(2019年12月4日発行)毎月随時発行(記事、論文等の引用は太文字)
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◆「カナダと日本の暮らしから見える子どもたちの未来」講演会 11/24
カナダ在住のボクサー吉川英治さんの講演会が城乾コミュニティセンターで開かれた。外国人住民の参加がなかったのは残念であったが、外国につながる子どもたちの将来を日本人参加者が考える時間を持てたことは良かった。吉川さんからは「外国の青年にとって、自分の得意とする分野を日本で自由に表現できることが大切だ。そんな場となる「国際カレッジ」のような居場所づくりが今後必要ではないか。」との提案があった。
◆特定技能外国人、政府見込みのまだ2% 準備不足を露呈 11/13 朝日
深刻な人手不足を解消する切り札として、今年4月から始まった外国人労働者の受け入れ制度が半年過ぎても軌道に乗らない。出入国在留管理庁は13日、新設した「特定技能」の在留資格を得た外国人が11月8日時点で895人と発表した。特定技能の資格を取得するには①日本語能力と就労する業種の技能を測る試験に合格する②3年間の技能実習を終えた外国人が資格変更する、という二つの方法がある。①が440人 ②が455人だった。
14業種のうち試験が実施されたのは、介護や宿泊、外食など6業種のみ。産業機械製造業や電気・電子情報関連産業など3業種は、試験日どころか試験内容すら固まっていない。
特定技能に変更する資格を持つ技能実習生は年間9万人前後いるが、変更は「想像したより少ない」という。特定技能で働く外国人は転職できるため、「企業が資格変更を実習生に勧めていない影響もある」と打ち明ける。
◆技能実習生に給料未払い・過重労働 複数社の処分検討 11/15(金) 朝日
関係者によると、徳島県の会社は2017年、特定最低賃金を下回る給料を支払っていた。未払い金は16人で計約400万円にのぼる。奈良県の会社は17年、基本給を6万~7万円と独自に設定し、定められた給料や残業代を支払わなかった。未払い金は実習生3人で計約900万円。残業は月平均80時間、多い月で約100時間を超えていた。
富山県の会社は18年、認定された実習計画を超えて数カ月にわたり月80時間以上残業させた。違反行為が発覚しないよう休日の出勤も記録していなかった。群馬県の会社は4人分の給料計約50万円を支払わなかった。
◆「ハラール給食」はわがまま? ムスリム一家の苦悩 11/8
ムスリムは戒律で豚肉が食べられない。今春、長女の小学校入学前に事情を話し、給食の豚肉除去を求めたが、「対応できない」と断られたという。
母親は「これから6年間、何より栄養面が心配。新宿区は多文化共生をうたっている。宗教対応を求めるのは、わがままなのでしょうか」と話す。
新宿区教育委員会によると、39小中学校のうち4校では豚肉除去をしている。学校運営課の係長は「宗教食について区として一律の取り決めはない。豚肉除去だけでなく、酒やみりんなど調味料も取り除くなど要望は様々だから。
文科省によると、宗教食への国の対応指針はない。
早稲田大の店田(たなだ)廣文教授の推計によると、在日ムスリムは約20万人(18年6月現在)。その8年前の調査に比べて約2倍増。
三重県四日市市では独自で、宗教食への対応マニュアル策定に向けて動き出した。宗教食に最大限対応する保育園もある。
◆高校生の姉弟らペルー人家族の在留認めず 大阪地裁判決 11/29
ペルーから不正入国した両親のもと、日本で生まれ育ったきょうだいと母親を強制退去とした国の処分は子どもの権利条約に反するなどとして、国に在留特別許可を求めた訴訟の判決が29日、大阪地裁であった。裁判長は3人の請求を棄却した。訴えていたのは高校3年の女子生徒と高校1年の弟、母親。
判決などによると、母親と姉弟の父親は1990年代、他人名義のパスポートでペルーから来日。その後、2人が生まれた。だが父親が2011年に出入国管理法違反容疑で逮捕され、一家4人は12年に強制退去を命じられた。一家は13年に在留特別許可を求めて提訴したが、敗訴が確定。16年にまず父親が強制送還された。残った3人は一時的に収容を解かれる仮放免の状態で暮らし、姉弟は日本の学校に通学。「姉弟が日本での生活に一層根付いた」として17年に改めて在留特別許可を求めて提訴した。
判決は、国際慣習法上は国家は外国人を受け入れる義務はなく、外国人の権利は入管法の枠内でのみ認められるとした1978年の最高裁判決(マクリーン判決)をふまえ、在留特別許可には法務大臣に広い裁量権があると指摘。子どもの権利条約もその裁量権を制約するものではないとした。
そのうえで、姉弟が日本で育ったのは最初の強制退去処分に従わず不法残留が継続した結果に過ぎず、裁量権の逸脱はないと結論づけた。また女子生徒と弟はスペイン語能力やペルーの文化・生活様式を一定程度身につけており、父親が帰国しているのでペルーでの生活基盤を築きやすいとも判断した。
※あまりにも、情のない厳しい判決内容と言わざるを得ない。
●一緒に考えませんか!
在留特別許可は、非正規滞在外国人が出入国在留管理局に日本での滞在の許可を求める制度です。その許否判断に当たっては,個々の事案ごとに,在留を希望する理由,家族状況,生活状況,素行,内外の諸情勢その他諸般の事情に加え,その外国人に対する人道的な配慮の必要性と他の不法滞在者に及ぼす影響とを含めて,総合的に判断しているとのこと。
2018年中の在留特別許可数は152件。うち高松出入国管理局関係は2件。
不法滞在という表現が一部にありますが、彼らの中には、日本人夫のDVから逃れるため、あるいは子どもが生まれ離婚を強いられ母国に帰らされるのを恐れ所在を隠し、やむを得ず在留期間の更新ができずオーバーステイになった外国人女性などもいます。この申請を認められるかどうか、養育中の未成年者がいるなどは比較的認められやすいが、上記のように高校生での不許可の場合もある。これまでの先例(www.moj.go.jp/NYUKAN/nyukan25.html)から類推することは一応可能だ。しかし、すべては法務大臣の自由裁量に任されている。もっと納得できる、透明性のある諾否判断の仕組みが必要ではないだろうか。
◆編集後記
12月8日(日)15時から、丸亀市城乾コミュニティセンター1階小会議室で「外国人住民向け生活相談会」を開催します。参加は自由です。ご参加ください。
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