもの就学機会を確保するため、公立学校の受入れ体制を整備するとともに、いわゆる外国人学校、とりわけブラジル人学校の運営支援等を行うことで、日系人子弟へのもう一つの選択肢となっていること、さらにリーマン・ショックによる景気後退が子どもたちへの教育に及ぼす影響などがわかりやすく記述されている。

http://www.nier.go.jp/kankou_kiyou/kiyou141-018.pdf

「移動する子どもたちと日本語教育」早稲田大学大学院日本語教育科教授 川上郁雄※上記書籍に、平成25年1月20日(日)東広島市市民文化センターでの年少者日本語教育指導者のための出前講演会での川上先生の講演要旨を加筆しました。1.「移動する時代」と子どもたち国際移民の時代:大量の大人たちが自分の意思で移動するのに対し、大量の子どもたちは、大人たちによって「移動させられる」時代・ドイツ ドレスデン市のインターナショナル校の事例教室の壁に、子どもたちがこの学校に編入するまでの数カ国の移動の軌跡を表で貼付子どもたち同士がそれぞれの背景を知ることで、自分の移動の生活を特別視しない。子どもが抱えさせられる課題・複数言語環境で成長する子どもことばの教育がなぜ必要なのか。→複数言語で他者とつながっている複数言語で向き合う自己の確立2.指導の前提(1)子どものことばの生活を想像する。→言語生活を子どもの目線で考える。(2)子どもの成長と発達を考える。→子どもはさまざまなストレスや思いを抱えている。(3)子どもの心を支える→ 教育はそんな子どもの心を支えるもの 3.ことばの力はどのように見えるかその背景に何があると思いますか。「黙っている子」→日本語が話せない。サイレントチルドレン(沈黙期間 他の子を観察、わかるまで黙っている。)自信がない「人のまねをする子」→自分の意見に自信がない。わからないまままねをする。「自分でことばを作る子 例~じゃない」→じゃない は否定形 NOの意味「1語文の子」→日本語学習初期の段階 「はい」というがいろいろな意味のはいがある。「もともと学力が低いように見える子」→個の力、その子の問題とみなしがち「ほとんどの話は理解できるが、日本の文化に関する知識が不足している子」→日本の何年のいながら、日本の昔話での文化的な事柄がわからない子どもたちのことばの力の実状は極めて多様である。子どもは、人とのやりとりの中で(相互作用的)、その子の背景や発達段階などに応じ変化(動態的)する。これらは、JSLバンドスケールのどれかのレベルと合うかを検討できる。「※ことばの力:他者とやりとりする力、学び考える力、思考を深める力を得ることことばの力を育成するために重要なことは?①子どもたちに日本語を教える方法②目の前の課題をやりとげるための支援③子どもたちの成長・発達の過程に継続的に、かつ長期的に寄り添って日本語を教える。④教授法、教材開発それだけでは十分ではない。1.子どもたちがいかに自律的に、かつ主体的にことばを学ぶ力を獲得していけるか。生きていく主体である子ども自身が自らの学びのスタイルを見つけ、自律的に、かつ主体的に学んでいくように、支援者がいかに支援するか。一人ひとりの子どもに寄り添って共に考えていくにはどのようにしたらいいのか。」4.「日本語指導が必要な児童生徒」とは誰か・誰が何をもって判断するのか。教委に報告する日本語指導が必要な児童生徒の判断は、学校が決める。予算の関係で、制約されることもある。・文科省の新たな定義(H18.11.6)①日本語で日常生活が十分できない者(JSLバンドスケール レベル1~2に相当)②日常会話ができても、学年相当の学習言語が不足し学習活動への参加に支障が生じる者で、日本語指導が必要な者(JSLバンドスケール レベル3~4に相当)しかし、JSLバンドスケール レベル5~6でも支援が必要である。・2言語相互依存の仮設(J.カミング)2重の氷山 2言語が上のしきいを越えれば「加算的バイリンガル」(母語に加えて社会的に有用な言語が加わる)になる。第一言語による認知的、社会文化的背景が日本語の力に影響を与える。JSLバンドスケールは、レベルを決定することに意味はない。複数の支援者の見立てが大事「※JSLバンドスケールに見る「ことばの力の捉え方」子どもの日本語の力の実態を発達段階的に把握するものさし(scales)の束(band)年齢集団を「小学校低学年」「小学校中高年」「中学・高校」の3つに分け、それぞれの集団の4技能(聞く、話す、読む、書く)ごとに、初歩レベルの1から日本語を高度に使用できるレベルの7あるいは8の段階に設定している。日本語を学ぶ子どもの学習の様子や先生とのやりとり、クラス活動や遊びの様子を観察し、そこで見られる言語使用の特徴がどのレベルの特徴と合うのかを検討する。取り出し指導の子ども:レベル1からレベル6まである。ひとりの子どもでも4技能が同じレベルにはなく、アンバランスな状態にある。子ども一人ひとりによって、来日年齢、滞在期間、出身国での教育、家庭内の言語生活などさまざまな異なる事情がある。バンドスケールは、子どもたちのことばの力を把握しつつ、そのことばの力を伸長するために、どのような日本語教育を行うかを検討することが目的なのである。」・日常会話能力(生活場面)1~2年で獲得文脈が見える。話題がわかる。相手が聞いてくれる。知っている語彙が少ない。・学習言語能力(学習場面)5~7年で獲得文脈が見えない。馴染みのない話題。抽象度が高くなる。知らない語彙が多い。5.「日本語指導」から「ことばに留意した教育」の創造へ・三重県鈴鹿市の試み人口20万人 小中学校 40校 外国にルーツをもつ児童生徒 700名(全体の1割)5年間JSLバンドスケールを使って、実践研修会(教師間での学習)・共有(教師間で個々の児童生徒の状況共有)・連携(国際学級と在籍クラス)6.言語活動に必要な観点は何か・個別化:子どもを主人公にする。個人差(言語能力、学習スタイル、学習ストラテジー、興味など)に配慮した指導一人ひとりの発達段階に配慮した指導・文脈化:ことばは文脈の中で意味が生まれ、談話の中でメッセージを伝える。学習者は場面や状況に応じてことばを理解し、流動する文脈の中で使用してはじめてことばを習得する。決して文型練習で得られるものではなく、意味のある文脈をいかに作れるかがポイント・統合化:子どもの言語発達では、子どもにとって「意味するもの」と「意味されるもの」を結びつける象徴機能の形成が言語発達の中核学習者の言いたいことや内容をことばにする(統合化する)とき、言語習得が進む。※子どもがペットの写真を持ってきて、「これ 私のペット」と言った場合、正に個別化文脈化統合化支援者のスキャフォールディング(足場かけ)が重要・漢字にルビ打ち ・やさしい表現 ・音読 ・板書 ・視覚的活動教材の提供 ・友達同士一緒に考える ・わかりやすいプリントを用意する など7.日本語指導に必要な観点1)こころを支える指導2)声が届く体験→自分のことばを聞いてくれる人がいる必要な視点①成長・発達の視点②ことばの力をみる視点③どのような「ことばの力」を育成するのかという視点第二言語としての日本語の特徴・動態性:常に日本語の力は変化している。・非均質性:場面や状況に応じて生起する日本語の力は同じではない。・相互作用性:日本語が使用される目的や相手との関係性によって日本語の力は異なっていく。JSLカリキュラムと教科指導JSLカリキュラムは、考え方を示したもの日本語の習得を通して学校での学習活動に参加するための力を育成するもの知的で楽しい活動これはなんだろう、これとこれはどう違うのか、なぜこうなるのか、考えてみよう 調べてみよう8.「移動する子ども」とは①空間的に移動する子ども②言語間を移動する子ども③言語教育カテゴリー(第二言語教育、外国語教育、継承語教育、母語教育など)の間を移動する子ども

◆発達障害の理解と支援のあり方  東京学芸大学 教育実践研究センター 大伴 潔第13回外国人児童生徒教育フォーラム(2012年)「JSL児童生徒の学習上のつまずきと支援」抜粋要約・発達障害の定義:生まれつき脳の働きが定型発達児とは異なり、独特の行動特性を持っている状態自閉症、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、アスペルガー症候群などで、しつけや環境が原因ではない。行政上の発達障害と学術上の発達障害は一致しない。前者は、知的障害や脳性マヒは含まれない。・自閉症:明確な定義はない。現在、合意形成されている3つの特徴①対人関係における困難:相手の気持ちを察するといった共感的な関係の困難、視線を合わせることが難しいなど(視線をしっかり向けてくる子どももいるので、絶対的なものとして判断しないこと。)②言葉の発達の遅れや独特の表現:質問の言葉をオーム返しする、パターン化された言葉で会話を始めるなど③限定された興味や活動の範囲:同じ遊びや物(衣類等)、パターン的行動(活動の手順等)、特定の感覚刺激などへのこだわり、変化に対応しにくい。・自閉症スペクトラム:知的障害を伴い話言葉のない自閉症~高機能自閉症(知的発達の遅れない)・アスペルガー症候群(知的発達の遅れない・言葉の発達の遅れない)までの連続体(境界がない)・アスペルガー症候群の子どもの特徴①人の気持ちや「場の雰囲気」「暗黙のルール」が読みとれない。②ことばを字義どおりに受け取ってしまう。③妙に堅いことばを使ったり、一方的に話したりする。④こだわりが強かったり、感覚が過敏であったりする。⑤得意と不得意の差が大きい。・注意欠陥・多動性障害(ADHD)①年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力及び又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすもの。②7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。・学習障害(LD)①基本的には、知的発達に遅れはないものの、読む・書く・計算するなどの能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態を指す。②中枢神経系の何らかの機能障害が原因と推定されるが、視覚・聴覚障害などの器質的な障害や環境的要因が直接の原因となるものではない。

◆外国につながる子どもの学力保障 佐藤郡衛(東京外大特任研究員・東京学芸大学国際教育センター教授)外国につながる子どもには、学力を「学校の知識習得度」という狭義に捉えるのではなく、地域やボランティアが行っている学習支援の意味を捉え直す必要がある。○地域における多様な回路による学習支援①興味関心を引き出し、学習意欲を喚起させるような支援②学習能力をつけるための支援③言語能力の育成を目指した支援④他者との関わりを通して学習を展開し、「学力」の向上につなげていくような支援⑤現在の自分を再構成できるようにすることで「学力」の向上につなげていくような支援○多様な回路による学習支援は、学校だけでなく、地域の多様な支援によって成立→協働・関係機関・組織が固有の役割を担うことで、生徒の総体としての「学力」を向上○行政、学校、NPOの実質的な連携 「公的コミュニケーションの場の設定」と「対等な規範形成」の必要性・子どもの情報の共有化(子どもの個別ファイルづくり)○こうした試みは、「教育コミュニティ」と呼んでいる。学校と地域が協働して子どもの発達や教育を考え、具体的な活動を展開していく仕組みや運動である。※子どもたちは、進路の選択肢が狭く、将来の方向性を見出せないことが多い。子どもたちにとって、学力とは、社会関係を豊かにし、自分の居場所を見いだし、さらに自分を表現できる方法や場を見いだすこと、それが自律的な力につながる。この自律的な力こそが、「学力」にほかならないと佐藤郡衛教授は言う。

http://www.tufs.ac.jp/blog/ts/g/cemmer/No09%2042-52.pdf

◆二つの言語と文化の中で育つ子ども達への支援 富山国際大学教授 福島美枝子(2014.3)福島教授は、2014年4月から外国籍児童生徒などに対し「特別な教育課程」が提供される状況下において、受け入れる日本人側が二つの言語と文化の中で育つ子ども達の言語発達をより良く理解し、日本語教育や教科教育を超えて日本人社会全体が少数言語の人々への関心や生産的な考え方を発展させていく必要があるという。※論文中の個人的メモカミンズ博士の「発達上の二言語相互依存の仮設」でいうビックス(生活言語)とカルプ(学習言語)のうち、カルプは場面支援度と認知力必要度を軸にして、言語活動を4つの領域に分けて考えられている。領域Aは買い物をする場面での言語活動など、場面の助けがあり高度の認知度を必要としない活動、領域Bは理科の実験とか視覚教材活用の教科授業など、場面の助けはあるが認知力の必要度が高い活動、領域Cは教師の板書を写すとか買い物リストを作るなど、場面の助けがないが認知力の必要度が低い活動、領域Dは教科学習の多くがこの領域に入り(本を読む、レポートを書く、口頭発表をするなど)、場面の助けがなく認知力の必要度が高い活動である。○「発達上の二言語相互依存の仮設」(母語の発達は第二言語の発達を、第二言語の発達は母語の発達を促すという相互作用が認められる。):入国する前に母語でのカルプをより身につけている(3~4年生ぐらい)方が、第二言語のカルプの伸びも良い。○「日本語が身についていない子ども」としてでなく、子どもがすでに持っている知識や能力を知る必要がある。・・・・教育実践面で子どもたちのために必要なのは、ひとりひとりの背景を知り、定期的に言語面と教科学習面での伸びを見ながら今後の目標を考案すること。・・・子どもたちへの支援は、言語発達や教科学習面だけでなく、もっと情意的な面での成長や人々と関わって生きていく面にも注目しなければならない。http://www.tuins.ac.jp/library/pdf/2014kodomo-PDF/2014-13fukushima.pdf◆「多文化共生社会に向けて」明治大学国際日本学部教授 山脇 啓造 氏「外国人労働者か移民か」「2014年4月4日に、建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置を検討する閣僚会議(第2回)が開かれ、「当面の一時的な建設需要の増大への緊急かつ時限的措置」(2015~2020年)として、「即戦力となり得る外国人材の活用促進」を図ることを決定しました。(中略)安倍首相は外国人材を積極的に活用するが移民政策はとらないことを強調しました。外国人労働者は受け入れるが、移民政策はとらないとは、外国人労働者を期限付きで受け入れるが、一定期間が過ぎたら必ず帰国させることを指しているようです。労働力はほしいが、受入れにともなう社会的コストはできるだけ避けたいということでしょうか。移民政策とは、外国人の出入国および在留全般に関する政策を指す場合と外国人を定住者(移民)として受け入れる政策を指す場合があります。政府が使っているのは後者のようですが、その定義に従っても、実は、政府はすでに移民政策をとっています。中国帰国者やインドシナ難民、日系人といった人たちは定住を前提に受け入れてきましたし、最近では、高度人材や留学生も同様です。特に、高度人材については、ポイント制度を採用して、永住資格の取得を優遇するなど、積極的にこうした外国人の定住促進策をとっています。従って、安倍首相を始めとして、政府関係者が一様に移民政策をとらないことを強調するのは不思議なことと言えます。 また、本来、中長期的な観点に立った外国人受入れのビジョンに基づき、外国人労働者の活用を検討すべきなのに、オリンピックの建設ニーズに応える形で、いわば緊急対策として、ビジョンなきままに外国人労働者の受入れに踏み出すことは、望ましくありません。欧米諸国では、期限を区切って受け入れたはずの外国人労働者の定住化が進んでいった例が少なくありませんが、日本はそうならないでしょうか。 」(山脇)   http://www.jiam.jp/melmaga/kyosei/newcontents86.html

◆「なぜ母語教育は必要か」【野津隆志】兵庫県立大学経済学部教授我が国において、外国にルーツをもつ子どもたちの母語教育についての議論が十分なされていない現状がある中、要約的に整理した論文を紹介する。6つの論拠を示しており、詳細は下記URLでご確認ください。(1)教科学習と日本語能力の形成のための母語(2)アイデンティティ形成のための母語(3)家族コミュニケーションのための母語(4)母語権利論からの必要性(5)母語資源論からの必要性(6)帰国・往来のための母語教育

http://education-motherlanguage.weebly.com/2759735486259453294612398307

◆異文化体験の影響に対する心理力動的接近の可能性

子どもの異文化体験に関する研究は、成人に比べ少ない。異国で生活する意味空間の理解が十分できない子どもは、異文化への適応能力が成人より高いと一般的にはされているが、親がストレスにどの程度対処でき、子どもの保護的役割をどの程度担えるかという要因に大きく左右されるという研究もあり、また、発達段階のどの時期に異文化接触するかによっても大きく影響され、長期的な観点からの研究が必要であるとの意見もある。

http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/metadb/up/niikiyo/KJ00004253994.pdf

小学校での教科学習のための日本語指導のあり方(東京外国語大学 横田淳子)抜粋生活日本語と学習日本語一般に生活日本語は、日常生活で使われる言葉、それも主にインフォーマルな環境で話される言葉を指しているようだ。それに対して学習日本語は教科者、宿題、テストなどで書かれている言葉を中心にして、さらに教師が授業で使うフォーマルな言葉も含めて指している。各教科に特有な専門用語が学習日本語として特に取り上げられることも多いが、専門用語は教科学習の中で概念と共に学ぶもの・・生活日本語は音声言語が中心で、基本的に文字を介さないのに対し、学習日本語は書かれた言葉が中心で、その習得にはひらがな、カタカナ、漢字という文字の学習が欠かせない・(中略)・生活日本語はコミュニケーションの内容が生活に関する情報であり、場面からの助けが期待できるが、学習日本語は場面や文脈から補助を求めにくく、言語そのものから意味を把握しなければならない・・言語を理解し、組み立てる文法力が必要になってくる。・・教科学習につながる日本語指導の方法として、教科学習を視野に入れ、初期の段階から文字を教え、体系的に文型を指導し、文字を通して文を確認すること・・文型を指導するといっても、それは文法を明示的に説明して教えることではない。指導する側が指導項目としての文型をしっかり把握し、その文型が使われる状況を作り、文例をたくさん示すことによって、学習者が自己の中に文法を内在化させるのを助ける。・・初期の日本語指導の次の段階として・・一つの支援の方法は、・・理解しやすい日本語に置き換えて、教科の内容を理解させ、・・日本語を・・習得させるやり方である。・・教科書の複文をわかりやすい単純な文に置き換える・・もう一つの支援の方法は、教科学習で各教科共通に出てくる文型を指導し、外国人児童が理解できる日本語を少しでも増やそうというものである。・・子供のための日本語教育では日本語力を養成するためだけに長い時間をつかうことはできない。・・初期の生活日本語の段階が終わったところで、中級・上級という段階を踏まえず、一気に教科学習で必要な日本語を選択的に指導する必要がある。・・・・・・・・・・・http://repository.tufs.ac.jp/bitstream/10108/20971/1/jlc030005.pdf#search=’%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%81%A7%E3%81%AE%E6%95%99%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%BF%92%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E6%8C%87%E5%B0%8E%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8A%E6%96%B9’◆入門期外国人児童を対象とした文型指導の意義と可能性(広島大学 妹尾 知昭)

http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/35895/20141016210646893124/JEEC_1_93.pdf

◆外国人の子どもにみる三重の剥奪状態(お茶の水女子大学教授 宮島 喬氏)2013年7月に掲載された論文である。氏は、フランス社会学研究者として出発し、ヨーロッパ諸国におけるナショナル・マイノリティと移民に関する研究を進めている。そして移民問題については、フランスにおける移民の第二世代の教育、就労、社会参加に焦点をあて、また、その知見から日本の移民問題についても発言している。(以下、筆者要約)貧困から変換されていく剥奪には、「時間的貧困」、「関係性の貧困」、「機会の貧困」という「三重の剥奪」がある。外国人労働者は日本的雇用では低賃金のほか賞与や福利厚生から排除され、この大きな格差を縮減するため就業時間を増やす結果、子どもとの時間を持てない「生活時間の貧困」を背負う。さらにこれらは親子の精神的つながりを希薄にし「関係性の貧困」が結果する。また、高校への進学、その修了のいかんは貧困か否かの分かれ道といわれ、これをなんとか通過しても、そこから先の人生を切り開いていく上で、身近な、社会的ひろがりのある人間関係、社会的適応のノウハウ、利用可能な制度の知識など社会関係資本が貧しく、そして外国人ゆえに差別されてきた経験から、積極的に行動できないという「機会の貧困」が生じる。・・・(貧困の再生産、親以上に不安定な就労の道しか進めないといった、重く苦しい現状がつづられている。)

http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/oz/657/657-02.pdf

◆日本労働研究雑誌 掲載論文 要約「移民の子どもの教育の現状と課題」ハヤシザキ カズヒコ(福岡教育大学准教授)本稿は、移民の子どもの教育支援の現状と課題をあきらかにすることを目的とする。ここではとくに学校教育に焦点をおき、移民の子どもの人口、移民の学力・進学の状況、学校における支援の現状と課題についてのべた。外国人の子どもの人口は『入管統計』、『学校基本調査』、文部科学省の「日本語指導が必要な児童生徒の受け入れ状況」調査などにしめされている。他方、国勢調査の分析によると国際結婚家庭の子どもは外国籍の子どもの1.5倍いると予測される。近年、国際結婚家庭の子どものよびよせなどにより重国籍の子どもがふえている現状から、支援対象の数を正確に把握することは不可欠である。移民の子どもの学力・進学の状況も全国的データは存在しない。自治体調査によると外国人児童生徒の高校進学率は80%台と日本児童生徒との格差は縮小している。また国勢調査の通学率の分析によると韓国・朝鮮籍は日本人と僅差となり、中国籍がつづく。ブラジル、ベトナム、フィリピン籍は苦戦しているが、ブラジル国籍は改善のきざしがみえる。教育支援の現状は、日本語指導により適応がはかられているものの、内実にはかなり困難がある。第一に支援にかかわるスタッフのスキルのひくさ、第二に教材リソースや教科の難解さ、第三に移民の子ども自身の被教育経験や家庭の問題である。施策はあっても少予算のため抜本的な対策とはなりえていない。政府が総合的な移民政策をうつことが不可欠であり、このままでは困難はつづくと予想される。

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/index.html

◆多言語と教育 吉富志津代氏(大阪大学グローバルコラボレーションセンター特任准教授・NPO法人多言語センターFACIL 理事長)毎日新聞2016.1.13 (以下、要約)吉富特任准教授は「教育現場に二つ以上の言語環境を」と提唱している。国際結婚で生まれた子や海外から帰国した児童生徒、あるいは外国から来た子どもなど、二つ以上の言語環境で育つ子どもは増えています。しかし、学校は「日本人のための教育の場」が前提です。「希望があれば、外国人の子も受け入れる」という姿勢にとどまり、一人一人の言語と人格が尊重されていない。「日本における教育は日本語で」という思い込みがある。世界人権宣言=1=で保障されている「子どもがどこにいても教育を受ける権利」という視点が欠落しています。日本語能力だけの問題ではなく、母語も日本語も不十分なために、言語の形成において霧がかかったような空白状態に陥る子がいます。日常会話レベルの日本語と学習言語としての日本語は、まったく別なのです。学習・思考の根幹となる第一言語(強い言語)習得という課題が認識されていません。大人になって母語と日本語の構造の違いに気づくケースがあります。外国につながる子どもたちに注目することは、多くの社会課題を包み込むことでもあります。日本社会で優先順位が低く、放置されてきた存在だから。社会の周縁に置かれたマイノリティーが生き生きと暮らせることは、社会の弱い部分を補うことにつながり、みんなが豊かに暮らせる社会になります。  保護者、支援団体、地域社会、学校教育、国レベルの教育制度……。それぞれの段階で今できることから取り組むことが大切です。(詳しくは、下記のURLから)http://mainichi.jp/articles/20160113/ddn/004/070/050000c

研修会情報・研修会参加報告

◆日本語指導者スキルアップ講座IN TOYONAKAに参加した堤透さんからの報告(平成27年7月25日) 
とよなかJSL日本語指導ボランティア会員が12の教案例について報告された。
田中 薫代表—–大阪教育大修士卒(’77)以後教育大付属、大阪市立中などで教職。’89から16年間、帰国した子供の教育センター校で教職(’05)。その後5年間、市立中学での日本語指導担当。その後こども日本語教育スーパーバイザーとして活動し、とよなかJASLを結成。学校での成績を上げるための日本語力を身に着けさせる事に注力。
豊中市の特徴 帰国子女が多い、中小学校、幼稚園児への月一回帰国者
教室、国際交流センター —-月木金 日本語講座あり(阪大学生ボラなど)
日本語指導は1年、長くて2年で卒業させる。
(1)文字、カタカナやり直し (全学年)
カタカナ読み書き(平仮名と類似のカタカナ、カタカナ同志で似ている字などをまとめて、速度を上げて)
絵カードで読み・書きスピードアップ、併せて上位概念も。
(2)形容詞文初級 (小学高学年)  
25組50個の形容詞を大きな図表に示し一気に覚えさせる。2語文から4語文へ、「これ?」と「ここ?」の違い、これは豚です」「ここはしっぽです」「は」と「が」の違い「豚は しっぽが 短いです」
(3)初期の動詞文型  (小学高学年、中学)
動詞をグループ分けせず、一気に多様な助詞と動詞の組み合わせを指導、直感的に正しく助詞が使い分けられるように、4~5語文へ常体(友だち、家族)と敬体(先生、目上)での肯定・否定の使い分け、「うん。うううん。」「はい。いいえ。」絵カードで助詞と動詞の使い方、組み合わせを。
(4)ことばのきまりへの導入 (小学高学年)
助詞の正しい使い方、5Wを意識した文を作るカードゲーム5枚で5語文を作る。
(5)時をあらわす言葉初級 (中学、小学高学年)
その月のカレンダーを書く(日付、曜日、月、週、日にち 読み方)一日の中の時間(24hr)の流れ、時間の概念を持つ、時間帯の表現、学校の行事や長期の休暇などを年表にまとめる。
(6)用言のつなぎ 初級 (中学、小学高学年)
形容詞文2文を繋ぐ、表現したい内容によって異なる繋ぎ方、一文の接続助詞と二文の接続詞の使い方
順接、逆接、添加など。
(7)修飾用法・中級 (中学、小学高学年)
豊かな修飾節を使って、詳しく説明が出来る。 修飾節を使う、公園などの情景の絵を見て、情景を豊かに表現する。5W1Hを考えて、短文を長文化する。
(8)感情と理由の表現・中級 (小学校 中・低学年)
原因・理由と感情の因果関係を表現する文を作る。絵の人物を見てどうしたのか(原因・理由)を言い、感情を表現する。気持ちを表す語彙と絵カード。
(9)瞬間動詞(結果動詞)と継続動詞(動作動詞)  (中学、小学高学年)
「動詞」の性質を知り「ている」の使い方を知る。時間の流れと、場面の転換を理解し正しく表現する。
3枚の絵カード(食事前、中、後)について、繋ぎの言葉(まだ、これから、いま、もう、など)を適切に使って文作り。
(10)雨ふりの絵 上級 (中学、小学高学年)
人が家を出かける時に雨が降っている絵を見て「家を‥‥  、雨が降‥‥  」の文を完成させる。学習者の心情、場面などを考慮して、文を作る。更にこれを昨日、今、明日などの時点を想定して、文章を作る。
(11)比較文型、程度副詞 初・中級   (中学、小学高学年)
寒帯から熱帯までの服装の違う人物の絵を見て、比較表現と副詞を使ってその状況の違いを明確に表現出来るか。服装の異なる二人を比較し、正確に詳しく違いを話す。 日本地図、世界地図を使い四季の流れを含めて二地点の気候の違いを考え言葉で表現する。地理の学習につなげる。
(12)四則計算 (足し算、引き算)初級   (全学年)
子どもたちは四則計算に使われる表現の多様性に付いて行けない。果物、動物、文具など数個ずつ描かれた絵カード、または実物を単に数字の計算だけでは不足。数の概念が身に付いているか。1-30までをすらすら言う。30から反対に、1-30の 偶数だけ、奇数だけ、を言えるか。合わせて10になる数 (直感的に言えるか)。ものの絵や実物を見て足し算の表現を言う。どんな言い方が有るか。「あわせていくつ」「みんなでなんこ」「ぜんぶでなんぼ」「長さ、重さ、かさ」などの単位も使えるか。足し算の問題文の大事な部分はどこか。問題文を作らせる。引き算に付いても同様に。
以上の日本語指導は日記が書ける、子どもどうしの話し合いが出来るまで。
学校で覚えた事は強い。言葉遣いで間違った場合、意識を持たせて訂正する。
◆外国につながる子どもへの日本語・学習支援ボランティア養成講座
(簗瀬 報告)
実施日時:平成28年1月9日(土)10:00~16:00
実施場所:(神戸市)国際健康開発センター
主催:公益財団法人 兵庫県国際交流協会多文化共生課
【第1部】『外国につながる子どもがいるからこそ』の教育実践とは(講師)結城恵氏
【第2部】『読む・書く』の指導方法を考える~小学校の実践例をとおして(講師)伊藤敦子
【第1部】
●講師は群馬大学 大学教育・学生支援機構 教育基盤センターの教授。
●外国人への日本語教育実践を通じて、子どもに分からせる教育を追究している。
●兵庫県に居住する学童の6%は外国籍である。外国人対応の先進県といわれるが、兵庫県の教育委員会全体で認識が共有化されているわけではない。ましてや県庁では認識は低い。しかし地域住民一般やボランティアの意識は高いといえる。
●2.4万人の外国籍の子どもたちは、バイリンガリストであり、社会で生かされるべきであると考える。
●群馬県大泉町は住民の27%が外国籍である。群馬大学の各学部の学生は、外国人対応の現場実践(多文化共生の活動)を行っている。
●兵庫県では、こども多文化共生センターや県立国際高等学校(中高一貫教育)を設置している。また子ども支援教室は53か所。
●「外国につながる子どもだからこその教育実践」:そのような子どもがもつ文化的・社会的背景に配慮し日本での学校生活や学習に適応できるための教育実践。ex.日本語教育や適応指導、多言語による進路ガイダンス、不就学・不登校の子どもたちのための居場所つくり、母語保持、保護者支援。
●「外国につながる子どもたちがいるからこその教育実践」:人権教育・国際理解教育だけではなく、「だからこその教育実践」を、日本で生まれ育った子どもにも波及させるもの。
●このような子どもたちの学習上のつまづきは、日本語を母語とする子どもにも、実は共通するものである。この試みが日本人の子どもたちにも「わかる教育」を提供することになる。
●子どもに「わかった」と言わせて帰らせたい!!
●「あなたはここにいる」「あなたはここにいていいんだよ」、でもこれは外国人の子どもたちだけのことか?
【第2部】
●講師は愛知県小牧市の小牧市立大城小学校教諭。
●JSLとは:文部科学省初等中等教育局国際教育課が「日本語教育」と「教科教育」を統合する手段として作ったJSL(Japanese as a second language)のためのカリキュラムのこと。詳しくはネットで参照のこと。(検索:clarinet)
●DLAとは:文部科学省初等中等教育局国際教育課が,学校において児童生徒の日本語の能力を把握し,その後の指導方針を検討する際の参考とするため作成した、「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA(Dialogic Language Assessment for JSL)」のこと。詳しくはネットで参照のこと。(検索:clarinet)