メルマガ 第60号(2018.7.3)

まるがめ子どもにほんごひろば メルマガ (創刊2014.1)

通算第60号(2018年7月3日発行)毎月随時発行予定(記事、論文引用:太文字) バックナンバーは、URL:http://marugame-kodomo-nihongo.net/merumaga.htmlで閲覧できます。  
【1】 今号のトピック
◆最近のまるがめ子どもにほんごひろばの活動状況について
アイパル香川の「まるがめ子どもにほんごひろば」への助成事業が終了し、香川まるがめ子どもにほんごひろばとして単独の活動を開始して3カ月が経過した。この間、ひろばの開催は11回。子どもたちは平均6人、ボランティアは平均8人であり、昨年度の平均人数を現時点では共に上回っている。参加している子どもたちの状況を一言でいうと低学年化である。昨年度までは、6年生、5年生といった高学年の子どもたちが約半数を占め、この子たちの行動がひろばの雰囲気を形成していて、比較的まとまった、穏やかな場であったように思う。活動のスケジュールとしては、40分の個別学習活動を2回、そのあと30分のグループ活動としているものの、2回の個別学習活動を継続できない子どもが多く、我慢できず、一人勝手に別行動に走ってしまう。そういう場合、ボランティアとしても、これまで読書やカード遊びなど他活動を勧めたりして、宿題など個別学習に向かわせる努力を行ってきたのだが、それがなかなかうまくいっておらず、子どもをフリーにしている時間が多々見受けられる。ボランティア間の話し合いでは、もっと子どもに寄り添う気持を強くもち、こころを通じ合えているという感覚をお互いもてるという、より質の高いボランティア活動が望まれるという意見が出された。「~しなさい。」ではなく、「~しようね。」でお互い受け入れ合うことのむつかしさ。顔見しりになり、慣れれば慣れるほど、「このくらいは許されるという甘えの感覚」が芽生える。非常にむつかしい課題である。そもそも、学校ではない子どもたちの自由な空間、居場所として場をめざすひろばである。引き続き、ボランティア間の対話を重ねたい。
【2】論文・新聞記事・行政機関の記者発表記事・その他情報
◆特別支援学級の在籍割合 外国人の子、日本人の倍 6.24 朝日新聞
特別支援学級在籍率、外国人の子が日本人の倍 民間調査
ブラジル人ら外国人が多く住む地域の小学校で、外国人の子どもが日本人の2倍以上の比率で障害児らを教える特別支援学級に在籍していることが、民間団体の調査で分かった。日本語が十分にできないために障害があると判断され、特別支援学級に入れられている例もあるといい、調査した団体は「実態把握と支援が必要だ」としている。
 特別支援学級は障害がある児童らを教えるために置くことができる。文部科学省は対象児童を決める際は障害の状態や教育上必要な支援などを考慮し、障害の判断は「総合的かつ慎重に」するよう求めている。
 外国人児童が多く通う学校の校長らによると、「日本語ができないことは特別支援の対象」としている例や、日本語が理解できないため、障害があるかどうかの見分けが難しいケースがある。ただ、文科省特別支援教育課はこうした実態を「調査しておらず、理由は分からない」としている。調査した民間団体(筆者加筆)は「特別支援学級に在籍している外国籍の子どもの現状や、指導状況の実態調査が必要だ」として、子どもたちの出身国の関係者の協力も求めるべきだと指摘している。
〈特別支援学級〉 学校教育法では知的障害者や肢体不自由者らのために置くことができるとされている。2013年の文部科学省通知では障害の状態や教育上必要な支援などを勘案し、「特別支援学級で教育を受けることが適当である」子どもを決め、障害の判断は「総合的かつ慎重に」行うよう求めている。通常学級より教員の配置は手厚く、現在は8人の子どもで1学級を設け、教員を配置できる。
※外国につながる子どもたちは、本来、取り出しの中で、別教室を用意するのが通例だが、日本語が十分でないということで発達の状況がわからず、特別支援学級扱いをしている事例があるということが問題である。外国の子どもの発達障害の判断は、日本語能力が十分でないこともあり不明確になっている。全国の調査では、在籍児童の6%の比率で発達障害が診断されているという。専門の職員による診断にいる慎重な判断が必要である。
◆列島をあるく 外国人 身近に 6.19 朝日新聞
保育から日本になじもう 言葉・生活ルール教え就学準備
◯日系ブラジル人ら在日外国人が多い茨城県常総市で、NPO法人が外国人の子ども向けの保育所や学童支援をスタートさせた。外国人の子どもたちが、日本の学校になじみ、日本社会に羽ばたいて行けるような、モデル的な保育所になることを目指している。
保育所は「茨城NPOセンター・コモンズ」が運営する認可外保育所。日本人と同じ保育園に通ってもなじめず、日本語の上達が遅い子どもが少なくない。そこで、子どもの保育とともに、就学準備に力を入れる保育所を作ることにした。「このあたりの在日外国人は工場勤めが忙しく、日本語と接する機会がほとんどない人が多い。日本語や生活のルールをきちんと教え、学校生活や授業についていけるようにしたい」と言う。
※常総市の人口は6万人余りと丸亀市より少ないが、在留外国人数は4,800人余と丸亀市の2倍以上。食品工場などで働く日系ブラジル人などが多いという。20年前に「茨城NPOセンター・コモンズ」は発足。当初はNPO法人の設立支援などをしていたが、リーマン・ショックを機に派遣切りにあった日系ブラジル人の再就職支援などを開始。外国人も高齢者も障害がある人も、みんなが気軽に集まれる交流拠点にしたいという。
※香川県内にも「茨城NPOセンター・コモンズ」のようなNPO法人が望まれる。外国人住民だけではなく、高齢者や障害がある人などが気軽に集まれる交流拠点を目指す方向性は、将来の地域づくりへの視点として重要であると思うのだが。
◆途上国に技能広めるはずが… 形骸化する実習制度 朝日デジタル6.20
外国人技能実習制度の不正行為が三菱自動車と日産自動車で。発覚した。日本の技能を途上国に広める「国際貢献」を掲げる制度なのに、両社は一部の実習生を技能が学べる現場に充てていなかった。国は新法で制度の厳格運用に乗り出したばかりだが、現場で制度が形骸化している実情が改めて浮き彫りになっている。
技能実習生に違法残業など、4,226事業場で法令違反
 両社にフィリピン人実習生を紹介していたのは「協同組合フレンドニッポン」(FN、本部・広島市)。技能実習制度上、国の許可を受けた非営利の「監理団体」で、実習先の紹介や実習状況の監査を担っている。FNは全国に2千以上ある監理団体の中では大手にあたる。
昨年11月施行の技能実習適正化法は、技能実習について「労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と定める。適正化法では、監理団体による監査が重視されている。今回の不正について三菱自も日産も「今年に入るまで監理団体から指摘を受けたことがない」という。監理団体は受け入れ企業から実習生一人あたり月額数万円の「監理費」を受け取るため、関係者は「受け入れ企業は(監理団体)のお客さん。厳しいことは言いにくい」と明かす。
編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
外国人移民抑止に対する米国大統領の政策が最高裁で認められたり、EU各国の難民受け入れ政策には差があり、先が見えない。異国での生活に一縷の希望をもつ人々に世界は人間として迎える構えがあるとは到底思えない。日本の難民施策も2万人の申請に20人の認定と厳しい。
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