多文化共生

外国人住民理解のためのミニ知識

(多文化共生センター東京「多文化共生のためのボランティア講座を参考に作成した。)
1.日本はもはや多文化社会?
・訪日観光客数=約1,697万人(2015年) ※日本政府観光局
・日本の在留外国人数=約223万人(2015年)=全人口の1.75%=57人に1人
・香川県の在留外国人数=9,785人(2015年)=全人口の0.998%=100人に1人
※在留統計(法務省)
オールドカマー (オールドタイマー)
日本に住んでいる在日旧植民地出身者(朝鮮半島・台湾出身者)とその家族をさす。
日本生まれが大多数。
ニューカマー(新渡日、新来外国人)
1980年代後半以降の経済のグローバル化により、アジアや南米からきた労働者とその家族をさす。国際結婚者、留学生、中国帰国者なども含む。
2015.12
(全国)中国 29.8% 韓国・朝鮮 22.0% フィリピン 10.3% ブラジル 7.8% 
 (上位4か国)
(香川)中国 37.8% フィリピン 15.2%  韓国・朝鮮 9.6% ペルー 4.0%  
  (上位4か国)

2.外国人は同じ地域で暮らす「住民」

全国【在留資格】
(身分的に基づく在留資格)      
①特別永住者、②永住者③永住者の配偶者等、④日本人の配偶者等⑤定住者

  (全国)  (香川県)


①  15.6%    7.4%


②  31.4%    24.1%


③   1.3%     1.0%


④  6.3%     5.5%


⑤  7.2%     6.1%

計 61.8%    44.1%

(地位に基づく在留資格)
⑥留学、⑦家族滞在、⑧技能、⑨技能実習生、⑩その他17種類

  (全国) (香川県)

⑥  11.1%   5.5%

⑦   6.0%   2.6%

⑧   1.7%   1.2%

⑨   8.6%  38.4%

⑩  10.8%   8.2%

計 38.2% 55.9%
【家族と子ども】

• 日本の30組に1組が国際結婚(=日本籍+国際籍)
• 日本で生まれた35人に1人が多文化赤ちゃん(親の片方・両方が外国籍)
<2014年厚生労働省「人口動態統計」より>
• 1984年国籍法改正により片方の両親が日本籍であれば子どもが日本国籍取得可能に!

3.外国人労働者は?
<2016年外国人雇用状況の届出状況まとめ>
 ・外国人労働者数 907,896人 香川県:5,172人
 ・事業所数 137,053か所 香川県:1,077か所
 ・国籍別 中国322,545人(外国人労働者全体の35.5%)(香川県2,254人 全体の43.6%)。ベトナム110,013人(同12.1%)(香川県629人 同12.2%)
フィリピン106,533人(同11.7%)(香川県778人 同15.0%)、
ブラジル96,672人(同10.6%)(香川県104人 同2.0%)
(その他 香川県では、ネパール226人 同4.4% ペルー139人 同2.7%)
・在留資格別「専門的・技術的分野」の労働者が167,301人(421人 全体の8.1%)        永住者や永住者を配偶者に持つ人など「身分に基づく在留資格」は367,211人(1,195人 同23.1%)で、前年同期比28,521人、8.4%の増加
香川県の身分に基づく在留資格のうち、33.2%が労働者、全在留資格では、中国人の60.9%、ペルー人の35.8%、フィリピン人の52.4%、ブラジル人の40.6%、ネパール人の86.6%が労働者)
(香川県 技能実習生3,088人同59.7%)
4.外国から日本に来た子どもたちは?

外国籍は義務教育ではない

日本国憲法において義務教育を保障されているのは「国民」のみ。
日本語指導が必要な児童生徒(平成26年度)
★公立学校に在籍している外国人児童生徒数  73,289人 (香川県) 266人
★うち、日本語指導が必要な外国人児童生徒数 29,198人(香川県) 98人
★日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒数   7,897人(香川県 ) 26人

高校進学の大きな壁

日本の高校進学率は97%を超えている。
但し外国籍の高校進学率は50%を切ると言われている。
※日本では入試に合格しないと高校進学できない
大多数が5教科入試(英語・数学・国語・理科・社会)
3教科(英・数・国)VS 5教科(国・社・数・理・英)の受験戦争

外国人の子ども向けの特別措置は?
○選抜制度が有る教育委員会 15(香川県なし)
全日課程15 定時制課程9 通信課程2(秋田県・鹿児島県)
日本での生活年数の制限 3年以内11 6年以内3 制限なし1(浜松市)
学力検査:国・数・英 7教委 基礎学力検査 3教委 個別判断1(秋田県)
作文の併用:9教委(うち日本語以外可 4教委)
○入試特別措置が有る教育委員会 31(香川県など)

メルマガ アーカイブ(JSL対話型アセスメント DLA)2014.3

◆外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント(DLA)http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/1345413.htm

文部科学省が、日本語能力測定方法「DLA~外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント」を開発したことは、1月のメルマガの「特別の教育課程」による日本語指導の中でご紹介しました。このたび、その内容の詳細が公表されました。○対話型アセスメント(DLA)のねらい・日常会話はできるが、教科学習に困難を感じている児童生徒を対象・子どもたちの言語能力を把握すると同時に、どのような支援が必要であるか、教科学習支援のあり方を検討するためのもの○測定する言語能力について(会話の流暢度、弁別的言語能力、教科学習言語能力)①会話の流暢度(CF:Conversational Fluency)日常的な学校生活に必要な会話力 第二言語学習者は1~2年必要②弁別的言語能力(DLS:Discrete Language Skills)個々の技能(音韻意識、フォニックス、文字認識、単文形成力、語彙、文法構造)によって習得に必要な時間が異なる。音韻意識、フォニックス、文字認識、単文形成力は就学後2年ぐらいで獲得可能・音韻意識:単語が弁別可能な音で成り立っているという認識・フォニックス:音と文字との関係についての認識、文字を読み取る力・文字認識・単文形成力:大文字や句読点に関する規則、スペリング、文法)③教科学習言語能力(ALP:Academic Language Proficiency)学年相当レベルに達するのに5年以上必要○DLAの特徴・対話型を基本・指導者と子どもたちが一対一で向き合うことで、日頃の学習成果を、そして今後の支援活動で必要となる学習内容や学習領域を絞り込んでいく上で必要な情報が得られること。対話型のDLAは、年齢相応の言語能力を持たない子どもの教科学習言語能力評価法として妥当性がある。○DLAによる言語能力の測定「導入会話」、「語彙力チェック」、4つの言語技能(話す、読む、書く、聴く)から構成

メルマガ アーカイブ(論文)

◆外国につながる子どもの学力保障 佐藤郡衛(東京外大特任研究員・東京学芸大学国際教育センター教授)外国につながる子どもには、学力を「学校の知識習得度」という狭義に捉えるのではなく、地域やボランティアが行っている学習支援の意味を捉え直す必要がある。○地域における多様な回路による学習支援①興味関心を引き出し、学習意欲を喚起させるような支援②学習能力をつけるための支援③言語能力の育成を目指した支援④他者との関わりを通して学習を展開し、「学力」の向上につなげていくような支援⑤現在の自分を再構成できるようにすることで「学力」の向上につなげていくような支援○多様な回路による学習支援は、学校だけでなく、地域の多様な支援によって成立→協働・関係機関・組織が固有の役割を担うことで、生徒の総体としての「学力」を向上○行政、学校、NPOの実質的な連携 「公的コミュニケーションの場の設定」と「対等な規範形成」の必要性・子どもの情報の共有化(子どもの個別ファイルづくり)○こうした試みは、「教育コミュニティ」と呼んでいる。学校と地域が協働して子どもの発達や教育を考え、具体的な活動を展開していく仕組みや運動である。※子どもたちは、進路の選択肢が狭く、将来の方向性を見出せないことが多い。子どもたちにとって、学力とは、社会関係を豊かにし、自分の居場所を見いだし、さらに自分を表現できる方法や場を見いだすこと、それが自律的な力につながる。この自律的な力こそが、「学力」にほかならないと佐藤郡衛教授は言う。http://www.tufs.ac.jp/blog/ts/g/cemmer/No09%2042-52.pdf

◆二つの言語と文化の中で育つ子ども達への支援 富山国際大学教授 福島美枝子(2014.3)福島教授は、2014年4月から外国籍児童生徒などに対し「特別な教育課程」が提供される状況下において、受け入れる日本人側が二つの言語と文化の中で育つ子ども達の言語発達をより良く理解し、日本語教育や教科教育を超えて日本人社会全体が少数言語の人々への関心や生産的な考え方を発展させていく必要があるという。※論文中の個人的メモカミンズ博士の「発達上の二言語相互依存の仮設」でいうビックス(生活言語)とカルプ(学習言語)のうち、カルプは場面支援度と認知力必要度を軸にして、言語活動を4つの領域に分けて考えられている。領域Aは買い物をする場面での言語活動など、場面の助けがあり高度の認知度を必要としない活動、領域Bは理科の実験とか視覚教材活用の教科授業など、場面の助けはあるが認知力の必要度が高い活動、領域Cは教師の板書を写すとか買い物リストを作るなど、場面の助けがないが認知力の必要度が低い活動、領域Dは教科学習の多くがこの領域に入り(本を読む、レポートを書く、口頭発表をするなど)、場面の助けがなく認知力の必要度が高い活動である。○「発達上の二言語相互依存の仮設」(母語の発達は第二言語の発達を、第二言語の発達は母語の発達を促すという相互作用が認められる。):入国する前に母語でのカルプをより身につけている(3~4年生ぐらい)方が、第二言語のカルプの伸びも良い。○「日本語が身についていない子ども」としてでなく、子どもがすでに持っている知識や能力を知る必要がある。・・・・教育実践面で子どもたちのために必要なのは、ひとりひとりの背景を知り、定期的に言語面と教科学習面での伸びを見ながら今後の目標を考案すること。・・・子どもたちへの支援は、言語発達や教科学習面だけでなく、もっと情意的な面での成長や人々と関わって生きていく面にも注目しなければならない。

http://www.tuins.ac.jp/library/pdf/2014kodomo-PDF/2014-13fukushima.pdf

メルマガ アーカイブ(日本語指導研修)2014.3

◆発達障害の理解と支援のあり方  東京学芸大学 教育実践研究センター 大伴 潔第13回外国人児童生徒教育フォーラム(2012年)「JSL児童生徒の学習上のつまずきと支援」抜粋要約・発達障害の定義:生まれつき脳の働きが定型発達児とは異なり、独特の行動特性を持っている状態自閉症、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、アスペルガー症候群などで、しつけや環境が原因ではない。行政上の発達障害と学術上の発達障害は一致しない。前者は、知的障害や脳性マヒは含まれない。・自閉症:明確な定義はない。現在、合意形成されている3つの特徴①対人関係における困難:相手の気持ちを察するといった共感的な関係の困難、視線を合わせることが難しいなど(視線をしっかり向けてくる子どももいるので、絶対的なものとして判断しないこと。)②言葉の発達の遅れや独特の表現:質問の言葉をオーム返しする、パターン化された言葉で会話を始めるなど③限定された興味や活動の範囲:同じ遊びや物(衣類等)、パターン的行動(活動の手順等)、特定の感覚刺激などへのこだわり、変化に対応しにくい。・自閉症スペクトラム:知的障害を伴い話言葉のない自閉症~高機能自閉症(知的発達の遅れない)・アスペルガー症候群(知的発達の遅れない・言葉の発達の遅れない)までの連続体(境界がない)・アスペルガー症候群の子どもの特徴①人の気持ちや「場の雰囲気」「暗黙のルール」が読みとれない。②ことばを字義どおりに受け取ってしまう。③妙に堅いことばを使ったり、一方的に話したりする。④こだわりが強かったり、感覚が過敏であったりする。⑤得意と不得意の差が大きい。・注意欠陥・多動性障害(ADHD)①年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力及び又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすもの。②7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。・学習障害(LD)①基本的には、知的発達に遅れはないものの、読む・書く・計算するなどの能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態を指す。②中枢神経系の何らかの機能障害が原因と推定されるが、視覚・聴覚障害などの器質的な障害や環境的要因が直接の原因となるものではない。【5】新聞記事・行政機関の記者発表記事◆日本語パートナーズ派遣事業http://www.jpf.go.jp/j/ac/index.html国際交流基金アジアセンターが、ASEAN諸国の教育機関で日本語を教える教師やその生徒のパートナーとして一定期間、日本から派遣する事業。派遣先は主に中等教育機関、日本で言うと高校。授業のアシスタントをしたり、日本文化を紹介したり。また、授業以外でも多くの交流を行う。(応募要件) (1) 事業の趣旨を理解し、日本とASEAN諸国との架け橋となる志をもった方 (2) 満20歳から満69歳(2014年11月1日時点)で、日本国籍を有し、日本語母語話者である方 (3) 日常英会話ができる方 (4) 国際交流基金が別途指定する派遣前研修全日程に参加できる方 ア. 日程:8月3日(日曜日)~8月30日(土曜日)イ. 場所:国際交流基金関西国際センター(大阪府泉南郡)(5) SNS、ウェブサイト等を活用して本プログラムの広報や活動についての情報発信に協力できる方 (6) 心身ともに健康な方 (派遣先の内定等) (1) 応募用紙に希望する派遣国を記入する。(フィリピンは派遣期間も記入)なお、派遣国内の都市、派遣機関については、選ぶことはできない。 (2) できるだけ希望を考慮して派遣するよう調整するが、希望通りとならない場合がある。 (3) 特に高度な日本語教育活動支援が期待される配置先の場合、以下の一定の能力・経験を有する方が優先して配置される場合がある。 • 日本語教育主専攻・副専攻中の学生 • 日本語教育主専攻・副専攻修了者 • 日本語教師養成講座在籍者および修了者• 日本語教育能力検定試験合格者(4) 派遣先の状況によっては、以下の能力・経験を有する方を優先して配置される場合がある。 • 現地語が出来る方 • 仕事による駐在経験、もしくは留学による滞在経験がある方◆海外の優秀な人材確保へ入管法改正案政府は、日本で3年間活動した外国人を対象に、日本での在留期間を無期限とする新たな在留資格を与えることを内容とする入管法改正案を決定した。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140311/k10015879241000.html

メルマガ アーカイブ(日本語指導 特別の教育課程)2014.1

◆日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」の編成・実施について  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄平成26年4月1日施行 学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(通知)http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/1341903.htm「特別の教育課程」による日本語指導(1)指導の内容:外国人児童生徒が学校教育において各教科その他の教育活動に、日本語で参加できることを目的とする指導(学校生活を送るために必要な日本語指導も含む。)在籍学級の教育課程の一部の時間に替えて、在籍学級以外の教室等で行う教育の形態(2)対象とする児童生徒:小学校、中学校、中等教育学校の前期課程、特別支援学校の小学部及び中学部に在籍する日本語指導が必要な児童生徒指導の要否は校長の責任の下で行うが、判断には、日本語指導担当教員をはじめ担任や各教科を担当する教員、日本語指導補助者など複数人により、児童生徒の実態を日本語能力、学校生活への適応状況も含めた生活・学習の状況、学習への姿勢・態度等の多面的な観点から把握・測定した結果を参考とする。(文部科学省では、日本語能力測定方法「DLA~外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント」を開発した。これまで各地域で工夫されてきた方法とあわせて、本アセスメントを活用してほしい。)(3)指導者 日本語指導担当教員:教員免許を有する教員(常勤・非常勤講師含む。)日本語指導補助者(必置ではない。):日本語指導担当教員が行う日本語指導や教科指導等の補助を行う支援者、児童生徒の母語による支援者(4)授業時数:年間10単位時間から280単位時間までを標準とする。・1単位時間:45分又は50分 (5)指導の形態及び場所:在籍学校における「取り出し指導」を原則とする。ただし、指導者の確保が困難な場合には、他校における指導も認める。やむを得ない事情がある場合には、一定の要件の下、例外的に学校外施設における指導も認める。(6)指導計画の作成及び学習評価の実施①指導計画の作成・学校から教育員会への指導計画(特別の教育課程の編成・実施計画)の届け出・学校内で作成する個別の指導計画の作成②学習評価の実施○期待される効果:・児童生徒一人一人の実態に応じたきめ細かな指導の実現・指導を受けた児童生徒が各教科その他の教育活動に日本語で参加できるようになること。・地域や学校において日本語指導に携わる関係者の意識の啓発及び指導力の向上※今年の春から実施するとの情報であるが、学校現場での現実感は乏しいようだ。香川県のような1校当たりの対象児童生徒が少ない地域では、1人の指導者が複数校を巡回して指導を行うことや、児童生徒にとって通いやすい学校等に指導する教室を置くことも考えるようだ。

メルマガ アーカイブ(日本語指導研修)2014.2

◆地域日本語教室支援事業を実施しました。(香川にほんごネット共催)とき 平成26年2月11日(火・祝)ところ アイパル香川3階第5・6会議室対象 県内各地域の日本語教室日本語指導ボランティア、一般県民講師:RINK(すべての外国人労働者とその家族の人権をまもる関西ネットワーク)草加道常氏内容要旨 「外国籍住民の現状と生活相談について~日本語支援に関わる諸問題~」(1)新来外国人の変化と外国籍住民の現状外国籍住民の3つの壁(ことばの壁・制度の壁・こころの壁)←外国人への無関心①来日外国人の変化・1970s ニューカマーの外国人が増加し始める。 ・1970s後半 ベトナム難民の来日と東南アジアの女性労働者の増加・1980s 南アジア・西アジアの男性労働者の増加・1990s以降 南米日系人を中心に増加・1994以降 中国残留日本人急増・1993 外国人研修・技能実習生制度の導入・2008年のリーマンショク 大量の外国人が帰国※リーマンショクで派遣会社が倒産したことで、これまで通訳が生活面の大部分の面倒をみていたのができなくなり、外国人個々人が日本の実生活に放り出されたことで、「顔の見える定住化」に変化していった。②来日経緯と在留資格・在日コリアン、在日中国人(特別永住者)・中国残留日本人、日系南米・フィリピン人(日本人の配偶者等、定住者)・日本人との国際結婚(日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)・難民(定住者、特定活動)・就労(人文知識・国際結婚、技術、技能、企業内転勤、教育、興行)・留学生(留学)・技能実習生(技能実習1号・2号のイ、ロ)※1号:入国1年目 2号:入国2.3年目 イ:企業単独型 ロ:団体管理型 ③外国人相談の特徴と内容・2012年度NGO内容別相談比率では、在留資格が26%、家族関係(結婚、離婚、出生、認知など)が24%で全体の半数を占める。・外国人への社会保障制度の適用1986年の国民健康保険法を最後にすべて国籍条項廃止したが、これがすべて適用になるのは、永住者、永住者の配偶者等、日本人の配偶者等、定住者に限られる。特に、非正規滞在者は、国民健康保険、健康保険、生活保護、児童手当などは適用されない。

◆おおさかこども多文化センター主催「外国にルーツをもつ子どもの学習上のつまずきと支援のあり方」学習会(2月23日(日)13:30~16:00 大阪市総合生涯学習センター6階 研修室)講師:近田由紀子氏(こんだゆきこ)大阪大学大学院連合小児発達学研究科)浜松市で長年、小学校教員として外国人児童教育に携わり、現在は大学院で外国人の子どもの発達について研究されている。内容:学習活動に困難さを抱えているJSL児童の要因は、「ことば」なのか、「文化」なのか、「発達」の問題なのか、その見立ては難しい。多様な要因が複雑に影響しており、支援の手がかりをつかむには、多角的な、長期的な視点が必要である。事例を挙げながら、子ども自身の多様性、受入れ側の多様性とその対応を学んだ。何ができて何ができないのか、具体的な場面、事柄を探し、できることを伸ばしつつ、苦手なことを引き上げていく。関係者が子どもの情報を共有し、それぞれのかかわり方、場の環境、指導内容によって、子どもの表れは変わる。グループワークでは、3つの子どものタイプから選択又はグループ独自のタイプを決め、子どもの困り感はどこにあるのか、支援できる人材と場をどう確保するのか、支援の具体策はどのようなものかなどを話し合った。(感想)講師の話の中で、「この子だったら何から始めたらいいのか、できていないところを伸ばすより、できるところを伸ばす方がスムーズにでき、子どももより達成感を感じる。同時にできるところの周辺部分も高まると言う。脳の血流が上がり、シナプスが活性化し、その周辺部も活性化する。」との話はとても印象的であった。※研修会の資料がご希望の方は、メールしてください。お送りします。

◆「移動する子どもたちと日本語教育」早稲田大学大学院日本語教育科教授 川上郁雄※上記書籍に、平成25年1月20日(日)東広島市市民文化センターでの年少者日本語教育指導者のための出前講演会での川上先生の講演要旨を加筆しました。1.「移動する時代」と子どもたち国際移民の時代:大量の大人たちが自分の意思で移動するのに対し、大量の子どもたちは、大人たちによって「移動させられる」時代・ドイツ ドレスデン市のインターナショナル校の事例教室の壁に、子どもたちがこの学校に編入するまでの数カ国の移動の軌跡を表で貼付子どもたち同士がそれぞれの背景を知ることで、自分の移動の生活を特別視しない。子どもが抱えさせられる課題・複数言語環境で成長する子どもことばの教育がなぜ必要なのか。→複数言語で他者とつながっている複数言語で向き合う自己の確立2.指導の前提(1)子どものことばの生活を想像する。→言語生活を子どもの目線で考える。(2)子どもの成長と発達を考える。→子どもはさまざまなストレスや思いを抱えている。(3)子どもの心を支える→ 教育はそんな子どもの心を支えるもの 3.ことばの力はどのように見えるかその背景に何があると思いますか。「黙っている子」→日本語が話せない。サイレントチルドレン(沈黙期間 他の子を観察、わかるまで黙っている。)自信がない「人のまねをする子」→自分の意見に自信がない。わからないまままねをする。「自分でことばを作る子 例~じゃない」→じゃない は否定形 NOの意味「1語文の子」→日本語学習初期の段階 「はい」というがいろいろな意味のはいがある。「もともと学力が低いように見える子」→個の力、その子の問題とみなしがち「ほとんどの話は理解できるが、日本の文化に関する知識が不足している子」→日本の何年のいながら、日本の昔話での文化的な事柄がわからない子どもたちのことばの力の実状は極めて多様である。子どもは、人とのやりとりの中で(相互作用的)、その子の背景や発達段階などに応じ変化(動態的)する。これらは、JSLバンドスケールのどれかのレベルと合うかを検討できる。「※ことばの力:他者とやりとりする力、学び考える力、思考を深める力を得ることことばの力を育成するために重要なことは?①子どもたちに日本語を教える方法②目の前の課題をやりとげるための支援③子どもたちの成長・発達の過程に継続的に、かつ長期的に寄り添って日本語を教える。④教授法、教材開発それだけでは十分ではない。1.子どもたちがいかに自律的に、かつ主体的にことばを学ぶ力を獲得していけるか。生きていく主体である子ども自身が自らの学びのスタイルを見つけ、自律的に、かつ主体的に学んでいくように、支援者がいかに支援するか。一人ひとりの子どもに寄り添って共に考えていくにはどのようにしたらいいのか。」4.「日本語指導が必要な児童生徒」とは誰か・誰が何をもって判断するのか。教委に報告する日本語指導が必要な児童生徒の判断は、学校が決める。予算の関係で、制約されることもある。・文科省の新たな定義(H18.11.6)①日本語で日常生活が十分できない者(JSLバンドスケール レベル1~2に相当)②日常会話ができても、学年相当の学習言語が不足し学習活動への参加に支障が生じる者で、日本語指導が必要な者(JSLバンドスケール レベル3~4に相当)しかし、JSLバンドスケール レベル5~6でも支援が必要である。                   ・2言語相互依存の仮設(J.カミング)            2重の氷山 2言語が上のしきいを越えれば「加算的バイリンガル」(母語に加えて社会的に有用な言語が加わる)になる。第一言語による認知的、社会文化的背景が日本語の力に影響を与える。JSLバンドスケールは、レベルを決定することに意味はない。複数の支援者の見立てが大事「※JSLバンドスケールに見る「ことばの力の捉え方」子どもの日本語の力の実態を発達段階的に把握するものさし(scales)の束(band)年齢集団を「小学校低学年」「小学校中高年」「中学・高校」の3つに分け、それぞれの集団の4技能(聞く、話す、読む、書く)ごとに、初歩レベルの1から日本語を高度に使用できるレベルの7あるいは8の段階に設定している。日本語を学ぶ子どもの学習の様子や先生とのやりとり、クラス活動や遊びの様子を観察し、そこで見られる言語使用の特徴がどのレベルの特徴と合うのかを検討する。取り出し指導の子ども:レベル1からレベル6まである。ひとりの子どもでも4技能が同じレベルにはなく、アンバランスな状態にある。子ども一人ひとりによって、来日年齢、滞在期間、出身国での教育、家庭内の言語生活などさまざまな異なる事情がある。バンドスケールは、子どもたちのことばの力を把握しつつ、そのことばの力を伸長するために、どのような日本語教育を行うかを検討することが目的なのである。」・日常会話能力(生活場面)1~2年で獲得文脈が見える。話題がわかる。相手が聞いてくれる。知っている語彙が少ない。・学習言語能力(学習場面)5~7年で獲得文脈が見えない。馴染みのない話題。抽象度が高くなる。知らない語彙が多い。5.「日本語指導」から「ことばに留意した教育」の創造へ・三重県鈴鹿市の試み人口20万人 小中学校 40校 外国にルーツをもつ児童生徒 700名(全体の1割)5年間JSLバンドスケールを使って、実践研修会(教師間での学習)・共有(教師間で個々の児童生徒の状況共有)・連携(国際学級と在籍クラス)6.言語活動に必要な観点は何か・個別化:子どもを主人公にする。個人差(言語能力、学習スタイル、学習ストラテジー、興味など)に配慮した指導一人ひとりの発達段階に配慮した指導・文脈化:ことばは文脈の中で意味が生まれ、談話の中でメッセージを伝える。学習者は場面や状況に応じてことばを理解し、流動する文脈の中で使用してはじめてことばを習得する。決して文型練習で得られるものではなく、意味のある文脈をいかに作れるかがポイント・統合化:子どもの言語発達では、子どもにとって「意味するもの」と「意味されるもの」を結びつける象徴機能の形成が言語発達の中核学習者の言いたいことや内容をことばにする(統合化する)とき、言語習得が進む。※子どもがペットの写真を持ってきて、「これ 私のペット」と言った場合、正に個別化文脈化統合化支援者のスキャフォールディング(足場かけ)が重要・漢字にルビ打ち ・やさしい表現 ・音読 ・板書 ・視覚的活動教材の提供 ・友達同士一緒に考える ・わかりやすいプリントを用意する など7.日本語指導に必要な観点1)こころを支える指導2)声が届く体験→自分のことばを聞いてくれる人がいる必要な視点①成長・発達の視点②ことばの力をみる視点③どのような「ことばの力」を育成するのかという視点第二言語としての日本語の特徴・動態性:常に日本語の力は変化している。・非均質性:場面や状況に応じて生起する日本語の力は同じではない。・相互作用性:日本語が使用される目的や相手との関係性によって日本語の力は異なっていく。JSLカリキュラムと教科指導JSLカリキュラムは、考え方を示したもの日本語の習得を通して学校での学習活動に参加するための力を育成するもの知的で楽しい活動これはなんだろう、これとこれはどう違うのか、なぜこうなるのか、考えてみよう 調べてみよう8.「移動する子ども」とは①空間的に移動する子ども②言語間を移動する子ども③言語教育カテゴリー(第二言語教育、外国語教育、継承語教育、母語教育など)の間を移動する子ども

今、外国人住民が置かれている現実

今、外国人住民が置かれている現実(年金 編)

社会保障協定:日本では主要諸外国と年金に関する社会保障協定を締結しており、その場合は外国人労働者が5年以内の日本滞在であれば協定相手国の保障制度を選択することができます。
ただし、あくまでも協定相手国の事業所からの派遣の場合に限られ、日本での現地採用の場合は日本の社会保障制度が適用されることになります。
現在日本は、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ(オーストラリア、オランダ、チェコスロヴァキアは準備中)と社会保障協定を締結しています。
※短期在留外国人に対する脱退一時金
日本の年金制度においては、短期在留外国人が年金を受けることができない場合の措置として、脱退一時金制度が設けられております。脱退一時金は原則として要件にすべてあてはまる方が出国後2年以内に請求した場合に支給されます。(国民年金の場合 3年以上加入:23万円余)

今、外国人住民が置かれている現実(在留資格 編)


○資格外活動の許可を得て、アルバイトでしか働けない「家族滞在」で在留する若者・児童生徒が日本の高校を卒業した後、就労の範囲に制限の無い「定住者」への変更について
・永住者、日本人の配偶者等、定住者など身分・地位に基づく5つの在留資格ではなく、活動に基づく21の在留資格のうち技能、留学など16の在留資格の者の扶養を受ける配偶者又は子として来日し、日本の義務教育機関を卒業していない者で、日本の高校に入学、卒業見込み、さらに卒業した者について、法務省入局管理局は、日本の高校に入学、卒業見込み中の者はもちろん、卒業した者も「定住者」への変更を認めていない。その理由として、「日本の義務教育を卒業せず、日本の高校だけを卒業した者については、わが国の社会への十分な定着性が認められないので、「定住者」を許可する特別な理由は認められない。」とする。そして、日本の義務教育の大半を修了し、日本の高校を卒業後、日本で就職先が決まっている者は「定住者」への変更を認める場合があるとしている。(Migrants Network 196号省庁交渉2017 10,11ページ要約)
※例えば、中華料理の料理人(在留資格「技能」)として来日した中国人家族が中国で中学校を卒業した子どもを「家族滞在」で呼び寄せ、その子が日本の高校を卒業しても、日本では資格外活動の許可を得て、アルバイトしかできず、就労の範囲に制限の無い「定住者」への変更はできないということ。これでは、その子の将来の芽を摘むことにならないか。(移住連)高校での進路指導の時に、在留カードを見ながら「あなたは就職は日本では出来ませんから帰ってください、」と教員に言えということですか?
※10年以上在留し、「永住者」の在留資格を得ようとしても、就労資格ももって5年以上在留する必要があり、就労資格でない「家族滞在」のままでは「永住者」には変更できない。

◆今、外国人住民が置かれている現実(国籍編)

最初に我が国の国籍差別の歴史を述べる。まず、関東大震災での朝鮮人虐殺がある。これを受けてか、いわゆるポツダム勅令によって厚生年金法が改正され、厚生年金保険の被保険者資格の国籍差別が撤廃。しかし、対日平和条約発効を機に一片の通達によって旧植民地出身者は日本国籍を失った。同じ状況にあったドイツとオーストリアでは国籍問題規制法を制定し、在独オーストリア人の国籍選択権が保障されたのとは大きな差だ。続いて戦傷病者戦没者遺族等援護法、国民年金法、児童手当3法での国籍差別条項の登場。しかし、ベトナム難民受け入れを機に日本はさまざまな人権条約を批准した結果、公営住宅の外国人開放、国民年金法、児童手当3法の国籍条項の削除、日本の国籍法が父母両系に改正(その際日本人母の20歳未満の外国籍の子は届出により日本国籍を取得できるとの特例が設けられた。蓮舫議員の二重国籍はこの特例の結果であった。)などが行われた。国籍の父母両系への移行によって重国籍が増え、国籍は同じでも「出自による差別」が起こるようになった。(Migrants Network195号8,9Pより抜粋)次に国際結婚家族の国勢をめぐる問題 1985年に父母両系の国籍法が成立し、母親が日本人である子どもは日本国籍を得たが、これによって重国籍が増えることを問題とした政府は、国籍の選択制度を新設した。子どもたちは父と母からそれぞれ異なった国籍や文化、歴史を受け継ぎ、両方から影響を受け、自らの人格を形成しながら成長するが、22歳になるまでに国籍を選択しなければならないこの制度は、子どもに父母の一方を選ばせるに等しく、多大な負担と苦痛を与える。また、一方、日本国籍を選択した場合、外国国籍離脱に努めなければならないという規定は、努力義務にすぎず、国籍離脱ができない国がある中、複数の国籍を持つ日本人はこの一方的な押し付け義務規定に不安を駆り立てられる。国籍を二つ持つということは、二つの国の権利と自由を同時に行使することではなく、日本でいるときは他の日本人と変わらず、一方の国籍は潜在的にあるだけで、それを使うことは大使館、領事館以外にない。そしてもう一方の国に帰るとその国の国民になるわけで、日本人という法的地位には意味がない。国家と個人の絆である国籍に関わる制限の壁を低くして、「国民」の範疇を多言語化する試みが外国人の参政権や公務員の国勢条項撤廃である。「国民の範囲」を国籍に限定する国家主義から国内的には「住民」としての結びつきを重視する「住民主義」への移行を検討するために、「国籍」を相対化し、社会構成員の「国民化」の意味を問い直してみる必要があるだろう。複数国籍取得の可能性もそれらの一つだろうか。     (Migrants Network195号18,19Pより抜粋)(次号に

◆今、外国人住民の置かれている問題(多文化共生編)

・外国人住民との行政相談懇談会から見える問題6月24日(土)14:00~16:00 ひろばの会場と同じ丸亀市立城乾コミュニティセンターで、丸亀市在住の外国人住民が日ごろ行政に対し思っていることを話し合う行政相談懇談会が開かれた。主催:四国行政評価支局参加者:ペルー 9名(男性5名、女性4名)フィリピン 1名(女性)計10名スペイン語通訳:1名 行政相談委員:5名 香川まるがめ子どもにほんごひろばサポーター:2名 四国行政評価支局職員:3名     合計21名(意見内容)○ペルーで取得した運転免許証が偽物と判断され、日本での切り替え手続きができなかった。このことに納得できず、他県で手続きをしたら、切り替えができた。どうして香川県ではできなかったのか、教えてほしい。○スペイン語で運転免許証を取得できる環境を整備してほしい。香川県では英語だけである。○香川県民の運転マナーは悪く、危険でもあり、マナー向上図ってほしい。。○自動車教習所の教習料金は高額であるため、外国人でも免許を取得しやすいよう安い料金に設定してほしい。。○行政機関は、日本語の分からない外国人に対して、税金の使途を丁寧に説明してほしい。。○市役所は、多様な外国語に対応する相談窓口を整備すべきである。神奈川県では、多くの言語の対応ができるよう相談サービスが整っている。○永住許可申請に当たって、入国管理局から6万円を請求されたが不当ではないか。○雇用保険料を不当に天引きされており、困っている。○ペルーに一時帰国している間、知らぬ間に国民年金の保険料を滞納している状況になっていた。事前に納付するよう周知してほしい。。○行政機関は、正当に在留する外国人に認められている権利について、日本語が分からない外国人に対して積極的に周知してほしい。。※運転免許に関する意見が多く出された。それだけ、生活上、運転免許は必要であるからだろう。外国人住民が香川県で運転免許を取得するうえで、困難な状況があるなら、それを改善するよう働きかけが必要だ。免許取得をあきらめ、無免許での運転をする者がいるとしたら問題である。※行政からの個人向けの通知などをすべて多言語、あるいは在留外国人の多い国の言語だけでも対応することができればいいのだが、全国一律となると相当厳しく、また市町業務だけでもそれらに対応することはコスト面から難しいのが現実であろう。相談窓口業務を充実するよう、市町への働きかけは必要だし、また、外国人住民も信頼できる日本人との交流を通じて、これらの情報を理解する努力も必要ではないかと思う。多文化共生もそんなところから、深まってくるかもしれない。

◆今、外国人住民の置かれている問題(差別・偏見編)

「外国人4割、入居拒否経験」(四国新聞4/1)法務省が日本に住む外国人を対象に初めて実施した「差別や偏見に関する調査」を公表した。昨年11月、全国37市区を対象に1市区当たり18歳以上500人を無作為に抽出、18,500人のうち4,252人が回答。回答率は23%。外国人を対象とした調査ではこんなものか。いや、そもそもこのような大事な調査が国レベルでは初めてということ、このことの方がもって大きな問題である。自治体レベルでは、多文化共生社会に実現に向けた計画立案に際し、外国人住民の生活実態調査が行われることがあり、その中で、どのようことで日本人からの差別や偏見を感じたかなどの質問がある。しかし、調査対象者は多くなく、国籍、在留資格が限定され、実態には程遠かった。このため、今回の国の調査は遅きに失した感はあるが、評価できる。(結果)過去5年間に日本で住居を探した2,044人のうち、外国人であることや、日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られた経験がある人は、それぞれ約4割だった。物件に「外国人お断り」と書かれているのを見て諦めた人も約27%いた。日本で仕事を探したり働いたりしたことがある2,788人のうち、外国人であることを理由に就職を断られた経験がある人は25%。このうち日本語での会話ができない人はほとんどいなかった。同じ仕事をしているのに日本人より賃金が低かったと回答した人は約20%だった。全体の約30%が差別的なことを言われた経験があり、ヘイトスピーチを見たり聞いたりした4,085人のうち約80%は「不快」「許せない」など否定的な感情を持った。一方、差別を受けたときにどこかに相談したことがある人は全体の約11%。法務局の人権相談窓口を知っている人も約12%にとどまった。 ※法務省「人権侵犯事件」統計資料H28 外国人関連  総数 72件 措置 54件※これまで、このメルマガでも外国人差別事案について、数は少ないが報告してきた。(韓国旅行者による張り紙、南海電車内での車掌の車内アナウンスなど)県内の事例としては、「香川県人権啓発活動ネットワーク協議会」のホームページでは、「県内家主や仲介業者の意向により、外国人にはアパートやマンションに入居させないという差別的取扱いがされたり、公衆浴場において外国人の入浴マナーが悪いとして一律に外国人の入浴が拒否されたり、あるいは、外国人について根拠のないうわさが広まるといった事案が生じています。」とあり、県内でもこれまでに差別事案はあったようだ。また、香川県の「多文化共生推進プラン」(H28.3)策定に伴う「外国人住民アンケート調査結果(2,491人対象)では、「周囲の人が冷たい」102人、「仕事が見つけにくい」68人とある。調査対象の9割は、19歳~39歳であり、中年、高齢者がほとんど含まれておらず、結果の妥当性に疑問も感じる。総務省の全国調査でも、約30%の外国人住民がなんらかの差別的なことを経験している。2020年の東京オリンピック対策ではなく、私たちの身近で共に暮らしている外国人住民に、私たちはどう向き合ったらいいのか、真剣な議論が必要ではないだろうか。

◆今、外国人住民の置かれている問題(社会保障、医療など福祉編)日本の社会保障・社会福祉制度については、外国人住民の在留資格にかかわらず原則的に適用される。原則的と断るのは、ここで言う外国人住民には旅行者などの短期滞在者を含まず、オーバーステイなど非正規滞在者は含まないということ。ただし、これらの外国人でも適用される場合があり、また、中長期正規滞在者であっても、制度の壁があり、そのことが日本での生活に支障が生じていることも事実である。1) 生活保護生活保護法には、国籍条項があり、帰化した外国人はもちろん日本国民であれば請求できる。また、日本での活動に制限のない永住者、永住者の配偶者等、日本人の配偶者等、定住者の在留資格をもつ外国人(在留資格者以外では在日韓国人などの特別永住者、難民認定者を含む。)には請求権は認めないが、準用することになっている。(昭和29年厚生省通知、平成2年厚生省社会局保護課口頭指示)昭和26年の最高裁判決では、外国人は法に基づく保護対象ではなく、受給権を有しないとあるが、受給することが違憲とは言っていない。※外国人生活保護受給者は、受給後には永住資格は得られない。さらに、生活保護を止まなければ家族の呼び寄せもできない。(その家族も来日後に生活保護を受給するおそれがあるため。)外国人の生活保護受給は人道上の観点から準用するとあるが、永住者、定住者などに限定している。技術・人文知識・国際業務、技能など日本での活動に制限のある外国人の受給を全く認めないことは問題であろう。無制限に認めることには問題があると思うが、日本で適法に長期間、滞在し、就労し、税金も支払っているこれら外国人に対しては、もっときめ細やかな配慮があってもいいのではないかと考える。2)国民健康保険これまで、1年以上の在留期間があれば国保加入できたが、平成24年7月から、在留期間が3か月を超える外国人でも国保の加入対象になった。3か月以下でも興行、技能実習、家族滞在、特定活動の在留資格を有し、客観的な資料により3か月を超えて滞在することが認められる外国人は加入できる。ただし、医療滞在ビザと呼ばれる「特定活動での医療、保養などを受ける活動、その者の世話をする活動」については国保に加入できない。在留資格が短期滞在、外交、一部の特定活動、健康保険加入者、後期高齢者医療被保険者、生活保護受給者、欧米7か国の外国の社会保険加入者を除き、国保に加入できる。※在留期間3か月以下の外国人は、事業者などから3か月を超える滞在を認める資料を求めにくい事情のある方もあろう。また、在留資格が切れたが、急病になった後、在留特別許可が出て、療養する特別活動の在留資格を得た外国人の場合、国保加入が認められなかったケースもある。医療という生命に関わる保険へのアクセスは日本人ほど容易くない。3)医療 「生活困窮者のための無料又は低額料金での診察事業」(社会福祉法)広く生活困窮者一般を対象とするもので、在留資格の有無にかかわらない。ただ、県内でこの事業を行っている医療機関は、高松市民病院、高松平和病院、香川県済生会病院だけ。また、病院の診療科目もあり、すべての疾病に対応できるものでもない。生活困窮の証明も難しい場合もあろう。4)年金(RINK「すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク」ニュースレターNO.93 草加通常寄稿から抜粋) 1982年に国民年金法を改正し国籍要件が撤廃された。(中略)このとき無年金者を救済するために日本人にとった経過措置(沖縄返還時や中国残留日本人の帰国時に認められた「みなし保険料免除期間」)と同様のものはとられなかった。経過措置においても差別が存在したといえる。このことへの抗議の声が後の無年金外国人高齢者への福祉給付金となり、自治体から支給されることになった。福祉給付金の金額は自治体によっては月額5千円から3万円と異なっている。生活できるだけの金額ではなかった。

◆今、外国人住民のどこが問題なのか。(労働編)

1)社会保険、年金事業所が外国人労働者の社会保険加入を怠っている事例が多いという。日本人と同様、法人事業者であれば、業種、人数に関係なく加入させなければなりません。個人事業者の場合は、常時5人以上の従業員を使用する事業所は製造業、土木建築業、運送業、清掃業、物品販売業など16業種は必ず加入させなければならず、16業種以外でも、また16業種でも常時5人未満の従業員では、使用者と従業員が希望し、管轄の社会保険事務所で承認されなければ加入させなければなりません。ただし、パートタイマーなどで働く労働者の場合で、正社員の1日または1週間の労働時間の3/4以下であり、かつ正社員の1か月の労働時間の3/4以下であれば加入させなくてもいいことになっている。事業者の中には、事業主負担をしたくなかったり、社会保険料が多額になるため加入を渋る外国人労働者がいることを理由に、加入させていない者もあると聞く。また、年金は、掛け捨てになるとの理由で、保険、年金ともに加入しない者もいる。年金脱退一時金の制度があり、年金の加入期間が6か月以上あれば、申請でき、出国後でも2年以内であれば請求できる。2)労働保険(労災保険、雇用保険)労災隠しのため、労災認定させない事業者もいるという。従業員1人でも雇用(請負、委託、委任を除くため、契約時に注意が必要です。)していれば労働保険が適用になる。労災認定を嫌がる使用者がおり、いわゆる労災隠しが問題化している。ただ、雇用保険の場合、31日以上の雇用の見込み、1週間20時間以上の勤務が要件となり、この要件に該当しないと、失業給付をうけられなくなる。3)解雇不当解雇の事例がある。雇い主は、従業員が業務上で怪我をしたり、病気になったりして、その治療を行うため勤務を休む間、さらには治療後30日間は、その従業員をやめさせることはできない。また、短期の契約をした従業員でも、この契約が何回も更新され、従業員も今後も更新されると期待するような場合は、契約の満了日をもって解職することも解雇に当たる。日給月給払いの外国人労働者が仕事で負傷したことで、仕事ができないことを理由に解職するケース。日本の労働基準法の解雇規定を知らないことをいいことに、不当な解雇の例が多いと聞く。4)技能実習生と労働技能実習生制度については、安価な労働力調達の隠れ蓑、強制労働などの批判が長くなされ、2009年に研修生・技能実習生の保護の強化を目的に入管法が改定されたものの、その後も不正行為は頻発し、残業代の未払い、劣悪な労働・生活環境、在留カードやパスポートの取り上げ、強制帰国などの問題が多数報告されている。労働基準局の報告でも、監督指導を実施した実習実施機関の76%で労働基準法令違反が認定されている。(2014年)(移住連情報誌「Migrants Netwaork」2016.8から抜粋)5)非正規滞在者問題不法入国者、不法滞在者、オーバーステイなどを含むが、不法入国は別として、正規に入国したものの、何らかの事情(中には子どもの養育、劣悪な労働環境からの逃亡など、やむを得ない理由により在留資格の更新ができなかった者もいる。)で在留期間を過ぎてもなお滞在していることから非正規滞在者と呼びたい。法務省では、平成28年7月1日現在の不法残留者数は63,492人と公表している。労働そのものが許されないのだから、上記1)2)は加入できない。公務員には通報義務があるが、通報することに比べ、出産や子どもの教育などの公益が優先されると判断した場合には通報しなくても罰せられない。通報すれば民間人には最高5万円の報奨金が出ることになっており、このことが、外国人住民同士を分断する結果にもなっている。救済の道として、在留特別許可が認められているが、法務省は、許可の判断は、個々の事案ごとに、在留を希望する理由、家族状況、素行、内外の諸情勢、人道的な配慮の必要性、さらには我が国における不法滞在者に与える影響等、諸般の事情を総合的に勘案して行うこととしている。(法務省入国管理局のガイドラインより抜粋)法務省は、先例で許可のあった事由があれば必ず認められるというのではなく、あくまでこの許可は法務大臣の裁量に任されているという。

今、外国人住民が置かれている現実(在留更新 編)

◆今、外国人住民が置かれている問題(在留期間更新 編)
 定住者資格のパキスタン人から相談があった。妻(日系3世)が在留期間中、交通事故を起こし、通行人に入院する怪我をさせ、罰金刑を科せられた。その後、在留資格の更新のため、入国管理局に申請したところ、不許可になったため、かがわ外国人サポートセンターに相談した。入管は文書で「定住者の在留資格について、法務大臣が告示で定めた地位を有していると認めず、また他に本邦への居住を認めるに足りる特別の理由も認められません。」とした。
 この法務大臣の告示には、四号に「日本人の子として出生した者でかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるもの者の実子であって素行が善良であるもの」とある。刑事罰の罰金を科せられたことが理由と思われる。これが、道路交通法の行政罰である過料であればたぶん不許可にはならなかっただろう。弁護士にも相談したが、日本で3年の居住と短く、また養育すべき未成年がいるなど日本で生活しなければならない確かな理由が見つからないのであれば、帰国を受け入れ、数年経って再入国の申請をしたほうがいいという。
※もし、交通事故当時、相談できる日本人などが周囲におり、弁護士による被害者との和解などの手続きができていれば、刑事罰ではなく、行政罰で済んでいたのでないか。残念である。

平成27年度~平成29年度ひろば実績

(アイパル業務委託期間) ①年度 ② 回数 ③延べ参加児童生徒数 ④ 実数 (内訳 )⑤延べ サポーター数⑥実数

①H27 ② 22回 ③113名 ④22名 (ペルー10名、フィリピン5名、中国6名、ブラジル2名 )⑤119名 ⑥23名

①H28②30回 ③137名 ④19名( ペルー9名、フィリピン5名、中国3名、ブラジル2名 )⑤168名 ⑥21名

①H29②48回 ③200名 ④34名 (ペルー20名、フィリピン10名、中国 4名) ⑤229名 ⑥23名

①H27~H29 計 3年間 ②100回 ③450名 ④53名 (ペルー27名、フィリピン15名、中国 9名、ブラジル2名 )⑤516名 ⑥50名(サポ―ター15名、その他8名、四国学院大生24名、研修生3名)

平成30年度ひろば実績報告

平成30年度 香川まるがめ子どもにほんごひろば 事業報告
(1) 日本語学習・教科学習の支援
  開講場所:丸亀市城乾コミュニティセンター   
       2階小会議室・和室
  開講時間:10:00~12:00
 (平成31年1月19日から 9:30~11:30)
 対 象:外国につながる小学生、中学生 
開講日:毎月土曜日 
平成30年4月7日(土)~平成31年3月30日(土)
実 績〇実施回数 年間 46回
 〇参加児童生徒数 延べ 268名
(1回平均 5.8名)実数  23名
        (内訳:ペルー9名、フィリピン9名、中国5名)
〇学習サポーター数 延べ 320名
 (1回平均 7.0名)、実数 34名
       (内訳:サポーター20名、四国学院大生14名)
(2)多文化共生、異文化理解に関するイベントなど
① まるがめお城村テント出店
 と き:平成30年5月3日(木・祝)、4日(金・祝)
 ところ:丸亀城芝生広場(第一たべもの部会)
 内 容:ペルーのアンティクーチョ(牛の心臓肉串さし)3個、フィリピン
  のマハ(ココナッツ入りとうもろこし菓子)2個をセット300円で販売
        ・日本語ゲーム
     参加者:ペルー3名 フィリピン2名、参加ボランティア 11名


② ふれあいまつり城乾へのテント出店
 と き:平成30年6月3日(日)
 ところ:丸亀市城乾コミュニティセンター前
 内 容:にほんごビンゴクイズ、ガチャガチャ 
     世界クイズ、生活相談コーナー
 参加者:行政書士3名、J
     ICA推進員1名、
     JICA研修生2名
     ボランティア4名

③  保護者との意見交換
 と き 平成30年10月21日(日)15:00~16:00
 ところ 丸亀市城乾コミュニティセンター 1階小会議室
 参 加 ペルー1名、中国2名、教員1名、市議会議員1名、
  ひろばボランティア8名

 と き 3月17日(日)11:30〜12:30       
    ところ 丸亀カトリック教会
    参加:フィリピン人の母親9名 ひろ   
    ばボランティア7名 教員1名

(3)日本語ボランティア育成のための研修
日本語学習指導に関するレベルアップ研修
     ・香川にほんごネット研修会への参加
    と き 平成30年12月24日(月・祝)
    ところ アイパル香川3階会議室
    ひろば参加者:5名(堤、簗瀬、三好、
              秋山、安藤)

(4)その他 ① 外国人住民との特設懇談会(四国行政評価支局との共催)
    と き 平成30年8月19日(日)
        15:00~16:00
    ところ 丸亀市城乾コミュニティセンター
    参加者:四国行政評価支局、行政相談委員、
        ペルー4名、フィリピン6名
        ひろばボランティア3名
   
    と き 平成30年11月25日(日)
        15:00~18:00
    ところ 丸亀市城乾コミュニティセンター 
    参加者:四国行政評価支局員、行政相談委員、
        高松西年金事務所員、フィリピン11名
  ② 吉川さんとフィリピン住民とのトーク
    と き 平成30年12月19日(日)
        15:00~16:00
    ところ 丸亀市城乾コミュニティセンター
        2階大会議室
    参加者:吉川英治、フィリピン14名、
        ボランティアら6名