メルマガ 第75号

まるがめ子どもにほんごひろば メルマガ 第75号

(2019年3月31日発行)毎月随時発行(記事、論文等の引用は太文字)
    URL:http://marugame-kodomo-nihongo.net/merumaga.html
◆まるがめ子どもにほんごひろばに参加する子どもたちの母親を囲む懇談会
とき 3月17日(日)11:30〜12:30 ところ 丸亀カトリック教会
参加:フィリピン人の母親9名 ひろばボランティア7名 教育関係者1名
①参加者自己紹介と子どもの学齢など②学校の担任から子どもの学力や生活の様子③家庭で学校のことを子どもと話合い④子どもの進学について⑤子どものことで気がかりなこと。
今回、フィリピン出身の9家族の母親が参加してくれたことは大きな成果だった。彼女たちからの発言こそあまり多くはなかったが、真剣に聴いてくれた。上記の5つの項目について話を進めた。特に、日本では、高卒がいろんな資格取得の条件になっており、将来の職業選択に当たって高校への進学が必要なことを話した。また、ほとんどの外国人住民の家庭での言語が母語であるが、子どもが成長するにつけ、子どもにとっては母親と日本語での会話を望んでいると当日同席した子どもから発言があった。また、ボランティアからも、子どもたちは2つの言語が使える優位性があることや親は子どもの学習についてもっと関心を強く持ってほしいことなどか話された。これらの話により、母親の子どもへの関わり方にもなんらかの影響があるものと期待している。これからもこのような取り組みを地道に継続したいと思う。
◆外国人労働者の日本語 教育に「交流」の視点を 元高校教員 朝日 3/7
 彼らが日本語教室に通う一般的な動機としては、職場や日常生活で日本語を使う困難の克服、帰国後の日系企業などへの就職あるいは日本語能力試験合格といった実利が想定されるだろう。もちろんそうした動機は強く存在するが、調査の結果、必ずしもそれだけではないことが浮かび上がってきた。
 「仕事で疲れているのにどうして休まず長い間熱心に通っているの」という質問に対する答えは、例えば「ここへ来ると日本人と日本語がしゃべれます」「何でも質問できます」「他の国の人と日本語でしゃべって知り合いや友だちになれます」というものだ。裏返せば、職場では忙しくて日本人同僚と日本語で話す機会が少ない、仕事を離れた交流の機会も少ない、困った時に質問できない、といったことを示している。
 日本語能力試験は大事だが、それだけが目的なら「来ない、面白くありません」と述べる者さえいる。つまり彼らが教室に通い続ける目的は単に日本語能力の向上だけでなく、上下関係のない日本人や他の外国人たちとの日本語による「対話」や「交流」に他ならない。教室が「居場所」「交流の場」であることこそ学習継続の原動力なのである。そして重要なのは、そうした共生の場で実現される日本語習得こそ日本語能力の向上をもたらすということだ。
 外国人労働者の日本語教育を考えるとき、教育の場の提供や保証、財政的・人的支援、教材や教授法の開発はもちろん重要だ。しかしその根底には、日本語による「対話」「交流」の視点が必要不可欠である。そうした視点に立脚した日本語教育が強く求められていることを、地域の日本語教室に通う実習生の姿が明確に示している。
◆外国人窓口に交付金1,000万円 178自治体対象、公募開始2/14西日本新聞
4月1日からの外国人労働者の受け入れ拡大に向け、外国人のための一元的相談窓口を設置する自治体を対象とした交付金の公募を始めた。年間を通して多言語での相談窓口を運営している自治体が対象。47都道府県と20政令指定都市のほか、外国人が多く暮らしている111市町の計178自治体に対し上限1千万円を支給する。各自治体は翻訳タブレット端末などの整備を進める。
 外国人との共生を目指す総合的対応策の一環。窓口は「多文化共生総合相談ワンストップセンター」として、雇用や医療、福祉、教育などの生活相談に無料で応じる。原則として英語、中国語、韓国語、ベトナム語、ネパール語など11言語以上で対応できることが条件。対象の自治体に住んでいない外国人も利用できる。自治体の要件は、外国人住民が1万人以上、または5千人以上で住民に占める割合が2%以上の市町村。事業費は計20億円。窓口の運営は外部団体に委託することもできる。締め切りは2月末。3月下旬までに交付を決定する。法務省は「2019年度の事業だが、20年度以降も継続できるよう努力したい」としている。※香川県ではアイパル香川が窓口となる見込み。4月開設の予定か?
◆編集後記
3月30日(土)が今年度最後のひろばとなった。参加児童は6名、ボランティアは9名であった。来月からは子どもたちは学年がひとつ上がる。新たな気持ちで学習に取り組んでほしい願う。ひろばも8年目となる。質の高い支援を目指したい。
4月12日19:30から「NHK四国羅針盤」で当ひろばの活動が放送される。どんな番組になっているのか、時間のある読者はぜひご覧ください。
■編集・発行 香川まるがめ子どもにほんごひろば事務局 文責:安藤 
〒761-2407 丸亀市綾歌町富熊5034-14 TEL:080-3921-9414
E-mail: qzp10324@gmail.com

メルマガ 第74号

(2019年2月28日発行)毎月随時発行(記事、論文等の引用は太文字)
    URL:http://marugame-kodomo-nihongo.net/merumaga.html
◆平成31年度のひろば総会を2月9日(土)12:30~中華政麟にて開催
 30年度はまだ終了していないが、来年度の生涯学習クラブ登録申請(登録によりひろばの会場使用料が免除される。)に伴い、急きょ総会を開催する必要が生じたため、この日に実績報告、決算報告、事業計画、予算の案を承認した。参加会員数:7名(会員総数12名であり、過半数を超えている。)
○実績報告 平成30年4月7日(土)~平成31年2月2日(土)・実施 年38回
 ・参加児童生徒数 延べ 204名 (1回平均 5.4名)実数  19名
        (内訳:ペルー9名、フィリピン8名、中国2名)
・学習サポーター数 延べ 274名(1回平均 7.2名)、実数 32名
        (内訳:サポーター18名、四国学院大生14名)
○決算報告 収入 会費 35,000 寄附金・その他収入 10,000
      繰越金 38,544           計 83,544
 支出 参加協力金 11,000(学生22名分×500円)消耗品費 4,988(コピー
代、折り紙など)印刷製本費  9,380 (ちらし印刷代)通信運搬費 
1,794 (チラシ等の発送)会場使用料 10,800 (冷暖房代) 研修費  
5,500 (研修会参加交通費) 雑費 540 (振込手数料) 計 44,002
次年度繰越額 39,542        ○事業計画 (1)日本語学習・教科学習の支援 開講時間:9:30~11:30
 対象:外国にルーツをもつ小学生、中学生 開講:毎週土曜日 
  平成30年4月6日(土)~平成31年3月28日(土) 計49回
(2) 多文化共生、異文化理解に関するイベントなどの開催
①まるがめお城村テント出店  平成31年5月3日(金)、4日(土)
②ふれあいまつり城乾テント出店 平成31年6月2日(日)
③ひろば参加の子どもたちの親との懇談会 年2回程度
(3)日本語ボランティア育成のための研修
※丸亀市提案型協働事業(問い合わせ先:市市民活動推進課)申請検討を協議
 先日、丸亀市長に「外国人支援ボランティアの養成」を要望しており、市側が主導して実施しないのであれば、市との協働事業を提案することを検討。
○予算 収入 会費 34,000 寄附金・その他収入 10,000
      繰越金 39,542           計 83,542
 支出 参加協力金 10,000(学生20名分×500円)消耗品費 5,000
(コピー 代など)印刷製本費  10,000 (ちらし印刷代)通信運搬費 2,000
(チラシ等の発送)会場使用料 10,800 (冷暖房代) 研修費13,200(研修会参加交通費) 計 83,542
◆ひろば参加の子どもたちの親との懇談会を開催予定
◆平成31年5月3日(金)、4日(土)まるがめお城村テント出店の販売品目、金額が決定した。
○ペルーの国民的スイーツ:アルファホール(コンデンスクリームサンドのクッキー)200円○フィリピンのオーガニックコーヒー(フェアトレード)200円、2品目セット販売で300円
※今年のテントでは、外国人住民と市民との交流に重点を置くことにした。そのため、販売に多くの時間と人手がかかるペルーのアンチクーチョ(牛の心臓部位)は取りやめ、お菓子とコーヒーを提供することにより、交流の時間を多くもつことにした。今後、多くの外国人住民が参加できるよう、取り組みを進める必要がある。
◆健保の利用、日本居住者に限定へ 外国人受け入れ拡大で 2月15日
4月からの外国人労働者の受け入れ拡大に向け、政府は企業の従業員が加入する公的医療保険「被用者保険(健保)」を使える家族の範囲を原則として日本国内に居住する人に限る健康保険法改正案などを閣議決定した。国籍は問わず、日本人にも適用される。
 現在は、配偶者や子どもら扶養家族は海外在住でも、一定の条件を満たせば健保が使える。治療費用が高額な場合に自己負担額に上限がある「高額療養費制度」なども利用可能だ。日本で働く外国人の増加で、海外にいる扶養家族にかかる医療費が膨らむという懸念の高まりを踏まえ、「日本居住」を条件にした。
◆外国人向け相談窓口、国が整備支援 111自治体対象 2/14 朝日
新たな在留資格に基づく「多文化共生総合相談ワンストップセンター(仮称)」の整備条件に該当する地方自治体は計111。1千万円を上限。同センターは日本に滞在する全ての外国人が行政手続きや生活の困りごとなどを一元的に相談できる窓口。支給対象の111自治体は、47都道府県と20の政令指定市に加え、外国人住民が1万人以上いるなどの基準を満たす44市区町だ。
 通年にわたって、無料で応じる▽原則として11の言語に対応――などの要件を満たせば国が交付金を支給する。法務省は今年度の補正予算として10億円、来年度予算でさらに10億円計上。
留学生の就職先、拡大へ 大卒・高い日本語能力が条件 2月18日
日本の大学や大学院を卒業した外国人留学生が接客業など日本語を主体的に使う業務につく場合、1年更新の在留資格「特定活動」を与える。更新回数に上限は無い。4年制大学か大学院を卒業・修了し、日本語能力試験で最もレベルが高い「N1」を合格した人が対象だ。
 日本学生支援機構によると、4年制大学・大学院で学ぶ留学生は2018年5月時点で約13万5千人。卒業後に日本の会社に就職を希望する場合は、在留資格を「技術・人文知識・国際業務」に変更するのが一般的だ。ただ現行では、就職先の仕事の内容が大学で学んだ知識を必要としない場合は資格の変更が認められないなど基準が厳格だった。同機構によると、16年度に大学や大学院を卒業・修了した留学生の国内での就職率は約36%にとどまる。
◆外国人研修施設は是か非か住宅地建設から計画変更で周辺住民と業者が対立   
 (大阪府摂津市)
 技能実習生の研修施設とは?研修は1か月間で、平日朝8時から夕方5時まで授業がある。日本語のほかに切符の買い方やごみの出し方など、日本で生活するためのルールやマナーを学ぶ。施設には実習生を見守るスタッフが24時間常駐し、住み込みで研修を受ける実習生たちの食事の世話や病気のケアなど、身の回りの相談役になっている。
 住民たちがこの計画を知ったのは、去年10月のこと。住民たちによると、当初は分譲住宅が建つことで売買が成立していたが、突然業者から技能実習生の研修施設へと計画が変更になったと説明されたということのようです。
施設では、ベトナムや中国からの実習生最大64人が1か月間住み込みで研修を受ける予定。狭い路地が入り組んだ静かな住宅地に年間700人の実習生が出入りすることになり、住民たちの不安が広がったとの報道。
※業者は住宅地区での建設理由をどれだけ真摯に住民に説明してきたのか疑問。住民側も感情論に流されているきらいがある。こういうイレギュラーな事情のもと、外国人との共生の問題が不信感の中で議論されるのは寂しい限り。
◆編集後記
 新たな在留資格に基づく「多文化共生総合相談ワンストップセンター」が全国で111の市区町に全体で20億円、1箇所で計算すると1,800万円で整備される。香川県には、政令指定市はなく、外国人住民が1万人以上の市町もないので、1箇所の設置となる。どこに設置されるかも気になるが、ワンストップでの相談体制をどう構築するかが最も気になる。11か国語の通訳配置も重要だが、相談後のフォローも大切。外国人を支援できるボランティアの養成は今後、必ず必要になると思っている。
■編集・発行 香川まるがめ子どもにほんごひろば事務局 文責:安藤 
〒761-2407 丸亀市綾歌町富熊5034-14 TEL:080-3921-9414
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メルマガ 第73号

(2019年1月31日発行)毎月随時発行(記事、論文等の引用は太文字)
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◆ひろばの時間、9:30~11:30になる。
1月19日(土)のひろばから変更。チラシを作成し、各小中学校に送り、児童生徒に手渡してもらえるよう依頼した。周知が徹底できればうれしいが。
◆外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(平成30年12月25日策定)の
うち、ひろばに関連する主なものをピックアップhttps://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kaigi/dai3/siryou3-2.pdf 
・行政・生活情報の多言語化、相談体制の整備
○都道府県、指定都市及び外国人が集住する市町村約100か所において、地方公共団体が情報提供及び相談を行う一元的な窓口である「多文化共生総合相談ワンストップセンター(仮)」を設置することを支援する。
・地域における多文化共生の取組の促進・支援
○地域において外国人の支援に携わる人材・団体(外国人支援者)の育成を図るべく、外国人に対する生活ガイダンスの実施・各種行政手続に関する情報提供、住宅の確保、生活に必要な日本語の習得の支援、外国人からの相談・苦情への対応等を適切に行うことができるようにするための研修等を行うとともに、適切な支援が行えるよう継続的に情報提供を行う。※丸亀市長に要望
・日本語教育の充実
○ 就労者も含めた地域で生活する外国人に対し生活に必要な日本語教育を行うため、その教育内容・方法の標準を定めた「『生活者としての外国人』に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案」やこれに準拠した「教材例集」等の周知や活用促進を更に実施し、地域の日本語教育の水準向上を図る。
・外国人児童生徒の教育等の充実
○ 公立学校において、2026年度には日本語指導が必要な児童生徒18人に対して 1人の教員が基礎定数として措置されるよう、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(義務標準法)の規定に基づいた改善を着実に推進する。各地方公共団体におけるNPOや企業等を含む幅広い主体との連携も促進する。○ 高等学校等が企業、NPO法人やボランティア等の地域の関係団体等と連携して、外国人の高校生等に対してキャリア教育をはじめとした包括的な支援を行う取組を支援する。
◆農業分野での外国人労働者比率 香川県全国一?
 テレビで、上のようなことが言われていた。え~、そうなのかと疑問をもちながら調べてみた。NHK おはよう日本 昨年4月11日「外国人への“依存”で 農業が変わる」では「農業に従事している外国人の数ですが、1995年にはおよそ2,800人だったのが、毎年増え続け、2015年には2万1,000人と、この20年で7.5倍にもなっています。重要な働き手である20代・30代の外国人の割合を都道府県別に示したデータです。香川県ではおよそ19%、長野県では17%、そして、その割合がもっとも高いのが茨城県です。およそ30%、実に3人に1人が外国人となっているんです。」全国第3位となっている。
 次に、2017年10月末時点の香川県の主な産業別での外国人数を見ると。外国人労働者数7,825人のうち、農業、林業が644人(構成比率8.2%)で製造業に次いで多くなっている。全国の構成比率の平均が農業、林業で2.1%なので、4倍と高いのがわかる。
◆留学経験生かし起業の外国人支援…滞在1年延長 1月19日  日本での留学経験を生かして起業する外国人を増やそうと、起業希望者に「特定活動」の在留資格を与え、最長1年の滞在延長を認めるもの。従来の制度では、外国人留学生は大学や大学院を卒業・修了すると「留学」の在留資格を失い、原則として帰国しなければならなかった。留学中に起業し、別の在留資格「経営・管理」を取得すれば残って働くことも可能だったが、事業所を確保した上で〈1〉資本金500万円以上を用意〈2〉経営や管理に従事する者以外に2人以上の常勤職員を雇用――のいずれかを満たさなければならず、ハードルは高かった。
◆編集後記
昨年末に策定された「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」の具体化はこれから。自治体には「対応を丸投げされるのでは」との不安。自治体が担う施策の数と負担額は未だ不明。新在留資格「特定技能」に一部が移行する現行の技能実習制度も問題。まだまだ山積。新在留資格「特定技能1号」の対象14業種のうち、外食、介護、宿泊は4月に技能試験を実施する予定。8カ国で実施の日本語能力試験も含め内容が気になる。
■編集・発行 香川まるがめ子どもにほんごひろば事務局 文責:安藤 
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メルマガ 第72号

(2019年1月1日発行)毎月随時発行(記事、論文等の引用は太文字)URL:http://marugame-kodomo-nihongo.net/merumaga.html
◆メルマガ読者の皆さまにとって、亥(い)亥(い)年でありますように。
まるがめ子どもにほんごひろば2018年 1年の記録
■開催回数:46回■延べ児童生徒数:251名(1回平均5.5名)■実児童生徒数20名■延べサポーター数 303名(1回平均6.6名)■実サポーター数26名
◆香川にほんごネット講演会
■日時:2018年12月24日(祝)13:30~16:00 ■会場:アイパル香川
■テーマ:「子どもの日本語学習支援入門」■講師:浜田麻里氏(京都教育大学教授)から下記情報の提供あり。
日本語教育必要な生徒、1割弱中退 公立高平均の7倍超 朝日 9/30
外国で育つなどして日本語が十分にできず、「日本語教育」が必要な公立高校生のうち、9.61%が昨年度に中退していたことが、文部科学省が初めて実施した調査の結果で分かった。2016年度の全国の公立高校生の中退率は1.27%で、日本語教育が必要な生徒は7倍以上の割合で中退していたことになる。また、高校からの進学率は平均の約6割で、就職する場合は平均の約9倍の確率で非正規の仕事だった。専門家は支援の不足が背景にあると指摘している。
◆丸亀市長に4項目の要望 12月19日(水)15:00
1.外国人住民まるがめ会議(仮称)の開催
 外国人住民の意見、要望をくみ取り、施策に反映するため、市の主導で外国人住民との意見交換会を開催し、多文化共生のためのプランづくりにつなげてほしい。
2.外国人支援ボランティアの養成
 外国人住民から市にはさまざまな相談が寄せられるが、その内容を市民が知る機会は少なく、協力、支援できることがあってもほとんどできないでいる。市では、相談者と関係機関に同行し相談内容を説明したり、個別の通訳、翻訳支援、日本語学習支援などは難しい。そんな場合、市民が市と連携できることもあると思います。
 外国人住民支援のボランティアを養成する講座を市主導で開設し、外国人住民の置かれている現状と課題、支援策などを学ぶとともに、講座参加者が実際に活動できるよう、市としても支援してほしい。
3.外国人住民を災害弱者としない取り組み
 市の地域防災計画では、災害時における要配慮者に外国人が含まれているが、個人情報の取り扱いなどから、避難準備や伝達、誘導などの対応ができていない。
 外国人住民の了解のもと、個人情報保護に配慮しながら、自治会ごとに、住民の所在地や国籍、在留資格、子どもの在学、校名、学年、日本語能力などを把握してほしい。そうすることで、具体の支援策が明確になると考える。
4.外国人集住都市会議への市の加入
 現在、15の集住都市が入会し、意見交換する中で、国への意見提言や要望などの活動を行っている。中四国では、総社市が加入するのみであり、本市が四国で初めて加入することで、全国の集住都市と連携し、外国人支援策をリードしてほしい。
◆農業・漁業の外国人就労、派遣でも可能に 12月11日 日本経済新聞
吉川貴盛農相は11日の閣議後記者会見で、改正出入国管理法による農業・漁業での外国人材活用について「派遣形態での受け入れができるよう検討したい」と表明した。新たな在留資格で働く外国人は直接雇用が原則だが、農業・漁業については「季節による繁閑がある」といい、柔軟な雇用形態での働き方も制度化する必要があるとの認識を示した。吉川農相は外国人労働者について「(農業や漁業の)作業がない時期は、一時帰国したり勤務場所を移動できたりする仕組みにしてほしいという要望もある」と強調。人材派遣会社が外国人を様々な現場に送り込む仕組みで、こういった要望に対応するという。
◆外国人技能試験 来年4月開始は3業種  東京新聞 12月19日
 外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法に基づき新設する在留資格「特定技能1号」について、資格取得に必要な技能試験を来年4月から実施するのは、介護業、宿泊業、外食業の三業種にとどまる見通しであることが分かった。
 改正法は来年4月施行で、政府は14業種で特定技能1号の外国人を受け入れる方針。残る10業種の試験開始は来年10月や来年度内などとしており、当面は試験なしで移行できる技能実習生が担い手の中心になりそうだ。
 実習生からの移行を除けば、特定技能1号の資格取得には業種別の技能試験に合格し、新設する日本語能力判定テスト(仮称)か現行の日本語能力試験を通過する必要がある。
 政府は日本語テストを始める時期も提示。介護業、宿泊業、外食業はいずれも技能試験と同じ来年4月からとした。
 他の業種は、ビルクリーニング業は技能試験が来年秋以降(日本語テストは来年秋以降)、飲食料品製造業が来年10月(同来年秋以降)、農業が来年内(同来年秋以降)、残る漁業など8業種が来年度内(同来年秋以降)としている。
 一定技能が必要な業務に就く特定技能1号に対し、熟練技能が必要な業務に就く同2号について、志願者数が少ないことなどを理由に、政府は当面、受け入れを建設業と造船・舶用工業の2業種に絞る予定。資格取得に必要な試験を始めるのは2021年度内とした。
◆編集後記
2018年は瞬く間に過ぎ去ったという感覚である。ひろば活動を思い返すと  ①毎週土曜日46回の学習支援 ②5月3,4日の丸亀城お城村でのテント出店(ペルーの焼肉とフィリピンのケーキ、日本語ゲーム ③6月3日の「ふれあいまつり城乾」でのテント出店(JICA研修生の出張講座、日本語ビンゴ、外国人住民生活相談 ④ひろば参加児童生徒の親との懇談会10月21日 ⑤四国行政評価支局との共催行事:外国人住民行政懇談会8月19日、11月18日・25日 ⑥関連イベント:吉川英治とフィリピン住民とのトーク12月9日
■編集・発行 香川まるがめ子どもにほんごひろば事務局 文責:安藤 
〒761-2407 丸亀市綾歌町富熊5034-14 TEL:080-3921-9414
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メルマガ 第71号

(2018年12月16日発行)毎月随時発行(記事、論文等の引用は太文字)URL:http://marugame-kodomo-nihongo.net/merumaga.html

◆吉川英治さんのトーク(フィリピン人と交流)
と き 12月9日(日) 12:00~13:30
ところ 城乾コミュニティセンター2階大会議室 
参加者 フィリピン人14名、ボランティア6名
○フィリピンの貧困とそこで生きるボクサーへの支援と交流を描く監督映画「Rumble in the Jungle」で始まったEijiの講演は、参加者にいろいろな気付きを与えた。努力すれば夢はかならず叶う、世の中の間違い、不正を真正面から指摘してはばからない生き方にフィリピン人も共感の声が上がる。
◆(論壇時評)外国人との共存 ずさんで不透明な壁が阻む 小熊11/29 朝日
この国は、何を守りたいのだろう。「単一民族国家」を守りたがっているとは思えない。むしろ守りたがっているのは、「ずさん」で「不透明」な状態そのものかもしれない。ルールが不明確で、密室で決定でき、不服申し立てを許さず、責任が問われない。この状態は、上に立つ者にとっては、面倒が少ないだろう。だがルールの明確化と透明化は、外国人との共存に不可欠だ。「明確に書かれていなくても忖度しなさい」という姿勢は、異文化の人には通用しない。
◆外国人実習生、労災死4年で30人 雇用者平均超す比率 12/4(火) 朝日
外国人技能実習生で労災による死亡と認定された人が、2014年度から17年度までの4年間で計30人いたことが厚生労働省のまとめで分かった。労災死する比率は日本の雇用者全体の比率を大きく上回っており、安全教育を十分しないまま建設や食品製造など事故が起こりやすい職場で働かせている受け入れ企業が多数ある可能性がある。
◆新たな在留資格(続報 国会の論議から)12/5 朝日 
 外国人の人権をどう守るかの質問に入管局長は生活支援の総合的対応策を年内に取りまとめると回答。・外国人労働者が妊娠を理由に解雇された場合、就労能力がなくなったとして強制退去になるのかの質問に、同局長はそのような無効な解雇で入管法上の不利益は受けないと回答。・特定技能1号の外国人同士の間に生まれた子の身分は?の質問に、同局長は人道的見地から家族帯同を認めると回答。
◆外国人実習生、3年で69人死亡6人は自殺 12/6(木) 毎日
低賃金や長時間労働が問題になっている外国人技能実習生について、2015~17年の3年間に69人が死亡していたことがわかった。うち12人が実習中の事故によるもので、6人が自殺し、殺害された人も4人いた。〈立憲民主党の長妻昭・政調会長の話〉「死亡事案だけが初めて明らかになったが、死亡の背景や責任の所在は明らかになっていない。今回の新制度は技能実習制度を土台にしている。現状把握が著しく不十分だ」と指摘している。
◆年金一時金、増額を検討12/8(土) 16:57共同通信
 日本に居住し、公的年金に加入している外国人が10年の受給資格期間を満たさずに出国する場合に支払われる「脱退一時金」について、来年以降、支払い時に算定する期間の上限を現在の3年から5年へ延長する案で議論する方針。
3年以上10年未満滞在する外国人は一時金が増えることになる。
◆新在留資格、8カ国で日本語試験 12/11 共同通信
政府が新たな「特定技能1号」の在留資格を得るのに必要な日本語試験を、まずベトナムなど8カ国で実施する方針を固めた。
8カ国のうちベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジアの7カ国は決まり、残る1カ国を調整中。
◆政府の外国人共生策 12/14(金) 朝日
 共生策は、新在留資格「特定技能」で新たに来日する人だけでなく、急増している留学生や技能実習生を含め、全ての外国人が安心して暮らすための環境をつくるのが狙い。その中で一つの焦点になるのが、日本語学校の存在だ。
日本語教育の充実は共生策の大きな柱だが、現在の日本語学校は開校時に年間授業数などの基準がチェックされるだけで、運営状況を管理する所管庁が実質的にない。水準を向上させるため、共生策では全ての日本語学校に、在籍する留学生の日本語能力試験の合格実績など、達成度がわかる指標の公表を義務づける。実績が乏しければ、新設される出入国在留管理庁が調査に入る。
外国人の住宅確保をめぐっては、連帯保証人がいないために賃貸契約を断られるケースが多いことを踏まえ、国に登録した民間会社が保証人の代わりとなる「住宅セーフティネット制度」の利用を促す。このほか、全国約100カ所に設置する予定の生活相談窓口や運転免許の学科試験、ハローワークなどで多言語に対応できるようにする。
◆編集後記
 今月22日(土)のひろばではイブの2日前だが、クリスマス会を予定。昨年のクリスマス会も吉川英治さんが来てくれたが、今年も参加予定だ。多文化都市
の成功例カナダのバンクーバー在住。子どもたちに生き方の多様性など、きっと素敵な話が聞けそうだ。興味ある方は、10時までに城乾コミセン2F小会議室に。

■編集・発行 香川まるがめ子どもにほんごひろば事務局 文責:安藤 
〒761-2407 丸亀市綾歌町富熊5034-14 TEL:080-3921-9414
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メルマガ 第70号

(2018年11月30日発行)毎月随時発行(記事、論文等の引用は太文字で掲載しています。)バックナンバーは、URL:http://marugame-kodomo-nihongo.net/merumaga.htmlで閲覧できます。
◆吉川英治さんの講演会 (丸亀市生まれ、カナダ在住、プロボクサーコーチ、映画製作、著書数冊あり、国内外の小学校等での講演など多方面の活動
と き 12月9日(日)12:00~13:30
ところ 丸亀市城乾コミュニティセンター 2F大会議室
テーマ EDUCATION CAN CHANGE THE WORLD ーYONAOSHI Boxer Eiji   
◆外国人住民を対象とした懇談会 開催状況(ところ:丸亀市城乾コミュニティセンター)
(1)11月18日(日)15:00~16:30 外国人住民の出席はゼロ。
(2)11月25日(日)15:00~18:00
参加者: 相談者11名(フィリピン人の永住者等) 通訳1名
行政相談委員4名 四国行政評価支局2名 高松西年金事務所1名
(3)主な相談内容 
① 死亡した父母に対し、厚生年金や国民年金から何らかの給付はあるのか、その手続は?
② 丸亀市の某会社では外国人労働者から年金手帳や印鑑を預かっており、それぞれの所有者に返却するよう、年金事務所や労働基準局から指導等してほしい。 
③  2カ月間の短期雇用の派遣社員。この間は厚生年金等被保険者でなかったため、国民年金保険料納付催促がきている。どのようにすればよいか
④ 出産に際して、健康保険による各種給付はあるか。(妊娠後、出産前までの間で、休業に関する各種給付措置、健康診断、保健指導など)      
◆新たな在留資格制度について(続報①)
11.20 朝日新聞社の全国世論調査(11.17~11.18電話)で、入管法改正案を今国会で成立させるべきか尋ねたところ、「その必要がない」が64%、「成立させるべきだ」は22%だった。
※NHKの世論調査(11.9~11.11)でも、62%が成立を急ぐ必要はない」としている。
11.21 失踪した実習生からの聞き取り調査の集計データに誤りがあった。「より高い賃金」を求めた失踪が約87%という法相答弁に対し、公表した結果は「低賃金」による失踪約67%と項目名も数値も違っていた。
※今回の改正で、特定技能1号の外国人に対し、新たに、受け入れ企業に代わって、社会生活上の支援計画の作成や計画の実施を行う「登録支援機関」が創設される。業界団体、民間法人、社労士などが想定されているが、悪質な業者の参入をどう防ぐかの具体策はない。
11.22 衆院法務委員会での質疑から
・技能実習および特定技能1号は、永住許可に関する就労資格には含めず、(中略)特定技能2号は就労資格にカウントしてよいと考えている。
・初年度の(技能実習生から特定技能1号への)移行は約55~59%、5年後の累計は約45%。
(特定技能2号については)実際の受け入れが数年先送りされる見通しであることが分かった。
※いろいろな問題点をもつ「特定技能」の創設。1号と2号の技能水準の線引き、試験内容、家族帯同のこと、永住許可の前提要件5年の就労の算定など、制度設計の中身が全く詰まっていないことが暴露したと言える。さらに建設、造船の2業種に限定する方向の「特定技能2号」の技術水準は1号より高く、志願者が見込めず、先送りしようとしている。
・政府は国籍を問わず、保険を使える扶養家族を「日本居住」に限る一方で、「帰国予定がある一時的な海外居住」との枠組みで例外を設ける。子どもの留学や家族そろっての海外赴任などは認め、従業員の海外赴任の終了後に家族だけが海外生活を長期間続ける場合や、従業員の親が海外移住した場合は認めない方向だ。
11.23 建設・造船業界で特例として認めらていた制度(2015.4から始まった「特定活動」の扱いで、最長22年度末まで時限付きで受け入れが認められている。)について、「特定技能1号」に移す方針を示した。(この制度で)技能実習で3年間働いた人が追加で2年働くことや、実習後に一度帰国した人でも最長3年の再入国を認めており、9月末現在で計約7千人が働いている。
11.28 入管法案 衆院通過 委員会審議17時間
与党と維新は26日、法施行後の見直し時期について「3年後」から「2年後」に短縮するなどの修正で合意。大島議長は、改正案成立後に(省令で)政府が決める受け入れ業種や支援計画などについて、来年4月の法施行前に全体像を国会に説明するよう政府与党に求める考えを示した。
◆入管法改正の足元で 血の通う政策だってある 朝日 ザ・コラム 11.22(一部 中略)
ただいま審議まっさかりの、日本に外国人労働者を呼び込むための出入国管理法改正案。人を人として見ていないというか、労働力の調整財源のコマのように扱っているように思える。その足元で検討が進む小さな政策のことを紹介したい。日本語教育が必要な高校生に寄り添う支援策だ。外国人労働者が増えれば、いずれどんどんログイン前の続きニーズの増す政策である。
 海老原周子さん(36)は中1の時に父の赴任でロンドンに渡り、インターナショナルスクールに入った。 高校生で帰国し、大学卒業後、民間企業を経て国連機関である国際移住機関(IOM)の日本職員に。絵や映像を使った外国人の青少年向けのワークショップやイベントを始め、
2011年に退職した。アートを通じた居場所作りだ。高校生や中退者、高校卒業生が多く集まり、彼らへの支援が圧倒的に足りないとわかってきた。「小中学生へのケアが十分なわけではないが、高校生にはもっと足りない。将来の進路を考える時に学校の先生に相談できず、親もわからず、友達も少ない。進学や就職をしたくてもお金も情報もない」。学びたい、正規で働きたいという熱意があるのにバイト生活になり、抜け出せずにやる気を失う例を多く見てきた。
 外国人の多く通う定時制高校に、教諭と研究者と共に「多言語交流部」を作り、サポート役として入って相談にも乗ってきた。「部活をきっかけに学校が楽しくなればドロップアウトせずに通い続けられて、進路も相談できる」。実際、部活動に積極的にやってくる生徒たちは進路や進学も決まるそうだ。けし粒のように小さな活動かもしれないが、着実に結果を出している。
 今年の春、つてをたどって担当の文部科学省の国際教育課にたどりついた。実態調査をすること、高校の現場にNPOなどが入り、学校の内外で連携して日本語に加えてキャリア支援まで行う事業を提案した。彼女の案をもとに高校の中退率や進学率といった調査項目を加えた。結果はどんぴしゃで、日本語教育が必要な生徒の中退率は公立高校の平均の7倍になること、進学率や正規の就職率も低いと数字になって表れた。
 こうした高校生を支援するため、NPOや高校が連携して学習や進路の支援に取り組む事業が2億円、概算要求に盛り込まれた。
 自分らしく生きる。そのためにはきっと自分のことを親身に考えてくれる人や話を聞いてくれる人、居場所が必要だ。異国の地ではなおのことだろう。情緒的な言い方をすれば、人の顔が見えて血が通い、体温を感じる支援だ。それは入管法改正案に欠けていると思われる点でもある。
◆ 編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
21日、外国人を支援している全国組織の「移住連」は技能実習制度の廃止、新たな在留資格での家族帯同の容認、賃金の保証などを求めるアピールを採択した。より良い制度設計を望みたい。
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■編集・発行 香川まるがめ子どもにほんごひろば事務局 文責:安藤 
〒761-2408 丸亀市綾歌町富熊5034-14 TEL:080-3921-9414 E-mail: qzp10324@hotmail.com

メルマガ 第69号

まるがめ子どもにほんごひろば メルマガ 第69号(創刊2014.1)

(2018年11月16日発行)毎月随時発行(記事、論文等の引用は太文字で掲載しています。)  
バックナンバーは、URL:http://marugame-kodomo-nihongo.net/merumaga.htmlで閲覧できます。
◆外国人住民を対象とした懇談会を8月19日(日)の第1弾に続き第2弾を開催する。
 とき:①11月18日(日)15:00~16:30
② 11月25日(日)15:00~16:30
ところ 丸亀市城乾コミュニティセンター小会議室(①②ともに)
 対象 ①ペルーの方+その他の国の方 ②フィリピンの方+その他の国の方   
◆新たな在留資格制度について
朝日新聞紙上で言うと、関連記事は10月12日から11月16日まで連日掲載されている。これまで、外国人労働者問題に関し、これほど国会で集中して論議されたことはなかったと記憶する。メルマガの読者の皆さんも今回の改正案については注目しており、その概要もご存知だと思われるので、記事の流れに従い、論点を列挙してみた。ご意見くだされば幸いです。
10.12 外国人労働者受け入れ拡大に向けて、政府が来年4月の導入を目指している新たな制度の骨子が明らかになった。新制度は建設や農業などの単純労働も対象としており、大きな転換となる。12日に関係閣僚会議を開き、骨子を了承する予定。法務省は出入国管理法などの改正案を秋の臨時国会に提出する方針だ。
論点(1)あまりにも制度の改正を急ぎすぎ。そもそも、この改正案は今年2月の政府の経済財政諮問会議で浮上し、6月の骨太の方針で記載され、12月上旬の臨時国会の会期までに成立を目指している。半年という極めて短期間ではこの重要な問題をまともに議論できるとは思えない。
10.22 働き手のうち、外国人が占める割合は2017年に51人に1人に達し、09年に比べ2.2倍になった。依存度が高いのは、宿泊・飲食サービス業で25人に1人、製造業で27人に1人(なかでも食品製造業では13人に1人)。建設業は90人に1人、農林業は74人に1人。
論点(2)人手不足に苦しみ、必要とする分野(骨太での5業種から14業種に拡大検討)とするが、まずは国内労働者(非正規労働者、女性、高齢者など)の雇用確保策を講じることが先決ではないのか。安易に低い賃金で外国人労働者の受け入れを拡大するのは拙速ではないか。
10.23 自民党部会では、政府側が法案の概要などを説明。「特定技能」で14業種を対象に検討。技能実習制度の対象となっていない外食業や宿泊業も含まれる。法務省は今後、具体的な業種は法成立後に省令で定める方針だ。
論点(3)「在留資格「特定技能1号・2号」を新設し、2号は家族帯同や長期滞在が認められる」ことから、実質は移民を認めているのではないのかとの意見もある。主に現行の技能実習生を念頭に考えているが、失踪者が7千人を超えている問題が解決されていない。
論点(4)所管省庁は法務省、入国管理局を外局の「出入国管理庁」に格上げし、体制を強化するそうだが、1省庁では無理、また生活支援は厚生労働省の所管。この際、管理だけでなく、生活支援を含めた「外国人省」の創設が必要ではないか。また、具体策を省令で定めていいのか。
10.25 臨時国会が24日に召集された。首相は所信表明演説で、「全国の中小・小規模事業者が深刻な人手不足に直面している。世界中から優秀な人材が集まる日本を創りあげる」
論点(5)人手不足は財界からの要請に応えたのか。日本の奴隷制度だと国際的な非難を浴びている技能実習制度の上に新たな制度を乗せても、人材は日本を避けて、他国に向かうだけだ。
10.30 自民党法務部会は改正案を了承。法務部会は分野ごとの不足人数などを明確化することを求めた。自民党総務会、公明党の了承を経て、閣議決定の方向だ。「特定技能1号」だと技能実習制度の5年間と合わせて最長10年間、家族を呼び寄せられない。
論点(6)若い外国の青年を10年間も長きにわたり家族帯同なく在留させることは、その後の人生にどんな影響を及ぼすか。人権の面からももっと検討すべきではないか。
11.1 首相は31日、参議院本会議で外国人の公的医療保険のあり方について、適正な利用に向けた対応について検討を進めると述べた。厚労省は1月に市区町村に対し、外国人の国民健康保険加入者がビザ通りの活動をしているか、就学や就労状況を国保窓口で確認し、疑問があれば地方入国管理局に連絡するよう依頼。
論点(7)治療目的の留学生の存在や海外に住む扶養者の高額医療請求などが週刊誌などで報じられたが、厚労省は公的医療制度の高額療養費給付の不適正事案を確認できなかった。日本の医療制度にただ乗りしているのではという感情的な議論になっており、日本人と同じ権利主張だと考えるべきでは。
11.2 「特定技能」をめぐり、基本的な技能を持つ「1号」は14業種が対象として検討される一方、より熟練した人を対象とした「2号」が検討されているのは5業種にとどまっている。
11.3 改正案が2日、閣議決定された。政府・与党は8日の衆議院本会議で審議入りさせる予定
論点(8)受け入れる業種や人数が明らかでなく、中身はがらんどうだ。基本的な技能と熟練した技能の定義や基準が不明確だ。日本語教育などの生活支援の具体化も今後の省令に任される。
技能実習制度という不安定な基礎の上に柱と屋根をくっつけて、壁や内装などは人が住んでから造るみたいな感じか。
11.7 厚労省は健康保険について、保険を使える扶養家族を日本国内に住む人に限る方向で検討に入った。改正案をきっかけに、医療保険財政を圧迫しかねないとの懸念があるからだ。子どもの海外留学や家族そろっての海外駐在時は認める方向。(また)法務省が永住許可のガイドラインを見直す方針を固めたことが分かった。永住権を取得するためには日本に10年以上暮らし、このうち5年以上は「就労資格」などをもっていなければならないが、技能実習生や「特定技能1号」で滞在している間はこの5年に含めない方向で検討している。
論点(9)公的医療制度は加入者の国籍を問わず、平等であるべきで、家族滞在が認められない技能実習生や特定技能1号の人は子どもの海外留学はそもそも考えられず、彼らの妻などは適用外となり、不平等、差別扱いとなる。
11.10 厚生労働省は9日、「外国人雇用管理指針」を見直す検討を始めた。策定から11年たつが、長時間労働や低賃金が横行し、有名無実化している。指針には、賃金や労働時間といった労働条件を国籍を理由として差別することの禁止や社会保険の適正な手続きなど、事業者が守るべき具体的な項目が盛り込まれている。
論点(10)指針には賃金について日本人と同等という文言はない。数値を示すべきだ。
11.15 菅官房長官は14日の記者会見で、「特定技能2号」について、現時点で活用を予定しているのは建設と造船の2業種だけだと明らかにした。2019年度から5年間に14業種で最大約35万人、初年度は同約4万8千人とする試算を公表した。
11.16 衆院法務委員会は15日、改正案について、16日に審議入りを決めた。だが、野党側は、技能実習生の失踪について、個別の調査結果の提示が審議の前提と主張し、折り合わなかった。
論点(11) 「特定技能」の対象14業種のうち、受け入れ見込み数が最も多いのが介護。介護分野の在留資格は、今後4つの種類となる。①介護②特定活動(EPA)③技能実習④特定技能1号。それぞれ日本語能力の受け入れ判定が異なるのでは、現場に混乱が生じる。国の責務で研修すべき。
◆ 編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
新たな在留資格をめぐっては、上記11以外にもまだまだ論点はある。NHKの世論調査でも62%が成立を急ぐ必要がないと回答。この際、拙速な改正案は取り下げ、地域の声を聴くなどじっくり議論し、熟度の高い仕組みを考えてもらいたいし、私たちも自らの問題として考えたい。
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■編集・発行 香川まるがめ子どもにほんごひろば事務局 文責:安藤 
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メルマガ 第68号

まるがめ子どもにほんごひろば メルマガ 第68号(創刊2014.1)

(2018年11月1日発行)毎月随時発行予定(記事、論文の引用は太文字で掲載しています。)  
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◆ひろば参加の子どもたちの親と話しあう会
10月21日(日)15:00~16:30 丸亀市城乾コミュニティセンター小会議室で開かれた。参加したのは、ペルーの母親1名と中国の母親とその娘2名、丸亀市内の小学校の教員1名、丸亀市議会議員1名、びろばボランティア8名の計13名であった。事前のひろばボランティア間の打ち合わせでは、議題として、学校と家庭の連携や子どもとの学校生活や将来の進路についての話し合いの必要性などを想定していたが、参加した親からは自由に意見が出された。以下要約
(日本の小学校の進級について) ペルーと中国の小学校では、学力の問題で学年の学習についていけない場合は留年となるが、日本では教科の理解に関係なく、原則進級するシステムになっている。子どもは日本語が十分わからず、このまま学年が上がり、中学に入学してもついていけるかどうか心配である。
(子どもの学校での勉学状況について) ・担当の先生にうちの子はどうですか、友達とうまくいっていますかなど聞いている。宿題をやりたがらないので、先生にはよろしくお願いしますと頼んでいる。家族の状況も話している。
・なんらかの不正受給をしている家では、親も子どもに強く言えない。13歳でお酒を飲んでいても誰も注意しない。日本人も外国人だからか、なにも言わない。児童手当をもらうために、行きたくないけど、週に一度通う子もいる。(生活保護、児童扶養手当受給などの問題)
 ・授業についていけないことなどが原因で、学校に行かなくなる子どもが多いと聞いている。
(いじめについて) 外国人であり、日本語がよくわかっていない、授業が理解できないなどで、子どもがいじめられたり、嫌なことをされたりする。先生といじめなどについて先生の意見を聞いたこともあるが、先生はあまり児童の間に入ろうとしてくれない。もっと取り持ってほしい。
(部活について) ペルーでは学校が終わると、子どもは自由に過ごすが、日本は、中学校では部活があり、帰宅するとまた塾に行く子もいる。もっとゆっくりある生活ができないのか。部活は義務なのか。・中国では子どもに高い教育を受けさせるため、親も進学熱が高い。その点、日本はいいと思って日本に来て、子どもを入学させたのだが。日本も同じか。
(高校進学について) 10%くらいではないかと思う。
(日本人参加者からの意見)・テレビ放映での学習やパソコンなどでSNSを活用する方法もある。・母親の言うことは聞かないが、年長の兄や姉の言うことは従う場合が多いので、家族間で協
力することもできる。・学校での嫌なことを子どもはほとんど親に話さないことが多い。親が子どもの様子を気遣い、聴く姿勢があれば、少しは親に話す。正しい方向を親が示すことが必要である・進級するたびに子どもは成長しており、先生からどう変わってきているかを聞き取ることが大切である。・丸亀市役所には、多言語での相談窓口があるので活用してほしい。・親が母国に帰る意識が高いと、子どもは敏感に察して、どうせ母国に帰るのだから、今、日本語の勉強を頑張っても仕方ないと思う・また、授業についていけず、おもしろくないから、中学校をやめたい。それを日本に連れてきた親のせいにする子どももいる。
◆「ベトナム人、相次ぐ死 実習生ら 仕事・生活追い詰められ」朝日新聞
 東京都港区にある寺院「日新窟」。棚の上に、ベトナム語で書かれた真新しい位牌がぎっしりと並ぶ。2012年から今年7月末分までのもので81柱。この寺の尼僧ティック・タム・チーさん(40)によると、その多くが、20、30代の技能実習生や留学生のものだ。今年7月には4人の若者が死亡。3人が実習生、1人は留学生で、突然死や自殺などだった。家族に遺書を残していた。塗装関係の仕事をしていたが、「暴力やいじめがあってつらい」とつづられていた。「寂しい。1人でビールを飲んでいる」と弟に電話があった翌日、川辺で首をつっているのが見つかった。6月に亡くなった31歳の男性の死亡診断書には、死因は「急性心機能不全症」と書かれていた。別の20代の技能実習生の男性は朝、仲間が部屋に起こしに行ったら、死んでいた。タム・チーさんは00年に来日以来、こうした実習生らの様々相談に応じてきた。妊娠して途方に暮れる女性のために出産できる場所を探したり、本国で生まれた赤ん坊を預かってくれる人を探したり。今月も北海道の海岸で留学生の遺体が見つかり、葬式をあげてきた。「実習生や留学生は言葉の壁もありストレスが大きい。節約してカップラーメンを食べて栄養不足になっている。一生懸命働いて、無理をして、体も精神も不安定になるケースが多い」と話す。節約は多くの場合、来日のために背負った借金の返済や、家族への仕送りなどのためだ。
実情に詳しい山村淳平医師(63)は、「元々健康だった20、30代の人か突然に亡くなるのは異常なこと」と話す。「十分な睡眠もとらず、過剰な労働によるストレスやプレッシャーが体をむしばんでいく」山村さんはベトナムを訪問し、昨年末に宮城県で亡くなった20代の男性の父親に会った。男性は現地のブローカーを通じ、約120万円を払って来日。結婚資金などを稼ぐためだった。送り出し団体から「心臓の病気で亡くなった」と連絡があり、遺骨が届けられたという。
「ものの言いにくい制度 問題」 技能実習生の問題に詳しい指駅宿昭一弁護士の話
待遇や体調が悪くても、ものの言いにくい技能実習制度の構造的な問題があるのではないか。来日前保証金などで借金を背負わされたうえ、送り出し機関から労働基準監督署や弁護士への相談を禁じられるケースもある。留学生も同様に借金を抱え、法定の週28時間を超えて働かざるを得ない状況に置かれる場合が多い。送り出し機関との悪質な取り決めを改めてさせるとともに日本には労災制度や各種相談窓口があることを本人や母国の家族に周知することも必要だ。
◆「実習生の人権侵害ないか」ワコール、委託先に異例調査 朝日新聞
女性下着大手のワコールホールディングス(HD、本社・京都市)が、自社製品の製造工程にかかわるサプライチェーン(製品供給網)に、外国人技能実習生の人権を侵害している会社がないかどうかの調査を始めた。賃金不払いなどの不正行為があれば改善を求める。応じない場合は取引そのものを見直す。人権軽視は経営リスク…実習生制度に批判、企業も危機感
◆広報丸亀10月号P12 ホとコラム「外国人の人権を考える」
(前文略)丸亀市には、平成30年4月現在1,911人が暮らしており、主な国籍別の状況は 中国(838人)、フィリピン(327人)、ペルー(282人)の順で多く、次いでベトナム(146人)、インドネシア(55人)、ブラジル (53人)となっています。(中略)丸亀市にも多くの外国人が生活していますが、更に、観光で訪れる外国人も多くなっています。今や、外国人という視点ではなく、お隣に住む住民、市民という感覚が求められています。しかし、外国人が日本で生活する上で、大きな障壁が幾つかあります。言語、教育、住まい、就労の問題などです。中でも、言語の違いによるコミュニケーションの問題に端を発て、文化の違いを共有することの難しさが言われています。外国人の多くは、様々な機会に「無理解」や「差別」と向き合わなければなりません。(中略)「外国人」という垣根を越えて、市民、住民の一員として、共生する地域・ 社会をつくり上げていく貴重な人材であるという 考え方に立ちたいものです。隣に住んでいる人と顔を合わせせ、挨拶を交わし 、「 一緒に楽しい町をつくる」社会を目指していきませんか。
※こんな素敵な記事が掲載されていました。
◆ 編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 新しい在留資格制度が来年4月から始められようとしている。政府は移民制度の導入を否定するのに躍起だ。この機会(もうすでに遅いとは思うが)に時間をとって、じっくりと国民的議論をすべきだと思う。経済界に押された労働力不足対策ということではなく、諸外国の失敗例、成功例なども踏まえながら、日本の移民政策を決めていくべきだ。問題だらけの技能実習制度を残したままの、拙速で、糊塗的な施策だけは絶対にやめるべきだ。次回以降この問題を記載する。
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■編集・発行 香川まるがめ子どもにほんごひろば事務局 文責:安藤 
〒761-2408 丸亀市綾歌町富熊5034-14 TEL:080-3921-9414 E-mail: qzp10324@gmail.com

メルマガ 第67号(H30.10.15)

(2018年10月15日発行)毎月随時発行予定(記事、論文の引用は太文字で掲載しています。)  
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◆10月21日(日)15時から「ひろば親の会」を開催予定。多くの参加をお待ちしています!
◆日本語支援 学校手探り 朝日新聞 9/30
※学校での子どもたちへの対応がとてもわかりやすく書かれていたので、2ページ掲載します。
日本語教育を必要とする子どもたちが増えている。どのような支援が必要で、学校はどう対応しているのか。現状や課題を探った。
■先進地域では 能力に応じ指導、別室で個別学習も
 「日本語教育」と言っても、一人ひとりの子どもの事情は異なる。日本語が十分に理解できず、支援が必要な子どもが入学してきた場合、学校はまず状況を把握することから始める。
 浜松市教育委員会は入管法の改正で、1990年代に日系ブラジル人の子どもが急増して以来、先進的な取り組みを展開してきた。現在は担当者が通訳を交えて保護者らから家庭状況などを聞き取り、子どもの日本語能力をチェックしたうえで、レベルに応じた日本語教育を進めている。
 全く日本語ができない子どもはまず、生きていくために欠かせない「サバイバル日本語」から始まる。数字の数え方や「○○がいたい」といった体の不調の訴え方、「したじき」「つうがくろ」など、学校生活に欠かせない言葉などを集中的に学ぶ。一方、体育や音楽など、日本語が十分に分からなくても参加しやすい教科はクラスに加わり、学校になじむようにする。
 次のステップは、日本語の基礎指導だ。学級への在籍を基本にしながらも、国語や社会など、言語や文化背景が分からないと理解が難しい教科は、別室で「取り出し授業」として教える。外国語を話せる地域在住の支援者や教員らの力も使い、こうした担当者が学級に付き添う「入り込み授業」もある。取り出し授業が必要なくなっても、補習などで支援を続ける。
 入学時から日本語がある程度身についている子どもであれば、最初から学級で国語などを学ぶこともある。文部科学省が2015年に設けた、外国人児童生徒らの支援を話し合う有識者会議の座長を務めた佐藤郡衛・明治大特任教授(66)は「来日した時の年齢や家庭内言語、来日前の生活など、一人ひとりが異なる。単に『日本語を教えればいい』のではなく、きちんと学力をつけるため、その子にどういう学習が必要かを考えないといけない」と指摘する。
 文科省は「日本語指導」と呼んでおり、日本語力が十分でない子どもに、日本語と教科を統合して指導するためのカリキュラムを開発し、14年には、個別に行う日本語指導を「特別の教育課程」として正規の教育に位置づけた。だが、こうした子どもを支援するための、国の統一的な受け入れ態勢はなく、自治体の意識や財政事情によってまちまちだ。
 浜松市は90年代から手探りで支援を進め、全市的な環境が整ったのは今年度になってからだ。浜松市では各学校で基礎的な日本語が学べる態勢を取っているが、岐阜県可児市のように、拠点となる施設に子どもを集めて教える自治体もある。一方、支援態勢が一切なく、担任の先生が試行錯誤で教えている学校も少なくない。
 ■全国に4.4万人、10年で1.7倍 ネパール語やロシア語/在籍5人未満、75%
 文科省の調査によると、日本語指導が必要な子どもは2016年5月現在、全国の公立小中高校などに約4万4千人いる。10年前の1.7倍だが、担当者は「減る要因はなく、さらに増えると思う」と話す。近年は三つの傾向がある。一つは、日本国籍の子どもの増加。16年は9,612人で、10年前の2.5倍だった。両親の国際結婚などが理由で、主に外国で育った子どもが多いという。
二つ目は多様化だ。以前は母語が中国語やポルトガル語など比較的限られていたが、最近はネパール語やロシア語などを使う子どもが増え、日本で生まれ育った「第2世代」も学齢期に達している。大阪府教委の担当者は「日本語での日常会話に問題がなくても、学年が上がると、学習で必要とされる言語にハンディが出てくるケースもある」と言う。三つ目が「集住と散在」だ。文科省の16年度調査をみると、5都府県に全体の半分が住み、特定の地域に集中していた。同時に、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒がいる7,020校のうち、「在籍が5人未満」の学校は5,291校と、約75%を占める。こうした子どもは今後も増えそうだ。法務省によると、在留外国人は今年6月末時点で約264万人と過去最多を記録した。少子高齢化が進むなか、外国人労働者も増えており、厚生労働省によると、昨年10月末時点で約128万人いた。5年間で約60万人増え、日本の就業者の50人に1人の割合に当たるという。
 ■入り口論ではない「移民政策」必要 川上郁雄・早大教授
 豪州は、1970年代から多文化主義を政策の基本に据え、移民の子どもたちを対象に「第二言語としての英語(ESL/English as a Second Language)」の教育に力を入れてきました。以前は、「子どもはほっといても言葉を覚える」という考えがありました。しかし、きちんと教えないと日常会話はできるようになっても、学力が伸びません。本人の将来の選択肢が狭まり、社会にとってもマイナスです。そこで、ESLが重視されるようになりました。米国やカナダなどでも同様です。豪州の場合は州によって多少違いますが、中学高校に入る際は公立の英語学校で集中的に学んでから、地域の学校に通います。ESLの専門教員は地域の学校にも配置されています。小学生は地域の学校に直接入りますが、やはりESL教員がいます。日本でも、「第二言語としての日本語能力」を判定するための「JSL(Japanese as a Second Language)バンドスケール」を開発しましたが、使いこなせる人材が足りません。専門の教員養成が課題です。外国にルーツがある人がこれだけ増えても、日本に「移民政策」がないのも問題です。「どういう在留資格を増やすか」という入り口論ではなく、多様な言語環境で生まれた子どもたちに自信を持たせ、どのように育てるのか、という政策が求められています。
 ■サポート充実へ、人手や多言語化課題 桜井敬子・浜松市教委外国人支援グループ長
 浜松市の公立小中学校に在籍し、日本語指導が必要と判断された児童生徒は今年5月時点で1,262人いました。この中には、日本国籍を持っている子ども177人も含まれます。
 浜松市は製造業の工場が多く、こうした職場で働く人の子どもが多いようです。外国の子が多い地域の学校では、必要に駆られて手探りで日本語教育が進められてきました。
 私が以前に日本語指導を担当した小学校では約300人の児童のうち、100近くが外国にルーツを持っていました。当時は市教委からの支援者の派遣もなく、担当の2人で全員の子どもを見なければなりませんでした。こうした経験を生かして支援を充実させ、今年度からは全市的なサポート態勢が整いました。指導で大切なのは、日本語を教えるだけではなく、子どもたちが自分たちで考え、学習や生活をしていく力を身につけることです。担当していた学校で、ブラジル出身で市の消防士として活躍している先輩に、ポルトガル語で子どもたちに話してもらった時、子どもたちの目の色が変わったのが印象的でした。色々な職業の選択があることが伝わったと思います。支援は今後も充実させたいですが、人手は限られています。このため、現在は日本語が全く話せない子どもたちの支援を優先しています。多言語化も課題です。市内の学校には26カ国の出身の子どもがおり、通訳が身近にいない言語も増えています。
◆ 編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 朝日新聞に衝撃的な記事が掲載。「ベトナム人、相次ぐ死 実習生ら 仕事・生活追い詰められ」2012年から今年2018年7月までに81柱の位牌が東京都内のある寺院に安置されている。詳細は次号に掲載する。どうであれ、悲しすぎる記事。実習生の身に何が?
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■編集・発行 香川まるがめ子どもにほんごひろば事務局 文責:安藤 
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メルマガ 第66号(H30.9.30)

(2018年9月30日発行)毎月随時発行予定(記事、論文の引用は太文字で掲載しています。)  
バックナンバーは、URL:http://marugame-kodomo-nihongo.net/merumaga.htmlで閲覧できます。  
当ひろばでは、10月21日(日)午後に丸亀市城乾コミセンで「子どもたちの家族との懇談会」を予定しているが、この懇談での話題にとても適した論文がネットで見つかったので紹介する。
◆外国人児童生徒の学習支援における家族の協力と課題
 松浦 康世(日本大学国際関係学部国際総合政策学科 助教)
 https://www.ir.nihon-u.ac.jp/pdf/research/publication/04_39_04.pdf
 この論文は、ボランティア支援者と日系外国人大学生への聴き取り調査によって分析されたものだが、「児童生徒に見られる学習意欲や学力低下のみならず、不登校や非行のような深刻な問題まであるが、程度の違いはあっても、どの問題も日本語力不足と親の無関心に起因していることが共通している。」とあり、その二つの原因について考察している。以下、一部要約。
 (家族の協力)外国人児童生徒が健全に成長するためには、第一に言葉の壁を乗り越えなければならない。一見する と不自由なく会話ができるような生徒でも、実はその壁があるために学習や学校の指示についていけなくなっている場合が多い。ボランティア支援者たちは、全体授業を担当する教師や忙しい親たちでは見落としがちな児童生徒一人一人の問題を見つけ出し、様々な工夫や努力により問題解決にあたる役割を担っている。しかし、学習指導における様々な努力があっても、その支援には限界がある。今回調査した3人 のボランティア支援者の意見に共通していたのは、親の関与が最も大きな影響を与えるということだった。ある支援者は、「親や家族が十分に児童生徒の学習に関われない状況にあるとき、学力低下から始まる様々な問題として現れ、それは子どもたちからの SOS 信号である」と語っていた。一方、学習支援者の立場からすれば親の無関心だと思われていたことも、大学生が語った体験談を聞くと、親は決して無関心ではない場合もあることが明らかとなった。自分の日本語力が低いことに引け目を感じ、子どもに注意したくても強く言うことができない場合がある。また、支援者の活動事例の中に見られるように、経済的な理由で仕事が忙しくて子どもの世話ができないという場合も、単純に親を責めることはできない。それらのケースを見ると、子どもの救済と同時に、あるいはそれ以上に親の救済が必要である。どうすれば親子が安心して安定した生活を送れるのか、問題の根本的な原因をつきとめ、解決するための支援策を考えていかなければならない。(地域住民の協力)経済的な問題については、第一に行政の力を借りる必要があると思われるが、親のメンタル面のケアなどについては、地域住民の協力が大きな力となる。日本語が不十分で子どもを叱ることができないような親の場合も同じである。どちらも日本語の運用能力の低さから、地域住民とのコミュニケーションがとれず、地域の中で孤立してしまっている可能性がある。そのような親たちが地域と関わりを持ち、楽しく安心して生活できるようになるためには、地域 住民の積極的な働きかけと配慮が必要である。実際、この調査に協力してくれた支援者たちはボランティア団体に所属し、日ごろから日本語支援やその他様々な行事や活動を通して、日本に在住する外国人との交流を続けている。それらの活動は、外国人に対する日本語学習の補助や日本文化の紹介といった一方的な働きかけだけではなく、地域住民に対して異文化理解を促し、国籍に関係なく協働してコミュニティーを作っていくための働きかけを同時に行うものである。地域住民が、在日外国人の言葉の壁を理解した上で、常に声掛けをして、必要な手助けをすることにより、外国人がその地域に溶け込み、安定した生活が送れるようになる。このような活動が自治体や任意団体によって継続されることにより、異文化理解や多文化共生の意識がその地域に根付いていく。
(支援の連携)活動事例の中には、問題解決にあたり、親や家族だけでなく、学校の教師や学習指導員の他、場合によっては行政機関や相談機関などとも連携をとるケースも見られた。それはボランティアだけの力では 親にコンタクトを取ることが難しい場合である。支援者の立場では家庭の問題に踏み入る権利がないか らである。支援者は、事態の深刻さから必要に迫られ、関係者や関係各所に連絡を取る方法を模索するようになる。ボランティア支援者の存在は、児童生 徒を孤立させず、それら関係者や関係機関と結びつける役割を果たしているのである。しかし、このように支援者が一人で、学校、親、行政、相談所などと連絡を取り、問題解決のためのコーディネイトをするのでは荷が重すぎる。関係者、関係各所がそれ ぞれの役割を果たすことは大切であるが、行政があらかじめ連携するための体制を整え、支援者の存在を把握し、いざというときに連携のための指示を与えるといったリーダーシップの取り方が最も効率が良いと思われる。今後、行政において、子どもたちを孤立させないような支援の連携を、関係者、関係各所とともに検討していくことが望まれる。(紙面の都合でまとめだけを掲載、ぜひ原文で。)
◆平成29年の「在留資格取消件数」について(法務省9月28日プレスリリース)
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00175.html
※法務省が在留資格の取消しの内訳を公表したのは初めて。
1)平成29年の在留資格取消件数は385件。これは平成28年の294件と比べると31.0%の増加,平成27年の306件と比べると25.8%の増加2)在留資格別にみると,「留学」が172件(44.7%)と最も多く,次いで,「日本人の配偶者等」が67件(17.4%),「技術・人文知識・国際業務」が66件(17.1%)3)出入国管理及び難民認定法第22条の4第1項各号の取消事由別にみると,第6号が172件(44.7%)と最も多く,次いで,第2号が66件(17.1%),第3号が52件(13.5%)、第5号が25件(6.5%)。
※第6号:在留資格に応じた活動を3カ月(高度専門職は6カ月)以上行わない。第2号:偽りその他不正の手段で上陸許可を受けた。(例・在留資格「日本人の配偶者等」を得るために,日本人との婚姻を偽装して,不実の婚姻事実が記載された戸籍謄本等を提出した上,在留期間更新許可を受けた。・ 在留資格「技術・人文知識・国際業務」の活動に当たらない業務に従事する予定であったにもかかわらず,偽りの職務内容をもって申請を行い,当該在留資格への変更許可を受けた など。)第3号:不実の記載のある文書又は図画の提出又は提示 により,上陸許可等を受けた。(・ 取消対象者を採用する予定のない会社を勤務先として記載した申請書を提出し,在留 資格「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更許可を受けた。・在留資格「技術・人文知識・国際業務」で在留する夫が実際には就労していない会社の在職証明書を提出することにより,当該夫の扶養を受けることを目的とした妻 (取消対象者)が在留資格「家族滞在」の在留資格認定証明書の交付を受けた など)第5号:在留資格に応じた活動を行っておらず, かつ,他の活動を行い又は行おうとして在留している。(留学生が学校を除籍された後に,アルバイト又は犯罪行為(詐欺・窃盗等)を行って在留していた。・ 技能実習生が実習実施先から失踪後に,他の会社で稼働して在留していた。・ 在留資格「特定活動(外国人建設就労者)」をもって在留する者が,受入機関から失踪し,他の会社で稼働していた など)
4)国籍・地域別にみると,ベトナムが179件(46.5%)と最も多く,次いで,中国が84件(21.8%),フィリピンが30件(7.8%)
◆ 編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 上記論文の中で「(学習支援を行うボランティアなどの活動は)地域住民に対して異文化理解を促し、国籍に関係なく協働してコミュニティーを作っていくための働きかけを同時に行うものである。地域住民が在日外国人の言葉の壁を理解した上で、常に声掛けをして、必要な手助けをすることにより、外国人がその地域に溶け込み、安定した生活が送れるようになる。このような活動か継続されることにより、異文化理解や多文化共生の意識がその地域に根付いていく。」とあり、我々子どもたちの学習支援活動をする者にとっては、非常に心強く感じられた。
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