メルマガ 第69号

まるがめ子どもにほんごひろば メルマガ 第69号(創刊2014.1)

(2018年11月16日発行)毎月随時発行(記事、論文等の引用は太文字で掲載しています。)  
バックナンバーは、URL:http://marugame-kodomo-nihongo.net/merumaga.htmlで閲覧できます。
◆外国人住民を対象とした懇談会を8月19日(日)の第1弾に続き第2弾を開催する。
 とき:①11月18日(日)15:00~16:30
② 11月25日(日)15:00~16:30
ところ 丸亀市城乾コミュニティセンター小会議室(①②ともに)
 対象 ①ペルーの方+その他の国の方 ②フィリピンの方+その他の国の方   
◆新たな在留資格制度について
朝日新聞紙上で言うと、関連記事は10月12日から11月16日まで連日掲載されている。これまで、外国人労働者問題に関し、これほど国会で集中して論議されたことはなかったと記憶する。メルマガの読者の皆さんも今回の改正案については注目しており、その概要もご存知だと思われるので、記事の流れに従い、論点を列挙してみた。ご意見くだされば幸いです。
10.12 外国人労働者受け入れ拡大に向けて、政府が来年4月の導入を目指している新たな制度の骨子が明らかになった。新制度は建設や農業などの単純労働も対象としており、大きな転換となる。12日に関係閣僚会議を開き、骨子を了承する予定。法務省は出入国管理法などの改正案を秋の臨時国会に提出する方針だ。
論点(1)あまりにも制度の改正を急ぎすぎ。そもそも、この改正案は今年2月の政府の経済財政諮問会議で浮上し、6月の骨太の方針で記載され、12月上旬の臨時国会の会期までに成立を目指している。半年という極めて短期間ではこの重要な問題をまともに議論できるとは思えない。
10.22 働き手のうち、外国人が占める割合は2017年に51人に1人に達し、09年に比べ2.2倍になった。依存度が高いのは、宿泊・飲食サービス業で25人に1人、製造業で27人に1人(なかでも食品製造業では13人に1人)。建設業は90人に1人、農林業は74人に1人。
論点(2)人手不足に苦しみ、必要とする分野(骨太での5業種から14業種に拡大検討)とするが、まずは国内労働者(非正規労働者、女性、高齢者など)の雇用確保策を講じることが先決ではないのか。安易に低い賃金で外国人労働者の受け入れを拡大するのは拙速ではないか。
10.23 自民党部会では、政府側が法案の概要などを説明。「特定技能」で14業種を対象に検討。技能実習制度の対象となっていない外食業や宿泊業も含まれる。法務省は今後、具体的な業種は法成立後に省令で定める方針だ。
論点(3)「在留資格「特定技能1号・2号」を新設し、2号は家族帯同や長期滞在が認められる」ことから、実質は移民を認めているのではないのかとの意見もある。主に現行の技能実習生を念頭に考えているが、失踪者が7千人を超えている問題が解決されていない。
論点(4)所管省庁は法務省、入国管理局を外局の「出入国管理庁」に格上げし、体制を強化するそうだが、1省庁では無理、また生活支援は厚生労働省の所管。この際、管理だけでなく、生活支援を含めた「外国人省」の創設が必要ではないか。また、具体策を省令で定めていいのか。
10.25 臨時国会が24日に召集された。首相は所信表明演説で、「全国の中小・小規模事業者が深刻な人手不足に直面している。世界中から優秀な人材が集まる日本を創りあげる」
論点(5)人手不足は財界からの要請に応えたのか。日本の奴隷制度だと国際的な非難を浴びている技能実習制度の上に新たな制度を乗せても、人材は日本を避けて、他国に向かうだけだ。
10.30 自民党法務部会は改正案を了承。法務部会は分野ごとの不足人数などを明確化することを求めた。自民党総務会、公明党の了承を経て、閣議決定の方向だ。「特定技能1号」だと技能実習制度の5年間と合わせて最長10年間、家族を呼び寄せられない。
論点(6)若い外国の青年を10年間も長きにわたり家族帯同なく在留させることは、その後の人生にどんな影響を及ぼすか。人権の面からももっと検討すべきではないか。
11.1 首相は31日、参議院本会議で外国人の公的医療保険のあり方について、適正な利用に向けた対応について検討を進めると述べた。厚労省は1月に市区町村に対し、外国人の国民健康保険加入者がビザ通りの活動をしているか、就学や就労状況を国保窓口で確認し、疑問があれば地方入国管理局に連絡するよう依頼。
論点(7)治療目的の留学生の存在や海外に住む扶養者の高額医療請求などが週刊誌などで報じられたが、厚労省は公的医療制度の高額療養費給付の不適正事案を確認できなかった。日本の医療制度にただ乗りしているのではという感情的な議論になっており、日本人と同じ権利主張だと考えるべきでは。
11.2 「特定技能」をめぐり、基本的な技能を持つ「1号」は14業種が対象として検討される一方、より熟練した人を対象とした「2号」が検討されているのは5業種にとどまっている。
11.3 改正案が2日、閣議決定された。政府・与党は8日の衆議院本会議で審議入りさせる予定
論点(8)受け入れる業種や人数が明らかでなく、中身はがらんどうだ。基本的な技能と熟練した技能の定義や基準が不明確だ。日本語教育などの生活支援の具体化も今後の省令に任される。
技能実習制度という不安定な基礎の上に柱と屋根をくっつけて、壁や内装などは人が住んでから造るみたいな感じか。
11.7 厚労省は健康保険について、保険を使える扶養家族を日本国内に住む人に限る方向で検討に入った。改正案をきっかけに、医療保険財政を圧迫しかねないとの懸念があるからだ。子どもの海外留学や家族そろっての海外駐在時は認める方向。(また)法務省が永住許可のガイドラインを見直す方針を固めたことが分かった。永住権を取得するためには日本に10年以上暮らし、このうち5年以上は「就労資格」などをもっていなければならないが、技能実習生や「特定技能1号」で滞在している間はこの5年に含めない方向で検討している。
論点(9)公的医療制度は加入者の国籍を問わず、平等であるべきで、家族滞在が認められない技能実習生や特定技能1号の人は子どもの海外留学はそもそも考えられず、彼らの妻などは適用外となり、不平等、差別扱いとなる。
11.10 厚生労働省は9日、「外国人雇用管理指針」を見直す検討を始めた。策定から11年たつが、長時間労働や低賃金が横行し、有名無実化している。指針には、賃金や労働時間といった労働条件を国籍を理由として差別することの禁止や社会保険の適正な手続きなど、事業者が守るべき具体的な項目が盛り込まれている。
論点(10)指針には賃金について日本人と同等という文言はない。数値を示すべきだ。
11.15 菅官房長官は14日の記者会見で、「特定技能2号」について、現時点で活用を予定しているのは建設と造船の2業種だけだと明らかにした。2019年度から5年間に14業種で最大約35万人、初年度は同約4万8千人とする試算を公表した。
11.16 衆院法務委員会は15日、改正案について、16日に審議入りを決めた。だが、野党側は、技能実習生の失踪について、個別の調査結果の提示が審議の前提と主張し、折り合わなかった。
論点(11) 「特定技能」の対象14業種のうち、受け入れ見込み数が最も多いのが介護。介護分野の在留資格は、今後4つの種類となる。①介護②特定活動(EPA)③技能実習④特定技能1号。それぞれ日本語能力の受け入れ判定が異なるのでは、現場に混乱が生じる。国の責務で研修すべき。
◆ 編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
新たな在留資格をめぐっては、上記11以外にもまだまだ論点はある。NHKの世論調査でも62%が成立を急ぐ必要がないと回答。この際、拙速な改正案は取り下げ、地域の声を聴くなどじっくり議論し、熟度の高い仕組みを考えてもらいたいし、私たちも自らの問題として考えたい。
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